戸部新十郎

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戸部新十郎
誕生 1926年4月8日
石川県七尾市
死没 (2003-08-13) 2003年8月13日(満77歳没)
職業 小説家
国籍 日本の旗 日本
ジャンル 時代小説・剣豪小説
代表作 安見隠岐の罪状
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戸部 新十郎(とべ しんじゅうろう、1926年大正15年)4月8日 - 2003年平成15年)8月13日)は、日本小説家

経歴[編集]

石川県七尾市生まれ。祖先は戦国時代今川義元に属した尾張笠寺城主の戸部新左衛門政直である。この「戸部新左衛門」という名は、尼子騒兵衛漫画落第忍者乱太郎」の登場人物「戸部新新左ヱ門」(忍術学園の教師)の由来になっている。また、「新十郎」という名は戸部新左衛門政直の息子の名であり、戸部の父が祖先の名にあやかって命名したそうである。スポーツライターの戸部良也は弟。

早稲田大学政治経済学部中退。北国新聞社記者を経て、作家となる。クラブ雑誌に多岐流太郎筆名時代小説を書きはじめていたが、昭和四十年代に入ると長谷川伸創始の「新鷹会」の同人となり、筆名を本名の「戸部新十郎」に改めた。戸部新十郎名での初の作品「安見隠岐の罪状」が第70回直木賞候補となった。

中学生のとき当時の剣道界の大御所・中山博道に剣道の稽古をつけてもらったことがある[1]。また、無外流居合兵道の有段者である。剣術への造詣が深く、大きな歴史背景を交えた忍者物、剣豪物の作品が中心。出身である石川県と縁の深い前田利家加賀藩の藩主たちに関する著作も多い。

「多岐流太郎」時代[編集]

春陽堂などで二百編に及ぶ作品を発表したが、上述の通り「戸部新十郎」の本名で活動を始めたときに、「妖説五三ノ桐」以外は残す価値がないとして、「妖説五三ノ桐」以外の作品の原稿を全てを廃棄した。

なお、戸部の死後、「多岐流太郎」時代の作品「忍法新撰組」を掲載した雑誌の切り抜きが戸部の書斎より発見され、光文社文庫より発行された。

この他の「多岐流太郎」名で現存している作品には「怪奇・伝奇時代小説選集 1」(春陽堂書店)収録の「幻法ダビデの星」がある。

作品リスト[編集]

長編[編集]

短編集[編集]

  • 『伊賀組同心始末』光風社書店 1976
  • 『総司残英抄』青樹社 1978 のち河出文庫、徳間文庫、中公文庫   
  • 『伊賀組同心』光風社出版 1980 のち旺文社文庫、徳間文庫 
  • 『伊賀者始末』徳間文庫 1988 のち広済堂文庫 
  • 『秘曲』大陸文庫 1988 のち徳間文庫 
  • 『野望の峠』PHP文庫 1989 のち徳間文庫 
  • 『鬼剣 傑作剣豪小説』光文社文庫 1990 のち徳間文庫 
  • 『最後の刺客』光文社文庫 1992
  • 『秘剣水鏡』徳間書店 1993 のち文庫 
  • 『秘剣花車』新潮社 1995 のち文庫、徳間文庫  
  • 『秘剣竜牙』PHP研究所 1996 のち徳間文庫 
  • 『秘剣埋火』徳間書店 1998 のち文庫 
  • 『侠客』廣済堂文庫 1998
  • 『幻剣蜻蛉 時代小説』祥伝社文庫 2000
  • 『秘剣虎乱』徳間書店 2000 のち文庫
  • 『戸部新十郎集』リブリオ出版 2000 げんだい時代小説
  • 『寒山剣 傑作時代小説』光文社文庫 2007
  • 『最後の忍び 忍者小説セレクション』光文社文庫 2015

エッセイ・解説本[編集]

  • 『海外雄飛の群像』大陸書房、1969 
  • 北方領土物語』渡辺清彦絵 国土社・ノンフィクション全集 1975
  • 『虚像の英雄 判官と岡っ引』日本書籍 1978
  • 『虚像の英雄 忍者と盗賊』日本書籍 1978 のち廣済堂文庫
  • 『忍者』大陸書房 1978 『忍者の履歴書』朝日文庫
  • 『虚像の英雄 裏街道の男』日本書籍 1979
  • 『歴史の風影 武将・豪傑・剣士』ちはら書房 1980
  • 『考証宮本武蔵』光風社出版 1981 のちPHP文庫
  • 『若き日の家康 三河武士団奔る』光風社出版 1983 『戦国史譚徳川家康』PHP文庫
  • 『日本剣豪譚』毎日新聞社 1984 のち光文社文庫 
  • 『日本剣豪譚 江戸篇』毎日新聞社 1986
  • 『忍者と盗賊 日本史・陰の人物誌』河出文庫 1986
  • 『小六伝 中年から人生を開いた男の物語』PHP研究所 1987 『蜂須賀小六伝』文庫 
  • 『剣士の名言』政界往来社 1988 のち廣済堂文庫 
  • 『秘伝兵法二十七番』読売新聞社 1988
  • 『戦国武将の本領』読売新聞社 1991
  • 『日本剣豪譚 幕末篇』毎日新聞社 1991 のち光文社文庫 
  • 『日本剣豪譚 維新篇』毎日新聞社 1992 のち光文社文庫
  • 『戦国夢幻織田信長』経営書院 1993
  • 『戦国の異能人』PHP文庫 1994
  • 『明治剣客伝 日本剣豪譚』毎日新聞社 1994 のち光文社文庫 
  • 『男の点描 戦国武将生死の一瞬』毎日新聞社 1995 『戦国興亡武将たちの進退』PHP文庫
  • 『加賀風雲録 幕末維新』新人物往来社 1997 『加賀風雲録―前田家の幕末維新』中公文庫 
  • 『忍者-戦国影の軍団 隠密と奇襲に暗躍した特殊部隊』PHP研究所 1995 『忍者の謎 戦国影の軍団の真実』文庫
  • 『兵法秘伝考』新人物往来社 1995
  • 『忍者と忍術』毎日新聞社 1996 のち中公文庫 
  • 『乱世の武将秘伝の処世術 成功の法則が通じない今、必要な智略とは』青春出版社 1996
  • 『日本異譚太平記』毎日新聞社 1997 のち徳間文庫 
  • 『大江戸裁判事情』廣済堂文庫 1998
  • 『剣は語る 己を乱す迷いに克つ、25の剣跡』青春出版社 1998 『二十五人の剣豪 宮本武蔵から近藤勇まで』PHP文庫
  • 『図説宮本武蔵』河出書房新社 ふくろうの本 2001
  • 『信長の合戦 八つの戦いで読む知謀と戦略』2001 PHP文庫
  • 『前田利家とまつ』編 廣済堂出版 2001
  • 『実像・宮本武蔵』編 廣済堂出版 2002
  • 『前田利家十五ヵ条の訓え 不測の時代に加賀百万石を守り抜いた知恵の結集』青春出版社 2002
  • 『戦国興亡名将たちの決断』PHP研究所 2006

脚注[編集]

  1. ^ 戸部は自著『明治剣客伝 日本剣豪譚』において、「むろん、稽古とよべるかどうかわからないが、じっさいに竹刀を交えたという一事は、いまにして思えば貴重であり、たぶんもっとも最後の年代に属するだろう。当時、こちらに博道師を偉大な剣士という認識はなく、師もまた何万人のうちの下級者の一人として、談にあるように柔らかく受けてくれた…」と述べている。

関連項目[編集]