悲恋の若武者

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悲恋の若武者
橋幸夫シングル
初出アルバム『橋幸夫傑作集第4集
(LV-249 1962/4)』
B面 いで湯恋しや
リリース
ジャンル 演歌
時間
レーベル ビクター(VS-642)
作詞・作曲 佐伯孝夫(作詞)
吉田正(作・編曲)
橋幸夫 シングル 年表
江梨子
(1962年1月20日)
悲恋の若武者
(1962年)
東京オリンピック音頭
(1962年3月22日)
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悲恋の若武者」は、1962年2月5日にビクターより発売された橋幸夫の18枚目のシングルである(VS-642)。後、橋の主演で同名の映画が制作され、その主題歌となっている。

概要[編集]

  • 作詞佐伯孝夫、作曲吉田正で、橋の両恩師による楽曲である。本曲は橋の股旅物とは違う「歴史もの」の時代歌謡に属する作品で、前年8枚目のシングル「南海の美少年(c/w 花の白虎隊)」の系統に属する。
  • 「南海の美少年」が、江戸時代初期、日本史上最大規模の一揆で著名な島原の乱を題材にしたが、本作は、近代に入ってからの最大規模の内線となった西南戦争を対象としている。
  • ジャーナリスト出身の佐伯は古文・古典についても素養が深く、時代劇や歴史物の作詞も得意としていた[1]
  • 「花の白虎隊」では詩吟の「白虎隊」を取り入れたが、本曲では民謡「田原坂」を織り込んでいる。
  • 2番の歌詞に「退くに退かれぬ田原の嶮」3番では「田原悲しや」と歌詞の本文に「田原」を使い、民謡「田原坂」から「馬上豊かに美少年」の一文を取込むことにより、タイトルに「美少年」という語句は使用しないものの、橋幸夫版「田原坂の美少年」となっている。この意味では、本作も、橋の美少年シリーズに位置づけられる。
  • 振付は花柳啓之で、花柳は当時舞台公演の構成や振付を幅広く手がけ、橋ともデビュー以来、楽曲、舞台の振付で関係が深い[2]
  • c/wは「いで湯恋しや」で、これも佐伯作詞、吉田作曲の楽曲である。

収録曲[編集]

  1. 悲恋の若武者
    作詞:佐伯孝夫、作・編曲:吉田正
  2. いで湯恋しや
    作詞:佐伯孝夫、作・編曲:吉田正

収録アルバム[編集]

  • 初期のLP盤での収録はあるが、近年のCD盤でのベストアルバムへの収録はない。
  • CD-BOXでの収録は以下のとおり。
    • 『橋幸夫大全集』1993/9 Disc2
    • 『橋幸夫のすべて』2011/2 Disc3
    • このほか『吉田正大全集』 1997/9 Disc5にも収録

映画[編集]

悲恋の若武者
監督 西山正輝
脚本 相良準吉田哲郎
製作 高橋富夫(企画)
出演者 橋幸夫
音楽 吉田正
撮影 武田千吉郎
編集 山田弘
製作会社 大映京都撮影所[3][4]
配給 大映[3][4]
公開 日本の旗1962年7月15日
上映時間 72分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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  • 本作を題材、主題歌とする「悲恋の若武者」(大映京都)が橋幸夫主演で制作され、1962年7月15日に公開された[5]。カラー・大映スコープ・72分。本作で橋の映画出演は10作となる。
  • 共演は「江梨子」の三条江梨子(魔子から改名)、「すっとび仁義」の姿美千子
  • ものがたりは、西南戦争という大きな歴史の流れの中で、気持ちが揺れ動く天野俊太郎(橋幸夫)や青年達が、西郷を慕い、やがて田原坂の戦いに突き進むでいく姿を描く。「江梨子」に続き橋と三条との恋は悲しい結末を迎える。
  • 2020年にDVD化。

スタッフ[編集]

  • 企画 - 高橋富夫
  • 脚本 - 相良準吉田哲郎
  • 監督 - 西山正輝
  • 撮影 - 武田千吉郎
  • 美術 - 神田孝一郎
  • 音楽 - 吉田正
  • 録音 - 海原幸夫
  • 照明 - 古谷賢次
  • 編集 - 山田弘
  • スチル - 松浦康雄

出演者[編集]

同時上映[編集]

鯨神

出典[編集]

  1. ^ 金子勇『吉田正 誰よりも君を愛す』ISBN 978-4-623-05623-1 ミネルヴァ書房(京都) 2010/1 292頁
  2. ^ 橋幸夫著『シオクルカサ(潮来笠)の不思議な世界:エピソードで綴る波乱の歌手伝説』ISBN 978-4-87969-106-4 日刊現代(東京)2007/4 204頁
  3. ^ a b 悲恋の若武者”. 角川映画. 2021年6月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月8日閲覧。
  4. ^ a b kinenote.
  5. ^ 橋幸夫・小野善太郎共著『橋幸夫歌謡魂』ISBN 4-948735-16-7 ワイズ出版(東京)1993/6 283頁

参考文献[編集]

外部リンク[編集]