微熱少年
『微熱少年』(びねつしょうねん)は、松本隆の小説[1]・エッセイ集[2]、及び、同名小説を原作とする松本隆監督による日本映画。
概要
[編集]エッセイ集
[編集]小説
[編集]- 1985年11月1日、新潮社より発行。SONYよりカセットブックも発売されている(ナレーション:森本レオ)。
- 松本自身が感じていた“熱血少年ではない、しかし冷めているわけでもない『微熱』を秘めていた少年時代”を振り返り、松本自身の経験を元に綴ったという自叙伝的作品[1]。
- 1987年に実写映画化。松本が自ら監督を務めた[1]。小説と異なるエンディングは公開時に話題を呼んだ[4]。2020年10月25日、歌謡ポップスチャンネルの『松本隆作詞家生活50周年記念特集』企画内で、本作品を放送[5]。その際、フィルム映像をテレビジョン信号に変換するテレシネを施したニューマスター版を制作している[6]。
- 2014年2月7日 - 9日に東京芸術劇場が主催したリーディング企画『芸術+トーク 朗読「東京」(第二回)』の2日目の演目に採用された。出演は俳優の加治将樹と石橋穂乃香[7][8]。
あらすじ
[編集]ビートルズが来日する年、何かが変わりそうな予感を抱いていた。今まで経験したことがない音楽、もどかしい恋愛、少年から大人への階段を上がらなければならない不安。熱血には遠く、冷めるにはまだ早い「微熱」を宿した男子高校生・健の視点から描いた青春作品。
映画
[編集]| 微熱少年 | |
|---|---|
| 監督 | 松本隆 |
| 脚本 | 筒井ともみ |
| 製作 |
堀威夫 金森美弥子 |
| 出演者 |
斉藤隆治 西山由美 広田恵子 関口誠人 |
| 音楽 | 松本隆 |
| 主題歌 | REBECCA「MONOTONE BOY」 |
| 撮影 | 藤井秀男 |
| 編集 | 山地早智子 |
| 製作会社 |
ホリプロダクション (制作協力:フジテレビジョン) |
| 配給 | 東宝 |
| 公開 |
|
| 上映時間 | 109分 |
| 製作国 |
|
| 言語 | 日本語 |
松本が自ら監督を務め、1987年6月13日に公開された音楽映画[4][9]。ホリプロダクション製作[10]、フジテレビジョン製作協力[10]、東宝配給[10]。2020年まで松本唯一の監督作[4]。
主演に斉藤由貴の実弟で、新人の斉藤隆治が6800人が参加したオーディションから選ばれた[11]。斉藤は当時、神奈川県立港南台高校在学中の18歳[11]。エリー役にカネボウ化粧品創立100周年記念ニューフェースに選ばれた西山由美(現:由海)[11]、優子役の広田恵子もカネボウの水着キャンペーンガール[11]。吉田役にC-C-B脱退を表明したばかりの関口誠人を起用した[11]。
1987年2月9日の製作発表会見で、監督・原作・音楽を兼ねる松本隆が「音楽と言葉と映像は文化の三原色。この三原色を組み合わせて感性豊かな映画を作りたい」と抱負を述べた[10][11]。松本と音楽上の付き合いのある吉田拓郎、鈴木茂、財津和夫、森山良子、南佳孝、広石武彦、米米CLUB、爆風スランプなど、普段は俳優として活動していないミュージシャンが多く出演した[1][4][5][11]。
劇中音楽も、松本が作詞提供しているミュージシャン・アイドルが数多参加した[4]。
製作
[編集]製作が報道されたのは1986年暮れで[12]、1987年2月9日、東京プリンスホテルで製作発表会見があった[10]。映画は1987年4月下旬に完成予定と発表された[11]。
興行成績
[編集]東宝洋画系劇場で公開[13]。東宝本番線(邦画系)は『シャタラー』[10]。都会は本作の一本立て興行だが[13]、地方は『あいつに恋して』との二本立て興行[13]。東宝が洋画系劇場で邦画の青春映画をセットで流すのは珍しく[13]、どちらもフレッシュな青春映画イメージを持ち、話題性もあることから東宝営業部も配収5億円を挙げたいと期待していた[13]。ところが『映画年鑑 1988年版』には「話題性に乏しく不発に終わった」と書かれている[10]。
テレビ放送
[編集]後述のビデオが廃盤になって以降、再発及びソフト化も一度もない[4]。2020年10月25日に歌謡ポップスチャンネルでテレビ初放送[5][4]。
キャスト
[編集]- 島本健:斉藤隆治
- エリー:西山由美
- 優子:広田恵子
- 吉田:関口誠人
- 浅井:広石武彦
- 能勢:長畠善次
- 加藤:宮城宗典
- 健の母:森山良子
- カメラマン:吉田拓郎
- 広告代理店プロデューサー:財津和夫
- 暴走族のリーダー:Johnny
- 路面電車の車掌:細野晴臣
他、米米CLUB、爆風スランプ、BARBEE BOYS、THE 東南西北、加藤役の宮城宗典が所属するヒルビリー・バップスなどがエキストラ・端役として参加している。
スタッフ
[編集]映像作品
[編集]ビデオ
[編集]ロケ地
[編集]サウンドトラック
[編集]| 『微熱少年 MOVIE SONGS』 | |
|---|---|
| 微熱少年 の コンピレーション・アルバム | |
| リリース | |
| ジャンル | ロック |
| レーベル | CBS・ソニー |
| プロデュース | 松本隆 |
『微熱少年 MOVIE SONGS』(1987年4月22日発売)
- Monotone Boy / REBECCA
- 作詞:松本隆/作曲:土橋安騎夫/編曲:REBECCA
- Brusing / 鈴木茂
- 作曲・編曲:鈴木茂
- くずせるものなら、くずしてごらん -Movie Version- / CLAXON
- 作詞:松本隆/作曲:得能悟/編曲:CLAXON
- 君の名前を呼びたい / The東南西北
- Do You Feel Me / 杉真理
- 作詞:松本隆/作曲・編曲:杉真理
- 空飛ぶ電車 / 細野晴臣
- 作曲・編曲:細野晴臣
- 恋するカレン / 大滝詠一
- 作詞:松本隆/作曲:大滝詠一/編曲:多羅尾伴内
- 雪のファンタジー / 松田聖子
- 作詞:松本隆/作曲・編曲:大村雅朗
- 夢見るナタリー / 関口誠人
- 作詞:松本隆/作曲:関口誠人/編曲:鈴木茂
- GIRL / 南佳孝
- 作詞:松本隆/作曲:南佳孝/編曲:清水信之
- 長い髪のMaria / CLAXON
- 作詞:松本隆/作曲:越智昭/編曲:CLAXON
関連項目
[編集]- 東京都港区青山・乃木坂・麻布・六本木・渋谷
- 松本が生まれ育ち、多くの感性を培った地域。特に、青山・渋谷・麻布(地図上で三地点を結ぶと現れる三角形を成すエリア)を「風街」と呼び、その雰囲気やイメージを本作をはじめ多くの作品に反映させている。
- カネボウ化粧品
- 映画のスポンサーの一社であり、また、劇中でエリーをモデルとして起用した化粧品会社。実際に1987年・夏のキャンペーンガールにエリー役を務めた西山を起用している(夏用ファンデーション「サンセラミィ」など)。CMソングは、映画のイメージソング「くずせるものなら、くずしてごらん。」(CLAXON)を採用。キャッチコピーにも同タイトルを使用している。また、本作品が公開される前年の1986年には優子役の広田が「カネボウ・スイムウエアイメージモデル」に選ばれている[注 2]。
- 大前田りん
- 漫画家。1993年4月に講談社より本作品を漫画にした単行本を発表。
脚注
[編集]出典
[編集]- 1 2 3 4 微熱少年
- 1 2 立東舎文庫 エッセイ集 微熱少年
- ↑ 単行本には「あいつの言葉は、そんなに強烈ではないけれど、なんだか
履下 しの運動靴のようにいつも新しいんだ。そして、そのことは、ひとつの言葉を生みだす人間のこの上ない才能だと思っている。誰れの代弁者でもない松本隆にぼくは強く魅かれている。 吉田拓郎」と印刷された帯が付いている。 - 1 2 3 4 5 6 7 馬飼野元宏「作詞家・松本隆の唯一の監督作が、テレシネ高画質で放送決定!」『映画秘宝』2020年11月号、洋泉社、84頁。
- 1 2 3 “松本隆 作詞生活50周年記念特集”. 歌謡ポップスチャンネル. 2020年10月6日閲覧。
- ↑ シネフィルDVD公式Twitter 2020年9月15日付
- ↑ “芸劇+トーク 朗読「東京」(第二回)”. 東京芸術劇場. 2022年4月15日閲覧。
- ↑ “石橋穂乃香 朗読劇で仕事復帰!2・8「東京」を読み、語る”. SponichiAnnex. 2022年4月15日閲覧。
- ↑ スージー鈴木 (2020年10月19日). “ニュース&コラム 私が松本隆に微熱だった頃~映画『微熱少年』によせて”. 歌謡ポップスチャンネル. WOWOWプラス. 2025年4月19日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 「映画界重要日誌/邦画製作界 東宝」『映画年鑑 1988年版(映画産業団体連合会協賛)』1986年12月1日発行、時事映画通信社、9,101。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 「日本映画ニュース・スコープ 新作情報」『キネマ旬報』1987年3月下旬号、キネマ旬報社、109頁。
- ↑ 「CINE RANDOM」『プレイガイドジャーナル』1987年1月号、プレイガイドジャーナル社、18頁。
- 1 2 3 4 5 「興行価値 日本映画 一にも二にも吉川晃司の人気がたよりの『シャタラー』/洋画系で展開される異色青春映画2本立ては」『キネマ旬報』1987年6月上旬号、キネマ旬報社、166頁。
- ↑ スギモト☆ファミリー X(旧Twitter) 2021年11月7日付