循環式ケーブルカー
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循環式ケーブルカー(アメリカ英語: Cable Car)とは、環状にした鋼索を車両から掴ませ、鋼索を循環させて車両を動かす鉄道である。
解説
[編集]停止するときは鋼索を放したうえで普通鉄道と同様ブレーキで減速する。複数の列車の運転や平坦地での運転もできる。アメリカ・サンフランシスコにあるサンフランシスコ・ケーブルカーはこの方式である。日本には現存しないが、1989年の横浜博覧会で登場した横浜エスケイの「動くベンチ」が循環式の鋼索鉄道として期間限定の鉄道事業法による鉄道事業免許を受けていたことがある。

英語で Cable car といえば、日本語と同様にケーブルカーやロープウェイを指すこともあるが、アメリカ英語では一般的にはサンフランシスコ・ケーブルカーに見られるような、軌道下で常に動いているケーブルを多数の車両が掴んだり放したりすることで動くシステムの「循環式ケーブルカー」を指し[1]、日本で見られる二両が交互に上下する「交走式ケーブルカー」とは全くシステムが異なる。英語での交走式ケーブルカーは、イタリアヴェズヴィアナ鋼索線のフニコラーレを由来とするFunicular(フニクラー)と称することが一般的であり[1]、イギリス英語でのCable carはロープウェイを指す。
新交通システムとして
[編集]1873年にサンフランシスコでアンドリュー・スミス・ハリディによって馬車鉄道の代替として開発され[2]、19世紀末から20世紀初頭の都市交通機関としてアメリカ合衆国で使用された。当時はまだ路面電車に使用されるような小型高出力の電動機がまだ充分ではなかったのでパワーステーションと呼ばれる据え置き式の(蒸気機関で作動する)巻き上げ機を使用するケーブルカーが有効だったという背景がある[2][3]。高性能の路面電車の普及によりそれらの都市交通としてのケーブルカーは大半が20世紀初頭に運行を終えている[2]。
近距離輸送の分野において比較的簡略な車両や設備で自動運行できる為、近年では新交通システムの一環である水平エレベーターとしての需要が高まりつつある[4]。 ミニメトロやケーブル・ライナーや国内でもかつて運行されていた横浜博覧会のSKシステム[5]や広島市安芸区の懸垂式モノレールであるスカイレール、空気浮上式の成田空港第2ターミナルシャトルシステムのような例もある。
利点
[編集]- 車両に動力を搭載しない為、車両が簡略、軽量化できる。
- 車両が自走しない為、車輪の磨耗が動力車両と比較して抑えられる。
- 従来のケーブルカー同様、構造上、無人運転に適する。
欠点
[編集]- 構造上追い越しが困難
- 地上設備が複雑
- 短距離かつ利用客が多い場合、混雑や待ち時間が生じる[6]
営業路線
[編集]期間限定で運行
[編集]鉄道事業法の期間限定営業免許に基づき、期間を限定して運行された日本のケーブルカーの廃止路線は下記の通りである。休止・廃止日は最終営業日の翌日。
- 横浜エスケイ[注釈 1] 「動くベンチ」 - 神奈川県横浜市(横浜みなとみらい21地区) 1989年3月25日開業、同年10月2日廃止。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b 大賀寿郎 『戎光祥レイルウェイリブレット1 路面電車発達史 ―世界を制覇したPCCカーとタトラカー』 P.28-29、戎光祥出版、2016年3月、ISBN 978-4-86403-196-7
- ^ a b c 電気鉄道以前
- ^ Street Railways Construction Operation and Maintenance. Street Railway Publishing Company. (1892). p. 111.
- ^ ドッペルマイヤー・ケーブル・カー (DCC)
- ^ a b 新交通システム. 保育社. (1990). p. 88. ISBN 9784586508037
- ^ 日本経済新聞、共同. “成田空港に新連絡通路が完成”. 2015年1月19日閲覧。
- ^ 横浜博覧会・会場計画と建設の記録. 横浜博覧会協会. (1990年3月). p. 276-280
関連項目
[編集]- スカイレールサービス広島短距離交通瀬野線 - ロープ駆動とリニアモーターを併用した懸垂式モノレールによる小規模交通システム。
- ジェットコースター - 多くの物は、最初に循環式ケーブルカー類似の機構(ただしケーブルでなくローラーチェーン)で坂を高所に登り、発進する。