徒歩連絡

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徒歩連絡(とほれんらく)とは、構内(駅舎)を別に有する駅同士で行われる乗り換えの方法である。すなわち、乗換駅において、改札を出て公道などを通過しなければ乗り換えられない場合のことをいう。

浜川崎駅では南武線の駅(右)と鶴見線の駅(左)が分かれており、乗り換えには両駅間の公道を通行する必要がある。

概要[編集]

乗換駅として利用される駅には、駅名が同一か別かを問わず、構内が同じ、もしくは隣接しているために乗り換えができる駅が多い。しかし、中にはある路線とある路線の駅舎が完全に分かれ両路線の駅間に公道などが介在し、両路線を乗り換えるにはその公道を通過しなければならないという状態であるものの、鉄道会社によって乗換駅として扱われている場合がある。このような乗り換え形態のことを「徒歩連絡」という。

なお、制度上の乗換駅ではない場合(一度乗車券が回収され、再度初乗りから購入しなければならない場合)にも2つの駅間が近いために徒歩で乗り換えることができ、事実上乗換駅として機能している場合にも「徒歩連絡」と呼ばれることがある。

運賃の計算においては、原則として同一会社・同一線内においても一度下車をすることから、運賃計算上は路線ごとに行うことになる(路線別に乗車券を購入しなければならない)。しかし、同一会社内で同一駅と見なす時や他社線との連絡運輸を行っている場合(制度上の乗換駅とされている場合)には、「徒歩連絡」が必要な乗り換えをする場合にも1枚の乗車券で全区間を乗車することができる。なお、運賃の通算を行えるかどうかは、普通券定期券回数券などといった乗車券の種類によって変わる場合もある。

また、途中下車が認められている乗車券を所持している場合、有効な乗車券と同一方向であればこれを認める場合がある。事実上乗換駅とされている場合には、もちろん別々に運賃を支払わなければならない。

徒歩連絡の例[編集]

特殊なホームの構造に起因する同一会社の同一駅における例[編集]

  • 東京メトロ大手町駅
    • 丸ノ内線、半蔵門線、千代田線、東西線が乗り入れて4路線が改札内で接続する駅となっているが、特に丸ノ内線・半蔵門線と東西線の乗り換えの際に連絡通路を利用すると、間にある千代田線のホームを経由して正方形の三辺を通るように大回りになることから、どの路線でも一旦改札を出ての乗り換えが認められている。半蔵門線が開業するまでは、丸ノ内線と東西線・千代田線は改札を出ないと乗り換えが不可能であったためその名残でもある。
  • 東京メトロ新宿三丁目駅
    • 丸ノ内線と副都心線の連絡駅であるが、両線を結ぶ連絡通路の幅が狭いため、改札外への迂回を認めている。特に、平日朝ラッシュ時には連絡通路が副都心線→丸ノ内線の一方通行となるため、逆方向の乗り換えには改札を出る必要がある。
  • JR南武線浜川崎駅徒歩連絡 … JR鶴見線浜川崎駅
    • JRの同一駅ではあるが、 国鉄時代にそれぞれ別の会社の路線を国有化したため二つの駅舎が存在しており、乗換の際に一旦改札を出て、公道を歩く特殊な例である(画像)。
  • JR鹿児島本線筑豊本線水巻駅以西・本城駅以北)折尾駅 … 徒歩連絡 …短絡線(福北ゆたか線)折尾駅
    • 短絡線経由の列車は別の駅舎に停車するので、その際は係員のいる改札口でその旨を伝えれば途中下車不可の乗車券でも乗り継げる。ワイワイカードSUGOCAの場合、あるいは大回り乗車の場合でも係員のいる改札口を利用する。詳細は折尾駅を参照。
  • JR九州新幹線筑後船小屋駅徒歩連絡 … JR鹿児島本線筑後船小屋駅
    • 在来線と新幹線の併設駅であるが、両者の駅舎が別個に設けられており、乗り換えの際にはいったん駅舎から出る必要がある。九州新幹線と鹿児島本線の接続駅では、新八代駅も同様の構造である。

制度上の乗換駅の例[編集]

事実上、乗換駅として機能している例[編集]

ここでは、制度上、乗換駅(連絡駅)とされていないものの、駅間が近いために事実上の乗換駅となっている主な事例を挙げる。なお、駅によっては追認の形で連絡定期乗車券が発売され、連絡駅とされた場合がある。

特殊な例[編集]

  • 名鉄線各駅 - (名古屋本線犬山線など) - 名鉄名古屋駅又は金山駅徒歩連絡栄町駅 - (名鉄瀬戸線) - 瀬戸線内各駅
    • 瀬戸線は名鉄の他の路線との接続がなく、栄町・金山・名鉄名古屋の各駅を1つの駅とみなし、通算して乗車券を発売していた。しかし、2006年12月15日から瀬戸線にトランパスが導入されたため、この取り扱いは廃止された(実質値上げとなるため、通学定期券のみ2009年12月15日までに限り従来の取り扱いを行っている)。なお、実際には栄町駅と金山駅及び名鉄名古屋駅の間には距離があり、通常この区間は名古屋市営地下鉄(前者・・・名城線 後者・・・東山線)で移動する。乗車券では名古屋市営地下鉄の料金200円が含まれていないため別払いとなるが、券面を見ると徒歩連絡のように見える。
  • JR東海道本線山陽本線JR神戸線三ノ宮駅元町駅神戸駅新長田駅徒歩連絡山陽新幹線新神戸駅
    • JR西日本「神戸市内」発着となる長距離乗車券では、本来であれば市内の駅で下車した場合は前途無効となり乗車券の効力を失うが、この両駅については徒歩連絡が可能。なお、実際にはJR神戸線の連絡対象駅と新神戸駅の間には距離があり、通常この区間は神戸市営地下鉄西神・山手線で移動する。乗車券では市営地下鉄の料金が含まれていないため、この区間のみ別払いとなる。詳細は新神戸駅を参照。
  • 牛深港 - (水俣高速船) - 水俣港徒歩連絡新水俣駅 - (九州新幹線) - 鹿児島中央駅
    • JR九州と水俣高速船(2006年8月31日廃止)の間には連絡運輸の契約が存在していた。実際には水俣港と新水俣駅の間には距離があるため徒歩移動は難しく、この区間については産交バスで移動していた。乗車券では水俣港~新水俣駅のバス運賃は含まれないため別払いとなるが、券面だけを見ると徒歩連絡のようになっていた。

過去の例[編集]

  • 仙石線石巻駅徒歩連絡石巻線石巻駅
    • 浜川崎駅と同様の経緯で駅舎が二つに分かれていた。当時は仙石線の駅を「電車駅」、石巻線の駅を「汽車駅」と呼んで区別していた。1990年(平成2年)に両駅舎が「汽車駅」側に統合され解消。
  • 東京メトロ丸ノ内線御茶ノ水駅徒歩連絡東京メトロ千代田線新御茶ノ水駅
  • 東京メトロ千代田線表参道駅 - 徒歩連絡 - 東京メトロ銀座線表参道駅
    • 千代田線の駅が開業した当初は、地上に出ての徒歩連絡だった。1978年に半蔵門線が開業する際に、銀座線のホームを移設して同線とホーム上での乗り換えを可能にすると同時に、千代田線との連絡通路が整備された。
  • JR南武線武蔵小杉駅徒歩連絡 … JR横須賀線湘南新宿ライン武蔵小杉駅
    • 連絡通路は設置されているものの当初は暫定開業の為、連絡通路本開業までは改札外経由での乗り継ぎも認められていた。30分以内での乗り継ぎであれば新たな乗り越し料金は不要であった。2011年6月25日に正規の連絡通路が開業したため廃止された。
  • 京阪京津線浜大津駅一部徒歩連絡京阪石山坂本線浜大津駅(東口)
    • 浜川崎駅と同様の経緯で駅舎が二つに分かれていた。その後連絡線が設置され、双方のホームに停車する直通電車も設定されたが、それ以外の電車を利用する場合は徒歩連絡となっていた。1981年(昭和56年)に駅舎が統合され解消。
  • 京阪本線三条駅徒歩連絡 … 京阪京津線京津三条駅
    • 1987年(昭和62年)に京阪本線の七条駅以北が地下化されたことで三条駅の京津線ホームだけが地上に取り残され徒歩連絡となった。また本線の地下化直前には京津線の駅名が京津三条に改められている。1997年(平成9年)に京津線京津三条 - 御陵間廃止により京津三条駅が廃止、京都市営地下鉄東西線三条京阪駅に移行したが、京阪線と京都市営地下鉄東西線相互間では連絡運輸は扱っていない。
  • 南海本線南海高野線)- 萩ノ茶屋駅徒歩連絡今池町駅 - (南海天王寺支線)- 天王寺駅
    • 1984年に天王寺支線の天下茶屋 - 今池町間が廃止された際に、短期間だが行われていた。しかし、1993年に同線が全廃されたことで、この連絡も過去のものとなった。
  • 東海道本線尼崎駅徒歩連絡福知山線尼崎港線(支線)尼崎駅仮乗降場
    • 1911年(明治44年)に尼崎港線が東海道本線を越える地点に神崎乗降場が設けられ当時は神崎駅を名乗っていた尼崎駅と別駅ながら運賃上では同じ駅とされた。1969年(昭和44年)には正式に同一駅になったが、尼崎港線は1981年(昭和56年)に旅客業営を廃止した後、1984年(昭和59年)に完全に廃止されている。
  • 阪神本線武庫川駅徒歩連絡阪神武庫川線武庫川駅
    • かつては武庫川を挟んで本線の駅が左岸に、武庫川線の駅が右岸にあり、人道橋を経由しての乗り換えが必要だった。編成の長大化によってホームが川の上まで延びていき、1984年には右岸側にも本線の駅が設置されて改札内乗り換えが可能となったことで解消[8]
  • 香椎線宇美駅徒歩連絡勝田線宇美駅
    • 浜川崎駅と同様の経緯で駅舎が二つに分かれていた。勝田線の駅は勝田線とともに1985年(昭和60年)に廃止されている。

外部リンク[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 都営岩本町⇔メトロ秋葉原との連絡運輸は開業時から長い間行っていなかったが、2013年3月16日に両駅が乗換駅に指定され、乗り継ぎ割引が適用されるようになった(平成25年3月26日(土) 東京の地下鉄がさらに便利になります - 東京地下鉄・東京都交通局 (PDF) )。乗換駅に指定される以前より、都営岩本町・メトロ秋葉原⇔JR秋葉原との連絡定期乗車券は発売されている。
  2. ^ a b c d 京急仲木戸⇔JR東神奈川同様、定期乗車券のみ連絡運輸を取り扱う。
  3. ^ 西武鉄道ニュースリリース (PDF)
  4. ^ 廃止時点の名称。当時京阪は京阪神急行電鉄に合併されていた。開業以来、事業者名の変更により「信貴電磐船駅」「交電磐船駅」と名前が変わっている。
  5. ^ 電車乗換制度の変更について 広島電鉄、2015年12月21日(2016年3月2日閲覧)。
  6. ^ 中期経営計画「東京メトロプラン 2018」 (PDF)”. 東京地下鉄. p. 24. 2016年11月3日閲覧。
  7. ^ a b c d ご利用可能エリア スルッとKANSAI、2013年3月15日(2014年2月4日閲覧)。
  8. ^ 乗り換えホームは川の向こう? 土手から土手へ、幅200mの川をまたぐ駅(2ページ目) 乗りものニュース、2016年12月7日(2016年12月10日閲覧)。

参考文献[編集]

  • 松尾定行「『鉄のぬけ道』をあるく―知ってて得する88のルート―」東京堂出版
  • 松尾定行「東京電車地図 通勤通学を楽にする知恵」ランダムハウス講談社