帝国以後

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帝国以後 アメリカ・システムの崩壊
Après l'empire - Essai sur la décomposition du système américain
著者 エマニュエル・トッド
訳者 石崎晴己
発行日 フランスの旗 フランス 2002年
日本の旗 日本 2003年4月
発行元 フランスの旗 フランス ガリマール出版社
日本の旗 日本 藤原書店
ジャンル 政治・社会・国際情勢・アメリカ合衆国
フランスの旗 フランス
言語 フランス語
形態 上製本
ページ数 299
前作 世界像革命 家族人類学の挑戦
次作 「帝国以後」と日本の選択
公式サイト fujiwara-shoten.co.jp/main/authors/archives/2000/01/post.php
コード ISBN 978-4-89434-332-0
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帝国以後』 (Après l'empire - Essai sur la décomposition du système américain) は、フランス人口学歴史学・家族人類学者であるエマニュエル・トッド2002年に著した本である[1]。2050 年までにアメリカ覇権が崩壊すると予測し、世界的なベストセラーとなった。またその後のフランス、ドイツの外交の理論的な支えとなった。

概要[編集]

1991年ソ連崩壊以降、アメリカが唯一の超大国になったという認識が一般的であった。そのアメリカの中枢で起きた 911 テロから一年後の 2002年9月、トッドは『帝国以後』を出し、アメリカも同じ崩壊の道を歩んでおり、衰退しているからこそ世界にとって危険だと述べ、衝撃を与えた。同書は 28 か国語に訳され、フランスで 12 万部、ドイツで 20 万部を売る世界的なベストセラーとなった[2]

批評[編集]

本書が2002年9月にフランスで出版されると、多くの新聞、週刊誌に取り上げられ、たちまちベストセラーとなった[3]。11月のフィガロ・リテレール誌 (Le Figaro littéraire) の書評では、十人の担当者すべてから高評価を得てノンフィクション部門で一位になっている。またデバ誌 (Le Débat) は特集を組み、ユベール・ヴェドリーヌを含む論客に論じさせている[3]。政界にも大きな影響を与え、フランスの政治家の必読書の一つになった[4]

一方で批判もある。アラン・デュアメルは、アメリカの研究、科学技術は依然として優位であり、またアメリカがくしゃみをすればフランスは風邪を引くと述べている[5]。またパスカル・リシェも、アメリカは資本だけでなく移民も頭脳も芸術も引き寄せていると指摘している[6]。その他、工業を重視しすぎる、ロシアの回復を楽観視しすぎる、などの批判がある[3]

日本では翌年に出版された[1]全国紙では、毎日新聞養老孟司[7]日本経済新聞山内昌之[8]読売新聞白石隆[9]産経新聞で越智道雄が[10]、それぞれ高く評価した。

この他、井尻千男[11]西部邁[12]濱下武志[13]武者小路公秀[14]ら、著名な論者が高い評価を与えた。

日本では、本書が中国に言及していないという批判がある。しかしトッドはそもそも中国を発展途上国と考えており、主要な役者とは見なさなかった[15]

脚注[編集]

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  1. ^ a b トッド 2003.
  2. ^ Todd, Emmanuel; 藤原良雄 (2004), “『帝国以後』その後”, (東京: 藤原書店) 16: 4-11, ISBN 4-89434-371-1 
  3. ^ a b c 石崎晴己 (2003), “訳者解題”, 帝国以後 アメリカ・システムの崩壊, 東京: 藤原書店, ISBN 4-89434-332-0 
  4. ^ Todd, Emmanuel (2004), “目標を失ったアメリカ”, (東京: 藤原書店) 18: 38-50, ISBN 4-89434-399-1 
  5. ^ Duhamel, Alain (2004), “アメリカ合衆国 —エマニュエル・トッド、常識への反逆”, (東京: 藤原書店) 18: 250-251, ISBN 4-89434-399-1 
  6. ^ Riché, Pascal (2004), “アメリカ商会の転落”, (東京: 藤原書店) 18: 253-255, ISBN 4-89434-399-1 
  7. ^ 養老孟司 (2004), “乱暴な仮説が導く明快な世界像”, (東京: 藤原書店) 18: 282-283, ISBN 4-89434-399-1 
  8. ^ 山内昌之 (2004), “米国の世界支配の衰退予言”, (東京: 藤原書店) 18: 283-284, ISBN 4-89434-399-1 
  9. ^ 白石隆 (2004), “弱いのはむしろ米国?”, (東京: 藤原書店) 18: 285-286, ISBN 4-89434-399-1 
  10. ^ 越智道雄 (2004), “アメリカ外交の“謎”に迫る”, (東京: 藤原書店) 18: 286-287, ISBN 4-89434-399-1 
  11. ^ 井尻千男 (2004), “グローバリズムへの徹底抗戦”, (東京: 藤原書店) 18: 134-137, ISBN 4-89434-399-1 
  12. ^ 西部邁 (2004), “アメリカ批判から保守的英知へ”, (東京: 藤原書店) 18: 146-150, ISBN 4-89434-399-1 
  13. ^ 濱下武志 (2004), “ヨーロッパ地政圏とアジア地域システム”, (東京: 藤原書店) 18: 150-154, ISBN 4-89434-399-1 
  14. ^ 武者小路公秀 (2004), “アメリカ・システムの興隆・崩壊の同時性について”, (東京: 藤原書店) 18: 158-162, ISBN 4-89434-399-1 
  15. ^ Todd, Emmanuel; 榊原英資; 小倉和夫 (2004), “『帝国以後』と日本の選択”, (東京: 藤原書店) 18: 52-109, ISBN 4-89434-399-1 

参考文献[編集]

  • エマニュエル・トッド 『帝国以後 アメリカ・システムの崩壊』 石崎晴己訳、藤原書店、2003年4月ISBN 978-4-89434-332-0

関連項目[編集]

外部リンク[編集]