已灌頂

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

已灌頂(いかんじょう)は、密教の僧侶に与えられる地位。本来は伝法灌頂の伝授を終えた者に与えられていたが、後には天皇の勅命によって開かれる結縁灌頂において印明秘印真言)などの伝授を行う小灌頂阿闍梨を務めた阿闍梨の称号となった。南都六宗における已講に相当する。

院政期には延暦寺(惣持院)・尊勝寺東寺仁和寺(観音院)において勅命による法会、すなわち勅会による結縁灌頂が行われるようになったが、その際に三密のうちの2つである院明を行った者に対して与えられた。この地位を2年務めれば、権律師に任ぜられることになっていた。

参考文献[編集]

  • 田村圓澄「已灌頂」(『国史大辞典 1』(吉川弘文館、1979年) ISBN 978-4-642-00501-2
  • 中野栄夫「已灌頂」(『平安時代史事典』(角川書店、1994年) ISBN 978-4-04-031700-7
  • 上川通夫「已灌頂」(『日本歴史大事典 1』(小学館、2000年) ISBN 978-4-095-23001-6