川崎良孝

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川崎 良孝(かわさき よしたか、1949年11月29日 - )は、日本図書館学者・図書館情報学者。学位は、博士(教育学)京都大学)。京都大学大学院教育学研究科教授を経て、同大学名誉教授。日本図書館研究会理事長・日本図書館情報学会理事を歴任。また、中国の「図書館雑誌」や国際図書館連盟 (IFLA) の「IFLA Journal 」の編集委員を務める。兵庫県神戸市在住[1]。主にアメリカの公立図書館に関して研究している。

研究[編集]

以下の4つの研究を行っている[2]

*アメリカ公立図書館の歴史的展開に関する実証的研究
  • アメリカ公立図書館の本質を探るという観点からの黒人マイノリティへのサービスの歴史的、思想的研究
  • 表現の自由と図書館の関係についての、事例研究などによる図書館思想の理論化
  • 公立図書館とインターネットや有料制などの研究についての基礎的研究

経歴[編集]

  • 1949年 - 大阪府大阪市生まれ
  • 1968年 - 大阪府立北野高等学校卒業
  • 1974年
    • 3月 - 京都大学教育学部卒業
    • 4月 - 京都大学大学院教育学研究科修士課程入学
  • 1977年4月 - 京都大学大学院教育学研究科博士課程入学
  • 1981年
  • 1984年4月 - 椙山女学園大学短期大学部助教授
  • 1985年 - 『Sidney Ditzionと図書館史研究:"The Anglo-American Library Scene"を中心として』で、第14回日本図書館学会研究奨励賞受賞[3]
  • 1991年4月 - 椙山女学園大学短期大学部教授
  • 1992年 - 『アメリカ公立図書館成立思想史』で、第21回日本図書館情報学会賞受賞[4]
  • 1995年4月 - 京都大学教育学部助教授
  • 1998年4月 - 京都大学大学院教育学研究科教授
  • 2015年4月 - 京都大学大学院教育学研究科を定年退官、名誉教授
  • 2019年 - 博士(教育学)(京都大学)[5][6]

なお、2007年度には京都大学教育学部の学部長を務めた[7]

著作[編集]

  • 『図書館の歴史(アメリカ編)』(日本図書館協会,1989年)[8]
  • 『アメリカ公立図書館成立思想史』(日本図書館協会,1991年)
  • 『図書館の自由とは何か―アメリカの事例と実践』(教育史料出版会,1996年)
  • 『大学生と「情報の活用」―情報探索入門』 長尾真共著(京都大学図書館情報学研究会,1999年)
  • 『ボストン市立図書館は、いかにして生まれたか―原典で読む公立図書館成立期の思想と実践』(京都大学図書館情報学研究会,1999年)
  • 『図書館・インターネット・知的自由―アメリカ公立図書館の思想と実践』 高鍬裕樹共著(京都大学図書館情報学研究会,2000年)
  • 『21世紀の図書館を考える―中国・日本・アメリカ』[9]呉建中塩見昇共著(京都大学図書館情報学研究会,2001年)
  • 『公教育と図書館の結びつき―ホーレス・マンと学校区図書館』(京都大学図書館情報学研究会,2002年)
  • 『図書館裁判を考える―アメリカ公立図書館の基本的性格』(京都大学図書館情報学研究会,2002年)
  • 『技量の継続的向上を求めて―図書館員の研修に関する国際動向』 吉田右子共著(京都大学図書館情報学研究会,2004年)
  • 『アメリカ公立図書館・人種隔離・アメリカ図書館協会―理念と現実との確執』(京都大学図書館情報学研究会,2006年)
  • 『知る自由の保障と図書館』 塩見昇共著(京都大学図書館情報学研究会,2006年)
  • 『図書館利用者と知的自由―管轄領域、方針、事件、歴史』 高鍬裕樹共著(日本図書館協会,2011年)
  • 『新たな図書館・図書館史研究―批判的図書館史研究を中心にして』 吉田右子共著(京都図書館情報学研究会,2011年)
  • 『図書館員と知的自由―管轄領域、方針、事件、歴史』(京都図書館情報学研究会,2011年)

翻訳[編集]

  • イギリス教育科学省『図書館サービスの拡大を求めて―イギリス公立図書館とアウトリーチ・サービス』(図書館問題研究会愛知支部,1983年)
  • ジェシー・H・シェラ『パブリック・ライブラリーの成立』(日本図書館協会,1988年)
  • アメリカ図書館協会知的自由部『図書館の原則―図書館における知的自由マニュアル(第3版)』川崎佳代子共訳(日本図書館協会,1991年)
  • ヘンリー・ライヒマン『学校図書館の検閲と選択―アメリカにおける事例と解決方法』(青木書店,1993年)
  • シドニー・ディツィオン『民主主義と図書館』(日本図書館研究会,1994年)
  • アメリカ図書館協会知的自由部『図書館の原則―図書館における知的自由マニュアル(第5版)』川崎佳代子共訳(日本図書館協会,1997年)
  • ルイーズ・S・ロビンズ『検閲とアメリカの図書館―知的自由を擁護するアメリカ図書館協会の闘い』(日本図書館研究会,1998年)
  • ウォルター・ホワイトヒル『ボストン市立図書館100年史―栄光,挫折,再生』(日本図書館協会,1999年)
  • ウェイン・A.ウィーガンド『『図書館の権利宣言』を論じる』薬師院はるみ共訳(京都大学図書館情報学研究会,2000年)
  • バーバラ・M.ジョーンズ『図書館・アクセス・知的自由―公立図書館と大学図書館の方針作成』村上加代子共訳(京都大学図書館情報学研究会,2000年)
  • ロバート・S・ペック『図書館・表現の自由・サイバースペース―知っておくべき知識』前田稔共訳(日本図書館協会,2002年)
  • ヘンリー・ライヒマン『学校図書館の検閲と選択―アメリカにおける事例と解決方法(第3版)』川崎佳代子共訳(京都大学図書館情報学研究会,2002年)
  • アメリカ図書館協会知的自由部『図書館の原則―図書館における知的自由マニュアル(第6版)』川崎佳代子、村上加代子共訳(日本図書館協会,2003年)
  • イーヴリン・ゲラー『アメリカ公立図書館で禁じられた図書―1876‐1939年、文化変容の研究』吉田右子共訳(京都大学図書館研究会,2003年)
  • トニ・セイメック『図書館の目的をめぐる路線論争―アメリカ図書館界における知的自由と社会的責任:1967-1974年』坂上未希共訳(京都大学図書館情報学研究会,2003年)
  • ウェイン・A.ウィーガンド『手に負えない改革者―メルヴィル・デューイの生涯』村上加代子共訳(京都大学図書館情報学研究会,2004年)
  • マイケル・F・ウィンター『技量の統制と文化―司書職の社会学的理解に向けて』(京都大学図書館情報学研究会,2005年)
  • メアリー・リー・バンディ、フレデリック・J・スティロー共編『アメリカ図書館界と積極的活動主義―1962-1973年』村上加代子、森田千幸共訳(京都大学図書館情報学研究会,2005年)
  • アビゲイル・A・ヴァンスリック『すべての人に無料の図書館―カーネギー図書館とアメリカ文化1890-1920年』吉田右子、佐橋恭子共訳(京都大学図書館情報学研究会,2005年)
  • バーバラ・T・メイツ『高齢者への図書館サービスガイド―55歳以上図書館利用者へのプログラム作成とサービス』高島涼子金智鉉共訳(京都大学図書館情報学研究会,2006年)
  • 王漢棟王萍魏家雨共編『調査研究サービスの理論と実際―上海図書館・科学技術研究所の経験』桜井待子徐瑛共訳(京都大学図書館情報学研究会,2006年)
  • ウェイン・A.ウィーガンド『司書職の出現と政治―アメリカ図書館協会1876ー1917年』(京都大学図書館情報学研究会,2007年)
  • 呉建中『21世紀の図書館―世界のなかの中国の図書館』(京都大学図書館情報学研究会,2007年)
  • アメリカ図書館協会知的自由部『図書館の原則―図書館における知的自由マニュアル(第7版)』(日本図書館協会,2007年)
  • ダグラス・レイバー『司書職と正当性―公立図書館調査』(京都大学図書館情報学研究会,2007年)
  • ジョン・E・ブッシュマングロリア・J・レッキー共編『場としての図書館―歴史、コミュニティ、文化』(京都大学図書館情報学研究会,2008年)
  • エド・デーンジェロ『公立図書館の玄関に怪獣がいる―ポストモダンの消費資本主義は、どのようにして民主主義、市民教育、公益を脅かしているのか』(京都大学図書館情報学研究会,2009年)
  • キャサリン・シェルドリック・ロス『読書と読者―読書、図書館、コミュニティについての研究成果』川崎佳代子共訳(京都大学図書館情報学研究会,2010年)
  • ジョージ・ボビンスキー『図書館と図書館職―挑戦と変革の60年、1945‐2005年』田口瑛子共訳(京都大学図書館情報学研究会,2010年)
  • バーバラ・M・ジョーンズ『大学図書館で知的自由を擁護する―現場からのシナリオ』(日本図書館協会,2010年)
  • パット・R・スケールズ『学校図書館で知的自由を擁護する―現場からのシナリオ』(京都図書館情報学研究会,2010年)
  • アメリカ図書館協会知的自由部『図書館の原則―図書館における知的自由マニュアル(第8版)』(日本図書館協会,2011年)
  • ジーン・L・プリアー『図書館倫理―サービス・アクセス・関心の対立・秘密性』(京都図書館情報学研究会,2011年)
  • 『ボストン市立図書館とJ.ウィンザーの時代―1868ー1877年』久野和子川崎智子共訳(京都図書館情報学研究会,2012年)
  • ウェイン・A.ウィーガンド『メインストリートの公立図書館―コミュニティの場・読書のスペース・1876ー1956』(京都図書館情報学研究会,2012年)
  • ジューン・ピネル・スティーブンズ『公立図書館で知的自由を擁護する―現場からのシナリオ』(京都図書館情報学研究会,2012年)
  • 呉建中『上海の図書館と社会―1840ー1949年』(京都図書館情報学研究会,2013年)
  • ウェイン・ビヴェンズ・テイタム『図書館と啓蒙主義』川崎佳代子共訳(京都図書館情報学研究会,2013年)
  • 呉建中『普遍的な図書館:移行と超越』(京都図書館情報学研究会,2013年)
  • アリソン・ルイス編『図書館と中立性』(京都図書館情報学研究会,2013年)
  • ジェーン・ジェラード『図書館と民営化』(京都図書館情報学研究会,2013年)
  • ジョージ・ボビンスキー『カーネギー図書館:歴史と影響』川崎智子共訳(京都図書館情報学研究会,2014年)
  • ローズマリー・R・ドゥモント『改革の反応:アメリカの生活における大都市公立図書館』久野和子共訳(京都図書館情報学研究会,2014年)

編纂[編集]

  • 『秘密性とプライヴァシー―アメリカ図書館協会の方針』(京都図書館情報学研究会,2012年)
  • 『図書館と知的自由―管轄領域、方針、事件、歴史』(京都図書館情報学研究会,2013年)

出典・脚注[編集]

外部リンク[編集]