川崎老人ホーム連続殺人事件

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川崎老人ホーム連続殺人事件
場所 日本の旗 日本神奈川県川崎市幸区幸町2丁目632番地1
有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」
座標
標的 施設入所中の高齢者
日付 2014年平成26年)
11月4日(87歳男性)[1][2]
12月9日(86歳女性)[1][2]
12月31日(96歳女性)[1][2] (UTC+9)
概要 事件発生当時、いずれも施設職員だった男Iが当直だった日に、入所者3人が相次いで転落死した。
攻撃側人数 1人
死亡者 施設入所者3人
犯人 男I(逮捕当時23歳、元施設職員)
対処 逮捕起訴
刑事訴訟 公判中
管轄 神奈川県警察幸警察署横浜地方検察庁
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川崎老人ホーム連続殺人事件(かわさきろうじんホームれんぞくさつじんじけん)とは、2014年(平成26年)11月から同年12月にかけ、神奈川県川崎市幸区幸町2丁目の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で発生し、2016年(平成26年)2月、施設元職員の男I(逮捕当時23歳)が逮捕された、連続殺人事件。

概要[編集]

2014年11月から12月にかけて川崎市の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」にて相次いで入居者3人が転落死し、初動捜査では変死として処理されたものの殺人事件の可能性が疑われていた。2016年2月16日、神奈川県警はこの件に関わった元職員の男(逮捕当時23歳)を殺人容疑で逮捕した[3]。元職員は2015年5月に同老人ホームで繰り返し窃盗を行った容疑で逮捕され、懲役2年6カ月・執行猶予4年の判決を受けていた[1]

経過[編集]

  • 2014年
    • 5月 - 元職員Iが、事件が起きた老人ホームで働き始める[2]
    • 11月4日 - 要介護3の入居者(87歳・男性)が敷地の裏庭で転落死しているのが見つかった[1][2]
    • 12月9日 - 要介護2の入居者(86歳・女性)が敷地の裏庭で転落死しているのが見つかった[1][2]
    • 12月31日 - 要介護3の入居者(96歳・女性)が敷地の裏庭で転落死しているのが見つかった[1][2]
  • 2015年
    • 5月21日 - Iが、入所者の財布を盗んだとして、窃盗容疑で逮捕された[2]
    • 9月24日 - Iが、窃盗罪で懲役2年6ヶ月・執行猶予4年の有罪判決を受けた[2]
    • 9月 - 事件が発覚。Iは、毎日新聞などの取材に「家族が亡くなったのがきっかけで、お見送りをやりたいと思い、介護業界を選んだ。やりがいは感謝の言葉をかけてもらえること」などと語り、事件への関与を否定した[4]
    • 12月11日 - 別の元職員3人が入居者に暴行を加えたとして暴行容疑で書類送検され、後に1人が在宅起訴、残る2人が不起訴(理由は不明)となった[2][5]
    • 12月21日 - 川崎市が施設からの介護報酬の請求を3ヶ月間停止させる行政処分を行った[2]
  • 2016年
    • 1月下旬 - ここから数回にわたり、神奈川県警察幸警察署がIを事情聴取した[6]
    • 2月15日 - Iが殺害を認める供述をしたため、神奈川県警が殺人容疑で逮捕した。供述の中には犯人しか知り得ない情報があったという[6][2]
    • 2月16日 - Iが、2014年11月4日に当時87歳の入居者男性を殺害した疑いで逮捕された[4]
    • 3月4日 - Iが、2014年12月9日に当時86歳の入居者女性を殺害した容疑で再逮捕された[7]。同日、横浜地方検察庁により、1件目についての殺人罪で、横浜地方裁判所起訴された[8][9]
    • 3月5日 - 神奈川県警幸署捜査本部の捜査により、86歳女性が転落死した際、女性の部屋の個室ベランダに、パイプ椅子があったことが判明した[10]
    • 3月25日 - Iが、2014年12月31日に当時96歳の入居者女性を殺害した容疑で再逮捕された[11]。同日、2件目についての殺人罪で、横浜地検から追起訴された[12]
    • 4月15日 - 横浜地検が、3件目についての殺人罪で、Iを追起訴し、捜査が終結した[13]

刑事裁判[編集]

2017年11月6日、横浜地方裁判所渡辺英敬裁判長)で、公判前整理手続が開かれ、裁判員裁判の初公判期日が、2018年1月23日に指定された[14]

Iは逮捕直後、3人の殺害を自白していたが、公判前整理手続では一転して、事件当時について「記憶していない」と説明し、さらに「記憶はあるが、やっていない」と、説明が二転三転した[15]弁護人は「自白の内容は信用できない」と主張しており、逮捕直後の自白の信用性が、公判における最大の争点となる見通しである[15]

第一審(横浜地裁・裁判員裁判)[編集]

2018年1月23日、横浜地方裁判所渡辺英敬裁判長)にて、裁判員裁判による、刑事裁判の初公判が開かれた[16][17][18]

冒頭陳述で、検察側は「3件の事件時、当直勤務に入っていたのは、いずれも被告人Iのみであり、I以外が犯人である可能性は極めて低い」とした上で[15]、元職員が殺害を認めた取り調べの様子について「録音・録画もしており、信用性がある。本事件は、職員への信頼を利用し、非力な高齢者を狙った連続殺人事件だ」と主張した[19]

一方、被告人の元職員Iは、「起訴状記載の時間帯に施設にいたことについては記憶はあるが、何もやっていません」として、起訴内容を否認した[16]。これに加え、弁護人は、「事件性・被告人の犯人性、責任能力を争う」、「被告人は事件当時、健忘症の症状があることから、当時の記憶がない」などとして、無罪を主張した[17]

初公判以降、計23回の審理を予定し、医師や施設関係者らの証人尋問など、証拠調べを行った上で、同年3月中に判決が言い渡される見通しである[16]

動機[編集]

動機について、Iは「様々な感情があった」と述べ[20]、転落死した当時87歳の入居者について「手がかかる人だった」と述べた。また、「介護の仕事にストレスがたまっていた」という趣旨の供述もしたことから、神奈川県警察は介護のストレスから犯行に及んだとみている。そして、Iは「申し訳なかった」と反省の言葉を口にした[21]

被疑者・被告人Iについて[編集]

逮捕された元職員Iについて、知人は「優しいやつ」と語る一方、「虚勢を張る面もあった」と語った[2]

警察の対応について[編集]

被害者司法解剖が行われず、初動捜査が遅れた[2]

対策[編集]

川崎市は事件を受けて、老人ホームの管理監督を担当する部署の人員を、2016年4月から4人増やすなどして、施設への監査や指導の体制を強化していく考えを示した[22]

出典[編集]

※出典の記事名・見出し中に、被告人の実名が含まれる場合、その箇所を被告人のイニシャル「I」に置き換えている。
  1. ^ a b c d e f g “川崎・老人ホーム 87歳転落死、元職員を殺人容疑で逮捕”. 毎日新聞. (2016年2月16日1時15分). オリジナル2016年2月15日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160215175535/http://mainichi.jp/articles/20160216/k00/00m/040/135000c 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n “川崎・入所者殺害 「優しいやつ」なぜ… I容疑者、虚勢張る面も”. 毎日新聞. (2016年2月17日朝刊). http://mainichi.jp/articles/20160217/ddm/041/040/181000c 2016年2月18日閲覧。 [リンク切れ]
  3. ^ “川崎老人ホーム転落死 元職員を殺人容疑で逮捕”. 産経新聞. (2016年2月16日). http://www.sankei.com/affairs/news/160216/afr1602160005-n1.html 
  4. ^ a b “川崎・老人ホーム3人転落死 I容疑者「感謝の言葉がやりがい」 逮捕前、関与否定”. 毎日新聞. (2016年2月16日夕刊). オリジナル2016年2月19日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160219010626/http://mainichi.jp/articles/20160216/dde/041/040/041000c 2016年2月16日閲覧。 
  5. ^ “暴行罪で元職員を在宅起訴 川崎・老人ホーム転落死”. 神奈川新聞. (2016年2月13日2時). オリジナル2018年1月14日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20180114143051/http://www.kanaloco.jp/article/152214 2018年1月14日閲覧。 
  6. ^ a b “老人ホーム転落死 元職員逮捕の決め手は…”. 日テレNEWS24. (2016年2月16日18時32分). オリジナル2016年2月18日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20160218044719/http://www.news24.jp/articles/2016/02/16/07322565.html 2016年2月18日閲覧。 
  7. ^ 川崎老人ホーム転落死、施設元職員を再逮捕 2人目の殺人容疑”. 日本経済新聞 (2016年3月5日). 2016年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月5日閲覧。
  8. ^ “【川崎老人ホーム転落死】元職員を2件目の転落死で再逮捕「黙秘します」”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2016年3月4日). オリジナル2018年1月14日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180114144133/http://www.sankei.com/affairs/news/160304/afr1603040026-n1.html 2018年1月14日閲覧。 
  9. ^ “【川崎老人ホーム転落死】87歳男性への殺人罪で元職員を起訴”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2016年3月4日). オリジナル2018年1月14日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20180114144543/http://www.sankei.com/affairs/news/160304/afr1603040020-n1.html 2018年1月14日閲覧。 
  10. ^ “【川崎老人ホーム転落死】偽装工作? 被害者死亡時、ベランダにパイプ椅子”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2016年3月5日). オリジナル2018年1月14日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180114144047/http://www.sankei.com/affairs/news/160305/afr1603050048-n1.html 2018年1月14日閲覧。 
  11. ^ 別の女性殺害容疑で元職員を再逮捕 川崎・老人ホーム”. 朝日新聞デジタル (2016年3月25日). 2018年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月27日閲覧。
  12. ^ “【川崎老人ホーム転落死】3人目殺害容疑で3度目の逮捕”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2016年3月25日). オリジナル2018年1月14日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180114143804/http://www.sankei.com/affairs/news/160325/afr1603250025-n1.html 2018年1月14日閲覧。 
  13. ^ “川崎老人ホーム転落死、3回目起訴 県警「捜査は尽くした」”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2016年4月16日). オリジナル2018年1月14日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180114144646/http://www.sankei.com/region/news/160416/rgn1604160015-n1.html 2018年1月14日閲覧。 
  14. ^ “川崎老人ホーム転落死:初公判を18年1月23日に”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2017年11月6日). オリジナル2018年1月14日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180114143721/https://mainichi.jp/articles/20171107/k00/00m/040/049000c 2018年1月14日閲覧。 
  15. ^ a b c “老人ホーム3人転落死、被告「何もやってない」”. 読売新聞(ライブドアニュース) (読売新聞社). (2018年1月23日). オリジナル2018年1月23日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20180123125949/http://news.livedoor.com/article/detail/14196425/ 2018年1月23日閲覧。 
  16. ^ a b c “川崎老人ホーム突き落とし初公判 被告の元職員「何もやっていない」”. 産経新聞 (産業経済新聞社): pp. 1. (2018年1月23日). オリジナル2018年1月23日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20180123130030/http://www.sankei.com/affairs/news/180123/afr1801230009-n1.html 2018年1月23日閲覧。 
  17. ^ a b “川崎老人ホーム突き落とし初公判 被告の元職員「何もやっていない」”. 産経新聞 (産業経済新聞社): pp. 2. (2018年1月23日). オリジナル2018年1月23日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20180123130039/http://www.sankei.com/affairs/news/180123/afr1801230009-n2.html 2018年1月23日閲覧。 
  18. ^ 古田寛也 (2018年1月23日). “元職員、初公判で無罪主張 川崎老人ホームの3人転落死”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). オリジナル2018年1月23日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20180123131008/https://www.asahi.com/articles/ASL1Q6F8VL1QULOB03L.html 2018年1月23日閲覧。 
  19. ^ “「何もやっていません」老人ホーム転落死裁判 被告は無罪主張”. NHKニュース (日本放送協会). (2018年1月23日). オリジナル2018年1月23日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180123131445/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180123/k10011298701000.html 2018年1月23日閲覧。 
  20. ^ “逮捕の元職員 動機について「さまざまな感情あった」”. NHK. (2016年2月16日18時9分). オリジナル2016年2月16日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20160216115301/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160216/k10010411481000.html 2016年2月16日閲覧。 
  21. ^ “殺害された入居者「手がかかる人」、介護のストレスから犯行か”. TBS News i. (2016年2月17日11時13分). オリジナル2016年2月18日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20160218050116/http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2704995.html 2016年2月18日閲覧。 
  22. ^ “老人ホーム元職員逮捕 川崎市が監査指導体制強化へ”. NHK. (2016年2月16日15時43分). オリジナル2016年2月16日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/20160216130100/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160216/k10010411241000.html 2016年2月16日閲覧。 

関連項目[編集]