チネチッタ (川崎市)

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チネチッタ
CINECITTA'
地図
地図
情報
正式名称 チネチッタ
完成 1987年
開館 1987年7月25日
収容人員 (12館合計)2,964人
設備 ドルビーデジタル(7.1ch)、DTSTHXシアター
用途 映画上映
運営 株式会社チネチッタ
所在地 210-0023
神奈川県川崎市川崎区小川町4-1
ラ チッタデッラ
位置 北緯35度31分41秒 東経139度41分52.7秒 / 北緯35.52806度 東経139.697972度 / 35.52806; 139.697972 (チネチッタ)座標: 北緯35度31分41秒 東経139度41分52.7秒 / 北緯35.52806度 東経139.697972度 / 35.52806; 139.697972 (チネチッタ)
最寄駅 JR京急川崎駅
最寄バス停 川崎駅#バス路線参照
外部リンク http://cinecitta.co.jp/
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ハロウィン用装飾、ライトアップ

チネチッタ(CINECITTA')は、神奈川県川崎市川崎区小川町にあるシネマコンプレックス、及び同館を運営する株式会社チネチッタのことである。イタリアの首都・ローマにある同名の映画撮影所から命名。イタリア語の原義は映画都市

概要[編集]

チネチッタを運営する株式会社チネチッタの親会社である株式会社チッタエンタテイメントの歴史は長く、1922年(大正11年)に東京日暮里で創業している[1]。創業当時の社名は美須興行、創業者は美須鐄(チッタエンタテイメントの代表取締役美須孝子の祖父にあたる)。のちにカワサキ・ミスと改称[2]。チネチッタは1936年頃に川崎映画街の最初の映画館として『川崎銀星座』を開業した[1]。その後、1939年までの間に川崎に同系列の映画館が6館開業し映画館街を形成した。第二次世界大戦中に空襲によりほぼ全ての映画館を焼失したが、戦後は川崎銀星座を手始めに映画館街を再建するとともに同一地区内にボウリング場なども建設し[1]、かつて松竹蒲田撮影所があった蒲田に同一資本が開設した映画館街とともに、それぞれミスタウン(美須の町)と呼ばれていた[注 1]

1987年に、これまで別個の建物だった複数の映画館を1つに収容したビルを建設。同年7月25日にチネチッタと改称して再オープン[3]。現在のシネマコンプレックスに近いものとなった[4]。チネチッタが開館した直後からそう呼ばれていたわけではないが、株式会社チッタエンタテイメントの公式サイトでは「日本初のシネマコンプレックス」としている[1][注 2]

イタリアサン・ジミニャーノにあるヒルタウン

その後、関東地方では同様の施設が増加したため、対抗するためにボウリング場、旧クラブチッタ等を閉鎖し改築を開始。2002年11月にチネグランデを除き施設の改築を完了し、ラ チッタデッラ (LA CITTADELLA:イタリア語で) と改称して新装オープンした。翌年9月に、元の映画館が収容されていた建物は物販、サービス店舗が入居する建物への転用工事が完了する。

2019年現在のラ チッタデッラは、12スクリーンの映画館チネチッタと各種店舗を擁するマッジョーレ (MAGGIORE) 、店舗のみが入居するビバーチェ (VIVACE) 、ライブホールのクラブチッタ (CLUB CITTA') 、フットサルコートのアレーナチッタ(Arena CITTA’)などで構成されている。

なお、川崎には他のシネマコンプレックスが進出しており、2003年9月12日川崎DICEの開業と同時にTOHOシネマズ川崎(9スクリーン、全1,902席)が、2006年9月28日にはラゾーナ川崎プラザの開業と同時に109シネマズ川崎(10スクリーン、全1,957席)がオープンした。それにも関わらず、チネチッタは年間動員数、興業収入で、2003年2004年2005年2006年の4年連続全国第1位となった[4]。また2002年11月の新装開店から2011年1月のチネグランデ閉鎖までの間、総座席数が国内最多(13スクリーン、全3,808席)であり、映画館ビルとしても有楽町マリオン(7スクリーン、全4,534席)に次ぐ第2位だった。

全国1位の興行収入を記録する映画館であるために東京・大阪の映画館以外では珍しく舞台挨拶などのチネチッタ独自のイベントが催されることが多い。

上映スタイル[編集]

LIVEZOUND[編集]

クラブチッタ監修の元、CINE8に導入された音響システム。独d&b audiotechnik社製ラインアレイスピーカー、サブウーファーを導入し、音響効果の向上を図る。

2016年9月17日より稼働開始。こけら落としとなった作品は、「君の名は。」及び「シン・ゴジラ」。

2017年1月14日にサラウンドスピーカーをd&b audiotechnik社製のものに一新。それ以前はJBL製のものを使用していた。

2017年1月25日に「3つのタクティクス」を発表。音楽の調和を重視する「ハーモニクス」、迫力を重視する「ハードコア」、調和と迫力を両立する「ハイブリッド」の3種類に分類することになった。

2017年5月16日より、7.1ch上映が可能となった。

LIVEサウンド[編集]

常設舞台にサブウーファーを増設することで、ライブハウスのような迫力を目指したもの。LIVEZOUNDと同じく、クラブチッタが監修を行っている。

2016年9月6日までは、CINE8で実施していたが、LIVEZOUND導入のため終了した。

2016年10月7日より、CINE12にて実施している。

スクリーン[編集]

マッジョーレ (MAGGIORE) 内のスクリーン[編集]

マッジョーレ (MAGGIORE) 内には12のスクリーンがあり、劇場出入口はチネ1~チネ7が2階、チネ8~チネ12が4階にある。チケットはマッジョーレ1階の窓口で購入する。

2017年5月16日より、全スクリーンがデジタル5.1chからデジタル7.1chにアップグレードされた。

各スクリーンの規模及び設備等の詳細は次のとおり。[5]

チネ1 (CINE1)[編集]

  • スクリーン寸法:7.7m×4.1m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:107席

チネ2 (CINE2)[編集]

  • スクリーン寸法:8m×4.3m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:129席

チネ3 (CINE3)[編集]

  • スクリーン寸法:9.1m×3.8m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:138席

チネ4 (CINE4)[編集]

  • スクリーン寸法:10.4m×4.3m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:290席

チネ5 (CINE5)[編集]

  • スクリーン寸法:11.6m×4.9m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:284席

チネ6 (CINE6)[編集]

  • スクリーン寸法:10.8m×4.5m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:244席
  • その他設備:3D上映対応

チネ7 (CINE7)[編集]

  • スクリーン寸法:10.8m×4.5m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:244席
  • その他設備:3D上映対応

チネ8 (CINE8)[編集]

  • スクリーン寸法:15.4m×6.3m
  • 音響設備:デジタル7.1CH(LIVEZOUND)
  • 定員数:532席
  • その他設備:4K上映対応、常設舞台あり
  • 過去にはTHX認定シアターであった

チネ9 (CINE9)[編集]

  • スクリーン寸法:9.4m×5.1m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:154席

チネ10 (CINE10)[編集]

  • スクリーン寸法:10.9m×4.5m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:191席

チネ11 (CINE11)[編集]

  • スクリーン寸法:16.3m×6.6m
  • 音響設備:デジタル7.1CH
  • 定員数:407席

チネ12 (CINE12)[編集]

  • スクリーン寸法:15.7m×6.5m
  • 音響設備:デジタル7.1CH(LIVEサウンド)
  • 定員数:488席
  • その他設備:4K上映対応、常設舞台あり

別館のスクリーン[編集]

マッジョーレとは別の建物に存在したスクリーン。

チネグランデ (CINE GRANDE)[編集]

2011年1月10日を以って閉鎖された。入口にあったチケット売場ではチネグランデで上映される映画のチケットのみ購入でき、映画の日、年末年始、夏休みなど繁忙期のみ使用された。2003年頃には25階建のマンションへ建て替える計画があったが[2]、実現していない。2011年4月には解体され、現在はフットサルのコート及びクラブハウス、隣接するカフェとなっている。

  • スクリーン寸法:14.8m×6.4m
  • 音響設備:SRD-EX/SRD/DTS
  • 定員数:844席
  • その他設備:常設舞台あり

詳しくはこちらを参照

チネBE (CINE BE)[編集]

かつてチネBEがあったアトレ川崎(2012年9月撮影)

川崎駅ビルである川崎BE(現在のアトレ川崎)にかつて存在していたスクリーン。駅と直結した環境にあるため利用者は多かった。しかし2003年ごろに現在の体制が完成したことにより営業終了。階段の踊り場に入り口が設けられていた。

付随設備・施設[編集]

映画館に付随する設備及び施設は次のとおり。ここでは、チネチッタが直接運営又は管理するものをとりあげている。

チケット売場
マッジョーレ1階にある。チネチッタの全劇場のチケットを購入できる。座席はすべて指定席(完全入れ替え制)で、窓口のスタッフに座席の希望を言える。前寄り、中程、後ろ寄り、通路寄り、列番号などおおまかな指定も可能であるし、他の観客にすでに指定されていなければ具体的に座席番号を指定することもできる。
チネット自動発券機
マッジョーレの1階のロビーにある(8台)。CINE-T (チネット) と呼ばれるサービスを利用してインターネットで事前購入(予約)したチケットを発券する装置。予約番号を入力するとチケット売場で渡されるチケットと同様のものが発券される。
売店
各種ドリンクビールポップコーンホットドッグ菓子類など映画館では定番の飲食物を販売する[6]。焼きたてのパン・クロワッサンなどのオリジナルメニューもある。2階入場口横と、2階・4階場内ロビーの3箇所にある。ただし、場内ロビーの売店は、時間帯によっては閉店していることがあり、その際は入場口横の売店を利用するようアナウンスされる。
チネチッタグッズショップ
各種映画のパンフレット、キャラクターグッズ、前売券、ポスターポストカード、DVD、CDなどを販売する。マッジョーレ2階にある。

サービス[編集]

チネチッタが提供するサービスは次のとおり。

チネクラブ(CINE CLUB)[編集]

2018年3月13日のシステム改変を以て導入された、チネカード・ちねっ子倶楽部Pカードに代わる会員サービス。 年会費は無料。カードの発行時に500円を要する。以下のような特典がある。

  • 有料鑑賞1回ごとに10ポイントが付与される。ポイントの有効期限は最終有料鑑賞日から1年間で、それを過ぎると失効する。
  • 50ポイントで無料鑑賞クーポン(紙ではなくデータ形式)と交換できる。無料クーポンの有効期限は交換から60日。

更に、チネチッタHPから本登録を行った場合、

  • 有料鑑賞時のポイント付与が自動的に行われる。
  • チネチッタHPから無料鑑賞クーポンの引換を行って、インターネット予約で利用することができる。
  • 一部の例外を除き、発券前の予約をキャンセルすることができる。
  • チネクラブ会員ページから鑑賞履歴を閲覧することができる。
  • スマートフォンのチネクラブ会員ページから、チネクラブカード裏面にある会員QRコードを表示することができる。

といった特典が追加される。

チネット(CINE-T)[編集]

インターネットで事前にチケットを購入できるサービス[7]。決済完了後に発行される予約番号を現地に設置されている発券機に入力することで入場チケットを得ることができ、チケット売場に並ぶ必要がない。 また、インターネットチケット購入確認メールのURLから表示できるQRコードを発券機の読み取り機にかざすことで、予約番号などの入力なしに即座に発券することができる。 チネクラブ本会員の場合は、チネクラブカード裏面にある会員QRコードを発券機の読み取り機にかざすことで画面に当日の予約の一覧が表示され、一覧から選択して即座に発券することができる。

映画半券サービス[編集]

映画を鑑賞したチケットの半券を利用してラ・チッタデッラにある各種店舗で優待を受けられるサービス。映画を鑑賞する前でも利用できる。

チネピット(駐車場)[編集]

チネチッタが提供する駐車場。立体駐車場が1つ、平面駐車場が2つある。

チケット売り場またはチネチッタグッズショップで映画の半券と駐車券を提示すると、駐車料金が1作品あたり3時間無料となる。

  • チネピット (CINEPIT) (立体)
    収容台数:320台
  • チネピット (CINEPIT) (平面)
    収容台数:25台
  • チネピット (CINEPIT2) (平面)
    収容台数:40台

駐輪場[編集]

チネチッタ裏手にある有料駐輪場。チケット売り場またはチネチッタグッズショップで映画の半券と駐車券を提示すると、駐輪料金が1作品あたり3時間無料となる。

ラ・チッタデッラ・シンフォニー[編集]

マッジョーレ入口前にある噴水によるショー。円形に配置された無数にある噴出口から最大で高さ数mに水を吹き出し、名作映画のテーマ曲と色とりどりの照明とともに多彩な水の演技を見せる。毎正時と毎時30分ごろに実施され、実演数分前になると日本語英語で予告が放送される。強風で噴水の水が大きく飛び散る場合は実演を見送ることがあるが、通常時も実演前に「風で水が飛び散ることがある」という注意が放送される。噴水は平面的で仕切りも凹凸もなく、普段水が張られていることもないため、噴水の直上を即席のステージにしてライブなどを上演することもある。

かつて存在したサービス[編集]

チネカード・ちねっ子倶楽部Pカード[編集]

チネカード」は、高校生以上を対象としたチネチッタのポイントカードである。映画を1本鑑賞するたびに1ポイントたまり、5ポイントごとに招待券と引き換えることができる。招待券を使うと、チネチッタで上映中の全ての映画(特別興行を除く)から1本を無料で見ることができる。なお、カードの有効期限は最初にポイントを獲得した日から1年間で、招待券への引き換えは1年1ヶ月以内であれば可能である。引き換えた招待券の有効期限は約1ヶ月間である。

ちねっ子倶楽部Pカード」は、中学生以下を対象としたポイントカードである。映画を1本鑑賞するたびに1ポイントたまり、3ポイントごとにドリンクかポップコーンのSサイズに引き換えできる。また、全てのプレゼントを引き換えるとゴールドメンバーズカードに切り替わり、3ポイントごとにドリンクかポップコーンのMサイズに引き換えできる。さらに、全てのプレゼントを引き換えるとプラチナメンバーズカードに切り替わり、3ポイントごとにシングルコンボとお好きなパンフレット1冊に引き換えできる。なお、有効期限は最初にポイントを獲得した日から1年間である。

以上のサービスは2018年3月で終了し、以降は「チネクラブ」に移行している。 チネクラブはチネカード同様に5回観賞で1回無料、有効期間は最終観賞日から1年間。年会費は無料だがカード発行時に500円かかる(再発行時も同様)。チネカード、ちねっ子倶楽部Pカードからのポイント引き継ぎは2018年8月31日まで。

飲食店[編集]

ラ チッタデッラを参照

関連施設[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 蒲田ミスタウンは川崎のラ チッタデッラ同様に単一の建物に収容され、現在は「アスレチッタ蒲田」ビルとなっている。
  2. ^ シネマコンプレックスという言葉は1980年代中盤から一部では使用されているが、現在とは異なり単純に複数のスクリーンを持つ映画館を指して使われていた。現在はマルチプレックスと同義で使われることが多いが法的定義はないため、「日本初」を自称する映画館がいくつか存在する。詳細はシネマコンプレックスの項を参照のこと。

出典[編集]

  1. ^ a b c d ラ チッタデッラのヒストリー”. LA CITTADELLA公式ウェブサイト. チッタエンタテイメント. 2007年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月1日閲覧。
  2. ^ a b 株式会社カワサキ・ミス”. 川崎元気企業紹介 (2002年). 2008年5月6日閲覧。
  3. ^ 「日伊映画人迎え前夜祭 チネチッタきょう開館」『神奈川新聞朝刊』神奈川新聞社、1987年7月25日、18面。2019年8月26日閲覧。
  4. ^ a b 百瀬伸夫 (2012年10月15日). “大規模商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」に挑む「ラ チッタデッラ」(小さな街)の戦略”. 日経メッセ. 日本経済新聞社. 2015年12月1日閲覧。
  5. ^ チネチッタ 施設案内”. CINECITTA'公式ウェブサイト. チッタエンタテイメント. 2017年1月23日閲覧。
  6. ^ チネチッタ 売店 フード&ドリンク”. CINECITTA'公式ウェブサイト. チッタエンタテイメント. 2017年1月23日閲覧。
  7. ^ チネチッタ【川崎】 - インターネット購入”. LA CITTADELLA公式ウェブサイト. チッタエンタテイメント. 2008年5月1日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]