山科川

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山科川
新六地蔵橋から撮影した山科川
水系 一級水系 淀川
種別 一級河川
水源 高塚山京都市伏見区
河口・合流先 宇治川
流路 京都府
流域 京都府
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山科川(やましながわ)は、京都府を流れる淀川水系淀川(宇治川)の支流で一級河川

地理[編集]

京都市伏見区醍醐陀羅谷の高塚山東麓に源を発し北流、ほどなく山科区に入りしばらくは山中を蛇行して流れる。山科盆地を西へ名神高速道路新奈良街道をくぐり、大塚小学校・音羽中学校の北側を西に進み五条バイパスを経て音羽川小学校の南を抜けて地下鉄東西線東野駅の北側で京都外環状線を超えて西本願寺山科別院から南西に向きを変え、五条バイパス東海道新幹線との交差部北側で「四宮川」と合流、南側で「安祥寺川」を合流し山科中学校の西側を南下、新十条通と椥辻橋で交差して山科区の中央部を南へ流れ、名神高速道の北側・勧修中学校の西で「旧安祥寺川」と合流、合流点の北側一帯が「勧修寺公園」として整備されている。名神高速道をくぐると「勧修寺観測所」が整備され水位を24時間観測している。そして再び伏見区に入り地下鉄東西線石田駅の西側で一級河川「合場川」と合流したのち石田小学校石田水環境保全センター(下水処理場)」の西側を進み、そこからは山科川が京都市伏見区小栗栖と宇治市六地蔵との境界線となる。京都外環状線の新六地蔵橋からとらえた写真の向かって右側の「六地蔵病院」は宇治市で、左側奥のショッピングセンターは京都市伏見区桃山町山ノ下になる。そして川の中央奥に見える白い建物が平成25年台風第18号で人為ミスから停止して小栗栖団地に内水氾濫を起こした排水ポンプ場。新六地蔵橋の下流側には2020年5月現在複線化工事中の奈良線の鉄橋・六地蔵橋・京阪宇治線六地蔵駅をくぐり、東側に「東宇治浄化センター(京都府の下水処理場)」「木幡池(支流の「堂の川」はこの池へ流れる)」の排水機場を見て、西に向きを変えて伏見区内を京阪宇治線の南側を並行するように流れ、桃山南口駅の西側伏見区桃山与五郎町と桃山町伊賀の境で一級河川宇治川に合流する。

支流[編集]

  • 四宮川 山科の北東部大津市との境界、藤尾・小金塚から山科区四宮を抜け音羽から外環状線を超えて東野へ山階小学校の東南で山科川へ合流する。
  • 安祥寺川 山科駅の北側毘沙門堂の北側から流れ京都府立洛東高等学校の東で琵琶湖疎水をアンダーパスして安朱小学校の西側を南下、安朱山田で西に振り、山科駅の北側を西へ進んで東海道本線京阪京津線の下をくぐり旧三条通(東海道)・三条通(府道四ノ宮四ツ塚線)・渋谷街道を一直線に南下、なお渋谷街道と今屋敷橋の間は東側に並行している市道の道幅が狭く、近隣には市立安祥寺中学校・地元資本のスーパーマーケットやDIYショップ・服飾量販店が有るため、京都府と京都市が協調して川の上の東側に幅2mの歩道が覆っている。そして市道と別れ山階小学校の西側を通過して五条バイパス東海道新幹線をくぐったところで山科川に合流する。なお合流部から南側へ2020年現在京都府の河川改修事業として護岸補強工事が行われている、東側は2019年度に完成、2020年度は西側の補強工事予定。
  • 旧安祥寺川 天智天皇陵付近から南下、三条通を超えて東海道線をくぐったところで一度西へ、ここには2019年3月京都市が浸水対策の貯水トンネルを造られた。そして南下して西野小学校の南で五条バイパス・新幹線をくぐり西野と川田の境界線となり竹田川を合流して西南へ、西野山中臣町で西野山川を合流して新十条通を超えて東南に向きを変えて勧修寺金ケ崎町で「水位観測所」をへて醍醐道(京都府道118号勧修寺今熊野線)をくぐり勧修寺公園の南、名神高速道路の北側で山科川に合流する。
    • 竹田川 旧安祥寺川の東を流れる支流で西野岸ノ下で西にクランクして南下、五条バイパス東海道新幹線を超えて西野大鳥居町の民間住宅団地の中を抜けて西に振り、東野竹田で旧安祥寺川に合流。過去・2000年、2005年に豪雨による浸水被害が発生したため2012年度から京都市土木部が五条バイパスの南から旧安祥寺川との合流部にかけて河川改修工事をしている。
    • 西野山川本川 東海道新幹線東山トンネル横の変電所付近から南へ清水焼団地の中を通り新大石道を南東へ百々小学校の中を南へ抜けて市道沿いに東へ花山稲荷神社の西で南へ向きを変えて、西野山川支川を合流して旧安祥寺川へそそぐ。2020年現在・京都市河川整備課が「百々小学校から南へ、支川への抜けるバイパス地下水路」を建設中。併せて支川との合流部から旧安祥寺川の合流部までの護岸工事中。
    • 西野山川支川 西野山川本川からバイパス水路の排水口が造られるため新大石道から本川合流部までの護岸工事が実施されている。
【ここまでの参考文献 『京都市広報 市民しんぶん 山科区版 第295号 令和2年7月15日号4面「山科区の治水対策を紹介します」』】
  • 高川 小野から西に流れている
  • 天田川 小野小町ゆかりの随心院の南を西へ流れ山科川へそそぐ。
  • 大日川 大岩街道の南、山科区大日より東に流れ山科川へ。
  • 万千代川 醍醐寺の境内南端から西へ流れ、池田ポンプ場の西で山科川に合流する。
  • 柳戸川 日野から醍醐南市営団地の南を回り、外環状線を超えて大受団地の北側で山科川へそそぐ。
  • 合場川 日野から西北へ奈良街道と新奈良街道の合流交差点付近で西へ外環状線と日野道との交差点の北側「大受団地」を抜けて日野道をくぐり、石田小学校の北西で山科川に合流する。
  • 堂の川 宇治市須留集会所付近から西へ東宇治高校の南側を北西に向い木幡で西に向きを変えて府道7号京都宇治線、JR奈良線・京阪宇治線を経て木幡池へ。そこから山科川へそそぐ。

歴史[編集]

山科川が現在のように京都市伏見区桃山与五郎町と桃山町伊賀の境で宇治川に合流するようにされたのは昭和になってからで、それまでは豊臣秀吉の宇治川と巨椋池の分離を図り槇島堤が造られた結果、対岸の六地蔵・木幡周辺は旧水域が拡大して木幡池をはじめ西ガ池・奈良町池などの沼や湿地が広がる排水不良地で、山科川も木幡池に流れていた。 その結果1917年(大正6年)9月‐10月の「大正大洪水」で被災、これを受けて大規模な河川改修が行われたが1934年(昭和9年)9月の室戸台風・その翌年の6月と8月の京都大水害・1953年(昭和28年)9月の台風13号・1959年(昭和34年)8月13日の豪雨・1961年(昭和36年)9月の第2室戸台風・1965年(昭和40年)9月の台風24号などでは溢れた宇治川からの逆流や盆地特有の低地に水が集中して木幡池は溢れ醍醐石田から六地蔵地区・宇治川合流部にかけて浸水する水害多発地帯であったが、1953年の南山城水害と13号台風の被害受けての水害対策「淀川水系改修基本計画」で天ヶ瀬ダムの建設と宇治川・山科川の堤防建設と強化、京阪電鉄六地蔵駅の堤防上への移設、排水ポンプ場の設置などようやく水害対策が完了した[1]

 しかし、特別警報の発令された2013年(平成25年)9月の台風18号では、支流の安祥寺川が越流して京阪京津線から市営地下鉄東西線への乗り入れ口から推計15600トンの水が流れ込み御陵駅が浸水して3日間東西線が不通になり[2]。下流の小栗栖団地では排水ポンプが停止して内水氾濫が発生、最大2m浸水で250件以上の家屋と約270台の駐車車両が水に浸かった[3]

脚注[編集]

  1. ^ 水害に関する参考文献・植村善博著「京都の治水と昭和の大水害(文理閣)」第4章「宇治川と宇治市の水害」・京阪電気鉄道開業100周年記念誌『京阪百年のあゆみ』84頁「淀川の決壊」・165-166頁「台風禍と水害禍」・231頁「台風13号の被害」
  2. ^ 出典・京都新聞2017年6月27日9面「こころに刻む『地下鉄御陵駅浸水』」
  3. ^ 出典・京都新聞2013年9月22日朝刊26面「ポンプ停止、被害拡大」

参考文献[編集]

植村善博著「京都の治水と昭和の大水害」(文理閣)2011年4月10日発行 ISBN978-4-89259-652-0
京阪電気鉄道開業100周年記念誌「京阪百年のあゆみ」京阪電気鉄道 2011年3月24日発行