コンテンツにスキップ

ヤマネコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
山猫から転送)
ヤマネコ
ツシマヤマネコ(アムールヤマネコ)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 食肉目 Carnivora
亜目 : ネコ亜目 Feliformia
: ネコ科 Felidae
亜科-亜種

ネコ亜科 Felinae

ヤマネコ(山猫)は、ネコ目(食肉目)ネコ科に属す小型動物を指す便宜的な呼称である。また通常は野生(すなわち家畜化を経ない)のものを指す。

分類上の和名は、ネコ属ヨーロッパヤマネコリビアヤマネコ)、ベンガルヤマネコ属、オオヤマネコ属Catopuma属(ボルネオヤマネコ)がこの名を持つ。

日本では、

野生のネコ類

[編集]

小型のネコ類(広義のヤマネコ)

[編集]

広義の「ヤマネコ」は、野生のネコ科動物のうち、小型のもの全般を指す(分類群についてはネコ科を参照)。この中には、ボルネオヤマネコのように「〜ヤマネコ」という形の標準和名をもつものも、スナドリネコのように標準和名では特にヤマネコと呼ばれないものも含まれる。

イエネコ(いわゆるネコ)は後述するように、としてはヨーロッパヤマネコに含まれるが、家畜種であるため、慣用的には「ヤマネコ」と呼ばれることはない。

小動物(ネズミなど)主食とする種が多い。ただし、魚類も好むようになった種も見られる。

中型のネコ類

[編集]

中型のネコ類のうち大型のもの(順にピューマユキヒョウウンピョウ)を、ヤマネコの仲間に含めるかどうかは意見が分かれる。

これらを除く中型のネコ類については、現生種のネコ亜科 Felinaeのすべての動物(加えてヒョウ類の近縁種とされることがあるマーブルドキャット)が広義の「ヤマネコ」類というグループを構成しているとの意見がある(イエネコを除く)。

大型のネコ類

[編集]

大型のネコ類(現生種ではライオントラヒョウジャガーチーター)は、ヤマネコと呼ばれることはない。

日本のヤマネコ

[編集]

日本に生息する(広義の)現生のヤマネコ類は対馬ツシマヤマネコ西表島イリオモテヤマネコの2種のみである(本州からもヤマネコ類と思わしき化石は出土している[1])。ツシマヤマネコとイリオモテヤマネコの分類的な位置づけには諸説があるが、最近は南〜東南アジアに分布するベンガルヤマネコ Prionailurus bengalensis(または Felis bengalensis)の亜種として位置づけられることが多い。

かつては、一般に「山猫」と言えば後述するように野猫を指す場合が多かったが、それを除けばツシマヤマネコのことであった。「ヤマネコ」がツシマヤマネコの和名として用いられることもあった。

「野猫」と「山猫」

[編集]

野生化したイエネコである「野猫(ノネコ)」は、広義であっても「ヤマネコ」には含められない。ただし、日本では対馬と西表島を除く大部分の地域にはヤマネコが生息しないこともあって、伝統的に、山野に住むイエネコ、すなわち野猫が、「山猫(やまねこ)」とも呼ばれてきた。近世までの文献に当たるときは、特に注意を要する。

なお、英語の"wildcat"や中国語の"野猫"は主にヤマネコを指し、野生化したイエネコはそれぞれ"stray cat"や"野生猫"と表現される。また、中国語の"山猫"はオオヤマネコ属のみを指す。

その他

[編集]

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ 春成秀爾[研究ノート] 『直良信夫コレクション目録』の訂正ほか」『国立歴史民俗博物館研究報告』第206巻、国立歴史民俗博物館、2017年3月、103-110頁、doi:10.15024/00002336ISSN 0286-7400 
  2. ^ 今井卯木 『川柳江戸砂子』 西濃印刷會社岐阜出版部、1912年1月。2016年5月15日閲覧。
  3. ^ 宮武外骨変態知識』 半狂堂、1924年。2016年5月15日閲覧。
  4. ^ 山猫スト”. goo国語辞書. 小学館デジタル大辞泉. 2017年8月7日閲覧。

参考文献

[編集]

外部リンク

[編集]