山寨

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山寨
各種表記
繁体字 山寨
簡体字 山寨
拼音 shānzhài
発音: シャンツァイ
英文 shanzhai
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山寨(さんさい、shānzhài)とは、中国語で、「山賊のすみか」という本来の意味をもつ言葉だが、そこから転じて「模倣、ニセモノ、ゲリラ」などを指す、どちらかと言えば否定的な言葉であった[1]。しかし、近年では、「反主流の文化の代表」という肯定的な意味でも使われるようになった言葉である[1]

「山寨」の背景[編集]

中国資本主義の第一の特徴は、様々なレベルで自由主義市場経済を上回るような激しい市場競争が存在することである[2]。先進資本主義国においても、激しい市場競争はシステムにビルトインされており、この点では中国と何ら変わるところがない[2]。中国の特徴は、ルールなき、あるいはルールが曖昧な環境のもとで激烈な競争が展開されていることである[2]。その典型的な事例を携帯電話産業にみることができる[2]

「山寨携帯」[編集]

中国の携帯電話市場は、ノキアやモトローラといった外資企業が、長年市場をほぼ独占してきた[1]。2000年代初頭、政府の後押しを受けた大手民族系企業が外資企業から市場を奪うかのように見えた時期もあったが、薄型化、多機能化など携帯電話の急激な技術革新についてゆけずに、今日ではそれらの民族系企業は軒並み赤字を計上している。ところが、赤字の民族系企業を尻目に「非正規」の携帯電話産業いわゆる「山寨携帯」と呼ばれる模造携帯電話産業が急成長を遂げた[1]。この「山寨携帯」には、いくつかの類型があり、<1>知的所有権の侵害にあたる完全コピー品すなわち外装のみブランド品を使い、内部は安物の部品を使った粗悪品、<2>消費者がブランド品と見間違うことを期待した模倣品、たとえば某ブランドをまねた『SCNY』、『ERIOSSCN』など、<3>独自のブランドを持つ新興メーカー製品、例えば「深セン金立」、「北京天宇朗通」など、まで幅広い携帯が含まれる[1]。生産工程は極限まで細分化され、それぞれの生産工程でルールなしの激しい生存競争が繰り広げられた結果、ある種のイノベーションが生まれ「山寨携帯」は、一部の粗悪品を別にして低価格だが品質は高く、中国国内はもとより東南アジア、中東、アフリカなど世界各地で販売されるようになった[1]。2007年には1億5000万台の「山寨携帯」が生産され、その半分弱の7000万台が輸出されたという[1]

『HiPhone』登場[編集]

iphone』のコピー商品である『HiPhone』も登場した[3]。『iPhone4』の場合、アップル社が発売する前に模造品が市場に登場したので、「本当に『iPhone4』の模造品か」と、ネット上で話題になった[3]。「iphone」の大半は中国で生産されていたため、製造工場の一部から設計図や部品が流出したことが原因と言われている。「Hiphone」は、その名が示すとおり、完全な模造品ではないと主張し、ひとまず差別化を図っている[3]。本来の「iphone」は安くても5万円程度であるが、「Hiphone」はその10分の1の値段で売られている[4]。中にはSIMカードを2枚挿入して、2台分の携帯電話として使えるという、本来の「iphone」にはない機能を備えたものもあるといわれる[4]

模造品市場の現状[編集]

携帯電話に限らず、中国の市場には模造品が数多く出回っている[3]。高級ファッションのみならず、若者や子供向けのファッションにも及ぶ。外国映画のDVDなど、1枚100円から200円程度で売られており、本国での公開より早く店頭に並んでいることもある[3]。外国ブランドの模造品のみならず、「茅台酒」のように中国ブランドの模造品もある[3]北京地下鉄1号線の永安里駅の北側には、「秀水市場」という高級ファッション・ブランドの模造品を売る店が多く集まる有名観光スポットがある[4]。年間1500万人が訪れ、その90パーセントが外国人である。中国に数多くある模造品市場を代表する場所といえる[4]

増える知的財産権紛争[編集]

このような模造品天国ともいえる中国の状況は、必然的に数多くの知的財産権紛争を生み出している[4]最高人民法院の報告によると、2011年に全国の法院が受理した知的財産関係の民事紛争は6万件近くあった[5]。その半数以上が全体の60パーセントを占める[5]。その他商標関係が22パーセント、特許関係が13パーセントとなっている[5]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g 加藤(2013年)19ページ
  2. ^ a b c d 加藤(2013年)18ページ
  3. ^ a b c d e f 田中(2013年)10ページ
  4. ^ a b c d e 田中(2013年)11ページ
  5. ^ a b c 田中(2013年)12ページ

参考文献[編集]

  • 加藤弘之・渡邉真理子・大橋英夫著『21世紀の中国 経済編 国家資本主義の光と影』(2013年)朝日新聞出版社(第1章「経済システムとしての国家資本主義」、執筆担当;加藤弘之)
  • 田中信行著『はじめての中国法』(2013年)有斐閣

関連項目[編集]