至誠館大学

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至誠館大学
大学設置 1999年
創立 1967年
学校種別 私立
設置者 学校法人萩至誠館
本部所在地 山口県萩市椿東浦田5000
キャンパス 本部(山口県萩市)
東京サテライト(東京都墨田区
学部 ライフデザイン学部
研究科 (未設置)
ウェブサイト 至誠館大学公式サイト
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至誠館大学(しせいかんだいがく、英語: Shiseikan Hall University)は、山口県萩市椿東浦田5000に本部を置く日本私立大学である。1999年に設置された。

概観[編集]

大学全体[編集]

正門(「萩国際大学」時代の門標)

もともとは島根県益田市で四年制私立大学設置計画が進み、1995年(平成7年)に萩女子短期大学を経営する学校法人萩学園(権堂義幸理事長)と益田市(渋谷義人市長)の間に協定書が締結された[1]ことに始まる。しかし、この計画に対して反対運動が起こり、益田市長選で反対派候補が当選したため、益田市はそれまで17億円を投入していたものの、大学設置は中止となった[2]。萩学園はこの後1997年(平成9年)に、萩女子短期大学を四年制に改組し1999年開学する構想を打ち出し、文部省に大学設置許可申請した。益田市で拒否された大学新設を萩市で行うことに疑問視する声も多かったが、権堂理事長が北九州で経営する複数の高等学校から生徒を送り込むということで、萩市(野村興児市長)は開学を決定[3]。萩市議会は平成9年6月11日議案第53号の議決で総事業費64億5,600万円のうち40億円の補助を決定したが、そのうち20億円は山口県からの借入であった。

1999年(平成11年)に国際情報学部を有する萩国際大学(はぎこくさいだいがく、英語Hagi International University)として開学(萩女子短期大学は2000年に廃止)。しかし、開学当初から入学者数が低迷。苦しい経営を打開するために2004年に陶芸文化コースやゴルフ文化コースなど、他大学にはないコースを設けたり、2001年より中国などから留学生を積極的に誘致するなどした。しかし、当初から留学生が入国できない事態が起こり、さらに留学生に失踪不法就労旅券偽造、万引きなどの逮捕者が相次ぎ、広島入国管理局が中国人留学生127人に対し在留資格認定証明書を交付しないことを決定した。定員割れが続いたことから売却に積極的な姿勢に転じた権堂義幸理事長は萩市側と対立し、2003年(平成15年)に辞任。開校事業費の自らの持ち出し分の返還請求訴訟を学校法人に対して起こした[4]。2003年の理事長選出を巡っては野村萩市長が地元商工会議所会頭の就任要請をする際に経済的負担をかけないとする密約文書を交わした(その後自ら破棄)ことが 2006年市民団体に告発されたが、2008年山口地検は不起訴処分とした[5]2004年、元留学生の中国人が東京都武蔵野市で現金約4200万円強奪事件に関与したとして強盗致傷容疑で全国指名手配[6]2005年には教職員の解雇や定員を3分の1にするなどして経営の立て直しを図り、石見空港ゴルフクラブ田万川コースを買収したが、同年に約37億円の負債を抱えて、民事再生法の適用を申請した[7]

四年制大学を設置する学校法人としての民事再生法適用申請は、東北文化学園大学についで2例目であるが、定員割れが原因の申請は全国初であった。2005年度の1年次生は定員300人のところ、22人のみだった。2006年度の1年次生はわずか3人と前年を更に下回った[8]

2007年度より民事再生計画に基づき福祉に重点を置いた学部学科への再編を実施。国際情報学部を廃止し、同時に日本福祉文化大学に改称予定だったが[9]、類似名称である日本福祉大学からの抗議もあって、山口福祉文化大学に改称となった。東京と広島にサテライト教室を開設し留学生を受け入れる等、一連の再編の結果、2008年度の入学者数は例年を大きく上回り[10]2009年度には前身の萩国際大学開学以来初めて、入学者が定員を上回った[11]

しかしながら、2005年から経営支援を行っていた塩見ホールディングスの筆頭株主であった株式会社SFCGの急激な経営悪化も手伝い経営再建は順調にはいかず、2012年4月に大口債権者が萩学園の破産手続開始の申立てを行っていたことが判明し、その対抗措置として同年6月、再び民事再生法の適用を申請した[12]。なお、2013年時点で萩市は借入れした大学開校事業費を毎年1億円ずつ返済している。[13]

2012年5月時点では、萩市の本校に171人、東京都墨田区のサテライト教室に606人、広島サテライト教室に43人の学生が在籍。このうち東京サテライト教室は606人のうち605人が留学生であり、中国人学生が9割を占めていた[14]。 不法就労の受け皿になるとして入国管理局が調査したところ、2011年以降、長期欠席や授業料未納などを理由に110人の留学生が除籍され、そのうち70人が帰国せず行方不明であった[15]。同教室は文部科学省の定める校舎の要件を満たさないとして、改善を指導された。2014年留学生対策として、大阪入国管理局の元局長を客員教授に招いている。[16]

建学の精神[編集]

建学の精神として「至誠通天の心を持って、人類の平和と豊かな社会に貢献できる人間の育成」を掲げている。 「至誠」とは萩出身の幕末の思想家吉田松陰が座右の銘とした言葉である。 また、「教育目標」として「人類の平和と豊かな社会の創造に貢献できる人間を育成する。芸術とスポーツを通じて人間教育と専門教育を行い、知・徳・体のバランスのとれた人間を育成する。」ということを掲げている。

教育内容[編集]

萩国際大学時代には、維新学、陶芸文化、観光経営など、萩の地域性を活かしたコースが存在した。また、ゴルフに関連する文化を専門的に学ぶコースを設置していたのは、当時の日本の大学では萩国際大学のみであった。山口福祉文化大学への校名変更に伴い、学部・学科が全面的に再編され、社会福祉に重点を置く形に変更された。

山口県萩市以外にも、東京都墨田区にサテライト教室が設置されている。授業形態は萩本校、東京のいずれかで行われる講義を衛星回線を使って他の教室に同時送信している。これにより目の前に講師がいなくとも異なる教室でも講義を受けることができる。また、学生はマイクを通じて講師に質問をするなどのやり取りをすることができる。山口福祉文化大学では、講師がいない教室で講義を開講することをメディア授業と呼んでいた。

沿革[編集]

年表[編集]

出典は『平成25年度事業報告書』(2014年9月24日閲覧)より

  • 1960年 萩高等計理学校設立
  • 1965年 学校法人萩学園設立(1月23日)
  • 1966年 萩高等計理学校を萩女子専門学校に校名変更
  • 1967年 萩女子短期大学開学(国文科、家政科)
  • 1968年
    • 萩女子短期大学国文科に司書課程開設
    • 萩女子専門学校の学生募集停止
  • 1969年
    • 萩女子短期大学家政科を家政専攻と食物栄養専攻に分離
    • 萩女子短期大学家政科食物栄養専攻が栄養士養成施設として認定される
  • 1979年 萩女子短期大学国文科に秘書士養成施設認定
  • 1988年 萩女子短期大学の国文科を国文学科に、家政科を生活学科に学科名変更
  • 1999年 萩国際大学開学(国際情報学部国際学科、経営情報学科)。萩女子短期大学は学生募集停止
  • 2000年 萩女子短期大学廃止
  • 2004年
    • 萩国際大学国際情報学部の国際学科に維新学コース、萩陶芸文化コース、ゴルフ文化コースを、経営情報学科に観光経営コースを増設
    • 8月10日 山口大学経済学部名誉教授の安部一成が学校法人萩学園の新理事長になり、山口大学との連携について言及[17]
  • 2005年
    • 1月 ゴルフ文化コースの実習場確保を兼ねて、石見空港ゴルフクラブ田万川コースを買収し、萩・石見カントリー倶楽部萩国際大学コースに改称[18]
    • 6月 学校法人萩学園、東京地方裁判所へ民事再生法適用を申請。建築総合コンサルタント会社の塩見ホールディングス(広島市東区)が再建支援を表明[19]
    • 8月 学校法人萩学園理事長に株式会社塩見ホールディングス企業再生部部長の村本章治を選任[20]
    • 萩国際大学国際情報学部経営情報学科の平成18年度学生募集を停止
  • 2006年 3月 東京地方裁判所、学校法人萩学園の民事再生手続終結決定[21]
  • 2007年
    • 大学名を山口福祉文化大学と改称
    • 国際情報学部国際学科の学生募集停止
    • ライフデザイン学部ライフデザイン学科を開設
    • ライフデザイン学部が厚生労働省指定保育士養成施設の認可
    • 松下村塾開塾150年記念イベントが行われる[22]
  • 2008年 4月 東京サテライト教室、広島サテライト教室を設置
  • 2009年
    • ライフデザイン学科にビジネス文化領域を増設
    • 塩見ホールディングスの経営難に伴い同社単独での経営支援が困難となり、NACグループが共同支援を表明[11]。学校法人萩学園理事長にNACホールディングス社長の武曾徹が選任される[23]
  • 2010年
    • 国際情報学部在学生の卒業により、同学部を廃止
    • 第2東京サテライト教室を開設(賃貸契約による)
  • 2011年 ライフデザイン学科福祉心理領域の学生募集停止
  • 2012年
    • ライフデザイン学科の領域を専攻制(子ども生活学、スポーツ健康福祉、建築システム、ビジネス文化専攻)に改める
    • 6月 学校法人萩学園、山口地方裁判所へ民事再生法適用を申請。学校法人こおりやま東都学園が経営支援を引き受け、同法人理事長の亀井郁夫が萩学園理事長に選任される[24]
    • 9月 除籍された大量の留学生が帰国せず行方不明であることが発覚、入国管理局から異例の指導を受ける。また受け入れている学生の大半が東京サテライト教室で就学しており、実質的にサテライトとして名乗ってはいるものの大学の主たる校地としての位置づけとなっており、大学設置基準に違反している恐れがあることから文部科学省から査察指導を受ける
  • 2013年
    • 学校法人こおりやま東都学園が支援から撤退し、学校法人菅原学園が支援を表明
    • 建築システム専攻は平成26年度入学者をもって学生募集停止
    • 広島サテライト教室を平成26年度から廃止することを決定
  • 2014年
    • 大学名を至誠館大学と改称
    • 設置法人名を学校法人萩至誠館に改称
    • 菅原一博理事長、古賀大三学長
  • 2015年
  • 2016年 前身の山口福祉文化大学時代の債権額27億880万円に対し、6,115万円を弁済する民事再生手続きの終結が山口地裁にて決定する[26]
  • 2017年
    • 萩本校23名入学。東京サテライト教室では新入生は全員が留学生でベトナム163人、中国58人など9カ国から合計285人[27]
    • 奨学金の延滞率が高い大学ランキングで延滞率13.9%、全国一位となる。[28]

基礎データ[編集]

所在地[編集]

以上のほかに 広島サテライト教室(広島県広島市西区天満町6-5)があったが、廃止された。 東京サテライト教室第2は東京都台東区寿2丁目1−13 偕楽ビルディング寿2Fから2015年移転。

教育および研究[編集]

組織[編集]

学部[編集]

  • ライフデザイン学部
    • ライフデザイン学科
      • 子ども生活学専攻
      • スポーツ健康福祉専攻
      • ビジネス文化専攻

過去に設置していた領域・専攻[編集]

  • 福祉心理領域
  • 建築システム専攻(2012年度入学生から2014年度入学生まで)

2011年度入学生まで受け入れていた領域

  • 福祉環境デザイン領域
  • 健康スポーツ領域
  • 子ども生活学領域
  • ビジネス文化領域


施設[編集]

萩本校(本部キャンパス)[編集]

  • 使用学部:ライフデザイン学部
  • 使用研究科:なし
  • 使用附属施設:図書館、情報教育センター
  • 交通アクセス:JR山陰本線東萩駅
地図

東京サテライト教室[編集]

  • 使用学部:ライフデザイン学部
  • 使用研究科:なし
  • 使用附属施設:なし
  • 交通アクセス:都営浅草線浅草駅など
地図

東京サテライト教室第2[編集]

  • 使用学部:ライフデザイン学部
  • 使用研究科:なし
  • 使用附属施設:なし
  • 交通アクセス:JR山手線池袋駅など

脚注[編集]

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  1. ^ 益田地区ふるさと市町村国情報誌きらぼしセブン 1995年秋冬5号
  2. ^ 萩市議会議事録 平成17年 9月定例会-09月08日-03号P.66
  3. ^ 萩市議会議事録平成17年9月定例会-09月08日-03号P.66
  4. ^ 萩市議会議事録平成17年6月定例会-06月22日-08号
  5. ^ 公文書破棄 萩学園理事長選出で 市長を容疑で書類送検へ 山口県警 2008.01.01西部朝刊31頁 社会面 毎日新聞
  6. ^ 除籍・退学1年で82人 萩国際大 学費未納・所在不明 大半が留学生? 2004.05.22 中国朝刊 ワイドやまぐち
  7. ^ やまぐちの断面 萩国際大、地元密着の人材育成へ『読売新聞』山口版2005年6月
  8. ^ 教育ルネサンス 大学再編 大学再生(3) 遠隔授業で人材集める『読売新聞』2007年2月1日
  9. ^ 萩国際大学についての一部マスコミの報道について株式会社塩見ホールディングス 2006年4月11日記者発表資料
  10. ^ 旺文社大学受験パスナビ山口福祉文化大学
  11. ^ a b 山口福祉文化大:新理事長に武曽氏『毎日新聞』2009年4月3日西部朝刊
  12. ^ 山口福祉文化大学 運営2度目となる民事再生法の適用申請 学校法人萩学園民事再生法の適用を申請 負債41億円 帝国データバンク大型倒産速報 2012年6月1日
  13. ^ 萩市議会議録 平成25年9月定例会 09月11日05号p.162
  14. ^ 都内サテライトに留学生605人、文科省が指導 読売新聞 2012年9月4日
  15. ^ 読売新聞 2012年9月14日
  16. ^ 教育2014 大学を再建せよ!至誠館大「東京で稼ぐ」を加速2014.07.04 朝日新聞
  17. ^ 安部一成新理事長は山口大学の学部が萩国際大学キャンパスに移転するという計画について、朝日新聞のインタビューに対して「山大の連携に当たっては萩国大大学側の窓口になるよう、山大側から強いプッシュがあった。今年度内に詰めたい」と発言。また、山口新聞のインタビューに対しては「山大では将来、観光学部の構想もあると聞いている。そうなれば学科の一つを萩に持ってくることも可能。観光という要素は大きな可能性をもっている」と述べた。
  18. ^ 石見空港GC田万川C(山口県)を萩国際大学が買収『ゴルフ特信』一季出版 2005年1月21日。
  19. ^ 再生支援意向表明に関するお知らせ株式会社塩見ホールディングス 2005年6月21日記者発表資料
  20. ^ 学校法人萩学園新理事長選任についてのお知らせ株式会社塩見ホールディングス 2005年8月2日記者発表資料
  21. ^ 学校法人 萩学園民事再生手続終結決定について株式会社塩見ホールディングス 2006年3月14日記者発表資料
  22. ^ 萩市役所総務部広報課「松下村塾開塾150年記念――平成萩塾、萩・維新塾が開塾」『松下村塾開塾150年記念 平成萩塾、萩・維新塾が開塾』萩市役所、2007年9月7日
  23. ^ 新理事長に武曾氏 山口福祉文化大運営法人萩学園『山口新聞』2009年4月3日
  24. ^ 山口福祉文化大、民事再生手続き 大学は存続『朝日新聞』2012年6月2日
  25. ^ 経験生かし至誠館大学再建へ 新年度から学長の原田氏会見 山口新聞2015.1.27
  26. ^ 至誠館再生手続き終結/山口県 2016.01.22 西部地方版/山口 29頁 朝日新聞 
  27. ^ 入学式23人が新生活への決意誓う 2017年4月6日『毎日新聞』地方版
  28. ^ 「奨学金の延滞率が高い大学」ランキング 2017/4/20『東洋経済オンライン』

公式サイト[編集]

座標: 北緯34度25分51.6秒 東経131度25分18.1秒