小雨坊

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小雨坊、鳥山石燕今昔百鬼拾遺

小雨坊(こさめぼう)は、鳥山石燕による江戸時代の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にある日本の妖怪。

雨の降る中に立つ僧侶のすがたで描かれている。石燕によると、「小雨坊は 雨そぼふる夜、大みねかつらぎの山中に徘徊して 斎料(ときりやう)をこふとなん」とあり、雨の夜に修験道の霊山・大峰山葛城山に現れては、斎料(ときりょう。僧侶に対する布施)乞うという情報が読み取れるが、詳細は不明[1]

昭和平成の妖怪関連の文献では、旅人から(アワ)[2]あるいは少量の食物や小銭[3]をねだる妖怪として小雨坊が解説されていることがある。山田野理夫の著書『東北怪談の旅』では、寛文11年(1671年)に雨の降る津軽街道の山中で、小雨坊なる者が旅人に粟をねだったという話[4]が紹介されている。粟をねだる行動はこの話にある小雨坊の行動を引用したものであり、津軽地方のものとして紹介されているこの小雨坊と石燕の描いた小雨坊とは無関係であると考えられている[5]

脚注・出典[編集]

  1. ^ 稲田, 篤信、田中, 直日 編『鳥山石燕 画図百鬼夜行』国書刊行会、1992年、216頁。ISBN 978-4-336-03386-4 
  2. ^ 水木しげる図説 日本妖怪大全講談社講談社+α文庫〉、1994年、199頁。ISBN 978-4-06-256049-8 
  3. ^ 佐藤有文『お化けの図鑑』ベストセラーズ、1978年、118頁。ISBN 978-4-584-10171-1 
  4. ^ 山田野理夫東北怪談の旅自由国民社、1974年、130-131頁。 NCID BA42139725 
  5. ^ 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、158頁。ISBN 978-4-620-31428-0 

関連項目[編集]