小野寺暖

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小野寺 暖
阪神タイガース #97
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 奈良県奈良市
生年月日 (1998-03-17) 1998年3月17日(23歳)
身長
体重
183 cm
82 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 外野手一塁手三塁手
プロ入り 2019年 育成選手ドラフト1位
初出場 2021年4月24日
年俸 420万円(2021年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

小野寺 暖(おのでら だん、1998年3月17日 - )は、阪神タイガースに所属する奈良県奈良市出身のプロ野球選手外野手)。右投右打。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

奈良市立左京小学校の2年時に「奈良リトル」で硬式野球を始める[2][3]と、奈良市立平城東中学校への在学中には「南都ボーイズ」へ所属していた[2]。以上の球歴は西岡剛と同じで、小学2年時に本人と会ったことをきっかけに、西岡に続いてのプロ(NPB)入りを目指すようになったという[4]

京都翔英高校への進学後に硬式野球部へ入ると、1年時の秋から正左翼手に定着した[5]。在学中は対外試合で通算20本塁打を放った[6]が、春夏とも甲子園球場での全国大会とは無縁であった[2][6]。硬式野球部での1学年後輩に、石原彪山本祐大がいる。

大阪商業大学への進学後は、2年時の秋から関西六大学野球のリーグ戦に出場すると、在学中に5本塁打をマーク[6]。主軸に定着した3年の春季リーグ戦では歴代2位の18打点でMVP[5][6]、4年時の春季には打率.500で首位打者とMVPのタイトルを獲得した[3][6]。さらに、いずれのシーズンもチームが優勝したことから、全日本大学野球選手権大会に2度出場。1学年先輩に太田光滝野要、同級生に橋本侑樹大西広樹がいる。

2019年のNPB育成ドラフト会議1巡目で、この年まで西岡が在籍していた阪神タイガースから指名[7][2]。支度金200万円、年俸300万円(金額は推定)という条件で、育成選手として入団した[8]。背番号は127[9]。なお、指名後には明治神宮大会東海大札幌キャンパスとの1回戦に出場。「3番・中堅手」としてスタメンに起用されたが、4打数ノーヒットで、チームも初戦敗退を喫した[10]

プロ入り後[編集]

2020年には、春季二軍キャンプで本職の外野に加えて、一塁や三塁の守備を練習[11]。キャンプ中からの好調な打撃を買われて、3月15日にオリックス・バファローズとのオープン戦で「9番・右翼手」としてスタメンに起用されると、田嶋大樹から二塁打を放った[12]新型コロナウイルスへの感染拡大に伴うレギュラーシーズン開幕の延期を経て、開幕直前(6月上旬)の練習試合で一軍へ再び招集された[13]が、開幕後は二軍生活に終始。年内の支配下選手登録も見送られた。ウエスタンリーグの公式戦では、44試合の出場で打率.233をマーク。公式戦初本塁打は持ち越された[14]ものの、30試合で外野、14試合で一塁、7試合で三塁を守った。シーズン終了後のフェニックスリーグでは、主に一塁手として起用。横浜DeNAベイスターズとの試合では、プロ入り後の対外試合で初めての本塁打を宮城滝太から放った。

2021年には、育成選手から鈴木翔太(前年まで支配下登録選手として中日ドラゴンズに在籍)と共に、春季キャンプを一軍で過ごした[注 1]。キャンプ中の2月7日に組まれた紅白戦で「7番・一塁手」としてスタメンに起用されると、この年の実戦におけるチーム第1号本塁打をマーク[16]。その後も打撃が好調で、キャンプを終えてからも、オープン戦の途中まで一軍に帯同していた[17]。保有する支配下登録選手の総数が上限(70名)に近いチーム事情[注 2]などとの兼ね合いで、レギュラーシーズンの開幕を支配下登録選手として一軍で迎えるまでには至らなかったが、ウエスタン・リーグの公式戦では開幕からクリーンアップの一角に定着。4月上旬までに9試合連続安打や公式戦初本塁打を記録した[18]ほか、一時はリーグの打率トップにも立っていた[19]。4月18日に、契約金1,000万円、年俸420万円(金額は推定)[1]という条件で支配下選手契約を締結するとともに、背番号を97に変更[20][21]。一軍が横浜DeNAベイスターズとのデーゲーム(阪神甲子園球場)を控えていた4月24日に、試合前の練習で北條史也が負傷したことを受けて出場選手登録、同カードの6回表に中堅の守備で一軍公式戦へのデビューを相次いで果たした[22]。以降の一軍公式戦には出番がなく、4月30日に登録を抹消。しかし、抹消後にウエスタン・リーグの打率1位へ返り咲いたことを受けて、セ・パ交流戦終盤の6月8日から一軍へ復帰した。同日から札幌ドームで開催された北海道日本ハムファイターズとの3連戦では、9日の第2戦に「7番・左翼手」としてスタメンデビュー[23]。10日の第3戦でも同じ打順・ポジションでスタメンに起用されると、5回表の第2打席で一軍公式戦初安打を放った[24]

選手としての特徴[編集]

長打力が持ち味の右打者[25]で、リストの強さを生かして強い打球を放つことが特徴[26]。阪神への入団2年目に春季一軍キャンプで主砲の大山悠輔からもらったバットとの相性が良いことから、似た形のバットを注文したうえで使い始めたところ、甘いコースに入った速球を逃さずに打ち返せるようになったという[27]

手動計測ながら50m走で6秒2を記録したほどの俊足[25]と、遠投で110mを記録したほどの強肩の持ち主[3]。守備の本職は外野だが、阪神への入団後は、出場機会を増やす目的で一塁三塁の守備にも取り組んでいることから、ユーティリティープレイヤーとして頭角を現している[21]

人物[編集]

」(だん)という名前には、「心の暖かい人間に育ってほしい」という実母の願いが込められている[28]。阪神への入団後は、この名前にちなんで、FIELD OF VIEWの「DAN DAN 心魅かれてく」を登場曲として使用。入団1年目の2020年には、一軍監督の矢野燿大から「って良い名前やん。登録名もにしたらいいのにな」との提案を受けた。実際には、苗字を含めた本名(小野寺暖)を登録名に使用。本人も支配下選手登録を果たした折に登録名をに変える意向を示していた[28]が、実際には登録後も変更していない。

家庭の事情で、中学生・高校生時代には、実母に女手一つで育てられていた。大阪商業大学への進学後は奨学金で学費を賄っていた[6][3]が、硬式野球部で1年時に対外試合の登録メンバーから外れた時には、「このまま中途半端に野球を続けても、母に迷惑をかける」として退部も考えたという[3]

大学4年時に臨んだNPBドラフト会議では、支配下登録選手扱いでの指名を希望していた。実際には、同級生の橋本が中日ドラゴンズ、大西が東京ヤクルトスワローズから支配下登録選手扱いで2巡目に指名されたのに対して、自身は育成選手扱いで指名を受けたため、指名の直後には「育成と支配下では全然違う」と涙ながらに語っていた。前述したように母子家庭で育ったことを背景に、このような反応を「悔し涙」として入団に消極的であるかのように報じたメディアも散見された[6][3][29]が、本人は後の取材で「(指名に安堵したことによる)嬉し涙」だったことを明言[30]。「支配下登録を必ず果たして、一軍のレギュラー選手として母親を楽にさせたい」との抱負も述べていた[6]。結局、入団2年目の母の日(5月9日)を前に、育成選手契約から支配下選手契約へ移行。移行を機に球団から支給された契約金(1,000万円)の一部を、母の日のプレゼント(時計)に充てた[27]

阪神への入団後は、チーム内でムードメーカーの一面も発揮。育成選手ながら最初から最後まで帯同した2021年の春季一軍キャンプでは、紅白戦でのチーム第1号本塁打に続いて、キャンプ終盤の2月27日に組まれた中日ドラゴンズとの練習試合でも本塁打を放った[31]。矢野が「勇気のある新聞社は(小野寺を)1面で扱ってあげてよ」と呼び掛けたところ、この呼び掛けに続いて「(たぶん1面で取り上げ)ないやろ」と名指しされた日刊スポーツが、翌2月28日の大阪本社発行版の1面に小野寺の記事を大見出し付きで掲載した[32]

詳細情報[編集]

記録[編集]

背番号[編集]

  • 127(2020年 - 2021年4月18日)
  • 97(2021年4月19日 - )

登場曲[編集]

出典[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 阪神の育成選手が春季キャンプのスタートを一軍で迎えた事例は、前年の横山雄哉以来2例目。ただし、横山・鈴木はいずれも投手で、横山は阪神、鈴木は中日からドラフト会議の1巡目指名を経て支配下登録選手として入団していた。このため、育成選手扱いの野手および、育成ドラフト会議での指名を経て阪神へ入団した選手としては小野寺が初めてである[15]
  2. ^ 小野寺が支配下選手契約を締結する前日(2021年4月17日)までは69名だったが、谷川昌希(阪神と同じ契約を結んでいた右投手)が金銭トレードで北海道日本ハムファイターズへ移籍することが、同日に両球団から発表。谷川が移籍・小野寺が支配下選手登録を経て臨んだ6月9日のセ・パ交流戦(前述)7回表1死1塁の局面で、対外試合としての両者の対戦が初めて実現した(公式記録は遊撃へのゴロ・結果は併殺崩れで小野寺が一塁に出塁)。

出典[編集]

  1. ^ a b 阪神19年育成1位小野寺と支配下契約「まず始めにお母さんに連絡」”. 日刊スポーツ (2021年4月18日). 2021年4月27日閲覧。
  2. ^ a b c d 阪神育成1位・小野寺、涙の決意/ドラフト(『サンケイスポーツ』2019年10月18日付記事)
  3. ^ a b c d e f 阪神 育成1位 大商大・小野寺悔し涙「契約金で母にお金を返して手助けしようと思っていたので…」 (『スポーツニッポン』2019年10月17日付記事)
  4. ^ “阪神育成1位 大商大・小野寺、いざ大学日本一へ 1回戦で東海大札幌と激突「何でもするつもり」”. Sponichi Annex. (2019年11月15日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/11/15/kiji/20191115s00001089255000c.html 2020年1月30日閲覧。 
  5. ^ a b 阪神 第2の近本発掘へ 3.15VS大商大 ドラフト候補3人をチェックする (『スポーツニッポン』2019年1月7日付記事)
  6. ^ a b c d e f g h 阪神育成1位小野寺悔し涙「支配下上がって母楽に」 (『日刊スポーツ』(『日刊スポーツ』2019年10月17日付記事)
  7. ^ “阪神育成小野寺「選球眼めっちゃいい」主砲から金言”. 日刊スポーツ. (2020年10月13日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202010120000988.html 2020年11月28日閲覧。 
  8. ^ 阪神育成1位小野寺が仮契約、目標「日本の4番に」 (『日刊スポーツ』2019年11月24日付記事)
  9. ^ 阪神入団会見 ドラフト1位西は背番号15 過去には御園生、湯舟も… (『デイリースポーツ』2019年12月2日付記事)
  10. ^ 阪神育成1位・小野寺は快音なく幕 大商大が初戦敗退/神宮大会 (『サンケイスポーツ』2019年11月15日付記事)
  11. ^ 阪神育成の小野寺が三塁で特守 内外野二刀流も視野” (日本語). 日刊スポーツ. 2020年12月11日閲覧。
  12. ^ 阪神、育成の小野寺がデビュー戦でプロ初安打” (日本語). 日刊スポーツ (2020年3月15日). 2020年12月11日閲覧。
  13. ^ 阪神育成1位・小野寺らが1軍合流” (日本語). スポーツニッポン (2020年6月2日). 2020年12月11日閲覧。
  14. ^ 2020年度 阪神タイガース 個人打撃成績(ウエスタン・リーグ)”. 日本野球機構. 2020年12月11日閲覧。
  15. ^ 阪神キャンプ“激変”、昨春から19人も入れ替え 超サバイバルに矢野監督「誰が開幕スタメンか楽しみ」” (日本語). スポーツニッポン (2021年1月22日). 2021年1月22日閲覧。
  16. ^ 阪神育成小野寺が21年チーム1号「打った瞬間」” (日本語). 日刊スポーツ (2021年2月7日). 2021年2月8日閲覧。
  17. ^ 阪神小野寺バースデーヒット「早く一軍に戻ること」” (日本語). 日刊スポーツ (2021年3月17日). 2021年3月17日閲覧。
  18. ^ 育成の阪神小野寺が9試合連続安打も反省「一振りで仕留められるように」” (日本語). 日刊スポーツ (2021年4月7日). 2021年4月15日閲覧。
  19. ^ 阪神小野寺ウエスタン首位打者快走 先制打含む4の2打率3割5分4厘” (日本語). 日刊スポーツ (2021年4月13日). 2021年4月15日閲覧。
  20. ^ 小野寺暖選手との支配下選手契約締結について” (日本語). 阪神タイガース (2021年4月18日). 2021年4月18日閲覧。
  21. ^ a b “阪神 育成の小野寺を支配下登録 長打が売りの大卒2年目外野手”. Sponichi Annex. (2021年4月18日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2021/04/18/kiji/20210418s00001173209000c.html 2021年4月19日閲覧。 
  22. ^ 阪神・小野寺がプロ初出場 落球も判定はアウト 名前がコールされ客席から拍手も” (日本語). デイリースポーツ (2021年4月24日). 2021年4月24日閲覧。
  23. ^ 阪神 ウエスタン“首位打者”の小野寺がプロ初スタメン 日本ハム戦スタメン発表” (日本語). スポーツニッポン (2021年6月9日). 2021年6月10日閲覧。
  24. ^ 阪神小野寺暖プロ初安打 19年育成ドラフト1位、今年4月に支配下登録”. 日刊スポーツ (2021年6月10日). 2021年6月10日閲覧。
  25. ^ a b 阪神育成1位大商大・小野寺が好走塁「自分の判断」”. 日刊スポーツ (2019年10月30日). 2021年4月27日閲覧。
  26. ^ ドラフト会議で西純矢選手(創志学園)ら8選手との交渉権を獲得”. 阪神タイガース (2019年10月17日). 2019年11月9日閲覧。
  27. ^ a b 契約金で母に時計を…阪神小野寺暖、念願の支配下契約をつかんだ打撃の秘密(『日刊スポーツ』2021年5月17日付記事)
  28. ^ a b 阪神育成D1・小野寺暖、開幕1軍ある!矢野監督「もう一回見たい」 (『サンケイスポーツ』2020年3月17日付記事)
  29. ^ 育成1位の大商大・小野寺 支配下指名かなわず悔し涙 「全然違う」と母孝行誓う (『デイリースポーツ』2019年10月17日付記事)
  30. ^ 阪神育成1位の小野寺「ほっとした」実はうれし涙(『日刊スポーツ』2019年10月25日付記事)
  31. ^ ダ、ダン、暖~!阪神小野寺「早めに」振ってズドン(『日刊スポーツ』2021年2月27日付記事)
  32. ^ 1面ですよ!阪神小野寺が特大弾、支配下猛アピ2号(『日刊スポーツ』2021年2月28日付記事)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]