宿州市

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中華人民共和国 安徽省 宿州市
埇橋区符離鎮の市街地
埇橋区符離鎮の市街地
埇橋区符離鎮の市街地
略称:宿、蘄
旧称:宿県
の時期に宿国があり、元和4年(809年)唐により宿州が置かれる
安徽省中の宿州市の位置
安徽省中の宿州市の位置
安徽省中の宿州市の位置
中心座標 北緯33度37分59秒 東経116度58分34秒 / 北緯33.63306度 東経116.97611度 / 33.63306; 116.97611
簡体字 宿州
繁体字 宿州
拼音 Sùzhōu
カタカナ転写 スーチョウ
国家 中華人民共和国の旗 中華人民共和国
安徽
行政級別 地級市
設置 1998年
市委書記 楊軍
市長 王啓栄
面積
総面積 9,787 km²
市区 200 km²
海抜 28 m
人口
総人口(2016) 654.05 万人
人口密度 572 人/km²
戸籍人口(2016) 654.05 万人
常住人口(2016) 559.93 万人
市区人口(2016) 224.14 万人
経済
GDP(2016) 1351.8億元
一人あたりGDP 24300元
電話番号 0557
郵便番号 234000
ナンバープレート 皖L
行政区画代碼 341300
市樹 イチョウ
市花 ロサ・キネンシス
公式ウェブサイト http://www.ahsz.gov.cn/

宿州市(しゅくしゅうし)は、中華人民共和国安徽省北端に位置する地級市江蘇省山東省河南省との境界にある。黄河淮河が形成する黄淮平原の南端に当たり、淮河流域から連雲港市にかけての淮海経済区の一部をなす。中国の沿海部と内陸部、華北と華南の交流の要衝である。

地理[編集]

安徽省の最北部に位置し、蚌埠市淮北市江蘇省徐州市江蘇省宿遷市山東省菏沢市河南省商丘市に接する。黄淮海平原の中の、東西184.6 km、南北151.2kmの範囲を占めている。総面積9787km²のうち平野は8890km²あまりで全体の91%を占め、残りは若干の丘陵や台地がある。

市域内には新汴河・奎河・濉河など70ほどの河川が流れるが、これらは黄河水系や淮河水系に属している。

宿州市の気候は温帯半湿潤季風気候で、四季ははっきりとし、日射量も十分である。年平均気温は14.3度、無霜期間は約210日、降水量は約880mm。

資源は豊富で淮河以北の安徽省では石炭埋蔵量が最大。市域内は石炭資源があり、様々な種類の大理石は4,000万m³あるとみられ、霊璧奇石は「中国四大奇石」の一つに数えられている。その他、などの金属資源、石灰石、白雲石、磁土などの非金属資源も豊富。

歴史[編集]

宿州の歴史は古く、7000~8000年前の石器時代、ここには人類文明のかがり火が燃えていた。朝のころは宿国があり、に県が置かれた。に宿州はすでに「舟車会聚、九州通衢之地」(舟や車が集まり、九州各地へ通じる地)と呼ばれていた。後漢には沛国(現在の沛県付近)に所属し、三国時代にはの豫州の譙郡に属した。には黄河と淮河を結ぶ運河「通済渠」(汴水、大運河の一部)が完成したことで宿州は汴河・淮河流域の交通の枢要で南北を結ぶ軍事の要衝となった。809年元和4年)、により宿州が置かれる。埇橋に宿州の治所が置かれ、符離・虹・蘄・臨渙の4県を管轄した。

1912年に宿州は宿県に改められる。1979年に宿州市が設置され、1992年に宿県が併合され、1998年12月6日に国務院は宿県地区および宿州市を統廃合し、地級市の宿州市とした。

有名な戦い

  • 秦末から漢初にかけて発生した中国史上最初の大規模な農民蜂起「陳勝・呉広の乱は、現在の宿州市域にある大沢郷から始まった。
  • 楚漢戦争の最後である「垓下の戦い」が起きたのも宿州市霊璧県にほど近い場所である。ここで「四面楚歌」「覇王別姫」の話が起こったと見られる。
  • 南宋孝宗時期、1163年に宿州で「隆興北伐」という南宋の戦いが起こった。孝宗の支持を得た張俊枢密使に任ぜられた、北進してきた南宋軍を掌握した。金軍は北進してきた南宋軍を撃破し、1164年に南宋と金は「隆興和議(乾道和議)」を結んだ。
  • 1948年11月6日から1949年1月10日にかけ、国共内戦での重要な戦いである「淮海戦役」の主戦場ともなり、鄧小平劉伯承陳毅などがここで指導を取った。

行政区画[編集]

1市轄区・4県を管轄下に置く。

宿州市の地図

年表[編集]

この節の出典[1][2]

皖北行署区宿県専区
  • 1949年10月1日 - 中華人民共和国皖北行署区宿県専区が成立。宿県霊璧県泗県泗洪県五河県懐遠県碭山県蕭県永城県が発足。(9県)
  • 1950年9月20日 - 宿県の一部が分立し、宿西県が発足。(10県)
  • 1950年10月 - 宿県の一部が分立し、宿城市が発足。(1市10県)
  • 1950年11月13日 - 宿西県が濉渓県に改称。(1市10県)
  • 1952年1月31日 (1市9県)
    • 永城県が河南省商丘専区に編入。
    • 碭山県の一部が河南省商丘専区永城県に編入。
  • 1952年5月2日 - 懐遠県の一部が蚌埠市西市区・小蚌埠区に分割編入。(1市9県)
  • 1952年7月25日 (1市9県)
  • 1952年8月7日 - 安徽省の成立により、安徽省宿県専区となる。
安徽省宿県専区(1952年-1956年)
  • 1952年10月22日 - 平原省湖西専区単県の一部が碭山県に編入。(1市9県)
  • 1952年11月25日 - 蕭県・碭山県が江蘇省に編入。(1市7県)
  • 1952年12月5日 - 濉渓県の一部が河南省商丘専区永城県に編入。(1市7県)
  • 1953年6月25日 - 宿城市が宿県に編入。(7県)
  • 1954年11月 - 濉渓県の一部が宿県、河南省商丘専区永城県に分割編入。(7県)
  • 1955年1月 - 江蘇省徐州専区蕭県の一部が濉渓県に編入。(7県)
  • 1955年2月21日 (8県)
    • 泗洪県が江蘇省淮陰専区に編入。
    • 江蘇省徐州専区蕭県碭山県を編入。
    • 宿県の一部が蕭県に編入。
  • 1955年3月 - 懐遠県の一部が蚌埠市小蚌埠区に編入。(8県)
  • 1955年5月 - 淮南市郊区の一部が懐遠県に編入。(8県)
  • 1955年8月 - 宿県の一部が濉渓県に編入。(8県)
  • 1955年12月 - 霊璧県の一部が泗県に編入。(8県)
  • 1956年1月12日 - 宿県専区が滁県専区と合併し、蚌埠専区の発足により消滅。
安徽省宿県地区(1961年-1998年)
  • 1961年4月7日 - 蚌埠専区宿県蕭碭県霊璧県五河県泗県懐遠県を編入。宿県専区が成立。(6県)
  • 1961年12月15日 (8県)
    • 濉渓市郊区の一部が分立し、濉渓県が発足。
    • 蕭碭県の一部が分立し、蕭県碭山県が発足。
    • 蕭碭県の残部が濉渓市郊区に編入。
  • 1963年12月16日 - 宿県の一部が濉渓市郊区に編入。(8県)
  • 1964年4月3日 - 淮南市郊区・大通区の各一部が懐遠県に編入。(8県)
  • 1964年10月31日 - 宿県・霊璧県・五河県・懐遠県の各一部が合併し、固鎮県が発足。(9県)
  • 1964年12月27日 - 懐遠県の一部が阜陽専区鳳台県に編入。(9県)
  • 1965年7月1日 - 固鎮県の一部が宿県・懐遠県に分割編入。(9県)
  • 1965年8月28日 - 濉渓県の一部が濉渓市に編入。(9県)
  • 1965年10月18日 (9県)
    • 蕭県の一部(豆荘村など5カ村)が河南省商丘専区永城県に編入。
    • 碭山県の一部が河南省商丘専区夏邑県に編入。
    • 河南省商丘専区永城県の一部(何寨公社など4カ公社の各一部)が蕭県に編入。
  • 1971年3月29日 - 宿県専区が宿県地区に改称。(9県)
  • 1976年9月 - 蕭県の一部が淮北市相山区に編入。(9県)
  • 1977年1月20日 - 濉渓県が淮北市に編入。(8県)
  • 1979年5月10日 - 宿県の一部が分立し、宿州市が発足。(1市8県)
  • 1981年4月21日 - 蕭県の一部が淮北市郊区に編入。(1市8県)
  • 1983年10月8日 - 懐遠県・固鎮県・五河県が蚌埠市に編入。(1市5県)
  • 1985年7月15日 - 淮北市烈山区の一部が宿州市に編入。(1市5県)
  • 1992年3月 - 淮北市杜集区の一部が蕭県に編入。(1市5県)
  • 1992年11月20日 - 宿州市・宿県が合併し、宿州市が発足。(1市4県)
  • 1998年12月6日 - 宿県地区が地級市の宿州市に昇格。
宿州市
  • 1998年12月6日 - 宿県地区が地級市の宿州市に昇格。(1区4県)
    • 宿州市が区制施行し、埇橋区となる。

経済[編集]

農業

作物:農村部ではコムギダイズサツマイモコーリャントウモロコシワタアブラナピーナッツ食用キノコ、果物、野菜の栽培が盛んである。

養殖:農村部ではウシホルスタインヒツジブタ家禽の養殖が盛んである。

漁業:養殖漁業、釣漁業、網漁業

工業

エネルギー産業及び石炭の採掘、機械の製造、靴・衣料品の製造、紡績、板材加工、食品加工。

サービス業

クラウドコンピューティング

交通[編集]

京滬線宿州駅駅舎
宿州市内の路線バス

宿州は交通が便利で、京滬・隴海鉄道、京滬・徐蘭高速鉄道や、連霍・京台高速道路が縦横に貫いており、国内の大都市と高速道路・高速鉄道で結ばれている。また、宿州市中心部は徐州観音空港までは約100kmの距離となっている。

高速鉄道[編集]

鉄道[編集]

高速道路[編集]

空港[編集]

観光地[編集]

  • 渉故台:「陳勝・呉広の乱」が起こった場所である。
  • 皇蔵峪国家森林公園:彭城の戦いで負けた後の劉邦の隠れ家がある。
  • 虞美人の墓:項羽の愛人の虞美人の墓であると伝えられる。ただし、虞美人の首の埋まる場所は同じ省の滁州市定遠県にある。
  • 碭山のナシ花:春に500平方キロメートルのナシは白い花が咲く。

人物[編集]

宿州の文化は多彩で、文化資源も豊富である。閔子騫嵆康劉伶朱温馬皇后などの人物を輩出している。また、劉裕劉墉斉白石の祖籍地でもある。現代では、劉開渠、朱徳群、王子雲、蕭龍士、梅雪峰、李百忍、孫叔平、鄧偉志、楊在葆、劉世龍、李炳淑などが宿州の出身である。

他に劉邦項羽李白白居易蘇軾パール・S・バックなどにまつわる歴史遺跡がある。

有名な出身者

宿州を舞台にした作品[編集]

大地:ノーベル文学賞を受賞したパール・S・バックの長編小説(1931年)。

参考文献[編集]

  1. ^ 中华人民共和国行政区划沿革
  2. ^ 安徽省 - 区划地名网
  3. ^ 中国民航局批复安徽宿州民用机场场址” (2017年3月31日). 2018年2月6日閲覧。

外部リンク[編集]