宿屋嬶

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

宿屋嬶(やどやかか)は、上方落語の演目の1つ。艶笑噺(ばれネタ)に属する。

あらすじ[編集]

宿屋の贔屓の客が「あんたとこの嫁はん一晩貸して呉れ。」と主人に頼み込む。とてつもない願に主人は驚き「…そら、いつもお世話になってはる旦那さんのことでっさかい、嫌とは言えまへんけど。」と言うものの、うちの女房は見ての通りのご面相で、とても美人とは言えないのに「自分の女房をこう言うのも変でっけど、何でまた、あないなお多福をほしがりますねん。」と不審がる。でも、たっての頼みに「そんなら一晩お貸ししたします。」と主人の了解を得て、客は女房と同衾する。

次の日もまた次の日も女房を貸してくれと客が頼むので、主人も流石に「もし、ええかげんにしとくなはれ。」と憤慨し「なんで、そないにうちのやつを抱きたがりますねん。」と重ねて訊くと、客も「それがな。事をしてるときのお前はんの女房の声がたまらんのや。わいも一度声を上げさせて泣かしたいんやけど、この前もさらにこの前もしても泣きよらんねん。」と告白する。

「へえ。そしたらあの泣き声でっか。」

「そうや。」

「あれ、わたいでんねん。」

概略[編集]

筋の運びからサゲに至るまで、フランス小噺のような粋な出来である。古くから伝わるばれネタで、かつては「宿屋陰門」という題であったが、刺激が強すぎるので、橘ノ圓都によって現行の題に改められた。放送ではオンエアできないが、速記レコードテープなどで聞くことができる。艶笑噺は、濃厚な内容でも演者の腕しだいで優れた作品に生まれ変われるが、この演目も機知に富んだ内容であり、どのように巧く演じられるかは演者の腕の見せ所である。初代森乃福郎[1]2代目露の五郎兵衛の得意ネタでもある。

出典[編集]