宮川将

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
宮川 将
楽天時代
(2018年、ロッテ浦和球場にて)
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 大阪府泉南市
生年月日 (1990-10-19) 1990年10月19日(33歳)
身長
体重
184 cm
87 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2012年 育成選手ドラフト1位
初出場 2013年6月5日
最終出場 2016年8月13日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
選手歴
コーチ歴
  • 埼玉武蔵ヒートベアーズ (2019 - 2020)

宮川 将(みやがわ しょう、1990年10月19日 - )は、大阪府泉南市出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

小学校2年生から野球を始めると、大体大附中学校では準硬式野球部に所属。大体大浪商高校時代は「大阪No1ピッチャー」と評されるも、春夏とも阪神甲子園球場の全国大会に出場できなかったため、プロ志望届日本学生野球協会へ提出せず[1]大阪体育大学へ進学した。

大阪体育大学では、1年次の阪神大学野球春季リーグ戦で開幕投手に抜擢されると、ベストナインを獲得[2]。1年次の秋に右肘を痛めてからは、同期の松葉貴大と並んで、エースとして活躍した[2]。リーグ戦では、通算29勝9敗、防御率2.00、274奪三振を記録。リーグMVPを3回、最優秀投手賞を1回受賞している。

2012年のNPB育成ドラフト会議で、東北楽天ゴールデンイーグルスから1巡目で指名。支度金300万円、年俸240万円(金額は推定)という条件で、育成選手として契約した[3]背番号は「121」。なお、ドラフト会議の直前からTBSテレビ制作の『ドラフト緊急生特番!お母さんありがとう』の取材クルーが宮川に密着。同番組への出演中に指名を受けた。

楽天時代[編集]

2013年イースタン・リーグの公式戦で、主に中継ぎとして、6月までに3勝0敗、防御率2.89を記録した[4]。6月2日に支配下選手契約へ移行すると[5]ともに、背番号を90へ変更[5]。さらに、同日の出場選手登録[6]を経て、6月5日の対東京ヤクルトスワローズ戦(明治神宮野球場)に救援投手として一軍デビューを果たした[6]。8月4日の対北海道日本ハムファイターズ戦(札幌ドーム)では、先発の戸村健次が4回3失点で降板したにもかかわらず、打線が5回表にNPB新記録の1イニング7二塁打で7点を挙げて逆転。5回裏から2番手で登板した宮川は、残りの3イニングを5安打1失点で凌ぐと、一軍でのプロ初勝利を記録するとともにチームの7連勝(球団タイ記録)に貢献した。育成選手としてNPBの球団へ入団した投手が、1年目に一軍公式戦で勝利投手になった事例は初めてであった[7][8][9][10]。8月27日の対オリックス・バファローズ戦(京セラドーム大阪)では、2番手で登板すると、大学時代にエースの座を争った松葉との投げ合いが初めて実現した[11]。9月23日の対日本ハム戦(札幌ドーム)で一軍初先発を果たすと、7回を1安打無失点に抑えて2勝目を挙げた[12]。一軍公式戦全体では、17試合の登板で2勝0敗1ホールド、防御率2.45をマーク。レギュラーシーズン終盤の10月19日には、TBSテレビで放送の『バース・デイ』で、プロ入りまでの半生が改めて紹介された。

巨人との対戦になった日本シリーズへの出場資格者名簿にも登録され[13]、第4戦(10月30日・東京ドーム)の4回裏に、2番手投手としてポストシーズン初登板を果たした。しかし、先頭打者からの2連続四球と長野久義の適時打で1点を失い、4人目の打者・寺内崇幸に対する頭部付近への死球で日本シリーズ史上3人目(球審からの危険球宣告では2人目)の退場処分を受けた[14]。日本シリーズで登板できたのはこの試合だけで、1アウトも取れなかったため、シリーズでの防御率は記録上無限大になっている。

チームの日本シリーズ初制覇によって進出した台湾でのアジアシリーズでは、地元の統一セブンイレブン・ライオンズ中華職業棒球大聯盟での優勝チーム)と対戦した11月19日の準決勝に先発。しかし、2回途中3失点という内容で敗戦投手になり、チームも決勝進出を逃した[15]

2014年オープン戦で出遅れた影響で、5月20日にシーズン初の出場選出登録。登録後の一軍公式戦には、主にロングリリーフで起用された。7月2日の対オリックス戦からは、先発陣の一角に定着。一軍公式戦では、前年と同じ17試合の登板で、3勝1敗1ホールド、防御率4.29という成績を残した。しかし、右肘頭の疲労骨折が判明したことから、レギュラーシーズン終了後の10月15日に骨の移植手術を行った[16]。その影響で、手術後の10月28日には、球団から支配下選手契約の解除を通告[17]。11月10日には、再び育成選手契約を結ぶとともに、背番号も入団時の121に戻した[18]

2015年、前年の手術からのリハビリへ専念したことに加えて、夏場に右肘のクリーニング手術を受けた[19]。二軍でも実戦登板の機会がなく、支配下登録選手への復帰も見送られた。

2016年、二軍救援陣の柱として、イースタン・リーグ公式戦17試合に登板すると、防御率2.95をマーク。7月17日には、支配下登録選手へ復帰するとともに、背番号を再び90に変更した[20]。7月18日には、自身2シーズン振りの出場選手登録を経て、対日本ハム戦(札幌ドーム)への救援登板で一軍公式戦への復帰を果たした[21]

2017年、イースタン・リーグ公式戦12試合の登板で、2勝3敗、防御率3.91を記録した。しかし、一軍公式戦への登板機会がなく、シーズン終了後には三たび育成選手契約を締結。背番号も121に戻った[22]

2018年、イースタン・リーグ公式戦6試合に登板したが、勝敗は付かず、防御率は10.80にまで達した。支配下登録選手への復帰や一軍公式戦への登板に至らないまま、10月1日に球団から戦力外通告を受けた[23]。10月31日付でNPBから自由契約選手として公示された[24]が、育成選手契約関連の規約に沿った過去の公示と違って、球団は宮川との再契約に至らなかった。11月13日に12球団合同トライアウトタマホームスタジアム筑後)へ参加。シートバッティング方式で3人の打者と対戦したところ、最速148km/hのストレートで三者凡退に抑えた[25]

BCリーグ・武蔵(埼玉)時代[編集]

※チームの略称は2019年までが「武蔵」、2020年以降は「埼玉」。

2018年12月7日に、埼玉武蔵ヒートベアーズが、投手コーチとの兼務扱いで宮川と契約したことを発表した[26]背番号は「18」。

2シーズン在籍し、2020年シーズン終了後の11月16日に埼玉武蔵ヒートベアーズを退団することが発表された[27]

引退後[編集]

2021年1月31日、古巣である東北楽天ゴールデンイーグルスの打撃投手に就任した[28]

選手としての特徴[編集]

ストレートと変化球はカーブと2種類のスライダーが武器の本格派右腕[29]。制球力に課題を残す[30]

楽天への入団後は、2度にわたる右肘の手術や投球フォームの改造によって、ストレートの最高球速が147km/hから151km/hにまで向上。ストレートで常時140km/h台の後半を計測するようになった[20]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2013 楽天 17 2 0 0 0 2 0 0 0 1.000 177 40.1 41 5 21 0 0 33 2 0 11 11 2.45 1.54
2014 17 4 0 0 0 3 1 0 0 .750 183 42.0 44 5 17 0 3 32 2 0 23 20 4.29 1.45
2016 9 0 0 0 0 0 0 0 1 ---- 35 9.2 5 0 3 0 1 9 0 0 1 1 0.93 0.83
通算:3年 43 6 0 0 0 5 1 0 1 .833 395 92.0 90 10 41 0 4 74 4 0 35 32 3.13 1.42
  • 2019年度シーズン終了時

記録[編集]

独立リーグでの投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2019 武蔵
埼玉
21 18 2 0 0 10 3 0 - .769 496 124.0 98 3 40 - 6 101 3 1 30 30 2.18 1.11
2020 28 3 0 0 0 3 1 4 - .750 167 39.0 31 2 29 - 2 29 1 0 10 8 1.85 1.28
通算:2年 49 21 2 0 0 13 4 4 - .765 663 163.0 129 5 69 - 8 130 4 1 40 38 2.10 1.21
  • 2020年度シーズン終了時

背番号[編集]

  • 121 (2013年 - 同年6月1日[5]、2015年 - 2016年7月16日、2018年)
  • 90 (2013年6月2日[5] - 2014年、2016年7月17日 - 2017年)
  • 18 (2019年 - 2020年)

登場曲[編集]

脚注[編集]

  1. ^ マウンドに立つ背番号「90」と「70」。楽天・宮川、ヤクルト・八木の再出発。”. Number Web. 文藝春秋. p. 1 (2013年6月19日). 2013年7月2日閲覧。
  2. ^ a b マウンドに立つ背番号「90」と「70」。楽天・宮川、ヤクルト・八木の再出発。”. Number Web. 文藝春秋. p. 2 (2013年6月19日). 2013年7月2日閲覧。
  3. ^ “育成1位宮川と契約”. nikkansports.com. (2012年11月20日). https://www.nikkansports.com/baseball/professional/draft/2012/news/f-bb-tp0-20121120-1049574.html 2012年11月20日閲覧。 
  4. ^ “育成の宮川が支配下へ背番号90”. nikkansports.com. (2013年6月2日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/f-bb-tp0-20130602-1136865.html 2013年6月2日閲覧。 
  5. ^ a b c d 【宮川将選手】支配下登録に関して”. 東北楽天ゴールデンイーグルス (2013年6月2日). 2013年6月2日閲覧。
  6. ^ a b c “宮川1軍デビューは2回無失点”. nikkansports.com. (2013年6月5日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/f-bb-tp0-20130605-1138422.html 2013年8月6日閲覧。 
  7. ^ 記録ラッシュの楽天 11二塁打はプロ野球タイ 4連続はリーグタイスポーツニッポン2013年8月4日配信
  8. ^ 7連勝の楽天 最短9日にマジック39点灯スポーツニッポン2013年8月5日配信
  9. ^ 楽天 記録ずくめ!球団タイ7連勝、プロ野球新1イニング7二塁打スポーツニッポン2013年8月4日配信
  10. ^ 育成出身ルーキー宮川がプロ初勝利 ウイニングボールは最愛の父へスポーツニッポン2013年8月4日配信
  11. ^ 東北楽天ひと休み 新人左腕に打線沈黙 連勝「3」で止まる河北新報「羽ばたけイーグルス」2013年8月28日配信
  12. ^ a b 楽天4連勝でM3!育成ドラ1宮川、プロ初先発で7回1安打零封スポーツニッポン2013年9月23日配信
  13. ^ 楽天VS巨人 日本シリーズ出場資格者を発表スポーツニッポン2013年10月24日配信
  14. ^ 宮川 危険球で退場…日本シリーズでは多田野以来2人目スポーツニッポン2013年10月30日配信
  15. ^ 宮川2回途中でKO「悔しい」/アジアシリーズ日刊スポーツ2013年11月19日配信
  16. ^ 楽天宮川が右肘手術 育成選手でリハビリ”. nikkansports.com (2014年10月18日). 2015年3月17日閲覧。
  17. ^ 来季の支配下選手契約に関して平成26年10月28日 東北楽天ゴールデンイーグルス・オフィシャルサイト
  18. ^ 来季の育成選手契約に関して平成26年11月10日 東北楽天ゴールデンイーグルス・オフィシャルサイト
  19. ^ 楽天が育成の宮川将を支配下選手登録 右肘手術から復活”. デイリースポーツ (2016年7月17日). 2016年7月19日閲覧。
  20. ^ a b 楽天、育成の宮川将を支配下登録、背番90”. nikkansports.com (2016年7月17日). 2016年7月19日閲覧。
  21. ^ 楽天宮川、育成から復帰マウンド2年ぶり1軍で0封”. nikkansports.com (2016年7月18日). 2016年7月19日閲覧。
  22. ^ 【楽天】久保裕也投手ら4選手と育成契約”. スポーツ報知 (2017年11月17日). 2018年11月19日閲覧。
  23. ^ 楽天が元G小山、育成の横山、宮川、入野、匠、向谷の計6選手に戦力外通告”. FullCount (2018年10月1日). 2018年11月19日閲覧。
  24. ^ 自由契約選手(育成選手)|2018年度公示”. NPB.jp 日本野球機構 (2018年10月31日). 2018年11月10日閲覧。
  25. ^ 48人が参加 プロ野球合同トライアウト/詳細”. 日刊スポーツ (2018年11月13日). 2018年11月16日閲覧。
  26. ^ 投手兼任投手コーチ就任のお知らせ”. 埼玉武蔵ヒートベアーズ (2018年12月7日). 2018年12月8日閲覧。
  27. ^ 退団選手のお知らせ (PDF文書) - 埼玉武蔵ヒートベアーズ(2020年11月16日
  28. ^ スタッフ契約に関して”. 東北楽天ゴールデンイーグルス (2021年1月31日). 2021年1月31日閲覧。
  29. ^ 週刊ベースボール2013年10月28日号 P128
  30. ^ “大体大・宮川 同期ドラフト候補にメラメラ「自分が抜かれた形なので」”. Sponichi Annex. (2012年1月1日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2012/01/01/kiji/K20120101002343970.html 2012年11月20日閲覧。 
  31. ^ 2013年7月28日 楽天 対 千葉ロッテ 成績詳細”. 東北楽天ゴールデンイーグルス (2013年7月28日). 2013年8月6日閲覧。
  32. ^ “宮川、球団初の育成出身白星飾った!”. スポーツ報知. (2013年8月4日). https://web.archive.org/web/20130805042228/http://hochi.yomiuri.co.jp/baseball/npb/news/20130804-OHT1T00172.htm 2013年8月6日閲覧。 
  33. ^ 2013年8月4日 北海道日本ハム 対 楽天 成績詳細”. 東北楽天ゴールデンイーグルス (2013年8月4日). 2013年8月6日閲覧。
  34. ^ 2013年9月23日 北海道日本ハム 対 楽天 成績詳細”. 東北楽天ゴールデンイーグルス (2013年9月23日). 2013年9月23日閲覧。
  35. ^ 2013シーズン 楽天イーグルス 選手登場曲リスト”. 東北楽天ゴールデンイーグルス. 2015年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年8月6日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]