安比奈駅

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安比奈駅
駅跡(2004年11月)
あひな
南大塚 (3.2 km)
所在地 埼玉県川越市増形
北緯35度54分4秒 東経139度25分49.1秒 / 北緯35.90111度 東経139.430306度 / 35.90111; 139.430306座標: 北緯35度54分4秒 東経139度25分49.1秒 / 北緯35.90111度 東経139.430306度 / 35.90111; 139.430306
所属事業者 西武鉄道
所属路線 安比奈線
キロ程 3.2 km(南大塚起点)
駅構造 地上駅
開業年月日 1925年大正14年)2月15日
廃止年月日 2017年平成29年)5月31日[1]
備考 貨物専用駅
1963年(昭和38年)より休止[2]
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入口跡地
駅周辺の架線柱

安比奈駅(あひなえき)は、埼玉県川越市増形にあった西武鉄道安比奈線貨物駅廃駅)である。

路線の休止に伴い1963年昭和38年)から休止駅となっていたが、2017年平成29年)に正式に廃止された。

概要[編集]

入間川で採取した砂利の運搬を目的として開業した。1963年に入間川での川砂利の採取が禁止され、安比奈線は営業休止となり、当駅も休止となった[2]

休止から40年以上が経過した2010年代には、架線柱は残っているものの、草木による荒廃が著しく、既にホーム線路など駅の痕跡はほとんど失われていた。1980年代以降、当駅周辺に車両基地を整備する計画が立てられ、旅客線化の構想も浮上していたが実現せず(「西武安比奈線」を参照)、2016年2月10日、西武鉄道は車両基地計画および安比奈線の廃止を決定[3][4]、2017年5月31日をもって名実ともに廃止された[1]

沿線の住民は、(西武鉄道の土地である)レールが残っている場所も自宅のや耕作地として使っているが、会社側は事実上黙認していた。

歴史[編集]

復興社安比奈砂利軌道[編集]

入間川河岸から安比奈駅構内まで砂利を輸送していた軌道(軌間600 mm)である。戦前の状況は不詳。1947年(昭和22年)頃から西武鉄道の系列会社である復興社[6]が旧日本陸軍鉄道聯隊で使用された車両や軌条を使用して砂利採取を開始した。使用された車両は判明している限りでは鉄道聯隊E型タンク式蒸気機関車3両、ボギー無蓋車など[7]で河岸から運んだ川砂利を安比奈駅構内で西武鉄道の無蓋車に積み換えていた。後に蒸気機関車はディーゼル機関車(加藤製作所製)に置き換えられた。

輸送実績[編集]

年度 発送貨物(トン) 到着貨物(トン)
1929 34,009 0
1930 48,390 0
1931 25,643 0
1932 28,896 0
1933 27,983 0
1934 29 0
1935 39,110 0
1936 39,475 0
1937 2,855 0
1949 28,631 390
1950 93,782 261
1951 155,716 125
1952 173,558 44
1953 226,644 50
1954 133,520 0
1955 88,730 3,835
1956 113,300 3,205
1957 72,950 0
1958 44,225 0
1959 54,265 0
1960 17,535 0
1961 33,130 0
1962 14,570 0
1963 13,735 0
1964 13,835 590
  • 埼玉県統計書、埼玉県統計年鑑各年度版
  • 1945-1948年度統計なし
  • 1964-1967年度取扱い量なし

朝鮮戦争勃発による在日米軍の物資貯蔵用地造成のため、1953年に北所沢駅まで大量の砂利を輸送した[8]

駅周辺[編集]

農地がいくつか点在しているものの、大半が未利用地荒地で、民家はほとんどなかった。

隣の駅[編集]

西武鉄道
安比奈線
南大塚駅 - 安比奈駅

脚注[編集]

  1. ^ a b c 安比奈線の鉄道事業の廃止について” (PDF). 西武鉄道公式ホームページ (2017年5月31日). 2017年6月1日閲覧。
  2. ^ a b c 西武安比奈線ウォークを実施!” (PDF). 西武鉄道. p. 2 (2009年10月21日). 2015年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月11日閲覧。
  3. ^ 西武HD、安比奈線の廃止決定 半世紀の謎に決着 関連で減損126億円”. 日本経済新聞 (2016年2月10日). 2022年7月9日閲覧。
  4. ^ 2016年3月期 第3四半期 決算実績 概況資料”. 西武ホールディングス (2016年2月10日). 2016年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月10日閲覧。
  5. ^ a b c 『日本鉄道旅行地図帳』4 関東2、52頁。
  6. ^ 復興社は1946年に所沢車両工場(西武所沢車両工場)を発足させており砂利採取船、砂利採取関係機械の製作をおこなっていた。西尾恵介『所沢車輌工場ものがたり 上』ネコパブリッシング41頁
  7. ^ 1067 mm軌間の 一〇〇式鉄道牽引車は駅構内に使用
  8. ^ 益井茂夫「在日米軍専用線No.1008」『トワイライトゾーンMANUAL5』1996年

参考文献[編集]

  • 今尾恵介(監修)『日本鉄道旅行地図帳』 4 関東2、新潮社、2008年。ISBN 978-4-10-790022-7 
  • 青木栄一・三宅俊彦『森林鉄道からトロッコまで』大正出版、2005年、106-107頁
  • 『トワイライトゾーンMEMORIES 1』ネコパブリッシング、2005年、18頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]