安国寺 (壱岐市)

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安国寺
Ankokuji (Iki), hondou.jpg
本堂
所在地 長崎県壱岐市芦辺町深江栄触546
位置 北緯33度46分9.6秒
東経129度44分54.5秒
座標: 北緯33度46分9.6秒 東経129度44分54.5秒
山号 老松山
宗派 臨済宗大徳寺派
本尊 地蔵菩薩(延命地蔵)
法人番号 7310005005849
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山門

安国寺(あんこくじ)は、長崎県壱岐市芦辺町深江栄触にある臨済宗大徳寺派の寺院。

歴史[編集]

1338年(暦応元年)足利尊氏直義は、平和祈願と元寇以来の戦死者の冥福を弔うために、従来あった海印寺を安国寺とした。室町時代の貴重な文化財を多く所蔵し、なかでも高麗版大般若経は国の重要文化財に指定されている。開山は観応元年(1350年)に来島した京都南禅寺の禅師無隠元晦。仏殿は安政8年(1779年)の再建。二重屋根で「師子窟」の扁額が掛かる。また境内には長崎県指定天然記念物のスギの巨木がある。[1]

  • 1350年 足利尊氏の鬢髪が安国寺に到来(3月9日)
  • 1462年 志佐壱岐守源義が安国寺を造営
  • 1486年 大般若経が長崎県東彼杵郡川棚町の長浜大明神より施入される
  • 1552年 波多氏古若女から地蔵菩薩の奉納あり
  • 1779年 仏殿(獅子窟)を再建
  • 1912年 位牌堂完成
  • 1965年 大般若経が県有形文化財に指定
  • 1969年 大杉が県天然記念物に指定
  • 1974年 安国寺跡が県史跡に指定
  • 1975年 什物10点が県有形文化財に指定。高麗版大般若経が国の重要文化財に指定。
  • 1977年 大般若経を保存修理(948万円)
  • 1990年 宝物展示館を建設
  • 1994年 大般若経が盗まれる
  • 1995年 盗まれた大般若経と酷似したものが韓国の国宝に指定された。
  • 1998年 日本政府は韓国側に調査協力を要請したが、韓国側から「要請にこたえることは難しい」と回答。

高麗版大般若経[編集]

大般若経591帖が6箱に収められ、安国寺経蔵に保存されていた。当初は巻物であったが、折本装に改められている。591帖の内訳は高麗時代の版本が219帖、後に補われた写本が372帖となっている。版本は高麗初雕本で、うち6帖に施入者高麗国金海府戸長礼院使許珍寿、中に契丹()の重熙15年(1046年)丙戌4月の奥書がある。写本の筆写年は、建武4年(1337年)、正平18年(1363年)、建徳2年(1371年)、応安5年(1372年)から、天正元年(1573年)に至り、長い年月をかけて完成につとめたことがうかがえる。高麗初雕本は日本では珍しく、京都南禅寺に有欠本が伝わっている。1420年応永27年)彼杵郡河棚村(現東彼杵郡川棚町)の長浜五所大明神に寄進された大般若経一部600巻が、のち文明18年(1486年)出羽立石寺如円坊によって、安国寺に施入された。[2][3]

盗難[編集]

1994年7月23日に591帖のうち493帖が宝物殿から盗まれていることが発覚した。1995年にしみや汚れ、巻末の署名などが酷似したもの3帖が韓国で「発見」され、韓国の国宝284号に指定された。日本の外務省が1998年に韓国政府に対して調査を依頼したが、個人所有であるとして返還が認められなかった。所有者は、コリアナ化粧品(코리아나화장품)会長で韓国博物館会会長の兪相玉(유상옥、ユ・サンオク)である[4]

韓国政府との交渉[編集]

2011年(平成23年)4月27日、朝鮮王室儀軌の引き渡しに関して、衆議院外務委員会で日韓図書協定が可決され、4月28日には衆議院本会議でも可決された。この儀軌引き渡しに関連して、同2011年4月、日本の外務省大韓民国外交通商部に対し、1994年安国寺から盗まれた「高麗版大般若経」と、2002年(平成14年)に鶴林寺から盗まれた「阿弥陀三尊像」について、韓国内流入の事実確認や詳しい経緯の再調査を要請した[5]

この日本政府の要請に対して、韓国政府は、高麗版大般若経については確認できないとして2001年に韓国国内法において時効としていた[5]。また、「阿弥陀三尊像」掛け軸については、韓国政府の調査協力により、韓国人男性二名が韓国で実刑判決を受けたが、2011年現在、実物は行方不明のままである[5]

文化財[編集]

重要文化財(国指定)[編集]

長崎県指定文化財[編集]

壱岐安国寺のスギ
  • 有形文化財
    • 安国寺什物 10点 - 1975年(昭和50年)1月7日指定[6]
  • 史跡
    • 壱岐国安国寺跡 - 1974年(昭和49年)4月9日指定[7]
  • 天然記念物
    • 壱岐安国寺のスギ - 1968年(昭和43年)12月23日指定[8]

脚注[編集]

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  1. ^ 長崎県の文化財 壱岐国安国寺跡(長崎県学芸文化課)
  2. ^ 壱岐市立一支国博物館 主な展示品 高麗版大般若経〔初彫本〕
  3. ^ 長崎県の文化財 高麗版大般若経(安国寺)
  4. ^ 菅野朋子「【特別リポート】消えた「重要文化財を追え!」壱岐・安国寺の寺宝は「韓国の国宝」になっていた!」、『週刊新潮2005年10月13日号』、新潮社、2005年10月。
  5. ^ a b c 盗難文化財の再調査を韓国に要請 外務省”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2011年5月9日). 2011年5月13日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2011年12月10日閲覧。
  6. ^ 安国寺什物10点(長崎県ホームページ)。
  7. ^ 壱岐国安国寺跡(長崎県ホームページ)。
  8. ^ 壱岐安国寺のスギ(長崎県ホームページ)。

参考文献[編集]

  • 菅野朋子『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社、2012/10)

周辺施設[編集]

外部リンク[編集]