子安美知子

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子安 美知子(こやす みちこ、1933年9月5日 - )は、日本のドイツ文学者、ドイツ語翻訳者早稲田大学名誉教授。

ドイツの神秘家・教育者ルドルフ・シュタイナーの思想である人智学(アントロポゾフィー)と教育実践であるシュタイナー教育(ヴァルドルフ教育)を日本に紹介した。2004年3月まで早稲田大学語学教育研究所教授。

略歴[編集]

ソウル生まれ。父は経済学者の森谷克己[1]。古典学者の森谷宇一・阪大名誉教授は弟。夫は日本思想史家の子安宣邦、娘はエッセイスト・ミュージシャンの子安文

1956年東京大学教養学科ドイツ文科卒業、大学院比較文学比較文化専修修士課程修了。大学院の修士論文のテーマは、『青鞜』の運動家・平塚らいてうである[2]早稲田大学助教授、教授、2004年定年退任、名誉教授。

1970年代、最初は単身、次いで家族で西ドイツに留学し、娘の文をシュタイナー学校に通わせた。その体験を描いた『ミュンヘンの小学生』が話題となり、1976年、毎日出版文化賞を受賞。その後もシュタイナー教育に関する本を出し、ついでミヒャエル・エンデに関する著書も著し、彼の作品を翻訳した。エンデとは個人的に親交があった。

NPO法人「あしたの国まちづくりの会」理事。株式会社ルドルフ・シュタイナー・モルゲンランド取締役。「九条科学者の会」呼びかけ人も務めている[3]。2012年瑞宝中綬章受勲。

批判[編集]

哲学者・ドイツ語学者の牧野紀之は、子安美知子はシュタイナー教育について、娘にとってどうだったか親の視点で述べているが、教育者である自身の教育がシュタイナー教育を知ることでどう変わったかを全く述べていないと指摘している。欧米の思想を主体的・批判的に捉え直すこともなく日本に紹介し、ひたすらその思想を持ち上げ、無知な日本人に紹介・宣伝するというあり方は、日本の学者の思想研究に共通した欠点であり、また、こういった思想のあり方はシュタイナーの思想と一致するのだろうか、ということ考えずにいられるのは不思議である、と述べている。[4]

著書[編集]

単著[編集]

  • 『ミュンヘンの小学生 娘が学んだシュタイナー学校』中公新書 1975年
  • 『ミュンヘンの中学生 シュタイナー学校の教育から』朝日新聞社 1980年(のち朝日文庫)
  • 『魂の発見 シュタイナー学校の芸術教育』音楽之友社, 1981(のち河出文庫)
  • 『シュタイナー教育を考える』学陽書房, 1983(朝日カルチャーセンター講座)(のち朝日文庫,学陽書房女性文庫)
  • 『日本の夏 ぼくはミュンヘンから自分を探す旅に出た』晩成書房 1983(のち朝日文庫)
  • 『私とシュタイナー教育』学陽書房, 1984(のち朝日文庫)
  • 『西欧の親子関係 西ドイツ生活の体験から』早稲田大学出版部, 1984
  • 『エンデと語る』朝日新聞社(朝日選書)1986
  • 『「モモ」を読む』学陽書房, 1987(のち朝日文庫,学陽書房女性文庫)
  • 『ミュンヘン往き来 ふたつの国の娘と私』学陽書房, 1990(のち朝日文庫)
  • 『幸福の法則 それは、もう一人の「私」にめざめること』海竜社, 1994
  • 『シュタイナー再発見の旅 娘とのドイツ』小学館, 1997
  • 『シュタイナー教育入門』学習研究社, 2000

共著、編著[編集]

  • 上松佑二との共著『シュタイナー芸術としての教育』小学館, 1988
  • 子安文との共著『菜多沙 母と娘のリレーエッセイ』フレーベル館, 1993
  • 監修『エンデの贈りもの』河出書房新社, 1999
  • 上遠恵子との共著『いのちの樹の下で』海拓舎 2001

翻訳等[編集]

  • ヨハンナ・スピリ『ふしぎな城』山下肇共訳 スピリ少年少女文学全集 白水社 1960
  • ベルン自由教育連盟『“授業”からの脱皮』監訳 晩成書房、1980年
  • イレーネ・ヨーハンゾン『わたしのなかからわたしがうまれる』晩成書房、1982年
  • ペーター・ブリュッゲ『シュタイナーの学校・銀行・病院・農場』 学陽書房、1986年
  • ペーター・ボカリウス『ミヒャエル・エンデ』朝日新聞社、1993年
  • ミヒャエル・エンデ『ハーメルンの死の舞踏』朝日新聞社、1993年
  • ミヒャエル・エンデ『夢のボロ市』岩波書店(エンデ全集)、1997年

脚注[編集]

  1. ^ 『中国社会経済史研究 森谷克己遺稿論文』子安美知子等 1965
  2. ^ 子安美知子先生 シュタイナー教育 日本メンタルサービス研究所
  3. ^ 「九条科学者の会」呼びかけ人メッセージ (2005.3.13)
  4. ^ シュタイナー教育と子安美知子 マキペディア(発行人・牧野紀之)2013年12月02日

外部リンク[編集]