娑婆

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

娑婆(しゃば, さば、: sahā, サハー[1])は、仏教において、我々が住む現世(この世)・仏国土(三千大千世界)の名称。sahāには「大地」という意味がある。漢訳では「堪忍」という訳語が充てられることから、この世は、生老病死(しょうろうびょうし)や人間関係、さまざまな欲望など、煩悩に耐えていかなければならない世界であるという解釈もある。そうしたことから娑婆と名付けられ、また、「忍土」「俗世」ともいう。

日本での用例[編集]

江戸時代になり、吉原などの遊郭では、さえ出せば身分に関係なく自由に心ゆくまで遊べるということから、遊郭を「浄土」に見立て、郭(くるわ)の外の世界を娑婆と呼んだ。しかし一方、「籠の鳥」になっている遊女の視点から見ると、郭の中は地獄で、外の世界である「娑婆」こそ、自由に過ごせる人間的な世界である。この「遊女の視点」の意味合いのほうがだんだん一般的になっていき、軍隊や刑務所、閉鎖病棟などの拘束を受ける場所と外の世界を対比して、自由に過ごせる外の世界という肯定的な意味合いで娑婆と表現するようになった。

2017年現在、日本の公娼制度や軍隊は廃止になったが、刑務所自衛隊営内居住が義務となる自衛隊員)、社会的入院を強いられる病院老人ホームなどに対し、外(俗世)の世界を『娑婆』と言うことが多い。

脚注・出典[編集]