姑獲鳥の夏

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姑獲鳥の夏
ジャンル ミステリー伝奇
小説:姑獲鳥の夏
著者 京極夏彦
出版社 講談社
レーベル 講談社ノベルス
発売日 1994年9月
映画:姑獲鳥の夏
監督 実相寺昭雄
制作 日本ヘラルド映画
封切日 2005年7月16日
上映時間 123分
漫画
原作・原案など 京極夏彦
作画 志水アキ
出版社 角川書店
掲載誌 コミック怪
発表期間 2013年1月 - 2014年12月
巻数 全4巻
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姑獲鳥の夏』(うぶめのなつ)は、京極夏彦の長編推理小説。「百鬼夜行シリーズ」の第一弾である。

京極夏彦が本作を講談社に持ち込みをしたことでメフィスト賞創設のきっかけとなったデビュー作品である。2005年に実相寺昭雄によって映画化された。

書誌情報[編集]

あらすじ[編集]

梅雨も明けようという夏のある日、関口巽は、古くからの友人である中禅寺秋彦の家を訪ねるべく眩暈坂を登っていた。関口は最近耳にした久遠寺家にまつわる奇怪な噂について、京極堂ならば或いは真相を解き明かすことができるのではないかと考えていた。関口は「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うか」と切り出す。京極堂は驚く様子もなく、「この世には不思議なことなど何もないのだよ」と返す。

久遠寺梗子の夫で、関口らの知り合いである牧朗の失踪、連続して発生した嬰児死亡、代々伝わる「憑物筋の呪い」など、久遠寺家にまつわる数々の事件について、人の記憶を視ることができる超能力探偵・榎木津礼二郎や京極堂の妹である編集記者・中禅寺敦子、東京警視庁の刑事・木場修太郎らを巻き込みながら、事態は展開していく。さらにこの事件は、関口自身の過去とも深く関係していた。

牧朗の行方、妊婦の謎、久遠寺家の闇……全ての「憑き物」を落とすため、「拝み屋」京極堂が発つ。

登場人物[編集]

中禅寺 秋彦(ちゅうぜんじあきひこ)
拝み屋であり古本屋を営む。屋号である「京極堂」があだ名となっている。非常に博学な人物である。
関口 巽(せきぐち たつみ)
小説家。敦子から久遠寺産科医院の噂を聞き、取材のために久遠寺産科医院を訪れる。
榎木津 礼二郎(えのきづ れいじろう)
「薔薇十字探偵社」の破天荒な私立探偵。中禅寺と関口の旧制高等学校の一期先輩で牧朗とは同期。特殊な能力を持っている。
木場 修太郎(きば しゅうたろう)
刑事。戦時中の関口の部下であり、榎木津の幼馴染。屈強な風貌から「旦那」と呼ばれている。
中禅寺 敦子(ちゅうぜんじ あつこ)
中禅寺秋彦の妹で、新聞社の社員。関口巽に久遠寺産科医院の噂を聞かせる。

久遠寺産科医院・久遠寺家[編集]

四国から移ってきた一族。女系家族である。 大名家お抱えの医師の家系である一方、「六部殺し」や「オショボ憑き」の噂も付き纏っていた。

久遠寺 嘉親(くおんじ よしちか)
涼子・梗子の父親で、院長。元は外科医。牧朗の求婚を断ってきたが、ドイツに留学した牧朗と梗子の結婚を認める。
久遠寺 菊乃(くおんじ きくの)
涼子・梗子の母親で、事務長。武家の妻女を思わせる夫人。牧朗がどこかに潜んで久遠寺家を呪っていると思い込む。
久遠寺 涼子(くおんじ りょうこ)
久遠寺家の長女。梗子とは年子の姉妹。生まれつき病弱。牧朗の失踪の真相解明を薔薇十字探偵社に依頼した。榎木津によれば、過去に関口と出会っているという。
久遠寺 梗子(くおんじ きょうこ)
久遠寺家の次女で、牧朗の妻。牧朗の失踪後、20ヶ月以上妊娠状態が続いている。
久遠寺 牧朗(くおんじ まきお)
梗子の夫で、婿養子。旧姓は藤野(ふじの)。関口や中禅寺の学生時代の先輩で、当時からのあだ名は藤牧(ふじまき)。
学生時代に縁日で来ていた久遠寺梗子に一目惚れし、関口を通して彼女に恋文を渡した。その後、梗子の両親に彼女との結婚を求めていたが、断られてしまった。ドイツに留学して医師の免状を習得し、梗子と結婚したが、夫婦の住まいから姿を消してしまった。

使用人・看護婦・関係者[編集]

内藤 赳雄(ないとう たけお)
住み込みの医師見習い。陰険な性格。久遠寺夫人から目をかけられていたが、それ以外の人間からはあまりいい評価をもらっていない。
菅野 博行(すがの ひろゆき)
久遠寺医院で小児科を担当していた医師。涼子によれば、戦渦に巻き込まれて死んだという。「開かずの間」の鍵を所有していたらしい。
澤田 時蔵(さわだ ときぞう)
元使用人。祖母が行き倒れていたときに、久遠寺家に世話になった。牧朗の失踪後、何かに怯えるようにして遠縁で乾物店を営んでいる梅本常子の元に身を寄せる。
澤田 富子(さわだ とみこ)
元使用人で、時蔵の妻。牧朗の失踪後、梅本常子の元に身を寄せる。
戸田 澄江(とだ すみえ)
久遠寺医院に勤めていた元看護婦。アパートで変死していた。
原澤 伍一(はらざわ ごいち)・原澤 小春(はらざわ こはる)
赤ん坊が消えた三組の夫婦の一組。その件を訴えていたが、突然、その訴えを取り下げる。

警察関係者[編集]

青木 文蔵(あおき ぶんぞう)
東京警視庁捜査一課の刑事。木場の部下。
木下 圀治(きのした くにはる)
木場の部下で青木の同僚の刑事。
里村 紘市(さとむら こういち)
監察医。三度の飯より解剖が大好きな変人だが、腕は確か。

映画[編集]

姑獲鳥の夏
監督 実相寺昭雄
脚本 猪爪慎一
製作 荒井善清
森隆一
出演者 堤真一
永瀬正敏
原田知世
阿部寛
音楽 池辺晋一郎
撮影 中堀正夫
編集 矢船陽介
配給 日本ヘラルド映画
公開 日本の旗 2005年7月16日
上映時間 123分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 5.5億円
次作 魍魎の匣
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日本ヘラルド映画配給により2005年7月16日に公開。監督は実相寺昭雄興行収入5.5億円[1]

原作者の京極夏彦は俳優として出演しているほか、追加のセリフを執筆するなど製作にも参加している[2]。京極は水木しげるを意識した傷痍軍人役での出演であったが、監督の実相寺は本作品のロケ中に偶然水木本人と出会っており、実相寺は京極が取り持った不思議な縁であったと述べている[2]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

関連商品[編集]

DVD[編集]

  • 姑獲鳥の夏 プレミアム・エディション: ジェネオンエンタテインメント、2005年11月25日発売。
  • 姑獲鳥の夏 京極堂BOX: ジェネオンエンタテインメント、2005年12月22日発売。
  • 姑獲鳥の夏 『魍魎の匣』公開記念版: ジェネオンエンタテインメント、2007年12月7日発売。

CD[編集]

オリジナル・サウンドトラック『姑獲鳥の夏』:池辺晋一郎、ジェネオンエンタテインメント、2005年6月27日発売。
  1. 成熟へのプロセス
  2. 幻覚〜オンド・マルトノによるmusic effect
  3. 奇妙な子守唄
  4. 錯乱〜プリペアード・ピアノによるmusic effect
  5. 羊水のように
  6. かげろう、揺れる
  7. 眩暈〜アナラポスによるmusic effect
  8. 分裂する刺客
  9. 妄執〜パーカッションによるmusic effect
  10. 真空のこだま
  11. 第三の人格〜ストリングスとパーカッションによるmusic effect
  12. 引き金〜ストリングスと20絃箏によるmusic effect
  13. あがらない遮断機
  14. 風と、ためいきと…

書籍[編集]

  • 姑獲鳥の夏 Perfect Mook (別冊宝島):宝島社、2007年7月7日発売。(ISBN 9784796647311
  • 映画『姑獲鳥の夏』OFFICIAL BOOK (講談社 MOOK)、講談社、2005年7月13日発売。(ISBN 9784061795778
  • 妖怪映画夏の陣-京極夏彦『姑獲鳥の夏』VS『妖怪大戦争』 (洋泉社MOOK)、2005年7月発売。(ISBN 9784896919387

漫画[編集]

志水アキにより漫画化され、前作『狂骨の夢』に引き続き「コミック怪」で連載された。

書誌情報[編集]

角川書店、怪COMICより発売。

  1. 2013年7月24日発行 ISBN 978-4-04-120766-6
  2. 2014年1月24日発行 ISBN 978-4-04-120975-2
  3. 2014年10月24日発行 ISBN 978-4-04-102240-5
  4. 2015年1月24日発行 ISBN 978-4-04-102241-2

脚注[編集]

  1. ^ 「2005年度 日本映画・外国映画 業界総決算 経営/製作/配給/興行のすべて」、『キネマ旬報2006年平成18年)2月下旬号、キネマ旬報社2006年、 178頁。
  2. ^ a b 池田憲章「実相寺昭雄の小宇宙 ACT3 実相寺昭雄インタビュー」、『宇宙船』Vol.118(2005年5月号)、朝日ソノラマ2005年5月1日、 pp.75-77、 雑誌コード:01843-05。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]