奥田継夫

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奥田 継夫(おくだ つぐお、1934年昭和9年〉10月28日 - )は、日本児童文学作家評論家翻訳家

略歴・人物[編集]

大阪府出身。大阪府立住吉中学校(旧制)進学、同級生には眉村卓がいた[1]。卒業後、同志社大学文学部国文科に進学。在学中に乙骨淑子柴田道子山下明生掛川恭子らと同人誌「こだま」に参加、卒業後に創作活動に専念する。

1968年、自らの太平洋戦争中の集団疎開の体験をもとに書いた処女作『ボクちゃんの戦場』(理論社)にてデビューした。この作品は1985年大澤豊の監督、前田吟藤田弓子ら出演で映画化された[2]

1988年『この心さわぐ冒険、愛』(ほるぷ出版)が第35回産経児童出版文化賞の「推薦」に選ばれた[3]

1993年『いやしんぼ』(理論社)がNHKによって「包丁いっぽん ~夢見てますか~」というタイトルでテレビドラマ化されている(主演・萩原聖人)。

そのほかの作品に『中学時代』『続いていた青い空』『夏時間』の戦後三部作をはじめ、『少年の時』『ピースボートの夏』などの多数の著書・エッセイ・翻訳がある。なお、主要著作は『奥田継夫ベストコレクション』(ポプラ社・全10巻)に収められている。

著書[編集]

創作[編集]

  • 『ボクちゃんの戦場』(しらいみのる絵、理論社) 1969年
  • 『中学時代 男女共学第1期生』(鈴木琢磨絵、講談社) 1973年、のち文庫
  • 『日付のないLove Letters』(理論社) 1974年
  • 『かげぼうしがきえるとき』(永田力絵、大日本図書) 1975年
  • 『影ぼうしはどこへ行った?』(すばる書房盛光社) 1975年
  • 『魔法おしえます』(米倉斉加年偕成社) 1975年
  • 『泳ぐ夏休み』(東君平絵、アリス館牧新社) 1976年
  • 『夏時間』(山口幸平絵、偕成社) 1976年
  • 『続いていた青い空』(司修絵、PHP研究所) 1976年
  • 『とりだす魚』(長新太, 司修, 吉田たろう絵、PHP研究所) 1977年
  • 『星にいったパイプじいさん』(井上洋介絵、ポプラ社) 1978年
  • 『あまがささかさま』(粟津謙太郎絵、編集工房ノア、手のひら文庫) 1979年
  • 『海の時間のまま』(国井節絵、ポプラ社) 1979年
  • 『はだかんぼうがふたり おとなっていいなあこどもっていいなあ』(関屋敏隆絵、サンリード) 1979
  • 『おかえりなさいおとうさん』(小野千世絵、PHP研究所) 1980年
  • 『さかな石ゆうれいばなし 楽語』(関屋敏隆画、岩崎書店) 1980年
  • 『さくらさん、おばあさんになる』(米倉斉加年絵、冬樹社) 1980年
  • 『少年の時』(山口幸平画、小学館) 1981年
  • 『そんなことって、ある?』(西村繁男絵 、ンリード) 1981年
  • 『ぼうしのなかの女の子ぼうしのなかの男の子』(鴨居羊子絵、旺文社) 1981年
  • 『赤いかささーしてた女の子』(遠藤てるよ絵、あかね書房) 1982年
  • 『いじっぱりっ子なみだっ子』(奈良坂智子絵、ポプラ社) 1982年
  • 『いやしんぼ』(田島征三絵、理論社) 1982
  • 『イルカのおよぐ日』(かみやしん絵、国土社) 1982年
  • 『おじいちゃんとあくしゅ』(かみやしん絵、あかね書房) 1982年
  • 『かがみよかがみ…』(長新太絵、サンリード) 1982年
  • 『三角の部屋』(太田大八絵、ほるぷ出版) 1982年
  • 『清水一郎のふしぎな話』(片山健絵、佑学社) 1982年
  • 『手品でございます』(藤田龍児ほか絵、学校図書) 1982年
  • 『はいたつされたふしぎなじゅもん』(かすや昌宏絵、大日本図書) 1982年
  • 『おばあちゃんのスイート・ポテト』(小沢良吉絵、金の星社) 1983年
  • 『お母ちゃんお母ちゃーんむかえにきて 集団疎開の絵本』(梶山俊夫絵、小峰書店、日本のえほん) 1985年
  • 『クリスマス急行』(小沢摩純絵、ほるぷ出版) 1986年
  • 『あさ子ちゃん、さようなら あさ子ちゃん、こんにちは』(梅田俊作絵、岩崎書店) 1987
  • 『おかあちゃんきてください』(関屋敏隆絵、くもん出版) 1987年
  • 『くつくつさいた花さいた』(奈良坂智子絵、教育画劇、スピカの幼年どうわ) 1987年
  • 『この心さわぐ冒険、愛』(ほるぷ出版) 1987年
  • 『魔女シャーホ』(小沢摩純絵、佼成出版社) 1987年
  • 『サンドイッチは夢のとき』(浜田洋子絵、くもん出版) 1989年
  • 『はらぺこホットケーキ・ソング』(宮崎博和絵、国土社) 1989年
  • 『ゆめがとびだしたケーキ』(小沢摩純絵、佼成出版社) 1989年
  • 『ヒツジくんのカレー』(佐々木麻こ絵、岩崎書店) 1992年
  • 『先生志願』(岩崎書店、ヤング・アダルト文庫) 1993年
  • 『いのちをうばった神さま』(宮崎博和絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 『おじいさんの奇妙な旅』(磯田和一絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 『鬼の子太郎』(太田大輔絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 『きえていく時間』(味戸ケイコ絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 『島太郎へんしん』(太田大八絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 『死んだスーパーマン』(久住卓也絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 『つりギツネをつった男』(二俣英五郎絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 『扉をあけるとふしぎな世界』(浜田洋子絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 『ねずみとかめのふしぎな時間』(佐々木麻こ絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 『墓場のあかちゃん』(関屋敏隆絵、大日本図書、こわい話ふしぎな話) 1994年
  • 奥田継夫ベストコレクション」(ポプラ社) 2001年 - 2002年
    『影ぼうしはどこへ行った? 』
    『夏時間』
    『中学時代』
    『ボクちゃんの戦場』
    『いやしんぼ』
    『海の時間のまま』
    『この心さわぐ冒険、愛』
    『こわい話・ふしぎな話』
    『少年の時』
    『先生志願』
  • 『お正月さん』(太田大八絵、ポプラ社、絵本の時間) 2003年
  • 『お父さんのeメール』(ポプラ社) 2004年
  • 『スマトラ愛ストーリー』(ポプラ社) 2005年
  • 『どこでねるの』(岩村和朗絵、チャイルド本社、はじめましてのえほん) 2007年

評論・エッセイ[編集]

  • 『絵本部屋にて』(編集工房ノア) 1978年
  • 『子どもが大人になるとき』(晶文社) 1981年
  • 『ティータイムには童話をどうぞ』(国土社) 1982年
  • 『子どもの色、空の色』(人文書院) 1983年
  • 『君たちは性をどう考えるか』(筑摩書房、ちくま少年図書館) 1984年
  • 『かきく毛考さしす世相』(北宋社) 1986年
  • 『酒の肴があれば、呑むことにしよう』(編集工房ノア) 1986年
  • 『ピースボートの夏 ぼくの東南アジア航海記』(ほるぷ出版) 1988年
  • 『映画に出演した少年たち 「ぼくちゃんの戦場」の戦場』(ほるぷ出版) 1990年
  • 『少年の性』(大月書店) 1990年
  • 『世界にも学童疎開があった』(日本機関紙出版センター (発売)) 1990年
  • 『どこかで鬼の話 鬼の本をよみとく』(人文書院) 1990年
  • 『親にも読ませたい子どもの本ガイド』(大月書店、国民文庫) 1991年
  • 『世界映画ライブラリー』全2冊(大月書店、国民文庫) 1991年 - 1992年
  • 『食べて歩いてやっと旅人らしく』(三一書房) 1998年、のち改題『五〇歳からの自由旅行』(新潮OH!文庫)
  • 「シリーズ映画で考える」全3巻(ポプラ社) 2001年
    1. 『映画で考える学校・家族』
    2. 『映画で考える青春・恋・性』
    3. 『映画で考える戦争』
  • 『浪花のいやしんぼ語源自典』(東方出版) 2001年
  • 『大人も読みたい子どもの絵本』(大月書店) 2006年
  • 『語源で探るユダヤ・キリストの逆コード』(彩流社) 2006年
  • 『魅せられてインド陰陽紀行』(彩流社) 2009年
  • 徐福紀行 魅せられて中国、食彩と歴史空間』(彩流社) 2012年

翻訳[編集]

  • 『いえのなかを外へつれだしたおじいさん』(アーノルド・ローベル、アリス館牧新社) 1976年
  • 『魔女たちのあさ』(エドリアン・アダムズ、アリス館牧新社) 1977年
  • 『マリアンの海』(フランス・ファン・アンローイ文、ヤープ・トウル絵、アリス館牧新社) 1978年
  • 『ちいさいちいさいぞうのゆめ・・・です』(ルース・ボーンスタイン、ほるぷ出版) 1979年
  • 『ペーターの赤ちゃん』(グン・ヤコブソン、ケイコ・コックム共訳、国井節絵、ポプラ社、文学の館) 1980年
  • 『ペーターと女友達』(グン・ヤコブソン、ケイコ・コックム共訳、国井節絵、ポプラ社) 1981年
  • 『ちいさないぬのゆめ・・・でした』(ルース・ボーンスタイン、ほるぷ出版) 1981年
  • 『三びきのかなしいトロル』(マリー・ブランド、木村由利子共訳、岩崎書店) 1981年
  • 『魔女たちのパーティ』(ロンゾ・アンダーソン作、エイドリアン・アダムズ絵、佑学社、アメリカ創作絵本シリーズ) 1981
  • 『ママたちとパパたちと』(グンネル・リンデ、木村由利子共訳、冨山房) 1981年
  • 『リトル・セックス』(ハンス・ハンセン、木村由利子共訳、晶文社、ダウンタウン・ブックス) 1981年
  • 『結婚ごっこ』(ニルス・ベルイクヴィスト、木村由利子共訳、晶文社、ダウンタウン・ブックス) 1982年
  • 『おねぼうニコライ』(マリー・ブランド、木村由利子共訳、岩崎書店) 1982年
  • ひみつの白い石』(グンネル・リンデ、木村由利子共訳、冨山房) 1982年
  • 『白くまマリヌス』(フランス・ベアリナー作、フルール・ブロフォス・アスムセン絵、木村由利子共訳、大日本図書) 1982年
  • 『荒野に生きる詩』(ニルス・イェンセン、木村由利子共訳、鈴木康司画、篠崎書林) 1983年
  • 『誕生日の青い自転車』(アンニカ・ホルム作、トーモズ・キッデ絵、木村由利子共訳、大日本図書) 1984年
  • 『トンチンカンばあさん』(レンナルト・ヘルシング再話、イブ・スパング・オルセン絵、ほるぷ出版) 1984年
  • 『マリアンの海』(フランス・ファン・アンローイ文、ヤープ・トウル絵、アリス館) 1986年
  • 『ウォー・ボーイ 少年は最前線の村で大きくなった。』(マイケル・フォアマン、ほるぷ出版) 1992年

スベン・オットー[編集]

  • 『おじいちゃんにあいに』(ハンス・ピーターソン文、スベン・オットー絵、木村由利子共訳、アリス館牧新社) 1976年
  • 『かぼちゃひこうせんぷっくらこ』(レンナート・ヘルシング文、スベン・オット絵、木村由利子共訳、アリス館牧新社) 1976年
  • 『タクシーのすきな犬』(スベン・オットー、木村由利子共訳、評論社) 1979年
  • 『ティムとトリーネ』(スベン・オットー、木村由利子共訳、評論社) 1979年
  • 『マスとミラリク グリーンランドの絵本』(スベン・オットー、木村由利子共訳、評論社) 1979年
  • 『クリスマスの絵本』(スベン・オットー、木村由利子共訳、評論社) 1980年

リチャード・スキャリー[編集]

スキャリーおじさんのだいすきシリーズ[編集]

(ブックローン出版) 1989年

    1. 『スニッフはたんていだいすき』
    2. 『スモーキーはしょうぼうだいすき』
    3. 『ドクターふうふはびょういんだいすき』
    4. 『ハリーとラリーはりょうしがだいすき』
    5. 『パトリックふうふはおひゃくしょうだいすき』
    6. 『フランシスはしゅうぜんだいすき』

「せかいいち」シリーズ[編集]

(ブックローン出版) 1996年

    1. 『せかいいちいそがしいぶたのしょうぼうし』
    2. 『せかいいちおいしいバナナ・スープ』
    3. 『せかいいちさわがしいかばのヒルダさん』
    4. 『せかいいちどじなぶたのフランブルさん』
    5. 『せかいいちはらぺこな3にんぐみ』
    6. 『せかいいちゆかいなとうさんねこのたんじょうび』

脚注[編集]

  1. ^ 『中学時代』(講談社文庫)解説より
  2. ^ ボクちゃんの戦場 : 作品情報 - 映画.com
  3. ^ 産経児童出版文化賞過去の受賞作品 | いべさん