奥津温泉

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奥津温泉
日帰り温泉施設「花美人の里」
温泉情報
所在地

岡山県苫田郡鏡野町

岡山県地図
座標 北緯35度13分22.7秒 東経133度55分12.6秒 / 北緯35.222972度 東経133.920167度 / 35.222972; 133.920167座標: 北緯35度13分22.7秒 東経133度55分12.6秒 / 北緯35.222972度 東経133.920167度 / 35.222972; 133.920167
交通 鉄道:姫新線津山線津山駅より中鉄北部バスで約50分
泉質 単純温泉
泉温(摂氏 35 - 44 °C
湧出量 1000 L(毎分)
液性の分類 アルカリ性
外部リンク 鏡野町観光ナビ 奥津温泉
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奥津温泉(おくつおんせん)は、岡山県苫田郡鏡野町に湧出する温泉である。かつての美作国に当たる場所であり、湯郷温泉湯原温泉と共に「美作三湯」と呼ばれる。

泉質[編集]

温泉地[編集]

足踏洗濯場

吉井川に架かる奥津橋を中心に温泉街が形成されており、日帰り入浴施設も有する。また、河原には露天風呂が2つ有り、この露天風呂の片方は「洗濯湯」と呼ばれ、そこで行われる足踏み洗濯が有名である。この足踏み洗濯は、pH9.2の温泉水が持つ漂泊効果を利用[2]して、 付近の山々には棲息するを見張りながら家事をこなすという生活の知恵として編み出された行為として知られる[3]。現代でも洗濯に使う住民がいるほか、3~11月の日曜・祝日に観光客向けの実演が行われている[2]

国道179号沿いには道の駅奥津温泉が存在するが存在するものの、入浴施設は併設されていない。

洗濯場から見て、吉井川を約2 km下流側に行った場所には、般若寺温泉と大釣温泉も有るものの、般若寺温泉と大釣温泉も、上流側の奥津温泉が湧出する場所と同じ断層の真上付近に湧出していると推定される温泉であり、これらを総称して全体を「奥津温泉」と呼ぶ場合もある[4]。なお、津山藩が関係する「鍵湯」では浴槽の底から温泉水が自然湧出している他に、般若寺温泉の場合は吉井川右岸の岩壁から温泉水が自然湧出している[4]

歴史[編集]

開湯伝説では、少彦名命による発見とされる[2]

江戸時代津山藩湯治場であった。旅館の奥津荘にある「鍵湯」は、藩主森忠政が一般の利用を禁じ、番人を置いて鍵をかけたことに由来する[2]

コーセーはこの温泉の成分に基き、化粧水を作っている。

足踏み洗濯は昔から行われており、その様子を与謝野鉄幹が、次のように短歌に読んだ[3]

衣洗う 奥津のおとめ 河床の 清きに立ちて 踊るごと践む

ただ、1926年に大規模な火災が発生し、温泉街が焼失した[5]

藤原審爾の小説『秋津温泉』の舞台であり、映画化に際しては当地で撮影も行われた。この映画が1962年に公開された結果、奥津温泉は知名度を向上させた[6]

1966年8月1日に国民保養温泉地に指定され、1991年には国民保健温泉地に指定された。中鉄バス岡山市津山市~奥津温泉への急行バスを運行し、ロマンスカーと命名され脚光を浴びた。また、多角経営の第1号として奥津荘の経営も一時期行っていた。

2001年から温泉街では湯巡手形を発行していたものの、縮小に伴い2014年12月25日を以ってサービスを終了した。

アクセス[編集]

出典[編集]

  1. ^ 主婦の友社(編)『主婦の友ベストBooks 見直したい日本の「美」 日本の名湯100選』 p.134 主婦の友社 2010年3月10日発行 ISBN 978-4-07-270188-1
  2. ^ a b c d 【湯の心旅】奥津温泉(岡山県)春告げる「足踏み洗濯」/内から外から 疲れを流す『日本経済新聞』朝刊2020年12月21日別刷りNIKKEIプラス1(13面)
  3. ^ a b 主婦の友社(編)『主婦の友ベストBooks 見直したい日本の「美」 日本の名湯100選』 p.135 主婦の友社 2010年3月10日発行 ISBN 978-4-07-270188-1
  4. ^ a b 日本温泉科学会(監修)『図説 日本の温泉 ―170温泉のサイエンス―』 p.133 朝倉書店 2020年3月1日発行 ISBN 978-4-254-16075-8
  5. ^ 山村 順次 『47都道府県・温泉百科』 p.213 丸善出版 2015年12月30日発行 ISBN 978-4-621-08996-5
  6. ^ 山村 順次 『47都道府県・温泉百科』 p.214 丸善出版 2015年12月30日発行 ISBN 978-4-621-08996-5

関連項目[編集]

外部リンク[編集]