SLぐんま みなかみ

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奥利根号から転送)
SLぐんま みなかみ
SLレトロぐんま水上
D51 498の「SLぐんま みなかみ」
D51 498の「SLぐんま みなかみ」
概要
日本の旗 日本
種類 快速列車
地域 群馬県
前身 快速「SLみなかみ」
運行開始 2018年平成30年)10月6日
運営者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
路線
起点 高崎駅
停車地点数 6(起終点含む)
終点 水上駅
営業距離 59.1km
平均所要時間 2時間7分(下り)
1時間53分(上り)
運行間隔 1往復
列車番号 8731・8732
使用路線 上越線
車内サービス
クラス 普通車
身障者対応 なし
座席 全車指定席
娯楽 旧型客車運転日にラウンジカーの連結あり
技術
車両 #使用車両を参照
軌間 1,067 mm
電化 直流1,500 V[注 1]
最高速度 65km/h
備考
臨時列車扱い
旧型客車使用時は「SLレトロぐんま水上」で運転
2021年11月現在のデータ
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SLぐんま みなかみは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が上越線高崎駅 - 水上駅間で運行している、蒸気機関車(SL)牽引による臨時快速列車2018年(平成30年)10月6日に「SLみなかみ」から改称された。

本項では、上越線の同一区間を走行する機関車牽引の臨時列車についても記述する。

概要[編集]

以前は、上野 - 水上間を高崎線・上越線経由で運転する「EL&SL奥利根号」として、高崎以南を電気機関車(EL)牽引、高崎以北を蒸気機関車(SL)牽引で運行されていた。また、当時も、高崎以北のSL牽引区間のみで「SL奥利根号」として運行されることがあった。「SLみなかみ」の名称が登場したのは、運転開始後約20年目の2008年(平成20年)夏からである。その後、2009年(平成21年)からこの名称へ切り替えが行われた。2018年10月からは、群馬県で運転しているSLを多くの利用者に周知させるため「SLぐんま みなかみ」に改称された[1]

なお、使用車両を変更する際や記念列車として運行する際には列車名を変更されることがある(#特別運行節にて詳説)。

運行概況[編集]

主に夏休み期間や紅葉シーズンの土休日、ゴールデンウィークなどの連休などに1日1往復運行される。それ以外の期間にはSL列車は設定がないが、電気機関車牽引の「ELぐんま みなかみ」やディーゼル機関車牽引の「DLぐんま みなかみ」が設定されることがある[2]。年末年始の運行については、2018年の運行時に大雪時に転車台が使用できない事態が発生したことから以後運行を取りやめ、「SLぐんま よこかわ」に移行した。

快速列車を名乗るが、運行速度や途中駅での整備の都合上、上下とも渋川駅で定期普通列車に抜かされる。

停車駅[編集]

高崎駅 - 新前橋駅 - 渋川駅 - 沼田駅 - 後閑駅 - 水上駅

  • かつては上牧駅にも停車していた。

使用車両[編集]

いずれも高崎車両センターの所属。「SL奥利根号」「SLみなかみ」時代を含めた、定期的に使用された車両のみ記載する。

SLおよび客車の使用車両の予定は、約1ヶ月前からJR東日本の公式サイトで発表される。

蒸気機関車[編集]

  • D51形D51 498
    • 1988年に動態復元され、「EL&SL奥利根号」運行開始当初より使用されている。
  • C61形C61 20
    • 2011年に動態復元され、D51形とともに使用されている。

客車[編集]

  • オハ47形(オハ47 2246・2261・2266)
  • スハフ32形(スハフ32 2357)
  • スハフ42形(スハフ42 2173・2234)
  • オハニ36形(オハニ36 11)
    • いわゆる旧型客車であり、上記7両を組み合わせて運行される。運行開始当初から使用されており、「SLみなかみ」時代には旧型客車を使用するものについて「SLレトロみなかみ」の列車名を使用していた。
    • 2020年にリニューアルを受け、スハフ42形1両がラウンジカーに改装された。車内ではボードゲームの貸し出しなどが行われる[2]
  • 12系(オハ12 366・367・369、スハフ12 161・162)
    • 上記の6両は1995年頃に尾久客車区から転属してきたグループで、いずれも原型車であり、ラウンジカーは設けられていない。冷房があるため、夏季では必ず運行される。
    • 同系列は運行開始当初から使用されているが、1993年ごろから使用が増加している。なお、1995年頃に尾久客車区から転属してきた車両が使用開始される前は、原型車ながら座席モケットが赤系の色のものに、化粧板が茶系の色のものにそれぞれ交換された車両が使用されていた。
    • オハ12 368は2023年3月30日付で廃車された[3]
  • 50系(オハフ50 2501・2502)
    • 1998年 - 2000年頃、高崎発着の「SL奥利根号」に限り12系6両を4両に減車のうえ五能線の「ノスタルジックビュートレイン」から転用された眺望車(開放式の展望デッキ付き)を編成の前後に連結していた。しかし同車の廃車により元の編成に戻っている。

特別運行[編集]

ダイヤや使用車両を変更するなどして別の列車名で運行された事例を列記する。

SL重連奥利根
1990年 - 1996年1月(D51 498+C58 363+12系8両)や、2005年1月(D51 498+C57 180+12系6両)に運転。
パレオエクスプレス運休期間に運転された列車。1996年7月には旧型客車8両を使った列車も運転された。2005年正月には、新潟支社のC57 180を借り入れて重連運転が行われた。2011年7月にもC57 180が借り入れられた運行が行われた(下記参照)。
EL&SL浪漫
2001年 - 2003年の冬に運転(D51 498+14系「浪漫」)。
長野総合車両センターの14系「浪漫」を使ったお座敷列車。EL牽引区間はEF58 61が牽引していた。
EL&SLみなかみ物語
2001年 - 2004年1月に運転。2001年のみC58 363+EF58 61の重連運転で、2002年からはD51 498牽引。客車は「ばんえつ物語」用6・7両。
新潟車両センターの12系「ばんえつ物語」を借り入れての運行。2006年1月も運転予定だったが豪雪により運休となった。
2007年12月には「SLみなかみ物語」として運転された。
14系「ゆとり」を使用した「EL&SLお座敷ゆとり」
(2006年3月26日)
EL&SLお座敷ゆとり
2002年より毎年春運転(D51 498+14系「ゆとり」)。
尾久車両センターの14系「ゆとり」を使ったお座敷列車。2002 - 2006年の春に運転が行われたほか、2007年は9月に、高崎 - 水上間はD51 498ではなくEF60 19の牽引で「お座敷ゆとり水上」として運転された。
SL D51復活15周年記念号
2003年8月2日運転(D51 498+12系6両)[4]
列車名通り、D51 498の復活15周年を記念して企画された特別列車[4]。扱いは「EL&SL奥利根」と全く同じで、EL牽引区間については往路はEF55 1が、復路はEF60 19がそれぞれ牽引した[4]
SLレトロ奥利根
2004年8月28日29日に運転(D51 498+旧型客車5両)。本列車運転開始当初は旧型客車であったため、高崎駅開業120周年に合わせてリバイバルした列車である。
SL&EL駒子号・ループ線鑑賞号
前者は下り列車、後者は上り列車。2005年1月2930日運転(D51 498+EF64 1001+12系6両)。
高崎 - 越後湯沢間で運転された臨時列車。高崎 - 水上間はD51形とEF64形の重連運転、水上 - 越後湯沢間はEF64形の単独牽引となった。上り列車は上越線越後中里 - 土樽間と土合 - 湯檜曽間のループ線を走るため、愛称が下り列車と異なった。
SL&ELホワイトクリスマス
2005年12月24・25日運転(D51 498+EF64 1001+12系6両)。
高崎 - 越後湯沢間で運転された臨時列車。運行形態は前述の駒子、ループ線鑑賞号と同じ。ただし、豪雪により24日は運休となった。
EF58浪漫奥利根
2006年9月1617日運転(EF58 61+14系ジョイフルトレイン「浪漫」6両)。
SLみなかみ物語
2007年12月8・9日運転(D51 498+12系「ばんえつ物語」)。これ以後も不定期的に運行。
リニューアル後の12系「ばんえつ物語」を使用。高崎 - 水上間の運行。
2013年運転分からグリーン車が、2014年運転分からオコジョ展望ルームを連結。
EF55とEF64の重連運転となった「EL奥利根号」
(2008年12月6日)
EL奥利根号
2008年12月6日運転。上野 - 水上間で運転された臨時列車で、下り列車の全区間と上り列車の高崎以北はEF55 1とEF64 1001の重連牽引、上り列車の高崎以南はEF64形のみによる牽引。
SL D51復活20周年記念号
(2008年12月7日)
SL D51復活20周年記念号
2008年12月7日運転(D51 498+12系6両)。
列車名通り、D51 498の復活20周年を記念して企画された特別列車。扱いは「EL&SL奥利根」と全く同じで、EL牽引区間はEF64 1001が牽引した。
さよならEF55みなかみ号
2008年12月1314日運転。高崎 - 水上間で運転された臨時列車。EF55 1が12系6両編成(ばんえつ物語用編成。展望車減車)を牽引。
SLググっとぐんま号
(2010年7月3日)
SLググっとぐんま号
2010年7月3日に運転(D51 498+旧型客車6両)。SLレトロ奥利根以来6年ぶりの旧型客車を使用しての運行。D51 498は同年からの新装備である集煙装置後藤工場式大型切り取りデフを装着した重装備スタイルで登場。団体臨時列車で2011年開催の群馬DCのプレイベントのオープニング列車。
D51誕生70周年記念号
2010年11月23日に運転(D51 498+12系6両)。D51 498の古希を祝い、ナンバープレートが紫地となった。
SL C61復活号(2011年6月5日)
SL C61復活号
2011年6月の土・日曜日に運転(C61 20+旧型客車6両)。C61 20にとって復活後、初の営業列車となる。
SLググっとぐんまみなかみ号
2011年7月2日に運転(C61 20+C57 180+12系「ばんえつ物語」)。
上記の群馬デスティネーションキャンペーンのオープニング列車。「ばんえつ物語」の客車は展望車を連結しない6両で営業。高崎 - 水上間の運行。
2012年以降も、「ググっとぐんま観光キャンペーン」展開時にはこの名称が用いられる。この場合、高崎駅でのD51 498牽引「SLググっとぐんま碓氷号」との同時発車が行われ、牽引機はほとんどがC61 20での運行。
客車は2012年7月1日・9月30日・2015年10月4日が12系客車、2013年10月20日が旧型客車、2014年10月5日が12系「ばんえつ物語」をそれぞれ使用。
2016年10月1日は、群馬県知事のセレモニー出席スケジュールの関係で同時発車が不可能になった代わりに、D51 498とC61 20の重連運転(旧型客車5両)となった上、高崎駅13:12に発車する変則ダイヤとされた。なお、復路の水上駅からは「SL YOGISHA みなかみ」と同じダイヤで運行した。
SL重連みなかみ物語
2011年7月3日に運転(D51 498+C57 180+12系「ばんえつ物語」)。
上記の「SLググっとぐんまみなかみ号」の牽引機交代。D51 498はキャンペーンに合わせて標準仕様に復元。「ばんえつ物語」の客車は展望車を連結しない6両で営業。高崎 - 水上間の運行。
SL重連レトロみなかみ号(2011年9月24日)
SL重連レトロみなかみ号
2011年9月23 - 25日に運転(23日:D51 498+C61 20、24日:D51 498+C58 363、25日:C61 20+C58 363、客車はいずれも旧型客車6両)。
群馬デスティネーションキャンペーンのフィナーレ列車で、C58 363が10年ぶりに上越線で営業運行。SL重連による旧型客車運転は上記の1996年7月以来の実現となった。高崎 - 水上間の運行。
D51誕生記念号
2011年と2013年の11月23日に運転(2011年はD51 498+12系6両、2013年はD51 498+旧型客車6両)。70周年のような特別装飾は行わず、記念ヘッドマークの取り付けのみだった。
SLC61誕生記念号
2012年8月8日と2013年8月4日運転。
C61 20の誕生日を記念して運転され、客車は12系客車6両が使用される。ダイヤ等に変更はなく、特製ヘッドマークが取り付けられた。
SL七夕みなかみ・SLみなかみ織姫
2012 - 2014年の7月7日運転 D51 498牽引12系客車6両
後述のC61 20牽引「SLレトロみなかみ彦星」とのすれ違いを実現するための列車で、高崎駅を9:46に出発し、水上には11:51に到着。13:24に高崎へ折り返し、上牧 - 後閑間で、C61 20とすれ違った。
2014年の列車名は「SL七夕レトロみなかみ」および「SLレトロみなかみ織姫」で、D51 498+旧型客車5両という組み合わせだった。
SLレトロみなかみ彦星・SL七夕レトロみなかみ
2012 - 2014年の7月7日運転 C61 20牽引旧型客車6両
前述のD51 498牽引「SLみなかみ織姫」とすれ違いを行った。ダイヤは、高崎11:52発→水上13:55着。同じく後閑 - 上牧間でD51 498とすれ違った。
両列車は、往路と復路で列車名を変えて運転された。
2014年の列車名は「SLみなかみ彦星」「SL七夕みなかみ」で、C61 20+12系5両という組み合わせだった。
SL D51復活25周年記念号
2013年12月1日運転(D51 498+旧型客車4両)。
列車名通り、D51 498の復活25周年を記念して企画された特別列車。扱いは「SLレトロみなかみ」と全く同じ。
SL蛍
2015年7月3日運転(C61 20+旧型客車5両)。
後閑駅でホタル観賞臨時バスに接続。初の夜間走行。
SL YOGISHA みなかみ
夜間走行を行うダイヤの場合はこの愛称となる。運転時期は蛍鑑賞シーズンと、ハロウィンシーズンの2回がメイン。
注意点として、上りは渋川駅で普通列車への乗り換えを強く推奨している。「SL YOGISHA みなかみ」の上り列車を高崎まで乗車すると、高崎駅到着時点で高崎線上野行き最終列車はすでに発車しており、最終の新幹線である「とき350号」しか乗車の選択肢がなくなるためである。
SL新前橋~渋川百周年記念号
2021年7月3日運転(D51 498+12系客車5両)。
上越線の新前橋 - 渋川間の開業100周年を記念して企画された特別列車。下りのみの運行で、扱いは「SLぐんま みなかみ」と全く同じ。

その他[編集]

ヘッドマークはSL兄弟の「出五一郎」
駅弁「SLロクイチ物語」
  • 1988年(昭和63年)12月のオリエント急行'88来日時に動態保存機として復活したD51 498は、その後1989年(平成元年)3月11日のダイヤ改正を記念して上野 - 水上間で運転された「びゅう3・11 SL記念号」で初めて時刻表掲載の臨時列車に充当された。この列車は、高崎運転所の旧型客車6両編成を上野 - 高崎間はEF55形+EF58形の重連、高崎 - 水上間はD51 498単独牽引で運転されたもので[5]、後の「EL&SL奥利根号」の端緒となる列車であった。
  • 当列車が停車するSL牽引区間の各駅(渋川駅3番線ホームの両端・水上駅2番線ホーム高崎寄りの先端・および他停車駅上下本線ホーム)には、煙突から煙を出すD51形のシルエットと「SL 6」が記された専用の車掌用停止位置目標が設置されている。
  • 列車を牽引する2台のSLをイメージして考案された「SLロクイチ物語」・「上州D51弁当」という駅弁が販売されている。製造は高崎弁当[6][7]
  • 2014年からの約1年間、JR東日本高崎支社の公式サイトにてD51 498とC61 20を擬人化した「SL兄弟列伝」という漫画が連載されていた。それぞれ出五一郎(でご いちろう)と白井二郎(しらい じろう)という32歳の男性として描かれている[8]。その後各支社のホームページが統合されたため、閲覧不可能となっている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 代走などで電気機関車が牽引する場合のみ使用。

出典[編集]

  1. ^ “SLぐんま みなかみ”運転開始 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2018年10月7日
  2. ^ a b SLぐんま みなかみ/SLぐんま よこかわ 東日本旅客鉄道(2021年12月11日閲覧)
  3. ^ 鉄道ファン編集部「JR旅客会社の車両配置表(別冊付録)」『鉄道ファン』2023年7月号、交友社、2023年7月、ぐんま車両センター pp.4, 14, 15, 34。 
  4. ^ a b c 『RAIL FAN』第50巻第10号、鉄道友の会、2003年10月1日、20頁。 
  5. ^ 『鉄道ピクトリアル』、電気車研究会、1989年6月。 
  6. ^ Fun!Fan!SL! お楽しみ情報”. 東日本旅客鉄道高崎支社. 2017年12月17日閲覧。
  7. ^ たかべんの歩み”. 高崎弁当. 2017年12月17日閲覧。
  8. ^ 「SLみなかみ」5/30の乗客に、D51形擬人化キャラから熱い"アレ"が贈られる! マイナビニュース 2015年5月18日(2021年12月12日閲覧)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]