太平洋ひとりぼっち

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太平洋ひとりぼっち』(たいへいようひとりぼっち)は、海洋冒険家堀江謙一1962年に出版した手記である。1963年石原裕次郎主演映画化された。

概要[編集]

1962年、堀江謙一は約3か月かけて小型ヨット『MERMAID』(マーメイド)で太平洋単独無寄港横断に成功した。この航海中の出来事などをまとめたのが本作である。1962年に文芸春秋新社(現・文藝春秋)から出版されベストセラーとなった。

2004年には舵社から新装版が再刊されている(ISBN 978-4807211210)。

映画[編集]

太平洋ひとりぼっち
Alone Across The Pacific [注 1][1]
監督 市川崑
脚本 和田夏十
原作 堀江謙一
出演者 石原裕次郎
浅丘ルリ子
音楽 芥川也寸志
武満徹
撮影 山崎善弘
編集 辻井正則
製作会社 石原プロモーション
日活[2]
配給
  • 日本の旗 日活[2]
  • 西ドイツの旗 Herzog-Filmverleih[3]
  • イギリスの旗 Connoisseur Film Ltd.[3]
  • アメリカ合衆国の旗 石原インターナショナル[3]
公開
上映時間 97分(国内版)、111分(海外版)
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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出版の翌年にあたる1963年10月27日に映画公開された。石原プロモーションの映画製作第1回作品。監督市川崑、主演・石原裕次郎の組み合わせは本作が唯一である。石原裕次郎主演作品では初のキネマ旬報ベストテン入賞作となり、単独主演ではその後も含めて唯一となった。

ストーリーは石原扮する「堀江をモデルとした青年」が兵庫県西宮を出港しサンフランシスコに向かう航海の中で、出発までの出来事を回想しつつ、アクシデントなどを乗り越えて、無事サンフランシスコに到着するまでを描いたもの。

特殊撮影は当時設立間もない円谷特技プロダクションが担当しており、同社が初めて本格的に特撮を手掛けた作品である[4][5][6]。同プロダクション社長の円谷英二は、本作品のためかつての弟子であった川上景司高野宏一を他社から呼び寄せた[6]

1964年第17回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され[1]、前年度の第21回ゴールデングローブ賞では外国映画賞にノミネートされた[7]。米国版のタイトルは『Alone on the Pacific[1]

受賞[編集]

  • 昭和38年度(第18回)文化庁芸術祭映画部門・芸術祭賞受賞
  • キネマ旬報ベストテン第4位
  • ブルーリボン賞企画賞、ベストテン入選
  • NHK映画賞助演男優賞、ベストテン第2位
  • シナリオ賞
  • 日本映画記者会賞ベストファイブ第5位


製作[編集]

企画も担当した主演の石原裕次郎から、市川崑に監督の打診があり、引き受けたものの市川自身は本作を「失敗作」と評している。「脚本や原作のテーマを充分に生かせなかった」「自然に負けっぱなしに負けてしまった」と述懐し、中でも史実同様に撮影用の小舟にエンジンを取り付けずに撮影したことが最大の失敗と語っており、無風状態を撮影するためにスタッフ5、6人で重石のついたロープを舳先に取り付けるも、風に負けてズレ動くといった撮影トラブルが絶えなかったが、ゴールデンゲートブリッジでの俯瞰撮影は、偶然、風が吹いたため、監督が望む撮影が出来ている。またこの俯瞰撮影は、事前に許可を取ったカメラマンが、橋桁に登って頂上から撮影している。撮影のロケ地は、伊豆の下田や米国のハワイ、サンフランシスコで行われたが、撮影を短縮するため、撮影用の小舟を2艘造り、1艘を先にサンフランシスコへ船便で送って、国内で撮影終了後に航空機で渡米して米国ロケをするというスケジュールが組まれた[8]

本作は、国内上映版と、ニューヨーク映画祭用に再編集された海外版の2種類が存在し、何れも市川自身が手を加えて編集している。ただ、海外版のオープニングタイトルについては関与していない。上映時間は海外版の方が長い。海外版を製作する際、国内版のネガを使って再編集をした結果、国内版のネガが存在しない。公開終了後は海外版が広く出回っていたが、1992年にマスターポジを日活が保管していたことが判明し、発掘された国内版としてLDで復元された。[9]

スタッフ[編集]

主なキャスト[編集]

同時上映[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 英語題は2007年発売のDVDソフトのものを表記。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j Alone on the Pacific (1963)”. IMDb(Release Info). Amazon.com. 2021年6月19日閲覧。
  2. ^ a b 太平洋ひとりぼっち”. NIKKATSU. 2021年6月20日閲覧。
  3. ^ a b c d Alone on the Pacific (1963)”. IMDb(Company Credits). Amazon.com. 2021年6月19日閲覧。
  4. ^ 「円谷特技プロの創立」 『不滅のヒーローウルトラマン白書』(初版)朝日ソノラマ〈ファンタスティック・コレクション・スペシャル〉、1982年12月31日、11頁。雑誌コード:67897-80。 
  5. ^ 全怪獣怪人』 上巻、勁文社、1990年3月24日、71頁。ISBN 4-7669-0962-3。C0676。 
  6. ^ a b 電撃ホビーマガジン編集部 編「プロジェクト東宝チャンピオンまつり 祭り囃子は遠くに」 『ゴジラ 東宝チャンピオンまつり パーフェクション』KADOKAWAアスキー・メディアワークス)〈DENGEKI HOBBY BOOKS〉、2014年11月29日、123頁。ISBN 978-4-04-866999-3 
  7. ^ Golden Globes, USA - 1964 Awards(1964年開催 / 第21回 / 1963年度)”. IMDb. 2021年6月19日閲覧。
  8. ^ 『完本 市川崑の映画たち』、2015年11月発行、市川崑・森遊机、洋泉社、P217~221
  9. ^ 『完本 市川崑の映画たち』、2015年11月発行、市川崑・森遊机、洋泉社、P222、485、507

外部リンク[編集]