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太一生水

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郭店一号楚墓 > 郭店楚簡 > 太一生水
郭店楚簡『太一生水』前半(湖北省博物館の展示)

太一生水』(たいいつせいすい[1][2][3][4]拼音: Tài yī shēng shuǐ)は、中国戦国時代ごろの文献。1993年に出土した郭店楚簡に含まれる新出文献。道家的な宇宙生成論を説く[4]

内容

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前半

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太一からが生じた。水は太一を輔(たす)けてを生成した。天は太一を輔けてを生成した。[1]

天と地から神と明が、神と明から陰と陽が、陰と陽から四時が、四時から凔(つめたさ)と熱が、凔と熱から湿と燥が、湿と燥から歳(年間を通してのあらゆる事象)が生じた。[1]

太一は水の中にかくれて万物生成に関わった。太一は万物の母、万物の経(法[5])であり、天地陰陽に干渉されない絶対的存在である。[1][6]

後半

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天道は柔弱を尊ぶ。天はからなり、地は土からなる。天地はである。聖人は天・地・道に従う。西北では地が余って天が足りず、東南では天が余って地が足りない。[1]

解説

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『太一生水』という題名は、冒頭の文に基づく仮称である[1]

郭店楚簡には、書式が異なる3つの『老子』、すなわち『老子甲本』『老子乙本』『老子丙本』が含まれている[7][8][9][10]。『太一生水』は『老子丙本』と同じ書式で書かれており、『老子丙本』と『太一生水』合わせて一つの文献だった可能性もある[1][7][8][9][10][11][12]

書写年代は戦国中期だが、成立年代は春秋末期から戦国前期にさかのぼる可能性がある[13]

馬王堆帛書黄帝四経』や[14]上博楚簡恒先』『凡物流形』とともに、道家の生成論に関する新出文献となっている[15]。類似する伝世文献には『老子』のほか『荘子』天下篇(関尹老聃章)、『呂氏春秋』大楽篇、『淮南子』本経訓・詮言訓[16]、『文子』下徳篇[17]、『管子』水地篇[18][19]などがある。

「太一」は北極星を指す用法もあるが、『太一生水』の太一は北極星ではない[20][21]。水や土が登場するが五行思想とは関係ない[22]

『太一生水』は『老子』の中心の生成論と別系統とする解釈もあれば、『老子』の生成論の一形態とする解釈もある[1]

参考文献

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  • 王中江 著、吉田薫 訳『簡帛文献からみる初期道家思想の新展開』東京堂出版、2018年。ISBN 9784490209891 
  • 陳偉 著、湯浅邦弘 監訳、草野友子; 曹方向 訳『竹簡学入門 : 楚簡冊を中心として』東方書店、2016年。ISBN 9784497216137 
  • 浅野裕一『諸子百家』講談社〈講談社学術文庫〉、2004年。ISBN 978-4061596849 
  • 浅野裕一 著「『太一生水』と『老子』の道」、浅野裕一 編『古代思想史と郭店楚簡』汲古書院、2005年。ISBN 9784762927447 
  • 浅野裕一『古代中国の宇宙論』岩波書店、2006年。ISBN 9784000228633 
  • 頴川智「郭店楚簡『太一生水』と郭店楚簡『老子』二十五章の関係について」『中国哲学論集』第30号、九州大学中国哲学研究会、2004年。 NAID 120002386765https://doi.org/10.15017/18206 
  • 工藤元男『占いと中国古代の社会 : 発掘された古文献が語る』東方書店、2011年。ISBN 9784497211101 
  • 竹田健二「郭店楚簡各篇解題 郭店楚簡『太一生水』」『中国研究集刊』第33号、大阪大学中国学会、2003年。 NAID 120006227381https://doi.org/10.18910/60799 
  • 田中智幸「荊門郭店一号楚墓竹簡 老子丙・太一生水篇試解」『鶴見大学紀要 第1部』第36号、鶴見大学、1999年。 NAID 40004000838https://dl.ndl.go.jp/pid/4419503/1/207 
  • 谷中信一 著「郭店(湖北省)と〈上博楚簡〉」、中国出土資料学会 編『地下からの贈り物 新出土資料が語るいにしえの中国』東方書店、2014年。ISBN 978-4497214119 
  • 谷中信一『『老子』經典化過程の硏究』汲古書院、2015年。ISBN 9784762965586 

脚注

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  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 竹田 2003, p. 10-12.
  2. 工藤 2011, p. 7.
  3. 浅野 2004, p. 4.
  4. 1 2 浅野 2006, p. 80.
  5. 田中 1999, p. 416.
  6. 浅野 2006, p. 84.
  7. 1 2 谷中 2014, p. 313.
  8. 1 2 田中 1999, p. 409.
  9. 1 2 工藤 2011, p. 14.
  10. 1 2 浅野 2005, p. 290.
  11. 谷中 2015, p. 56.
  12. 陳 2016, p. 182.
  13. 浅野 2005, p. 232.
  14. 浅野 2005, p. 287.
  15. 谷中 2014, p. 318.
  16. 浅野 2006, p. 91f.
  17. 王 2018, p. 107.
  18. 頴川 2004, p. 1.
  19. 王 2018, p. 116.
  20. 谷中 2015, p. 65.
  21. 王 2018, p. 103.
  22. 谷中 2015, p. 58.