天網

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天網(てんもう、中国語: 天网工程拼音: tiān wǎng)とは、中華人民共和国本土(大陸地区)において実施されているAIを用いた監視カメラを中心とするコンピュータネットワークである[1][2]

名称[編集]

英訳すると、AIの危険性を訴えたジェームズ・キャメロンSF映画ターミネーター』に登場するコンピュータスカイネット」と同名であることから英語圏や日本の一部メディアでは「スカイネット英語: Sky Net)」と呼んでいる[3][4][5][6][7]

概要[編集]

2000年代から中国各地で試験的に導入され[8]2012年首都である北京市でも本格導入が始まって2015年に農村部を除く市内の100%をカバーしたと発表され[9]2018年には16の直轄市自治区で運用されており[10]2020年までの中国全土の導入を目指している[8]2017年貴陽市BBCの記者がシステムを試した際は7分で身元を特定されて拘束されている[11][12]。速度は1秒で中国国民、2秒で全世界の人々を照合可能な毎秒30億回とされ[10]、これと組み合わせるために中国公安部音声指紋虹彩DNAなど他の生体認証のデーターベースも構築しているとされる[13][14][15]。天網と思われるAIネットワークと連動してインターネットの閲覧履歴[16]にもアクセスできるとされるサングラス型のスマートグラス[17][18]を着けた警察官が100ミリ秒(0.1秒)で容疑者を特定して逮捕にも成功しており[19]、2018年時点で2000人超の犯罪者が天網で逮捕されたという[10]。天網の開発には中国人民解放軍MOOTW行動研究センターも携わってるとされ、TOP500で世界最速だった国防科学技術大学天河二号のようなスーパーコンピューターの処理能力を利用してるとされる[20]。天河二号とクラウドで連携[21][22]してテーザー銃を装備した世界初[23]の警察用武装ロボット顔認証を行いながら群衆を監視している[24][25][26][27][28][29]

2017年時点で中国は1億7000万台の世界最大の監視カメラネットワークを構築しているとされ[30]、監視カメラ業界ではさらに3年での4億台の設置を目指す政府の後押しで急成長した中国企業がシェア世界一となっている[31][32]。また、このAIによる監視技術は中東アジアアフリカ南米など世界各国に輸出されており[33][34][35]、中国のように人権抑圧への利用が懸念されている[36][37]

中国ではディープラーニングが国民に対する当局の監視強化を目的に急速に普及しており[38][39][40]、中国は世界のディープラーニング用サーバーの4分の3を占めているとされる[41]。米国政府によれば2013年からディープラーニングに関する論文数では中国が米国を超えて世界一となっている[42]。また、FRVT英語版[43]ImageNet英語版[44]などAIの国際大会で上位を独占する水準のAIデータ処理技術を持つ中国企業(メグビー[45]センスタイムなど)が天網を支えているとされている[46][47]外交問題などの政府の政策決定にAIを活用し[48][49]、治安対策へのAIの国家規模の本格的利用も中国は世界で初めて表明しており[50]、企業や軍で働く中国国民の脳波と感情をヘルメットや帽子に埋め込んだセンサーからAIで監視するシステムも政府は推し進め[51][52][53]、中国国外のメディアは「頂層設計」と中国共産党で呼ばれているこの習政権の政策を「デジタル独裁」[54][55][56]「デジタル警察国家」[57]「デジタル権威主義」[37]「デジタル全体主義」[58]「デジタル・レーニン主義」[59][60][61][62]と評し、中国の国営放送であるCCTVではこのようなAIによる監視社会管理社会化を習近平総書記の功績の1つに挙げている[63]

議論[編集]

中国の反体制派弾圧に利用されていると伝える欧米などのメディアに対し[64][65][66]、中国の国営紙である環球時報は天網は専ら犯罪者に対して利用されていると反論している[67]

中国メディアなどから問題点も指摘されており、化粧アクセサリーを使った顔認識のディープラーニングを欺く手口が挙げられている[68]

出典[編集]

  1. ^ Facial recognition, AI and big data poised to boost Chinese public safety”. 人民網 (2017年12月23日). 2017年10月17日閲覧。
  2. ^ 「天網」が覆う中国の超監視社会”. 日本経済新聞 (2018年6月1日). 2018年6月1日閲覧。
  3. ^ 政府主導で成長、社会「監視」ビジネス”. フォーブス (2017年12月23日). 2017年7月26日閲覧。
  4. ^ 中国14億人「完全管理」ディストピア実現へ 街なかAI監視カメラ+顔認証+ネット履歴+犯罪歴…”. 産経ニュース (2017年12月23日). 2017年12月4日閲覧。
  5. ^ Big brother is watching you! China installs 'the world's most advanced video surveillance system' with over 20 million AI-equipped street cameras”. デイリー・メール (2017年12月23日). 2017年9月30日閲覧。
  6. ^ RPT-China eyes "black tech" to boost security as parliament meets”. ロイター (2018年3月15日). 2018年3月12日閲覧。
  7. ^ How artificial intelligence will change the face of security in China”. サウスチャイナ・モーニング・ポスト (2018年3月12日). 2018年3月15日閲覧。
  8. ^ a b 中国の監視カメラネットワーク「天網」--逃亡者を「見逃す」ことも?”. ZDNet (2017年12月23日). 2016年1月12日閲覧。
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  16. ^ 中国警察がロボコップ化! 「顔認証グラス」は犯罪者も誤魔化せない”. ニューズウィーク (2018年2月8日). 2018年3月16日閲覧。
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  18. ^ AIと顔認証で不審者監視=少数民族の人権侵害懸念も-中国”. AFPBB (2018年2月10日). 2018年2月11日閲覧。
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関連項目[編集]