天神ビッグバン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

天神ビッグバン(てんじんビッグバン)は、2015年から実施されている福岡市中央区天神エリアの都市開発計画の総称である。

概要[編集]

天神交差点から半径約500m圏内(約80ha)を「天神ビッグバンエリア」と名付け、エリア内の老朽化したビルをインテリジェントビルへ建て替えるとともに、広場や歩行者空間などの賑わい・憩い空間を一連して整備する再開発計画である[1]

福岡市では2005年に発生した福岡県西方沖地震をきっかけに、都心部の老朽化したビルの建て替えが検討されてきた。しかし、天神地区は直線距離でわずか5kmの場所に福岡空港があり、航空法による高さ規制が適用されている。老朽化したビルの多くは1960年代1980年代当時の規制の元に建てられており、これらのビルを建て替える場合、より厳しくなった現在の航空法や容積率などが適用され、これまでより小規模なビルしか建てることができなかった。また市内ではオフィス不足、ホテル不足も課題となっており、ビルの規模が縮小するとこれらの問題もより深刻化するため建て替えが進んでいなかった。2014年に福岡市が国家戦略特区に指定されたことを受け、高島宗一郎市長は、建て替えを円滑に進めるため、また高層化することでオフィス不足等の諸問題を同時に解消できるとし、国に対し高さ制限を特例的に緩和するよう要請。国はこれに承認し、期間限定、エリア限定で高さ制限を緩和した。この特例措置を活用することで、高さが最大115m、容積率が最大1,400%まで緩和されることとなった。

市は補助金を出すのではなく、規制緩和により民間投資を呼び込むことで高機能な大型ビル(ハード)に建て替え、より高付加価値なビジネス・企業(ソフト)を誘致することも狙っており、官民一体となって「県民所得の向上」「支店経済都市からの脱却」を目指す。2016年3月には「天神ビッグバンボーナス(天神BBB)」を創設。周辺ビルとの連続性や緑化など、デザイン性に優れたビル(2024年末までに竣工予定のもの)を対象に、更なる容積率緩和、ビルへのテナント優先紹介、都心周辺部駐車場の優先利用などのインセンティブが付与される。2020年8月、新型コロナウイルスの流行を受け、世界に先駆けた「感染症対策シティ」を目指すことを発表。感染症対策を実施するビル計画について、天神ビッグバンボーナスの適用期限を当初の2024年末竣工から2年延長。さらに複数街区にまたがる大規模再開発プロジェクトに限っては、2022年末までに概要を市に提出すれば2026年以降もボーナスが付与される。

福岡市は当初、2024年までの10年間に約30棟の建て替えを目標としていたが、2021年時点で目標を大きく上回る50棟あまりものビルが建て替え完了または進行中であり[1]、九州一の繁華街「天神」の景観が一変することになる。2015年時点の試算によると、延床面積は約1.7倍の757,000㎡、雇用者数は約2.4倍の97,100人、建設投資効果は2,900億円、経済波及効果は8,500億円/年が見込まれている。

天神ビッグバンの規制緩和第1号となる天神地区最高層の「天神ビジネスセンター」が2021年9月30日に竣工、10月4日に開業した。

沿革[編集]

2014年(平成26年)
  • 5月 - 福岡市が国家戦略特区(創業特区)に指定される[2]
  • 11月 - 国家戦略特区の特例により、明治通り地区の高さ制限が、現行の67m(地上15F)から76m(地上17F)に緩和される。
2015年(平成27年)
  • 2月 - 「天神ビッグバン」本格始動[3]
  • 10月 - 水上公園の再整備に着手[4]
2016年(平成28年)
  • 6月 - 水上公園供用開始。
  • 3月 - 天神ビッグバンボーナスが創設され、デザイン性に優れた2024年末までに竣工予定のビルを対象に、容積率緩和などのインセンティブが付与されることを発表。
  • 8月 - 天神ビッグバンによる従業人口、ショッピング需要の増加に対応するため連節バス (Fukuoka BRT) を導入[5]
2017年(平成29年)
  • 1月 - 福岡地所が高さ制限緩和適用案件1号である天神ビジネスセンターの計画を発表[6]
  • 9月 - 明治通り地区の高さ制限がさらに緩和される。渡辺通りより西側は115m(地上26F)、東側は76m(地上17F)〜最大100m(地上22F)に緩和された[7]
2018年(平成30年)
  • 1月 - 天神ビジネスセンターが着工予定だったが、高さ制限がさらに緩和されたため再設計をすると発表し延期。
  • 5月 - 天神ふれあい通り地下通路供用開始[8]
  • 8月 - 西日本鉄道は本社が入居する福岡ビルと隣接する天神コアの一体開発を発表[9]
  • 9月 - 旧大名小学校跡地活用事業の計画が発表され、超高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」の誘致が明らかになる[10]
  • 10月 - イオン九州と福岡地所が、建て替えが計画されているビルに入居中している企業の一時的な移転先として、イオンショッパーズ福岡店の上層部をオフィスフロアにリニューアル[11]
  • 11月 - 天神ビジネスセンターの新たな概要を発表。高さが76m(地上16階)から89m(地上19階)に変更された。
2019年(平成31年/令和元年)
2020年(令和2年)
2021年(令和3年)
  • 3月 - 天神イムズや大丸がある天神一丁目地区の高さ制限が、現行の約76mから最大96mに緩和[22]
  • 6月 - 天神西通りビジネスセンター、住友生命福岡ビル閉館。
  • 7月 - 福岡市が公募していた市役所北別館跡地活用事業の優先交渉権者に福岡地所を代表とするグループを選定[23]
  • 8月 - 天神イムズ閉館。
  • 9月 - 天神ビジネスセンター竣工。
  • 10月 - ヒューリック福岡ビル建て替え計画の概要を発表[24]
  • 12月 - 日本生命と積水ハウスが天神一丁目北14番街区ビルの概要を発表[25]
  • 12月 - 福ビル街区建替プロジェクト着工[26]
  • 12月 - 野村不動産が、福岡天神センタービルの建て替えを発表[27]

主なプロジェクト[編集]

建て替え事業[編集]

明治通り沿道
  • 天神一丁目南ブロック
  • 天神一丁目北ブロック
    • 福岡三栄ビル&日本生命福岡ビル一体開発
  • 天神二丁目南ブロック
    • ヒューリック福岡ビル
    • 天神西通りビジネスセンター&住友生命福岡ビル
  • 天神二丁目北ブロック
    • 福岡天神センタービル
渡辺通り沿道
大名エリア
名称 外観 高さ 階数 延床面積 竣工年月 事業者 建て替え以前
天神ビジネスセンター
Tenjin Business Center Before Completion.jpg
89m 地上19階
地下2階
61,100m2 2021年9月 福岡地所 西日本ビル
福岡日興ビル
天神セントラルプレイス
因幡ビル
福神ビル
(仮称)福岡大名ガーデンシティ
ザ・リッツ・カールトン福岡
Gthumb.svg
111m 地上25階
地下1階
91,237m2 2022年12月(予定) 積水ハウス
西日本鉄道
西部ガス
西日本新聞社
福岡商事
福岡市立大名小学校
(仮称)ヒューリック福岡ビル建替計画
Gthumb.svg
92m 地上19階
地下3階
20,700m2 2024年9月(予定) ヒューリック ヒューリック福岡ビル
(仮称)福ビル街区建替プロジェクト
Gthumb.svg
97m 地上19階
地下4階
147,000m2 2024年12月(予定) 西日本鉄道
イオン
イオンモール
福岡ビル
天神コアビル
天神第一名店ビル(天神ビブレ)
(仮称)天神一丁目北14番街区ビル
Gthumb.svg
88m 地上18階
地下2階
39,300m2 2025年3月(予定) 日本生命
積水ハウス
福岡三栄ビル
日本生命福岡ビル
吉良ビル
(仮称)北別館跡地活用事業
Gthumb.svg
88.45m 地上19階
地下2階
23,268m2 2025年11月(予定) 福岡地所
九州電力
九電工
前田建設工業
俊設計
旭工務店
サン・ライフ
福岡市役所北別館
(仮称)MMTビル建て替え計画
Gthumb.svg
未定 未定 未定 未定 福岡地所 メディアモール天神ビル
(仮称)天神二丁目南ブロック計画
Gthumb.svg
未定 未定 未定 未定 福岡地所
住友生命
天神西通りビジネスセンター
住友生命福岡ビル
(仮称)イムズ建て替えプロジェクト
Gthumb.svg
未定 未定 未定 未定 三菱地所 天神MMビル(天神イムズ)
(仮称)福岡天神センタービル建替計画
Gthumb.svg
未定 未定 未定 未定 野村不動産 福岡天神センタービル

整備事業[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 規制緩和によって民間投資を呼び込む 『天神ビッグバン』着実に進行中!!”. 福岡市. 2021年9月4日閲覧。
  2. ^ 国家戦略特区の指定区域 内閣府 2021年12月9日閲覧
  3. ^ 新たな空間と雇用を創出する「天神ビッグバン」始動! 福岡市 2015年2月24日
  4. ^ ⽔上公園のリニューアルプランが決定! 福岡市 2015年7月7日
  5. ^ 天神ビッグバンを支える 新たな交通プロジェクト始動! 福岡市 2015年4月16日
  6. ^ 『天神ビッグバン第⼀号』が本格始動します! 福岡市 2017年1月4日
  7. ^ 『天神明治通り地区』と『ウォーターフロント地区』における航空法高さ制限が緩和されました! 福岡市 2017年9月26日
  8. ^ 天神ふれあい通り駐輪場・地下通路がオープン! 福岡市 2018年5月31日
  9. ^ 「福ビル街区建替プロジェクト」第 1 期事業の計画について 西日本鉄道 2018年8月3日
  10. ^ 旧⼤名⼩学校跡地活⽤事業の事業契約を締結しました! 福岡市 2018年9月28日
  11. ^ a b 新たな空間で天神ビッグバンを推進 イオンショッパーズ福岡店、オフィス・商業の複合施設へ イオン九州 2018年10月2日
  12. ^ 「(仮称) 天神ビジネスセンター」新築工事着工のお知らせ 福岡地所 2019年1月29日
  13. ^ 天神にまた高級ホテル 「ビッグバン」活用次々 大型複合ビル計画、24年末完成 西日本新聞 2019年1月26日
  14. ^ 「イムズ」営業終了・再開発計画始動 三菱地所 2019年1月9日
  15. ^ 九州初の「ザ・リッツ・カールトン ホテル」 誘致決定「スタートアップ&グローバル」新ビジネス拠点誕⽣へ 積水ハウス 2019年7月8日
  16. ^ 福岡市役所別館を再開発 天神ビッグバン、民間活用 西日本新聞 2019年10月2日
  17. ^ 「福ビル街区建替プロジェクト」街区全体の同時開発決定 西日本鉄道 2019年11月28日
  18. ^ 福岡市・天神、新たに19階建てビル “名物ビル”も…再開発で建て替え続々 西日本新聞 2019年11月17日
  19. ^ 天神西に新複合ビル 「ビッグバン」加速、地下街結ぶ通路も整備 西日本新聞 2020年1月21日
  20. ^ 日本生命と積水ハウスが福岡・天神で再開発へ 高層ビル建築目指す 毎日新聞 2020年1月21日
  21. ^ 世界に先がけた感染症対応シティへ! 福岡市 2021年8月27日
  22. ^ 『天神⼀丁⽬地区』における航空法⾼さ制限が緩和されました︕ 福岡市 2021年3月29日
  23. ^ 北別館跡地活用事業 優先交渉権者を決定しました 福岡市 2021年7月1日
  24. ^ 「(仮称)ヒューリック福岡ビル建替計画」の概要について ヒューリック 2021年10月1日
  25. ^ 日本生命福岡ビル・福岡三栄ビルの建替について~天神地区を南北に結ぶ新たな通りと緑豊かな複合施設を創造~ 積水ハウス 2021年12月13日
  26. ^ 西日本鉄道/福ビル街区建替プロジェクト新築/鹿島JVで着工 日刊建設工業新聞 2021年12月23日
  27. ^ 天神センタービル建て替え 毎日新聞 2021年12月30日
  28. ^ イオン九州、天神の商業施設 一部をオフィスに 福岡地所に委託”. 日本経済新聞 (2018年10月2日). 2021年9月4日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]