天宮 (宇宙ステーション)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
天宮
Chinese large orbital station.png
大型ステーション完成予想図
各種表記
繁体字 天宮
簡体字 天宫
拼音 Tiāngōng
発音: テェンゴン
テンプレートを表示

天宮(てんきゅう)(TianGong:TG)は中華人民共和国が計画している宇宙ステーション。2011年9月に試験機である「天宮1号」(TG-1)の打ち上げに成功したが、本格的な宇宙ステーションとなる天宮の本体(コアモジュール)は2018年以降に打ち上げ予定で、周辺モジュールも含めた完成は2022年以降の予定である[1]

概要[編集]

計画の背景[編集]

中国は2003年神舟5号によって有人宇宙飛行を、2008年には神舟7号によって宇宙遊泳を成功させたが、かつてのアメリカのスカイラブ計画、ソ連のサリュート計画と同様に中国独自の宇宙ステーション保有を目指すようになった。これが天宮である。

しかし本格的な宇宙ステーションの実現には技術的な課題が多い。中国は2008年までに有人宇宙船および船外活動技術を実現しているが、加えて大型打ち上げロケットの開発、宇宙船同士のランデブー・ドッキング技術、物質の循環を伴う長期運用可能な生命維持システム、そして物資の補給船といった技術の習得が不可欠である。天宮では小規模の試験機を通じてこれらの技術を1つずつ蓄積していくものと見られている。

進捗[編集]

2011年9月1日中国報道官により、初の宇宙ステーション実験機「天宮1号」の打ち上げ延期が公になった[2][3]。天宮打ち上げ用ロケットの「長征2号F」と同系統の「長征2号C」が、8月に実践11号04星の打ち上げに失敗し、衛星を予定の軌道に乗せられなかったことから、原因を解明した後に「天宮1号」の新たな打ち上げ日程を決めるとした。同年9月29日に打ち上げに成功した[4][5]

沿革[編集]

2011年に9月より試験機の打ち上げが始まっており、2022年の完成を目指している。打ち上げには新規開発の長征5号が使われる予定だが、開発遅延により長征5号の運用は2016年以降の予定となっている。試験機である天宮一号の打ち上げには長征2号FT1ロケットが、天宮二号の打ち上げには長征2号FT2が使われた。

天宮1号[編集]

2011年に9月29日に打ち上げに成功。宇宙実験室のひな形及びドッキング試験宇宙船で、ドッキング技術の習得が目的として上げられた。無人の神舟8号の自動ドッキング、ならびに有人の神舟9号神舟10号による手動・自動ドッキングが行われ、いずれも成功に終わった。機械的、また技術的に制御不能に陥ったため、2017年後半に大気圏に落下する事が予想されている[6]

実験装置室と物資保管室を持っており、宇宙飛行士が搭乗している神舟9号・10号では、実際に宇宙飛行士が「天宮」へと移動し、研究実験も行われた[7]。ただし、宇宙飛行士が滞在できる期間はそれほど長くはなく、重量は8.5トンという、宇宙ステーションとしては小型の試験機である。

天宮2号[編集]

2016年9月15日に打ち上げに成功[8]。当初、天宮2号は1号の予備機として作られていた同型機を打ち上げる計画で、長征2Fロケットで2014年に打上げが予定されていた。後に、長征5号ロケットで2016年に打ち上げられることになり、1号より一回り大きい、後述の天宮3号に相当する[9]22トン級の試験機を打ち上げる計画となる。しかし、最終的に打ち上げには長征2号FT2が使われることになり、2号自体も1号をベースに改良製造された8.6トン級宇宙ステーション試験機となっている。

サイズこそあまり変わらないものの天宮1号に比べて、様々な実験が行えるように改良されており、輸送・補修用に10mクラスのロボットアームが新たに取り付けられている。滞在も最長1ヶ月程度は可能とされている。また、約6.5トンの搭載能力を持つ無人補給船「天舟」(Tianzhou)との自動ドッキング試験も行う予定である[10]。この補給船「天舟1号」は天宮1号をベースに開発された準同型機である。天宮2号に向かう有人宇宙船としては「神舟11号」が使われるとみられている[1]

天宮3号[編集]

2016年以降に、新型ロケットで拡大型宇宙ステーション試験機を打ち上げる計画。一時、そのコンセプトは天宮2号に繰り上げて実現される見通しになったが、天宮2号の打ち上げには、信頼性を高めた従来の長征2号FT2が使われ、拡大型の採用は以降の機体に先送りされることになった。

天宮(Tiangong:TG)[編集]

2018年から2022年にかけて打ち上げ予定の宇宙ステーション。試験機ではなく、旧ソ連のミールに匹敵するサイズの完成した宇宙ステーションと位置づけられている。コアモジュール「天和」(Tianhe:TH)、2つの実験モジュール「問天」(Wentian:WT)と「巡天」(Xuntian:XT)、無人補給船「天舟」(Tianzhou:TZ)といった構成要素が公表されている。打ち上げには長征5号が用いられる予定。[11]

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b 中国、宇宙ステーション「天宮二号」を2016年に打ち上げ 神舟十一号と天舟一号も”. sorae.jp (2014年9月11日). 2014年9月14日閲覧。
  2. ^ 「天宮1号」、打ち上げ計画を調整 China Radio International.CRI 2011年9月1日
  3. ^ 中国、ドッキング実験延期 衛星の軌道投入失敗で 産経ニュース 2011年9月2日
  4. ^ “「天宮一号」打ち上げ 宇宙基地建設へ一歩”. 産経新聞. (2011年9月29日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/110929/chn11092919240004-n1.htm 2011年9月29日閲覧。 
  5. ^ “「天宮1号」を打ち上げ=宇宙基地建設へ実験-中国”. 時事通信. (2011年9月29日). http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011092900529 2011年9月29日閲覧。 
  6. ^ 中国の宇宙ステーション試験機「天宮一号」、2017年に地球に落下へ。でも心配いらず”. sorae.jp (2016年9月23日). 2016年9月23日閲覧。
  7. ^ 平松茂雄 (2010年). 日本核武装入門. 飛鳥新社. ISBN 978-4870319868. 
  8. ^ “中国、宇宙実験室「天宮2号」打ち上げ 独自ステーションに前進”. AFPBB News (フランス通信社). (2016年9月16日). http://www.afpbb.com/articles/-/3101108 2016年9月16日閲覧。 
  9. ^ 中国、2016年に宇宙ステーション「天宮二号」と補給船「天舟一号」を打ち上げ”. sorae.jp (2015年3月12日). 2015年3月15日閲覧。
  10. ^ “中国の貨物宇宙船「天舟」、ペイロードで日本を上回る”. 人民網日本語版. (2014年9月3日). http://j.people.com.cn/n/2014/0903/c95952-8778177.html 2014年10月5日閲覧。 
  11. ^ 中国、有人宇宙計画のロゴと宇宙ステーションの名前を発表”. Sorae.jp (2013年11月2日). 2013年11月2日閲覧。

関連項目[編集]