大韓民国海軍特殊戦旅団

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大韓民国海軍特殊戦旅団 (ハングル: 대한민국 해군 특수전여단) とは、大韓民国海軍に所属する特殊部隊である。UDT/SEALは“Underwater Demolition Team/SEa Air Land”の略。

部隊の歴史は大変古く、韓国海軍のUDT(水中爆破処理隊)から派生した。部隊設立の際に、本家であるアメリカ海軍の特殊部隊Navy SEALsをモデルにし、基礎訓練を受けた。Navy SEALsとは、現在も共同訓練等を頻繁に行っており、交流が深い。Navy SEALsと同じ訓練課程を行っており、その苛酷さはNavy SEALsにまったく引けを取らないという。過去には、ベトナム戦争にも派遣されている。 1996年9月18日に発生した江陵浸透事件にも出動した。

海上での臨検能力は勿論、陸戦能力も有り、隠密上陸、破壊工作、偵察等の任務にも就く。

ソマリア海賊の制圧[編集]

2011年1月21日ソマリア北東に1,300キロのインド洋上にて、ソマリアの海賊に乗っ取られていた韓国籍のケミカルタンカー人質救出作戦を実施。海賊8人を射殺、5人を拘束し、タンカー船員21人全員を救出した。人質と韓国海軍側に死者はなかった[1] この作戦の過程で人質の船長は海賊の放ったAK47の弾三発、特殊部隊の放ったピストルの9ミリ弾かMP5の消音弾とみられる弾一発が当たり、海賊の弾が大腸や肝臓のある腹部を貫通して、これが生死にかかわる傷となった。特殊部隊の弾は船長の右脇から摘出され、右脇に負った銃創から15センチほど切開してうみを取り除いた後、炎症を起こして壊死した組織を切除する手術が行われた[2][3]。特殊部隊の放った弾丸は直接当たったものではなく、壁か床を跳ねて当たった跳弾であった[4]

人質救出作戦実行前、韓国軍は在韓米軍に協力要請をしているが、それに対する米軍関係者の第一声は「コメントのしようがない」であり、続けて韓国政府が決定を下したのならもちろん支援するが、海賊と人質が分離されていない状況での救出作戦はリスクが大きすぎるため作戦の実行は簡単には勧められない、とその趣旨を述べた。一方、韓国側でも李明博大統領は最終的な作戦実行指示を出す前に人命被害発生の可能性について尋ねると韓国軍関係者は一人二人の犠牲は甘受すべきかもしれないと答えている。また、安全保障関係部処の高官は、より多くの犠牲者が発生する事態を想定して、実際そうなった場合に備えて「国民向け声明」をあらかじめ準備していたともされる。[5]

この作戦を支援したオマーン海軍のライシ司令官は「韓国海軍特殊部隊は電光石火のごとく、一人の犠牲者も出さず完璧に作戦を遂行し、見事に成功した。本当に勇敢で優秀な部隊だと感じた」「韓国は自国の海軍特殊部隊を誇りに思うべきだ、などと賞賛した[6]。オマーンの英字日刊紙「マスカット・デイリー」は1面トップで人質救出作戦を「韓国の特殊部隊要員は、非常に珍しく大胆な『急襲』を展開、海賊8人を射殺、船員21人を救出した」と報じた[7]。アメリカのヘリテージ研究所のブルース・クリンガー専任研究員は米軍事専門誌「DoD Buzz」に1月24日に寄せた寄稿文で、「今回の作戦は“ブラボーズール(Bravo Zulu 成功した作戦を意味する米海軍の俗語)”という賛辞を聞くに値する」と述べ、クリンガー研究員は、韓国が公海上で初めての軍事作戦を、それもかなり難度の高い作戦を成功的に遂行したと評価した。 彼は韓国海軍特殊部隊に賛辞を贈るだけではなく、危険な作戦の実行を決断した李明博大統領も認められると述べた[8]。 日本の軍事雑誌SATマガジンにおいて、飯柴智亮は完璧な作戦と賞賛している[9]

出典[編集]

  1. ^ 韓国海軍、ソマリアの海賊8人射殺。船員を全員救出 AFPBB News. 2011年1月21日
  2. ^ ソマリア海賊:石船長、重体の原因は海賊の銃弾
  3. ^ ソマリア海賊:船長が受けた銃弾、1発は韓国海軍のもの
  4. ^ ソマリア海賊:石船長体内の弾丸、韓国海軍のものと確認
  5. ^ 【コラム】結果は「完全作戦」だったが…(上)
  6. ^ ソマリア海賊:「韓国軍の作戦能力に感銘」
  7. ^ ソマリア海賊:救出作戦成功の裏には…
  8. ^ 米軍事専門家「アデン湾の黎明作戦に賛辞を贈る」
  9. ^ 『SATマガジン』2011年5月号

関連項目[編集]

外部リンク[編集]