コンテンツにスキップ

大橋眞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
おおはし まこと
大橋 眞
生誕 1953年(70 - 71歳)
居住 日本の旗 日本
国籍 日本の旗 日本
研究分野 生物学
研究機関 東京大学
宮崎医科大学
徳島大学
出身校 京都大学薬学部卒業
京都大学大学院
薬学研究科修士課程修了
主な業績 好酸球遊走因子、
好中球遊走因子の
分子構造の解析
主な受賞歴 日本工学教育協会
最優秀発表賞(2006年)
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

大橋 眞(おおはし まこと、1953年昭和28年〉 - )は、日本生物学者医学者免疫生物学)。徳島大学名誉教授学位医学博士宮崎医科大学・1984年)。「眞」は「真」の旧字体のため、新字体大橋 真と表記される場合もある。

東京大学医科学研究所技官、宮崎医科大学医学部助手、徳島大学総合科学部教授などを歴任した。

概要

[編集]

免疫生物学を専攻する生物学者である[1]白血球の遊走因子に関する研究などで知られている[2]文部省技官として東京大学で勤務したのち[3]宮崎医科大学徳島大学で教鞭を執った[3]。2019年(令和元年)からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行に際しては、全国及び一部の海外の大橋と同調者と手を組み、新型コロナウイルスの存在そのものを否定し[4]PCR検査の即時停止やマスク推奨の停止を求める署名活動を展開した[5]2022年以降は自宅で来客者を自身の動画に出演する形で配信する活動にとどまっている。

来歴

[編集]

生い立ち

[編集]

1953年(昭和28年)に生まれた[6]設置・運営する京都大学に進学し[7][† 1]薬学部の製薬化学科にて学んだ[7]。1976年(昭和51年)3月、京都大学を卒業した[7]。それに伴い、薬学士称号を取得した[† 2]。さらに京都大学の大学院に進学し[7]薬学研究科にて学んだ[7]。1978年(昭和53年)3月、京都大学の大学院における修士課程を修了した[7]。それに伴い、薬学修士学位を取得した[8][† 3]

研究者として

[編集]

大学院修了後、文部省の技官となり[3][† 4]、国が設置・運営する東京大学の医科学研究所に1978年(昭和53年)3月より勤務した[3][† 5]。その後、国が設置・運営する宮崎医科大学に採用されることになり[3][† 6]、1979年(昭和54年)1月に医学部助手として着任した[3]。それと並行して「Purification and characterization of a high molecular weight eosinophil chemotactic factor from Schistosoma japonicum eggs」[9]と題する博士論文を執筆した。その結果、1984年(昭和59年)5月24日、宮崎医科大学より医学博士の学位を授与された[9][10][† 7]。1991年(平成3年)4月、国が設置・運営する徳島大学に転じ[3][† 8]総合科学部助教授に就任した[3]。その傍ら、学内の他の役職も兼務していた[11]。1993年(平成5年)4月から2007年(平成19年)3月にかけて遺伝子組換え実験安全管理委員会のメンバーを兼務していた[11]。また、1995年(平成7年)5月から1997年(平成9年)4月にかけて入試委員会の委員を兼務していた[11]。1997年(平成9年)4月、徳島大学の総合科学部にて教授に昇任した[3]。その傍ら、学内の他の役職も兼務していた。2002年(平成14年)4月より、アイソトープ総合センター運営委員会と大学院運営委員会の委員をそれぞれ兼務することになった[11]。また、2004年(平成16年)4月から2008年(平成20年)3月にかけて、全学共通教育センターの教員も兼務していた[11]。2019年(平成31年)3月31日、徳島大学を退職した[12]。同年4月、徳島大学より名誉教授の称号が授与された[13]

研究

[編集]

専門は生物学であり、特に免疫生物学に関する分野の研究に従事した[1]。白血球の遊走因子に関する研究に取り組み[2]好酸球好中球の遊走因子について分子構造解析などを手掛けた[2]。これまでの業績に関しては、2006年(平成18年)7月に日本工学教育協会から最優秀発表賞が授与されている[14]

学術団体としては、徳島生物学会、日本寄生虫学会日本免疫学会などに所属した[15]。日本寄生虫学会においては評議員などを歴任した[15]

主張

[編集]

徳島大学を退職後、2019年(令和元年)からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、新型コロナウイルスに関する言論活動を展開している[16][17][18][19]。新型コロナウイルスを誰も分離していないと主張するなど新型コロナウイルスの存在を否定しており[4]、2021年春まで自由民主党所属、以降離党勧告、除名処分を受けて無所属となった東京都日野市設置の日野市議会の女性議員の池田利惠らとともに自説に関する講演など、開催側の大橋、池田らと聴衆する参加者全員でマスク不着用を前提に行っていた。なお池田はその後このマスク不着用の講演会開催を理由に自民党除名を受けて、2021年9月29日に不当だとして代理人弁護士を通じて訴状を東京地方裁判所民事部に提出した。しかし自由民主党日野市議団除名後、無会派となって以降も2022年2月20日執行の日野市議会選挙で当選して5期目となる[20] [21][22] [23] [24] [25]。この池田が事務局長を務める「新型コロナウイルスを考える会」では大橋は顧問に就任しており[26]、この会のウェブサイトを通じて自身の似顔絵が描かれたシャツなど関連グッズを販売している[27]。さらに、武田邦彦吉野敏明矢作直樹藤井聡内海聡、井上正康とともに「WeRise宣言」を発表している[5]。この宣言は「新型コロナウイルス感染症はメディアが作り出した怪物」[5]と位置づけたうえで「PCR検査による陽性者認定を即刻停止するよう求めます」[5]「感染予防対策としてのマスク着用の推奨を停止することを求めます」[5]「感染者数の発表を停止するよう求めます」[5]などと主張しており、この宣言への賛同者を募る署名運動を展開していた[5]

これらの活動は波紋を呼び、徳島大学に多数の抗議が寄せられたことから[19]、徳島大学が「本学と雇用関係になく、⼀連の活動は大橋氏個⼈が行っているものであります。従って、大橋氏の見解などは本学と一切関係ございません」[19]と発表したうえで「雇用関係にないこと及び表現の自由の観点から、本学が大橋氏への苦情について対応することはできません」[19]と釈明する事態となった。なお、新型コロナウイルスの分離や培養については、既に複数の研究機関が成功させている[28]。たとえば日本においては、国立感染症研究所が2020年(令和2年)1月に分離と培養に成功したと発表している[28][29][30]

略歴

[編集]

賞歴

[編集]
  • 2006年 - 日本工学教育協会最優秀発表賞[14]

著作

[編集]

単著

[編集]
  • 『PCRは、RNAウイルスの検査に使ってはならない』ヒカルランド、2020年。ISBN 978-4-86471-954-4
  • 『北の学校から PCナイ検査が始まった』ヒカルランド、2021年。ISBN 978-4864719636
  • 『新型コロナの真実 - あーころりん流れ星だ』ヒカルランド、2022年。ISBN 978-4867421130
  • 『コロナワクチンのひみつ』ヒカルランド、2022年。

共著

[編集]
  • 大橋眞・細川博司著『PCRとコロナと刷り込み——人の頭を支配するしくみ』ヒカルランド、2021年。ISBN 978-4-86471-995-7
  • 大橋眞著、西田みどり責任編集『新型コロナワクチンの闇——厚労省〈劇薬に該当〉審議結果報告書の意味すること〈卵巣が危ない!〉』知玄舎、2021年。ISBN 978-4-910056-32-6

監修

[編集]

寄稿、分担執筆、等

[編集]

脚注

[編集]

註釈

[編集]
  1. ^ 京都大学は、2004年にから国立大学法人京都大学に移管された。
  2. ^ 薬学士称号は、1991年7月1日以降の学士(薬学)学位に相当する。
  3. ^ 薬学修士学位は、1991年7月1日以降の修士(薬学)の学位に相当する。
  4. ^ 文部省は、科学技術庁と統合され、2001年に文部科学省が設置された。
  5. ^ 東京大学は、2004年にから国立大学法人東京大学に移管された。
  6. ^ 宮崎医科大学は、旧宮崎大学と統合され、2003年に新制宮崎大学が設置された。
  7. ^ 医学博士学位は、1991年7月1日以降の博士(医学)の学位に相当する。
  8. ^ 徳島大学は、2004年にから国立大学法人徳島大学に移管された。

出典

[編集]
  1. ^ a b 「専門分野」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  2. ^ a b c 「研究テーマ」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 「職歴」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  4. ^ a b 名取宏(なとろむ)「新しいニセ医学『新型コロナ否認主義』」『新しいニセ医学「新型コロナ否認主義」 (1/2)』2020年6月15日。
  5. ^ a b c d e f g 武田邦彦ほか「厚生労働省は、自粛の必要性について、その科学的根拠を示すべきである。また、新型コロナウイルスの存在を示す根拠となる科学論文を示すべきである。」『新型のコロナ感染症予防対策についての共同宣言 | WeRise』WeRise実行委員会。
  6. ^ a b 「生年」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  7. ^ a b c d e f g h 「学歴」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  8. ^ 「大橋眞」『大橋 眞 (Makoto Owhashi) - マイポータル - researchmap科学技術振興機構、2020年8月29日。
  9. ^ a b 「書誌事項」『CiNii 博士論文 - Purification and characterization of a high molecular weight eosinophil chemotactic factor from Schistosoma japonicum eggs国立情報学研究所
  10. ^ 学位授与番号乙第2号。
  11. ^ a b c d e f g h i j 「社会・学内活動等」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  12. ^ a b 「退職日」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  13. ^ a b 「称号」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  14. ^ a b 「受賞等」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  15. ^ a b 「所属学会(役職)」『徳島大学 / 教育研究者総覧 --- 大橋 眞徳島大学、2021年9月28日。
  16. ^ 大橋眞『PCRは、RNAウイルスの検査に使ってはならない』ヒカルランド、2020年。
  17. ^ 大橋眞・細川博司『PCRとコロナと刷り込み——人の頭を支配するしくみ』ヒカルランド、2021年。
  18. ^ 大橋眞著、西田みどり責任編集『新型コロナワクチンの闇——厚労省〈劇薬に該当〉審議結果報告書の意味すること〈卵巣が危ない!〉』知玄舎、2021年。
  19. ^ a b c d 「本学名誉教授大橋眞氏の活動に対する苦情について」『本学名誉教授 大橋眞氏の活動に対する苦情について - 国立大学法人 徳島大学徳島大学、2020年8月27日。
  20. ^ IWJ編集部前文、名取宏本文「新型コロナウイルスをめぐる『ニセ医学』に騙されないために『新型コロナウイルスは存在しない』と断言する大橋眞徳島大学名誉教授を論破する!」『【特別寄稿】新型コロナウイルスをめぐる「ニセ医学」に騙されないために〜「新型コロナウイルスは存在しない」と断言する大橋眞徳島大学名誉教授を論破する! | IWJ Independent Web Journal』インディペンデント・ウェブ・ジャーナル、2020年8月24日。
  21. ^ 池田利惠ホーム公式ページ (2022年3月1日閲覧)
  22. ^ 日野市議会議員名簿2022年3月1日更新 東京都日野市公式ホームページ (2022年3月1日閲覧)
  23. ^ 2022年2月20日執行した日野市議会議員選挙開票結果2022年2月20日更新 東京都日野市公式ホームページ (2022年3月1日閲覧)
  24. ^ それでいいのか自民党!池田としえがパワハラ・同調圧力に立ち向かいます2021年9月 Voice (2022年3月1日閲覧)
  25. ^ 除名処分無効確認等請求事件 原告池田の代理人弁護士による訴状2021年9月29日 (2022年3月1日閲覧)
  26. ^ 「『新型コロナウイルスを考える会』入会」『「新型コロナウイルスを考える会」入会新型コロナウイルスを考える会事務局
  27. ^ 「SHOP」『SHOP | 新型コロナウイルスを考える会新型コロナウイルスを考える会事務局
  28. ^ a b 「新型のコロナウイルス分離培養に成功国立感染症研究所」『新型のコロナウイルス 分離 培養に成功 国立感染症研究所 | NHKニュース日本放送協会、2020年1月31日。
  29. ^ 「新型コロナウイルス——国立感染症研究所が開発した細胞で分離に成功」『新型コロナウイルス:国立感染症研究所が開発した細胞で分離に成功国立感染症研究所、2020年1月31日。
  30. ^ 「国立感染症研究所で分離に成功した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真」『国立感染症研究所で分離に成功した新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真国立感染症研究所、2020年1月31日。

関連人物

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]