大学出版局
この項目は大学出版局について解説する項目です。本項目では、大学出版局の歴史、印刷中心の状態から出版中心の状態へ何世紀ころに変化したのか、その役割・使命、出版する出版物の傾向(普通の出版社との出版物の傾向の違い)、大学出版局と大学の関係(大学内の部局なのか独立しているのか、人事権は大学が持っているのかあるいは大学から独立しているのか)、大学出版局の運営資金の出所や資金繰りの構造(赤字になりがちな学術書の出版をどのような手法で成立させているか)、などについて解説すべきです。百科事典の項目は単なる一覧であってはいけません。ウィキペディアでは広告は禁止されており、一覧を装いあるいは"一覧"という言い訳のもとに特筆性の無い大学出版局の1行広告を行ってはいけません。公式ルール Wikipedia:ウィキペディアは何ではないかを参照のこと。ウィキペディアの普通名詞や固有名詞の項目では原則、長大な一覧を掲載してはいけません。もし長大な一覧をウィキペディア内のどこかに存続させたい場合は、普通名詞や固有名詞の普通の項目ではなく、「○○○の一覧」などとして別扱いにすべきで、普通の項目にはその一覧へのリンクだけを掲載すべきです。 |
大学出版局(だいがくしゅっぱんきょく、英語: university press)は、大学の一部局として、あるいは大学と人的つながりをもつ独立の法人として、大学のために出版を行う組織[1]。大学出版部[1]、大学出版会、大学出版社とも呼ばれる。
世界的にはオックスフォード大学出版局、ケンブリッジ大学出版局、プリンストン大学出版局、シカゴ大学出版局、ハーバード大学出版局、スタンフォード大学出版局などが有名である。
概説
[編集]大学出版局(大学出版部)は、大きい方では、オックスフォード大学出版局のように数千人のスタッフを擁する巨大な出版局もあれば、他方、小さい方では、大学図書館の中で、専従のスタッフがわずか2、3人くらいのチームとしての組織で、中には専用の部屋を持たないようなほとんど名目だけの"大学出版部"もあり、対称的な大小両極の間で中間の規模が種々あり、その形態は多様である。
成り立ちは、1440年代後半から1450年代ごろにかけてヨハネス・グーテンベルクにより活版印刷の技術が確立されると、これに伴い1478年にオックスフォード大学内に印刷所が設けられ、これがオックスフォード大学出版局(Oxford University Press, OUP)の起源となった。1521年にはケンブリッジ大学にも印刷所が設けられ、ケンブリッジ大学出版局(Cambridge University Press, CUP)の起源となった。すなわち、両大学出版局は、印刷を行う施設である大学内の印刷所を起源としており、当時の印刷機がオリーブオイルなどを絞る圧搾機(press)を応用したものであったことから、大学内の印刷所が"university press"と呼ばれるようになり、また、その印刷職人は"university printer"とも呼ばれた。
アメリカ合衆国では19世紀の最後の25年でコーネル大学とジョンズホプキンズ大学に大学出版局が設置されたのが始まりで、出版を中心とする近代的大学出版局が形づくられていった[2]。やがて、1937年にアメリカ大学出版協会(AAUP, 現:AUPresses)が正式に発足した[3]。
日本の大学出版局は、1869年に福沢諭吉が慶応義塾出版局を創設したのが鏑矢となり、1986年には東京専門学校(現・早稲田大学)も出版局を設けて講義録などを刊行した[1]。1963年には東京大学出版会などの10団体が創設メンバーとなって大学出版部協会が設立された。
歴史的な組織モデル
[編集]箕輪成男の解説[1]によると、大学出版局(部)の歴史的な組織モデルには、(1)オックスフォード出版局やケンブリッジ大学出版局のような中世的モデル、と(2)アメリカの大学出版局を典型とする近代的モデル、の2つがある。それぞれの特徴は次のとおりである。
(1)中世的モデル[1]
- (a)印刷が中心。
- (b)聖書印刷の特権から得られた利益で採算をとった。
- (c)商業出版社と競合した。
(2)近代的モデル(アメリカ型)[1]
- (a)出版が中心。
- (b)学術書出版で生じた損失(赤字)は大学予算、財団などの予算で補てん、あるいは政府の公的資金で補てんする。
- (c)商業出版社とは出版内容で一線を画すことで競合を避ける。
歴史的には(1)と(2)の両方があったが、今日ではすべての大学出版局は基本的に(2)の近代的モデルの形を取っている。
一覧
[編集]網羅的に挙げずに、主要なものだけを挙げる[注釈 1]。
英語圏
[編集]英国
[編集]アメリカ合衆国
[編集]- ボブジョンズ大学出版局
- カーネギーメロン大学出版局
- コロンビア大学出版局
- コーネル大学出版局
- デンブリッジ出版(廃業の可能性あり)
- デューク大学出版局
- フォーダム大学出版局
- ジョージタウン大学出版局
- ハーバード大学出版局
- ジョンズ・ホプキンス大学出版局
- ケント州立大学出版局
- ルイジアナ州立大学出版局
- マサチューセッツ工科大学出版局
- ミシガン州立大学出版局
- ムーディー出版
- ノースウェスタン大学出版局
- ニューヨーク大学出版局
- ペンシルベニア州立大学出版局
- プリンストン大学出版局
- ラトガース大学出版局
- スタンフォード大学出版局
- ニューヨーク州立大学出版局
- テキサスA&M大学出版局
- アクロン大学出版局
- アラスカ大学出版局
- アリゾナ大学出版局
- カリフォルニア大学出版局
- シカゴ大学出版局
- ジョージア大学出版局
- イリノイ大学出版局
- ネブラスカ大学出版局
- ピッツバーグ大学出版局
- フロリダ大学出版局
- ケンタッキー大学出版局
- ニューイングランド大学出版局
- テキサス大学出版局
- バージニア大学出版局
- ウェイン州立大学出版局
- ウォートン・スクール出版局
- イェール大学出版局
オーストラリア
[編集]カナダ
[編集]ニュージーランド
[編集]- オタゴ大学出版局
- テ・ヘレンガ・ワカ大学出版局(旧称:ヴィクトリア大学出版局)
南アフリカ共和国
[編集]シンガポール
[編集]アジア(シンガポールを除く)
[編集]日本
[編集]大学出版部協会に加盟している大学出版部のみ列記(2026年2月時点[5])[注釈 1]。
- 北海道大学出版会
- 弘前大学出版会
- 東北大学出版会
- 流通経済大学出版会
- 聖徳大学出版会
- 慶應義塾大学出版会
- 専修大学出版局
- 玉川大学出版部
- 中央大学出版部
- 東京大学出版会
- 東京電機大学出版局
- 法政大学出版局
- 武蔵野大学出版会
- 武蔵野美術大学出版局
- 早稲田大学出版部
- 関東学院大学出版会
- 名古屋大学出版会(名古屋大学単独の出版会ではなく、中部地方の国公私立大学の共同学術出版会)
- 名古屋外国語大学出版会
- 京都大学学術出版会
- 大阪大学出版会
- 関西大学出版部
- 関西学院大学出版会
- 九州大学出版会(九州大学単独の出版局ではなく沖縄、九州地方、中国地方の国公私立大学12校[6]の共同学術出版局)
- 大阪経済法科大学出版部(休会)
台湾
[編集]韓国
[編集]- ソウル大学校出版局 (Seoul National University Press)
- 梨花女子大学校出版部 (Ewha Womans University Press)
香港
[編集]中国
[編集]欧州(英国を除く)
[編集]オランダ
[編集]デンマーク
[編集]フィンランド
[編集]フランス
[編集]ハンガリー
[編集]ポーランド
[編集]ルーマニア
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- 1 2 3 4 5 6 「大学出版部」『改訂新版 世界大百科事典』平凡社。コトバンクより2025年12月7日閲覧。
- ↑ Cecile M. Jagodzinski (2008). “The University Press in North America: A Brief History” (英語). Journal of Scholarly Publishing (University of Toronto Press) 40 (1): 1-20. doi:10.1353/SCP.0.0022 2025年12月7日閲覧。.
- ↑ “History of the Association” [協会の歴史] (英語). Association of University Presses. 2026年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月15日閲覧。
- ↑ “Transfer of Titles” (英語). Libri Publishing (2010年). 2013年4月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月15日閲覧。
- ↑ 「一般社団法人 大学出版部協会 加盟出版部一覧 (PDF)」『大学出版』145号、大学出版部協会、2026年2月2日。2026年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ (PDF)。
- ↑ “加盟校一覧”. 九州大学出版会. 2026年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月14日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 一般社団法人 大学出版部協会
- Association of American University Presses - アメリカ大学出版部協会(AUPresses)サイト