大同江ビール

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大同江ビール(テドンガンビール)
Taedonggangbeer.jpg
朝鮮半島で飲用される。(写真は梨泰院のパブ)
各種表記
ハングル 대동강맥주
漢字 大同江麥酒
発音 テドンガンメッチュ
(テドンガンメクチュ)
日本語読み: だいどうこうばくしゅ
文化観光部式転写:
MR式転写:
英語表記:
Daedong-gang maekju
Taetong-kang maekchu
Taedonggang beer
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大同江ビール(テドンガンビール、大同江麦酒、대동강맥주)は、朝鮮半島ビール。北側(朝鮮民主主義人民共和国)だけでなく南側(大韓民国)でも愛飲されている[1]。朝鮮半島北部最大級のである大同江が流れる平壌市に、大同江ビールの工場がある。大同江ビールは、平壌市に200店舗(2005年)ある「大同江ビアホール」(大同江ビール工場直営)に置いている他、平壌高麗ホテル[2]玉流館ソウル市の飲食店[3]などに置いている。市民に上質のビールをという、金正日総書記の思い入れがある、別名「『アツい』ビール」[4]

概要[編集]

工場設備買収[編集]

2000年イギリスアッシャーズビール工場en:Ushers of Trowbridge)は、不採算性を理由としてオーナーにより閉鎖され、設備がマーケットに売り出されていた。一方で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、金正日総書記の意向により、買収可能なビール工場の設備をドイツエージェントに相談。 エージェントはアッシャーズビール工場のオーナーに話を持ちかけた。同年、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)はアッシャーズビール工場の設備を買収。[5]工場建設には、資金管理をしている張成沢第1副部長の指示があった[6]

朝鮮半島北部最大級の大同江
平壌市金日成広場前の大同江

工場建設[編集]

2001年1月15日、平壌市の寺洞区域(사동구역 サドン=グヨク en:Sadong-guyŏk)で、大同江ビール工場着工[7]

2001年3月、朝鮮中央放送は、大同江ビール工場の建設が順調と報道[8]

2001年7月、洪成南홍성남 ホン・ソンナム en:Hong Song-nam総理参加の平壌市民大会(於: 金日成広場)で、翌年の金日成主席生誕90周年を迎えるにあたり、大同江ビール工場建設に力を入れる呼びかけがあった[9]

2001年8月、金正日総書記は、ロシア最大手のビール会社のバルチカ(バルティカ)ビール社ru:ОАО ≪Пивоваренная компания Балтика≫; en:≪Baltika Breweries≫)の工場を視察。それを端緒に、大同江ビール工場の技術者たちは、バルチカビール社と2度の技術交流を持った[10]

2001年10月、大同江ビール工場建設が最終段階に入り、それに伴い平壌市内に約200店舗の飲料店開設を予定する[11]

生産開始[編集]

2002年4月、大同江ビール工場は本格的生産を開始、設備はオーストラリア[12]。醸造所は、イギリスから移築したアッシャーズビール工場[13]。国内産の麦から麦芽を作る設備は施工中で、暫定的にオーストラリア産の麦芽を輸入[14]

金正日総書記による大同江ビール工場視察後[編集]

2002年6月、金正日総書記が大同江ビール工場を視察、朝鮮式ビール生産の先進技術導入を指示[15]、金正日総書記の指導を受けた大同江ビール工場の副技師長は、青島ビール中国)、ドイツイギリススウェーデンなどに研修に行く[1]。同月、平壌市内を中心として数百カ所のビアホールがオープンしており、大同江ビール工場が生ビールを供給[16]

2004年4月、ドイツ製の最先端コンピューター醸造システムの使用が明らかに。ビール醸造の技術者は、全職員が国際基準の品質への努力をしていると話す。[17]

2005年3月、平壌で大同江ビールの直営店「大同江ビアホール」約150店舗が運営され、平日は15時から19時、日曜日は12時から営業し、勤労者や市民達で混雑している[18]。同月、テレビ朝日が入手した映像によると、大同江ビール工場のビールサーバー日本製を使用(中身は大同江ビール)[19]

2005年9月、METI所管法人ERINAによる市場での価格交渉では、大同江ビールの原麦汁濃度11°のボトルは850から950ウォン(2004年8月は660ウォン)。ただし、平壌の市民間での価格とは違う可能性があるという。[20]

2005年10月、オープンから3年が経った大同江ビール工場と、200店舗の直営店が、既に運営されている。工場は敷地10万ha、建坪2万ha。設備はオートメーション化されている。アルコール度数5.6%の生ビールの年産は7万kl(1時間に1万本、1日に8万本)。直営店「大同江ビアホール」では生ビール1Lで50ウォン。ホップの原料は両江道は両江道と黄海道のものを使用。[1]

2008年3月、大同江ビール工場は、品質向上のために著名ビールと比較、分析し、よりよいビール造りに努めている。鮮度保持のために生産ラインは24時間体制である。同時節、金日成主席生誕祝いの「太陽節ko:태양절)」に向けての「大同江黒ビール」(黒生ビール)生産に注力。「大同江黒ビール」は、国民的祝日だけの限定生産で、前年(2007年)の生産は1回のみ。[4]

2008年5月、アメリカ合衆国ニューヨークの、「平壌焼酎평양소주 Pyongyang Soju)」のアメリカへの輸入を手がけている「米州朝鮮平壌貿易会社(KPT USA)」(アメリカでの販売は「タンス・リカー(Tang's Liquor Wholesale)」による)は大同江ビールの輸入推進を明言した[21]

2008年11月、ソウルで開催されたソウル国際食品産業展「FOOD WEEK 2008」で、北側(朝鮮民主主義人民共和国)の民族経済協力連合会は、大同江ビールを出品した[22]

2009年7月、以前に大同江ビール工場建設の進捗状況を報道した朝鮮中央放送により、白米を原料に使用[脚注 1]しているとして大同江ビールの本格的なTVコマーシャルが放送されている。朝鮮中央放送は、7月2日20時のニュース後に大同江ビールのコマーシャル[23]を放送した。簡単な静止画によるコマーシャルでない、動画のコマーシャル放送は異例で、初の試みという[24]。7月2日以降も大同江ビールのTVコマーシャルを断続的に放送している[25]。同時期の大同江ビールの相場は、平壌のホテルで外国人向け販売価格が1本約1.5ドル[13]

2009年8月、大同江ビールに始まった各TVコマーシャル(他に、高麗人参ヘアピン玉流館ウズラ料理)は中止され、大同江ビールは7月の初放送以来、計3回の放送で中止している[26]

味覚および風味のデータ[編集]

  • 朝鮮新報は、少しツーンとするホップが、「南側(大韓民国)ではとても受けている」(大同江ビール工場の副技師長の話)とし、また、「アサヒスーパードライなどにも遜色ない味に向上」(同副技師長)していると報じている[1]
  • 韓国食文化研究所の所長は、十分なボリュームの泡立ちがある、少し強いホップがはっきり出ていて、好みである、と叙述している[2]
  • METI所管法人ERINAは、味に特色があって楽しめると報告している[27]
  • ロイター通信は、「非常に優れた味」という品評をしている[28]
  • FNNクアラルンプール支局は、「けっこうコクがあってなかなかの味。日本人好みかも」と分析している[3]
  • 藤本健二は、金正日総書記が後味のすっきりしない感じを気にしていたことをFNNの取材で回想している[29]
  • 2009年、朝鮮中央放送は「クリアですっきりした味」と、TVコマーシャルの中でPRしている[30]
  • 新発売(2003年当時)の大同江黒ビールに関して、「あっさりして飲みやすかった」と、日本在住の朝鮮大学校学部生による祖国朝鮮民主主義人民共和国(北側)滞在時の体験談として、朝鮮新報の紹介がある[31]
  • 朝鮮新報が独自にミックスした大同江ビール(生)と大同江黒ビール(黒生)の「ハーフ&ハーフ」に関して、同紙は平壌の景観を例に、青空を想起するさわやかさでいっぱいと表現している[1]

大同江ビールの種類[編集]

  • 大同江ビールは、アルコール度数の違う複数の商品がある。
    3.5% - 『ネナラ』ニュース調べ
    4% - 『ネナラ』ニュース調べ
    5% - 『ネナラ』ニュース調べ
    5.6% - 朝鮮新報調べ
  • 黒ビール(흑맥주) - ハングル朝鮮中央通信による表記[32]
    ※ 限定生産。
  • 白米ビール(흰쌀맥주) - ハングルは朝鮮中央通信による表記[32]
    ※ 2009年、朝鮮中央放送により、白米の使用がテレビで宣伝された。

関連項目[編集]

  • 北朝鮮のビール
  • 大同江区域
  • 大同郡
  • zh:大同門ko:대동문 テドンムン en:Taedongmun
  • 金剛ビール금강맥주 クムガンビール Kumgang-beer)
  • 鳳鶴ビール봉학맥주 ポンハクビール Ponghak-beer)
  • 龍城ビール룡성맥주 リョンソンビール Ryongsong-beer)
    • 龍城ビールの생맥주(生ビール)は주원료(主原料): 보리(大麦)、흰쌀(白米)、호프(ホップ); 주정酒精)4.5%; 보관온도(保管温度)0-4℃; 原麦汁濃度(ラベルは度数のみ表記)15°; ボトルのラベルは水色と白色がベース ※ ハングルはラベルの通り
    • 龍城ビールの흑맥주(黒ビール)は大麦、白米、ホップ、(水); 酒精5%; 保管温度0-12℃; 原麦汁濃度 16°; ボトルのラベルは金色と黒色がベース ※ 生ビールと重複のハングル省略

脚注[編集]

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  1. ^ コメのビールに関して
    • 北側(朝鮮民主主義人民共和国)の龍城ビール(リョンソンビール)も白米を使用している。
    • 南側(大韓民国)では「ビール(コメビール)」を開発しており、2007年、国税庁技術研究所が開発した「米ビール」を、中央日報は報道した[ext]
      アメリカのビールも「ビール(ベイビール)」と表現されるが、意味が異なる。
    • スイスではCOOPが「FINE FOOD」シリーズとしてBIRRA DI RISO TICINESE(イタリア語。読み方はビーラ・ディ・リーゾ・ティチネーゼ。直訳すると「コメのビール、ティチーノの」)というコメのビールを販売している。
    • イタリアではRISO SCOTTI S.p.A.(リーゾ・スコッティ株式会社)がBIRRA AL RISO(ビーラ・アル・リーゾ。直訳は「コメによるビール」)を特別品として生産している。
    • 台湾では台湾菸酒公司蓬莱米を使った台湾ビールを作っている。
    • 日本では
      • 麦芽、コメ(新潟県こしひかり)、ホップ、水で造った「こしひかり越後ビール」(エチゴビール株式会社) - 日本地ビール協会主催2001年ジャパン・ビア・カップで銅賞受賞、2009年モンドセレクションで銀賞受賞。
      • 新潟県産こしひかり「どん米(どんまい)」を使用した「どん米ビール」(新潟麦酒株式会社)
      • もち米品種の黒米赤米としても知られる)「朝紫(あさむらさき)」を使用した「常陸野ネストビール Red Rice Ale(レッドライス・エール)」(木内酒造合資会社)
      等がある。
      参考までに、日本は酒税法上(酒税法第3条第12項)、米をビールに使用する場合、(およびその他の原料)とホップの合計の使用量が、麦芽の使用量より重くならないように規定されている。第3条第12項の規定と異なる場合は発泡酒第三のビール等。麦芽、ホップの代わりに米こうじを使用すると清酒等。

参考文献[編集]

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  1. ^ a b c d e 市民に愛される大同江ビール 朝鮮新報 2005年10月28日
  2. ^ a b 平壌、開城、朝鮮の食事情 朝鮮の人々と食品に関する意見交換 朝鮮新報 2005年10月21日
  3. ^ a b ソウルフードと北朝鮮ビール FNNクアラルンプール支局
  4. ^ a b 「太陽節」に向けて 朝鮮新報 2008年3月26日
  5. ^ 北朝鮮はけっこうマメに色々やってる gooニュース 2009年7月6日
  6. ^ 「ポスト金正日」の行方(下) 韓国国家安保戦略研究所専任研究委員 金光進氏に聞く 世界日報 2008年9月30日
  7. ^ ニュースPICK-UP 大同江ビール工場着工式 朝鮮新報 2001年1月22日
  8. ^ 平壌に近代ビール工場 アジアの経済ビジネス情報 NNA.ASIA 2001年3月7日
  9. ^ 平壌で市民大会 朝鮮新報 2001年7月20日
  10. ^ 「今後も関係深めたい」中国駐在バルチカ・ビール社代表 オレグ・アリョーヒンさん 朝鮮新報 2009年5月18日
  11. ^ 大同江ビール工場建設が最終段階に 朝鮮新報 2001年10月17日
  12. ^ 生ビール専門の大同江ビール工場 朝鮮日報 2002年9月13日
  13. ^ a b 北朝鮮が国産ビール発売開始 「平壌の誇り」とテレビ宣伝 47NEWS(コマーシャル動画) 2009年7月6日
  14. ^ 豪州産の麦芽でビール生産 アジアの経済ビジネス情報 NNA.ASIA 2002年7月24日
  15. ^ 共和国日誌 総書記動静 私設 朝鮮民主主義人民共和国研究室 2002年6月17日
  16. ^ 平壌市内、ビアホールがブーム 中央日報 2002年6月28日
  17. ^ 国産ビールが人気 アジアの経済ビジネス情報 NNA.ASIA 2004年4月28日
  18. ^ 大同江 ビアホール 北朝鮮問題研究會 NK FOCUS North korea News And Reports 2005年3月8日
  19. ^ 北朝鮮W杯応援 3泊4日ツアーのすべて 報道ステーション 2005年3月28日
  20. ^ 統一通り市場の商品価格(朝鮮民主主義人民共和国平壌市) 1.統一通り市場の商品価格(ERINAによる調査) METI所管法人ERINA 2005年9月
  21. ^ 「平壌焼酎」、米国で販売開始 朝鮮新報2008年5月12日
  22. ^ ソウルで朝鮮物産展 食品、民芸品など紹介 朝鮮新報 2008年11月28日
  23. ^ 北朝鮮初の資本主義的商業広告CMが配信、「大同江ビール」 インターネット韓日民間交流団体 KJ CLUB(コマーシャル動画) 2009年7月6日
  24. ^ 北朝鮮 国営TV局、資本主義色濃いCMを異例放送=ビールを3分弱 - 中国紙 レコードチャイナ 2009年7月4日
  25. ^ 「ストレス解消、利尿作用」 北朝鮮が国産ビールCM 朝日新聞 2009年7月15日
  26. ^ 大同江ビールのテレビCMに金総書記が激怒? 朝鮮日報 2009年11月9日
  27. ^ 朝鮮における軽工業の現代化と人民消費品の生産 2.軽工業の現代化状況 1.食品加工工業(21ページ) ERINA REPORT Vol.83 特集: 朝鮮民主主義人民共和国の経済 2008年9月
  28. ^ 「北韓の大同江ビールは最高級」ロイター通信 KBS WORLD Radio 2008年3月11日
    North Korean beer: great taste, low proliferation risk ロイター通信 2008年3月9日(英語サイト)
  29. ^ FNNスーパーニュース フジテレビ 2009年7月3日
  30. ^ 北朝鮮でテレビCM放映 ビールをPR 日テレNEWS24(コマーシャル動画) 2009年7月3日
  31. ^ バーガーショップ、大同江黒ビール体験 朝鮮新報 2003年10月18日
  32. ^ a b 인기있는 대동강맥주(人気のある大同江ビール) 朝鮮中央通信 2009年6月25日(ハングルサイト。英語サイトに切り替え可。【英語サイト】

extra. ^ 世界初「米ビール」国税庁が作る 「苦味がなくておいしい」 中央日報 2007年6月6日

外部リンク[編集]