大住囲い

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大隅囲い(大住囲い)
先手側はシンプルな大隅囲い
後手側は発展形の高大住

大住囲い大隅囲い、おおすみがこい)は、将棋囲いの一種。

僅か3手(先手が右に囲いを作る場合を例に挙げるなら、4八玉〜3八玉〜4八金)で完成する最速の囲い。主に振り飛車で用いられるが、居飛車でもしばしば使用されている。

大住囲いという名称は「大いに住みやすい」囲いを略したもの。玉を素早く囲い、展開に応じて柔軟に組み替えることが可能であるなど、この囲いの特長を表現している。囲い内部の形状から「大きな隅」に玉を囲うという意味で大隅囲いという表記もある。略称として大住、大隅、大住まいとも言う。(例:玉を大住(大隅)に囲う。)[1]

振り飛車の代表的な囲いである美濃囲いの弱点の一つに、▲2八の地点に紐がついていないという点がある[2]のに対し、大隅囲いにはこの弱点がない。また、従来の居飛車急戦で一般的であった早囲い(▲6八銀、▲6九金の形)や2018年頃流行したelmo囲いは相手から△8八角成と角交換された時に囲いが乱されていたのに対し、大住囲いは△8八角成とされても▲同銀と形よく取れるなど、早囲いなどよりも乱戦に強い[3][4]。その上、大住囲いは中央からの攻めに対して厚く強い点[5]、相手の角筋を避けている点[6]、端攻めの際にカウンターされづらい点[6][7]地下鉄飛車を狙いやすい点[6]、囲いを発展させながら攻めることが可能であり、玉頭戦での攻撃力が高い点[4]、バランスの良い囲いに発展させやすく角交換に強い点[6][4]などが長所として挙げられている。伸展性が非常に高く、臨機応変に様々な仕掛けを展開することができる[6][4]

藤井聡太は、2020年に現代将棋における囲いの最新形について論じている。藤井は、最新の将棋の特徴として、展開に応じて囲いが変化していく点と、囲いと攻めが一体化している点を挙げており、いずれの特徴についても大住囲いの棋譜を具体例として紹介している[4]

使用局面[編集]

古典将棋時代[編集]

大住囲いは古典将棋の最初期から存在する囲いの一つである。現存する棋譜の中で二番目に古い棋譜とされる1608年1月18日初代大橋宗桂本因坊算砂の対局では、20手目に後手が6ニ金と指し、玉を大住囲いに囲っている(図2-1)[8][9]

1608/01/18
△本因坊算砂
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▲初代大橋宗桂
図2-1

それ以降の古典将棋の棋譜中でも大隅囲いは度々登場している[10]

1844/06/01
上手△天野宗歩
持ち駒:なし
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
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93 83 73 63 53 43 33 23 13
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96 86 76 66 56 46 36 26 16
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持ち駒:なし
▲和田南枝
図2-2 古典将棋での大住囲いの例

図2-2は、天野宗歩が自玉を大住囲いに囲った局面。

コンピュータ将棋隆盛以前の現代将棋[編集]

現代将棋でも、横方向や中央からの攻めに対して素早く備えることができることから、従来も中飛車や対抗形の対局で時折採用されていた[11]

2000/02/09新人王戦本戦
△ 堀口一史座
持ち駒:なし
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
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持ち駒:なし
▲ 近藤正和
図2-3 相中飛車の中での大住囲い

ゴキゲン中飛車升田幸三賞を受賞した近藤正和は、11手目に4八金と上がり自玉を大隅囲いに囲った手を「自慢の一手」と評価している(図2-3)。

また、相向かい飛車となった2012/05/19女流王座戦▲中村桃子-△熊倉紫野で、中村桃子女流は自玉を大住囲いに囲い、勝利を収めている。

2012/05/19女流王座戦
△ 熊倉紫野
持ち駒:飛車、歩ニ
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
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95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
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持ち駒:飛車
▲ 中村桃子
図2-4 相向かい飛車での大住囲い
(飛車交換後)
 
2012/05/19女流王座戦
△ 熊倉紫野
持ち駒:歩二
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
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持ち駒:歩五
▲ 中村桃子
図2-5 相向かい飛車での大住囲い
(中村女流が大住囲いを活かして▲5七龍と指した局面)

図2-5で、中村女流は大住囲いの長所を活かして5七龍と指した。金銀玉の連携が龍角桂の利きを伴い攻守に効いている。

現代将棋(コンピュータ将棋隆盛以後)[編集]

その後、コンピュータ将棋ソフトが立て続けにプロ棋士に勝利を収めるようになり、プロ棋士の間でもバランス重視の陣形が見直されるようになった。例えば、土居矢倉天野矢倉雁木などの陣形が再び採用され成果を上げた[12][13][14][15][16]ことや、居飛車党の棋士が四間飛車や4三銀型の三間飛車に対してelmo囲い急戦を多用し成果を上げるようになったこと[17][18]が挙げられる。このように、プロ棋士の間でバランス型の囲いが再注目されている。 そのような状況の中、2018年には藤井聡太糸谷哲郎に対して、2020年には佐藤康光羽生善治に対して、それぞれ大住囲いに自玉を囲い、いずれも勝利を収めている。[19](▲藤井-△糸谷戦は居飛車で、▲佐藤-△羽生戦は角交換振り飛車で、大住囲いが採用された。)

2020/02/27順位戦
△ 羽生善治
持ち駒:なし
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
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持ち駒:角、歩
▲ 佐藤康光
図2-5 角交換振り飛車での大住囲い
2018/03/22王座戦二次予選
△ 糸谷哲郎
持ち駒:角
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
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持ち駒:角、歩
▲ 藤井聡太
図2-6 居飛車での大住囲い
 

こうした中で、大橋貴洸は、玉を7ニ(3八)の位置で囲う四間飛車を採用して実績を上げており、これをテーマにした棋書が2020年に発売された[6]。大橋は、その棋書の中で耀龍四間飛車戦法を読者に紹介する際、玉を大隅囲いに囲った局面を基本図に用いてその優秀性を読者に語っている[6]

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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
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図2-7 ノーマル四間飛車での大住囲い[6]

2020年8月の棋戦[20]では折田翔吾折田新手[21][22]を披露してプロ棋士としての初勝利を飾っている。
2020年には耀龍四間飛車などの7二玉型の四間飛車が流行するようになった。

2021年4月、第48回将棋大賞が発表され、大橋貴洸耀龍四間飛車升田幸三賞を受賞した。

相大住囲い[編集]

従来も相中飛車で相大住囲いが採用されていた[23]
2020年6月20日竜王戦3組決勝▲藤井聡太-△杉本昌隆では、対向形の中相大住囲いとなった。[24]大住囲いの躍動の萌芽として注目される。

2020/06/20竜王戦3組決勝
△杉本昌隆
持ち駒:なし
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
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持ち駒:歩二
▲藤井聡太
図1 相大住囲い


2020年12月、藤井聡太は、相大住囲いとなったこの対局や阪田流向かい飛車に対して大住囲いに構えた対局を、土居矢倉や中住まいの対局とともに、「(最新の)現代将棋の囲いの特徴が現れた」対局であると紹介している(将棋世界Special 藤井聡太の囲い論)[4]。藤井聡太はその記事の中で、相大住囲いの対局を「変化する囲い」の具体例として挙げ、先手後手それぞれの狙いやその後の進行を解説した上で、「このように、現代の将棋では一つの決まった囲いで戦い終わることはほとんどありません。囲いは戦いながら変化するものです。」と論じている。また、阪田流向かい飛車に対する大住囲いの対局を「攻めを見越した囲い」の具体例として挙げ、大住囲いの特長やその後の展開を説明した上で、「囲いが攻めにつながる一例ですね。」と論じている[4]

大住囲いの躍動[編集]

2020年にはプロ棋戦で大住囲いの採用数が大幅に増加した。
角交換振り飛車ノーマル振り飛車では主流の囲いの一つとなった。
居飛車でもPonanza流対四間飛車大住囲いを参考にした二枚金型の居飛車急戦が流行し、二枚金型から▲6七金右(△4三金右)型の高大住囲いに組み換え、四間飛車側からの仕掛けを封じつつ松尾流穴熊などへと発展させる戦法が流行している[25]
2021年となってからも引き続き大住囲いはプロ棋戦で登場している[26][27]

大住囲いの伸展性[編集]

囲いの組み方[編集]

先に玉を移動させる(▲4八玉〜▲3八玉〜▲4八金の順で囲う)方法と、先に金を上がる(▲4八金〜▲4九玉〜▲3八玉の順で囲う)方法とがある。前者は自然な手順であり、いち早く居玉を解消し、また、▲4八金と上がらずに▲2八玉と寄って手順に美濃囲いにする可能性も残している。後者は敢えて玉を▲5九玉や▲4九玉の状態で待機させることができる[21]。後者の場合、中住まいに構える可能性も残している。[28]

高大住(長大住)[編集]

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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
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97 87 77 67 57 47 37 27 17
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高大住(長大住)

大住囲いの金の上にもう1枚金を重ねて囲いを縦に伸長した形を、高大住(たかおおすみ)または長大住(ながおおすみ)という。
高大住は上部や中央に厚く、桂馬を活用しやすい形でバランスが良い。また、後述するように、高大住は松尾流穴熊天野矢倉などへの組み換えが可能であり、伸展性が高い。
高大住は玉付近の歩を突くことで囲いが上部に広くなり、横からの攻めに対して玉の安全性を高める効果がある。

指し手の方針[編集]

乱戦の場合[編集]

相手が居玉や囲いを作らない状態で乱戦を仕掛けて来た場合には、大住囲いの方が固いことを活かして捌き合いを狙う展開になることが多い。使用局面の項目で掲げた図2-6では、先手陣の方が後手陣よりも固いため、先手としては捌き合いによって優勢に持ち込むことができる。また、図2-6の後、先手の藤井聡太は、▲7三桂と桂馬を活用した。これは、事前に角筋を消していると同時に、後に▲6五桂や▲8五桂と桂馬を更に活用する手を用意し、攻めと囲いが一体化している[4]。実際の対局でも、大住囲いが相手からの急戦をしっかりと受けていた上に、▲8五桂が相手玉の詰みに寄与していた[4]

居飛車(対ノーマル四間飛車)の場合[編集]

コンピュータ将棋ソフトのPonanzaは、ノーマル四間飛車を相手にした時、序盤早々に玉を大住囲いに囲い、そこから様々な陣形に組み換えるという戦法を見せていた。

次の図は、世界コンピュータ将棋選手権の決勝リーグでPonanzaが四間飛車に対して大住囲い亜急戦を採用した場面である。[29]

第27回世界コンピュータ将棋
選手権決勝
△NineDayFever
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
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96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
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▲Ponanza Chainer
Ponanza流対四間飛車大住囲い

Ponanza流大住囲い亜急戦には多くの狙いがある。とくに注目されていたのは、次のように段階的な狙いを持った展開である。

  • 第一段階
    • 大住囲いから右金を▲5八(△5二)に上げて急戦を見せる。▲6八銀▲6九金型で急戦を仕掛けた場合よりも大住囲いの方が角交換に強い点、右金が▲5七の地点をカバーしている点、右金が剥がされても大住囲いが残るため強度が高い点、金銀の連結が比較的良い点などの利点があるため、四間飛車側は対策を講じる必要がある。
  • 第二段階
    • 四間飛車側が角引きや高美濃囲いなどへの伸展といった対策を講じてきた場合には、第二段階に移行し、右金を▲6七(△4三)に上げて囲いを高大住に発展させる。
  • 第三段階
    • 高大住が完成すると、四間飛車側が居飛車の陣形を攻略することは難しく、先手も後手も囲いを更に固めることを選んだ場合、持久戦になる。四間飛車側が銀冠へ組み換えたとしても、居飛車側は松尾流穴熊端歩突き穴熊などそれ以上に頑丈な陣形に組み替えることが可能であり、四間飛車側からこの状況を打開することは難しい。

2010年代後半から、Ponanza流の大住囲い亜急戦を参考にして、プロ棋士の間でも四間飛車や三間飛車や中飛車を相手に二枚金型(7九銀、6八金、5八金型)の亜急戦が流行し始めた。2020年には女流棋士の間でも採用されている[30]
ただしプロ棋士の場合には、第一段階ではPonanza流とは異なり、先に右金を5八に上げ、一般的な舟囲いの形を作ってから、左金を上げることが多い。Ponanza流の手順よりも従来から指されていた急戦定跡と似ているため、この手順の方がプロ棋士にとっては分かりやすいのである。このような組み方を角田三男が得意としていたことが後に勝又清和によって再発見された。
第二段階で二枚金型の大住囲いから高大住へと組み替える点[25][31]、第三段階で穴熊などの頑丈な陣形を築き上げることを目指す点[25][32]は、Ponanza流の大住囲い亜急戦と共通している。

2020/02/04順位戦
△本田奎
持ち駒:飛、歩
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
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持ち駒:角、歩四
△谷合廣紀
図 高大住での中盤戦

上図は第二段階で中盤の仕掛け合いが展開された例。後手陣の高大住は中央と上部に厚い。△3三桂は角筋を受けているだけでなく、中央や上部での駒の連結や働きを高めている。後手の飛車や右銀も展開に応じて様々な動きを見せた。

2020/08/06順位戦
△渡辺和史 持ち駒:なし
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
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▲中村亮介 持ち駒:なし
図a 高大住(長大住)
2020/08/06順位戦
△渡辺和史 持ち駒:桂
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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
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▲中村亮介 持ち駒:桂、歩二
図b 大住囲いから金銀4枚の囲いへの組み換え

第三段階では、穴熊以外の囲いにも発展させることができる。図a、図bはそれぞれ第二段階、第三段階の局面図。2020年の順位戦▲中村亮介-△渡辺和史から採録した[33]。 後手は図aから図bにかけて大住囲いを発展させ、金銀4枚の強固な陣形を築いた。先手の中村は▲4七金として千日手に応じた。

相中飛車での大住囲い[編集]

相中飛車の大住囲いは主流の囲いの一つである。 中飛車と大住囲いは相性が良い。

ノーマル振り飛車(対居飛車)の場合[編集]

相手が玉を囲いつつ急戦を仕掛けて来た場合には、美濃囲いと比べて飛車を使った横からの攻めに玉が近い点を意識する必要がある。美濃囲いでは玉の遠さを活かして積極的に飛車を捌き合う展開を狙うことが多い。大住囲いでは、相手からの急戦をしっかりと受け止める、強力なカウンターを用意する、持久戦に移行させるなど、状況に応じて丁寧に指し回していく展開になる[6]。伸展性の高さを活かして囲いを発展させていき、相手陣の弱点を突いたり、自陣を補強したりする。持久戦に対しては、伸展性の高さを利用して臨機応変に陣形を発展させていく展開になる[6][34]

相振り飛車の場合[編集]

向かい飛車対三間飛車などの相振り飛車では大住囲いはあまり使用されない。金無双に組む際に時折経由されることがある。
長大住は、以前から▲5七銀型三間飛車の向かい飛車対策の一つとして認識されていた。
その後、菅井竜也による菅井新手が発見されたことにより、2010年代のプロ棋戦では、向かい飛車を相手に美濃囲いで速攻を仕掛けていく指し方が主流となっている。

角交換振り飛車の場合[編集]

Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
持ち駒:角
角交換四間飛車での大住囲い
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
持ち駒:角
阪田流(菅井流△3三金型)三間飛車での大住囲い

大住囲いは角交換振り飛車でも使用される[35]
初手7八飛戦法向かい飛車角交換四間飛車などでは、大住囲いと下段飛車を合わせてバランスを取り、逆棒金を見せたり、右玉のように指し回したりする展開になることがある。また、左金も囲いに使い、囲いを発展させていく展開などになることがある。
阪田流向かい飛車菅井流△3三金型三間飛車では、玉を素早く囲うことができる点、角打ちに強い点、伸展性が高い点などが大住囲いの利点となる。
序盤では左銀が5三の地点を守っているため、居飛車側からの早い仕掛けはあまりない。その後は、阪田流側から力戦を仕掛ける、阪田流側が低い陣形を維持して逆棒金を見せる、お互いがじっくりと駒組みを進めるなどの展開になることがある。
居飛車からの▲4一角に備え、阪田流側が大住囲いを作った上で中住まいや居玉に構える展開もある[36]
阪田流側が左金を右辺へと寄せていき、お互いが天野矢倉土居矢倉などに組み替えていく展開もある。

他の形への発展[編集]

状況に応じて二枚金[6][37]穴熊[38]右玉[6]矢倉(特に天野矢倉[39]土居矢倉[40]。3八玉・4八金型であるため、大住囲いは天野矢倉や土居矢倉と相性が良い。)、銀冠など他の囲いへの組み換えが行われることがある。

図3-1a・図3-1bは、大住囲いから土居矢倉への組み換えの例である。

1941/03/26
上手△ 土居市太郎
持ち駒:歩
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
持ち駒:なし
▲ 和田庄兵衛


図3-1a 上手が大住囲いに囲った局面

1941/03/26
上手△ 土居市太郎
持ち駒:歩二
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
持ち駒:なし
▲ 和田庄兵衛


図3-1b 上手が大住囲いから土居矢倉へと組み替えた局面

上手の土居市太郎は棒金で素早く一歩を回収すると、玉を大住囲いに囲って自陣を整備した(図3-1a)。その後、上手は下手の金矢倉を攻めながら土居矢倉へと組み換え、相矢倉の対局になった(図3-1b)。

その他、大住囲いから組み替えられる囲いの例を次に示す。(大住囲いは居飛車でも振り飛車でも用いられることから、特に左右を区別する必要がない場合、玉を右に囲った形のみを図示する。)

Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
図3-2 大住囲いからの組み換え
天野矢倉
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
図3-3 大住囲いからの組み換え
中住まいに構えた大住囲い
後手側 居飛車大住囲いからの地下鉄飛車[41]
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
先手側 耀龍四間飛車での1筋への地下鉄飛車[6]


図3-4 大住囲いからの組み換え
地下鉄飛車

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91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
図3-5 大住囲いからの組み換え
二枚金
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51 41 31 21 11
92 82 72 62 52 42 32 22 12
93 83 73 63 53 43 33 23 13
94 84 74 64 54 44 34 24 14
95 85 75 65 55 45 35 25 15
96 86 76 66 56 46 36 26 16
97 87 77 67 57 47 37 27 17
98 88 78 68 58 48 38 28 18
99 89 79 69 59 49 39 29 19
Shogi zver 22.png
図3-6 大住囲いからの組み換え
振り飛車穴熊(右辺)
Shogi zhor 22.png
91 81 71 61 51