夢千代日記

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夢千代日記』(ゆめちよにっき)は、NHKの『ドラマ人間模様』で放送された3部作のテレビドラマである。吉永小百合主演。作・脚本:早坂暁、音楽:武満徹。後に映画化や舞台化もされ、舞台では数々の女優により主人公夢千代が演じられている。

物語の舞台は兵庫県美方郡温泉町(現:新温泉町)。同町の湯村温泉はこのドラマ放送後、「夢千代の里」として脚光を浴びた。現在、温泉街の中心部である荒湯のそばに吉永小百合をモデルにした「夢千代の像」が建てられている。また平成16年11月に資料館「夢千代館」がオープンし、館内には湯里銀座や煙草屋旅館内部などが再現されている。物語中で芸者たちが度々舞う「貝殻節」は山陰地方でのみ知られる民謡だったが、このドラマで一躍全国的な知名度を得た。

概要[編集]

主人公の夢千代は母親の胎内にいたとき、広島で被爆した「胎内被爆者」。原爆症を発病しており、余命2年と宣告されている。物語はその夢千代を取り巻く人々の生き様を山陰の冬景色を背景に物悲しく描く。ストーリー展開は夢千代が毎日書き綴っている日記が軸となっており、随所に夢千代が日記の一部を読んでいるナレーションが盛り込まれている。また、湯村を訪れる謎の人物がシリーズ毎に登場し、次第にその過去が解き明かされていくというミステリー的な魅力もある。

三部とも物語の冒頭は、夢千代が原爆症の治療に神戸の病院へ行き、その帰りに山陰線の列車が余部鉄橋にさしかかるころの車内から始まる。

夢千代日記[編集]

あらすじ[編集]

湯里の置屋「はる屋」の女将・夢千代は神戸の病院からの帰りに山陰線急行列車の中で川崎からやってきた山根刑事と知り合う。山根は殺人容疑で「はる屋」の元芸者・市駒を追っていると告げ、「はる屋」で張り込みを続ける。そんなとき、湯里警察署捜査課長・藤森警部の許に、6年前に湯里の海岸で金魚と心中した橋爪信之の母と妻が訪ねてくる。ふとしたことから生き残った金魚に女の子(アコちゃん)がいると知り、亡き息子の子供だから引き取りたいと金魚に談判する。しかし、おスミさんの話から女の子は金魚の実子ではなく、木原医師のところからもらわれてきた赤ちゃんだったと判ってしまう。そこに木原医師が父を亡くし身寄り頼りがなくなった足の不自由な少女・時子を伴って、芸者にしてほしいと「はる屋」を訪ねてくる。

また、山倉の縄張りだった湯里に広島の暴力団・サン商会の沼田が勢力拡大のため子分を引き連れ乗り込んできて、夢千代に「はる屋」の面倒を見たいと申し出るが拒絶されてしまう。沼田は広島で被爆した際、夢千代の母に助けてもらったと言って、仏壇に線香をあげて去っていく。一方「はる屋」で張り込みを続けていた山根が胃潰瘍で吐血し、木原診療所に担ぎ込まれる。その晩「はる屋」に市駒から電話がかかってくるが、夢千代は山根が湯里に来ていることを知らせ、いま「はる屋」に来てはいけないと告げる。千代春は子宮癌の末期症状で寝込んでしまい、木原医師に睡眠薬をねだる。翌日、菊奴からの情報で浜坂のスナックに訪れた夢千代は市駒と再会し、市駒は藤森に自首する。

木原診療所で療養していた山根は親切で評判のいい木原医師が事情のある赤ちゃんを斡旋していることを知り、藤森に調査を勧める。藤森は医師免状の提出を求めるが、木原は明日にしてくれと言う。翌早朝に木原は千代春に睡眠薬を届け、自分がニセ医者であることを告白し、町から出て行くと言うと、千代春は一緒に連れて行ってくれと懇願し、二人は湯里を後にする。一連の出来事を見ていた山根は人間の弱さや優しさに打たれ刑事を辞めてしまう。数日後、湯里で時子の芸者・小夢としてのお披露目がささやかに行われた。長く厳しい山陰の冬ももうすぐ終わりを告げる。

キャスト[編集]

はる屋の人々[編集]

  • 夢千代(永井幸子):吉永小百合 - 置屋「はる屋」の女将
  • 千代春:楠トシエ - はる屋の年増芸者
  • 菊奴:樹木希林 - はる屋の年増芸者
  • 雀:大信田礼子 - はる屋の芸者
  • 金魚:秋吉久美子 - はる屋の芸者
  • 小夢(時子):中村久美 - はる屋の半玉
  • アコちゃん:大熊なぎさ - 金魚の娘
  • スミ(おスミさん):夏川静枝 - はる屋の女中

煙草屋旅館[編集]

  • 泰江:加藤治子 - 煙草屋旅館の女将
  • 泰男:岡田裕介 - 泰江の息子
  • 兼子(おカネさん):佐々木すみ江 - 煙草屋旅館の仲居頭
  • トシ子:香山エリ - 煙草屋旅館の仲居

湯里町の人々[編集]

湯里町を訪れた人たち

スタッフ[編集]

  • 原作:早坂暁
  • 脚本:早坂暁
  • 演出:深町幸男・松本美彦
  • 音楽:武満徹
  • 製作:勅使河原平八
  • 方言指導:高橋ひろ子
  • 三味線指導:豊藤美
  • 踊り指導:松浦姉妹
  • 協力:兵庫県美方郡温泉町

挿入歌[編集]

  • 貝殻節 - 鳥取県民謡、芸者たちがお座敷で披露する。
  • 赤色エレジー - あがた森魚、ストリップ小屋でのBGM。
  • 最後のダンスステップ - あがた森魚、同上。
  • なみだ船 - 北島三郎、白兎のBGM。
  • TOKIO - 沢田研二、同上。

視聴率[編集]

第1回22.3%、第2回19.2%、第3回19.6%、第4回19.0%、最終回19.7%[1]

続 夢千代日記[編集]

あらすじ[編集]

夢千代は神戸の病院からの帰りに山陰線の列車の中で家出少女・俊子と出会う。夢千代は俊子に「はる屋」に来ないかと誘う。すると「はる屋」ではアコちゃんが誘拐されたと大騒ぎ。湯里にオープンする葵ホテルの従業員としてやってきた曽根佐和子が誘拐犯と間違われ湯里警察署に連行されるが、人違いとわかり釈放される。金魚は若い女とアコちゃんが白兎に立ち寄った話を聞き、女がアコちゃんの実母だと確信する。夜になってアコちゃんは湯里ヌード劇場に隠れているところをアサ子に発見される。葵ホテルのオープンで大量の客を皮算用している山倉は新人の踊り子ミッチー・ギャルソンを雇い、ヌード劇場に裸の背景画を描かせるため鳥取から商業画家を招く。芸者姿の夢千代を見た画家はこの人を描きたいと申し出るが山倉に却下されてしまう。

家出してきた少女は夢千代に好きな人を探しにきたと語り、夢千代は協力すると約束する。そこに藤森刑事がやってきて夢千代たちに少女の過去を暴露する。一方、ヌード劇場で背景画を描いている画家は何度描き直しても夢千代になってしまい、挙句の果てに山倉に塗りつぶされるのは見るに忍びないと逃げ出して「はる屋」に夢千代を訪ねてくる。画家が貴方を描かせてくれと懇願しているとき、俊子が帰ってくる。この画家こそが俊子が探していた上村洋一という先生だったのだが…

その夜、突然佐和子がコンパニオン姿のままで「はる屋」に駆け込んでくる。佐和子は閨の世話までしなければならないコンパニオンがイヤになって逃げ出してきたという。佐和子と奈美絵は一先ず煙草屋旅館に落ち着いた。上村は俊子に帰るように説得するが、なかなか承知しないので夢千代が好きだと言ってしまう。夢千代は俊子に「優しそうな人が一番酷いことをする」と言われショックを受ける。

翌朝、俊子は母親に引き取られ帰っていく。同じ頃クビになったミッチーとアンちゃんが駆け落ち同然に逃げていった。一方、小学校に奈美絵を取り返しに父親の矢口がやってきた。アコちゃんから知らされた佐和子は追いかけることを断念する。夢千代は原爆症の病状が重くなり寝込むが上村に会いたいと言って呼び出す。しかし、上村が「はる屋」を訪ねると会えないと言い出す。上村は障子越しに春まで待つと告げ鳥取に帰る。

その後、上村から毎日のように手紙が来るが、夢千代は返事を書かなかった。おスミさんに勧められようやく上村に手紙を書くが、翌日藤森がイカ釣り船で遭難した上村洋一の悲報を知らせに来る。夢千代が上村の居室を訪れると一日違いで届いていた自分の手紙があった。夢千代は上村に描いてもらおうと思っていた芸者姿で鳥取砂丘に一人佇み、自分の書いた手紙を波に向かって読み聞かせる。春になれば、春になれば…。

キャスト[編集]

  • 夢千代(永井幸子):吉永小百合
  • 菊奴:樹木希林 - はる屋の年増芸者
  • 金魚:秋吉久美子 - はる屋の芸者
  • 小夢:中村久美 - はる屋の半玉
  • アコちゃん:大熊なぎさ
  • スミ(おスミさん):夏川静枝
  • 泰江:加藤治子 - 煙草屋旅館の女将
  • 兼子(おカネさん):佐々木すみ江 - 煙草屋旅館の仲居頭
  • 房子:高橋ひろ子 - 煙草屋旅館の仲居
  • アサ子:緑魔子 - ストリッパー
  • 安藤(アンちゃん):あがた森魚 - 湯里ヌード劇場の照明係
  • 寄子:水原英子 - スナック白兎のママ
  • クーちゃん(邦子):内藤路代 - スナック白兎のウエイトレス
  • ミッチー・ギャルソン:條津レナ - 新入りのストリッパー
  • 山本倉次郎(山倉):長門勇 - スナック白兎・湯里ヌード劇場のオーナー(町の顔役)
  • 藤森刑事:中条静夫 - 湯里警察署の捜査課長
  • 安岡巡査:松田茂樹 - 藤森刑事の部下
  • 松崎先生:檀ふみ - 湯里小学校の教諭、アコちゃんの担任
  • 池辺俊子:菊地優子 - 家出少女
  • 曽根佐和子:いしだあゆみ - 新装開業した葵ホテルのコンパニオン
  • 曽根奈美絵:市丸和代 - 曽根佐和子の娘
  • 矢口:岸部一徳 - 曽根佐和子の夫、奈美絵の父
  • 恵子:松本ちえこ - アコちゃんの実母
  • 田村:丹波義隆 - 上村の漁師仲間
  • 灰谷:谷村昌彦 - 煙草屋旅館の客
  • 上村洋一:石坂浩二 - 元横浜の中学校美術教諭、画家

スタッフ[編集]

  • 原作:早坂暁
  • 脚本:早坂暁
  • 演出:深町幸男・渡辺紘史
  • 音楽:武満徹
  • 製作:勅使河原平八
  • 方言指導:高橋ひろ子
  • 三味線指導:豊藤美
  • 踊り指導:松浦姉妹
  • 協力:兵庫県美方郡温泉町

挿入歌[編集]

  • 貝殻節 - 鳥取県民謡、芸者たちがお座敷で披露する。
  • 赤色エレジー - あがた森魚、ストリップ小屋でのBGM。
  • 最後のダンスステップ - あがた森魚、同上。
  • ストリッパー - 沢田研二、同上。
  • 終着駅 - 奥村チヨ、同上。

視聴率[編集]

第1回20.5%、第2回18.1%、第3回18.8%、第4回23.0%、最終回21.1%。

新 夢千代日記[編集]

あらすじ[編集]

余命2年だったはずの夢千代だが、病気と闘いながら懸命に生きていた。そんな夢千代は、とある事情で記憶喪失症である元ボクサー・タカオに出会う。少しずつ記憶を取り戻しながら、夢千代の優しさに惹かれ、そしてその生き方に打たれたタカオは再びリングに立つ。

松田優作が明治の歌人・前田純孝を二役で演じ、劇中でタカオの生き様とオーバーラップさせている。一方、夢千代の周囲の人々にも次々に転機が訪れる。

キャスト[編集]

  • 夢千代(永井幸子):吉永小百合
  • 菊奴:樹木希林 - はる屋の年増芸者
  • 金魚(永瀬京子):秋吉久美子 - はる屋の芸者
  • 小夢:中村久美 - はる屋の半玉
  • アコちゃん:大熊なぎさ
  • スミ(おスミさん):夏川静枝
  • 泰江:加藤治子 - 煙草屋旅館の女将
  • 兼子(おカネさん):佐々木すみ江 - 煙草屋旅館の仲居頭
  • 房子:高橋ひろ子 - 煙草屋旅館の仲居
  • トシ子:香山エリ - 煙草屋旅館の仲居
  • アサ子:緑魔子 - ストリッパー
  • 安藤(アンちゃん):あがた森魚 - 湯里ヌード劇場の照明係
  • クーちゃん(相原邦子):内藤路代 - スナック白兎のウエイトレス
  • 作子:伊佐山ひろ子 - 元木原診療所の看護婦、白兎のママ
  • 藤森刑事:中条静夫 - 湯里警察署の捜査課長
  • 井上先生:沼田曜一 - 井上医院の医師
  • 有田久三:田崎潤 - 夢千代の実父
  • 渡辺玉子:鈴木光枝 - 夢千代の母・保代の親友
  • 王永春:せんだみつお - 中国残留孤児
  • 武田:織本順吉 - 厚生省残留孤児支援担当
  • 宇崎一政:小坂一也 - 岡山の宇崎汽船社長
  • 宇崎光子:東恵美子 - 一政の実母
  • 沢村信太郎:南利明 - 旅回り一座の座長
  • 沢村菊次郎:ピーター - 一座の花形
  • 関川義一:戸浦六宏 - ボクシングジムのトレーナー
  • 矢部君子:中村亜湖 - 岡崎孝夫の恋人
  • 沼田:草薙幸二郎 - 広島・サン商会(暴力団)の幹部
  • 酒井:丹古母鬼馬二 - 沼田の子分
  • 児玉:堀礼文 - 沼田の子分
  • 永井保代:岡本茉利 - 夢千代の実母
  • 沼田の少年時代:住吉真沙樹
  • 町の人々:温泉町のみなさん
  • タカオ(岡崎孝夫):松田優作 - ウェルター級プロボクサー
  • 前田純孝:松田優作(二役) - 浜坂町出身・明治の歌人

スタッフ[編集]

  • 原作:早坂暁
  • 脚本:早坂暁
  • 演出:深町幸男・永野昭・外園悠治
  • 音楽:武満徹
  • 製作:岡田勝
  • 方言指導:高橋ひろ子
  • 三味線指導:豊藤美
  • 踊り指導:松浦姉妹
  • 協力:兵庫県美方郡温泉町

挿入歌[編集]

  • 貝殻節 - 鳥取県民謡、芸者たちがお座敷で披露する。
  • 赤色エレジー - あがた森魚、ストリップ小屋でのBGM。
  • 最後のダンスステップ - あがた森魚、同上。
  • 冬の華 - 磨香、同上。
  • 夢芝居 - 梅沢富美男、湯里劇場のBGM。

視聴率[編集]

第1回18.8%、第2回19.4%、第3回15.5%、第4回16.3%、第5回16.6%、第6回17.3%、第7回14.1%、第8回18.1%、第9回17.6%、最終回18.4%。

映画[編集]

1985年、東映系で公開。監督は浦山桐郎

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

こぼれ話[編集]

  • 主演の吉永小百合は番組の放送後、夢千代と同一視されて会う人に体調を心配されて戸惑ったと語っている。吉永自身は病気と縁遠いとのこと。
  • 映画版では、吉永小百合演じる夢千代が死ぬ。関係者の証言では監督の浦山と主演の吉永、製作の東映との間に台詞や撮影進行、夢千代の死の場面を巡り深刻な意見の対立があったという。またこの対立を機に浦山の酒量が多くなり、死の遠因になったという意見もある。
  • 武満徹の音楽は、彼の舞台音楽としては特に評価が高く、彼の演奏会用作品と同様に国内外の演奏会で取り上げられ、放送から20年以上経ってからも改めてCDが販売された。小学館より刊行された武満徹音楽全集にも収録されている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「テレビ視聴率季報(関東地区)」ビデオリサーチ。

外部リンク[編集]