夜泣き婆

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与謝蕪村『蕪村妖怪絵巻』より「遠州見つけの宿 夜泣きばばあ」

夜泣き婆(なきばばあ)は、与謝蕪村による妖怪絵巻『蕪村妖怪絵巻』にある遠州妖怪[1]

概要[編集]

遠州の見附宿(現・静岡県磐田市)に現れたとされるもので、憂いのある家の前にこの妖怪が現れて泣くと、人々は皆、それにつられて涙するという。これが数回繰り返されると、その家には必ず不幸があるという。妖怪研究家・湯本豪一はこれを、疫病神に近いものとしている[1]。また妖怪漫画家・水木しげるは、不幸がやって来ることを知らせる役目も持つものとしている[2]

また水木の著書には泣き婆(なきばばあ)の名で記載されている。それによれば、遠州以外の地方でも葬儀の際に現れており、亡くなった人の家族でもないのに、まるで喪主のように大声を張り上げて泣き、参列者たちの涙を誘うという。かつてはこうした泣婆は、葬儀の場から謝礼として何升ものを受取っていたのだという[3]

脚注[編集]

  1. ^ a b 湯本豪一 編『妖怪百物語絵巻』国書刊行会、2003年、114-115頁。ISBN 978-4-336-04547-8 
  2. ^ 水木しげる『妖怪大図鑑』講談社〈講談社まんが百科〉、1994年、23頁。ISBN 978-4-06-259008-2 
  3. ^ 水木しげる『図説 日本妖怪大全』講談社〈講談社+α文庫〉、1994年、328頁。ISBN 978-4-06-256049-8 

関連項目[編集]