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多死社会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

多死社会(たししゃかい)とは、進展した高齢化により死亡数が急増し、総人口が減少していく社会[1]死亡する可能性の高い年齢平均余命)に達すると共に死亡者が急増するとされる。

2022年、推計より2年早く日本は多死社会に突入した[2][3]

概要

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日本は諸外国に先駆けて、2018年に全都道府県が超高齢社会(65歳以上の人口が総人口の21%以上)に突入した[4]総務省統計局の人口推計によると、2011年を境に人口が急激に減少していることが確認出来る。また、年齢階級別においては、15歳未満の年少人口および生産年齢人口(15歳から64歳)は減少し、65歳以上人口は若干の増加傾向にある。

統計

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死亡数 死亡率 人口減少数
2022(令和4) 1,568,961 12.9 -798,214
2023(令和5) 1,575,936 -848,659

地域別統計

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都道府県別死亡率ランキング(2022年)
都道府県 死亡率 死亡数 推計人口
秋田県の旗 秋田県 18.6 17,256 897,286
高知県の旗 高知県 17.1 11,472 656,390
青森県の旗 青森県 16.8 20,118 1,165,747
岩手県の旗 岩手県 16.5 19,342 1,145,676
山形県の旗 山形県 16.3 16,883 1,011,756
島根県の旗 島根県 16.1 8031 641,903
和歌山県の旗 和歌山県 16.0 14,308 880,787
山口県の旗 山口県 15.9 20,687 1,280,871
徳島県の旗 徳島県 15.7 10,968 685,878
鹿児島県の旗 鹿児島県 15.4 23,925 1,532,624
宮崎県の旗 宮崎県 15.4 16,111 1,031,162
愛媛県の旗 愛媛県 15.4 19,993 1,276,219
福島県の旗 福島県 15.4 27,394 1,744,634
長崎県の旗 長崎県 15.2 19,309 1,251,360
富山県の旗 富山県 15.1 15,052 996,720
新潟県の旗 新潟県 15.1 32,313 2,100,554
鳥取県の旗 鳥取県 14.9 10,434 531,386
大分県の旗 大分県 14.9 16,266 1,085,243
香川県の旗 香川県 14.7 13,552 917,613
北海道の旗 北海道 14.6 74,431 5,058,193
長野県の旗 長野県 14.4 28,503 1,989,964
熊本県の旗 熊本県 14.4 24,427 1,696,547
福井県の旗 福井県 14.3 10,519 739,072
山梨県の旗 山梨県 14.1 11,090 790,489
佐賀県の旗 佐賀県 14.1 11,204 788,040
岐阜県の旗 岐阜県 13.9 26,175 1,914,063
三重県の旗 三重県 13.8 23,341 1,712,294
静岡県の旗 静岡県 13.6 47,334 3,526,445
岡山県の旗 岡山県 13.6 24,901 1,831,402
茨城県の旗 茨城県 13.5 37,256 2,810,753
栃木県の旗 栃木県 13.4 24,992 1,883,349
群馬県の旗 群馬県 13.4 26,589 1,890,103
奈良県の旗 奈良県 13.3 17,166 1,285,733
石川県の旗 石川県 13.0 14,316 1,099,086
広島県の旗 広島県 12.9 34,940 2,717,604
京都府の旗 京都府 12.7 31,491 2,521,376
兵庫県の旗 兵庫県 12.6 66,541 5,338,575
大阪府の旗 大阪府 12.5 106,277 8,770,128
宮城県の旗 宮城県 12.4 28,040 2,248,127
福岡県の旗 福岡県 12.2 61,302 5,098,118
千葉県の旗 千葉県 11.8 72,258 6,275,533
埼玉県の旗 埼玉県 11.5 82,221 7,329,730
愛知県の旗 愛知県 11.2 81,183 7,465,512
神奈川県の旗 神奈川 11.0 98,829 9,224,673
滋賀県の旗 滋賀県 11.0 15,043 1,401,134
東京都の旗 東京 10.4 139,264 14,183,261
沖縄県の旗 沖縄県 10.4 15,054 1,466,944
政令指定都市別死亡率ランキング(2022年)
死亡率 死亡数 推計人口
北九州市 13.9 12,865 908,379
静岡市 13.6 9276 672,744
新潟市 12.9 10,071 766,720
堺市 12.5 10,234 807,377
大阪市 12.4 34,239 2,790,981
浜松市 12.0 9386 775,775
神戸市 11.9 17,978 1,492,862
札幌市 11.9 23,562 1,956,630
京都市 11.8 17,137 1,436,690
名古屋市 11.2 26,121 2,330,385
岡山市 11.2 8047 712,615
熊本市 11.2 8238 737,191
千葉市 11.1 10,818 984,285
相模原市 11.0 8008 723,692
横浜市 10.4 39,388 3,770,960
広島市 10.2 12,158 1,180,084
仙台市 9.9 10,830 1,096,162
さいたま市 9.9 13,235 1,350,818
福岡市 8.9 14,469 1,656,221
川崎市 8.8 13,586 1,551,694
政令指定都市 11.3 309,646 27,702,880

将来推計

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2010年に約120万人であった年間死亡数は、2025年まで着実に増加を続け、団塊世代が80歳代後半となる2030年代には160万人を超える見通しだ。これ以降も年間150万人以上と高止まりする[6]。これは太平洋戦争期間中の年間平均死亡者数に匹敵する[7]

多死社会の中でも特に事態が著しい時期は、2038年から2042年と予想されており、この時期の年間死亡数は約168万人と推計されている[8]。この頃には日本の人口減少は著しく、毎年の人口減少数は、国内の大都市の人口に相当する約90万人に達すると推計されている[9][10]

多死社会では火葬場の不足が懸念されており、人口の多い都市部、特に首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県)では深刻な状況となることが予想されている[11][12]。神奈川県横浜市では既に火葬の待ち日数が長期化し、2065年に市内の死亡者数が今より3割ほど増えると予想。現在、市内で5カ所目の公営斎場の建設を計画中だが、死亡者数に対応できるのは56年ごろまでだという[13]

脚注

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  1. ^ 死をめぐる我が国の現状
  2. ^ 「1人生まれても2人が死ぬ」が50年続く…ついに始まった「日本人の大量死」の行き着く先とは すでに単身世帯の3割以上が「高齢1人暮らし」”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). 2024年1月17日閲覧。
  3. ^ 2022年多死社会の到来「年間150万人以上が死ぬ時代が今後50年続く」|荒川和久/独身研究家・コラムニスト”. 日経COMEMO (2023年6月27日). 2024年1月17日閲覧。
  4. ^ 間もなくやってくる「多死社会」を前に、日本がスイスから学ぶべきこと”. ダイヤモンド・オンライン (2022年1月13日). 2024年1月17日閲覧。
  5. ^ 令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況|厚生労働省”. www.mhlw.go.jp. 2024年1月18日閲覧。
  6. ^ 多死社会|日本総研”. 日本総研. 2024年1月17日閲覧。
  7. ^ 「戦争中と同じ人数が毎年死んでいく」これからの日本を襲う"少産多死社会"の現実 子どもが死なない社会のはずなのに”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). 2024年1月17日閲覧。
  8. ^ 表3-2 将来の出生,死亡および自然増加数ならびに率:2016~65年 -人口統計資料集(2022)-”. 国立社会保障・人口問題研究所. 2022年6月14日閲覧。
  9. ^ 少子社会から多死社会へ
  10. ^ 表1-5 総人口,人口増加,性比および人口密度の将来推計:2015~65年 -人口統計資料集(2022)-”. 国立社会保障・人口問題研究所. 2022年6月14日閲覧。
  11. ^ “多死社会” 年間死亡者 過去最多の156万人 火葬待ち12日間も | NHK”. NHK NEWS WEB. 2024年1月17日閲覧。
  12. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2016年4月17日). “【日曜講座 少子高齢時代】「多死社会」を乗り越える 故郷葬で火葬場不足を解消 論説委員・河合雅司”. 産経ニュース. 2022年6月14日閲覧。
  13. ^ 人口激減、今後20年が「一番きつい」 近未来に起きる「介護難民」「多死社会」:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2024年1月17日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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