多摩湖駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
多摩湖駅
北口駅舎(2021年6月)
たまこ
Tamako
地図
所在地 東京都東村山市多摩湖町三丁目15番地18号
北緯35度45分57.6秒 東経139度26分33.5秒 / 北緯35.766000度 東経139.442639度 / 35.766000; 139.442639座標: 北緯35度45分57.6秒 東経139度26分33.5秒 / 北緯35.766000度 東経139.442639度 / 35.766000; 139.442639
所属事業者 西武鉄道
駅構造 地上駅
ホーム 1面2線(多摩湖線)
1面1線(山口線)
乗降人員
-統計年度-
[西武 1]2,105人/日
-2022年-
開業年月日 1936年昭和11年)12月30日
乗入路線 2 路線
所属路線 多摩湖線
駅番号 ST07
キロ程 9.2 km(国分寺起点)
西武新宿から28.3 km
ST06 武蔵大和 (1.1 km)
所属路線 山口線(レオライナー)
駅番号 SY01
キロ程 0.0 km(多摩湖起点)
(0.3 km) 西武園ゆうえんち SY02
備考 * 2021年 西武遊園地駅から改称
テンプレートを表示

多摩湖駅(たまこえき)は、東京都東村山市多摩湖町三丁目にある、西武鉄道である。

多摩湖線(終点)と山口線(レオライナー、起点)の2路線が乗り入れている。駅番号は多摩湖線がST07、山口線がSY01である。

歴史[編集]

多摩湖線の前身である多摩湖鉄道は、1930年(昭和5年)1月に萩山 - 村山貯水池(仮)間を開通させたのち、懸案であった(旧)西武鉄道村山線(現・西武新宿線および西武園線)の延伸区間である通称「箱根ヶ崎線」との交差部分の調整が完了したことから、村山貯水池駅(仮)より0.9 km延伸した地点に本設の村山貯水池駅(初代)を建設し、1936年(昭和11年)12月に開業した[注釈 1]。開業当初の同駅は築堤上に位置する1面1線構造で、付近の住宅開発は進んでおらず、需要は主に村山貯水池(多摩湖)を訪れる観光客輸送であった。なお、当駅の東方には(旧)西武村山線の「村山貯水池前駅」が1930年(昭和5年)4月に開業しており、当時は別企業の路線であった両者は観光客輸送を巡って熾烈な争いを繰り広げた[注釈 2]

1940年(昭和15年)4月に多摩湖鉄道は(現)西武鉄道の母体企業である武蔵野鉄道に吸収合併され、当駅も武蔵野鉄道多摩湖線の駅となったのち、日中戦争に端を発する戦局の激化に伴って1941年(昭和16年)4月1日付で狭山公園前駅と改称された。これは「貯水池」という軍事上重要な施設の存在を隠蔽する国防上の理由によって実施された改称であり、村山貯水池近辺に点在する各路線の駅についても、(旧)西武村山線「村山貯水池前駅」は「狭山公園駅」に、武蔵野鉄道山口線村山貯水池際駅」は「村山駅」にそれぞれ改称が実施された。

1951年(昭和26年)9月に当駅は多摩湖駅と改称された。さらに1961年(昭和36年)9月には路線そのものを0.4 km延長し、当駅は西武園ゆうえんちに隣接する現在地へ移転した。これは当時萩山 - 多摩湖間において唯一列車交換設備を有した武蔵大和駅が、構造上長大編成の運用に対応することが困難であり、当駅を1線構造化すると同時に、八坂 - 武蔵大和間に回田信号場を新設して代替の交換施設を確保することとなったためである。

新たに建造された駅は現在と同様に島式ホーム1面を有する2線式で、ホーム有効長は当初1番線が125 m、2番線が85 mであったが、後年輸送力増強に伴う8両編成の列車入線に対応するため、1967年(昭和42年)12月にホーム延伸工事が施工され、1番線は177 m、2番線は167 mの有効長にそれぞれ延長された。

その後、1979年(昭和54年)3月25日付で実施された各路線の駅名改称に際して、当駅は西武遊園地駅(2代)と改称され、従来「西武遊園地駅(初代)」を称した山口線「おとぎ列車」の駅は「遊園地前駅」と改称された。1985年(昭和60年)4月には山口線の新交通システムAGT)転換に伴う経路変更によって、多摩湖線ホームの始端側(北側)突端に山口線ホーム(3番線)が新設され、山口線の起点駅は再び「西武遊園地駅」となった。

2021年(令和3年)の西武園ゆうえんちの全面リニューアルにより、駅に隣接する中央口が閉鎖されることから[1]、所在地名の「多摩湖町」にもちなんで1979年までの駅名である多摩湖駅に改称され、隣接する遊園地西駅が西武園ゆうえんち駅に改称されている[2][3][1]

年表[編集]

駅構造[編集]

地上駅で、1面2線の多摩湖線用島式ホームの始端側に、山口線の1面1線の単式ホームが配置され、両路線のホームは段差を経ることなく往来が可能である。山口線ホームには転落防止柵が設置されているほか、ホームの西武園ゆうえんち寄りはトンネルに掛かっている。

改札口は北口・南口の2か所ある。どちらも階段のみでありエレベーターやエスカレーターは無く、階段昇降機が設置されている。この構造上、ハンドル形電動車いすでは当駅の改札は利用できないが、多摩湖線と山口線の乗換は可能。

山口線ホーム隣にトイレがあるが、多機能トイレは無い。

ホーム 路線 行先[5]
1・2 ST 多摩湖線 萩山国分寺小平方面
3 SY 山口線(レオライナー) 西武園ゆうえんち西武球場前方面
  • 2022年3月12日実施のダイヤ改正で、小平・西武新宿方面の定期列車は平日ダイヤの朝に上下1本運転されるのみとなり、臨時列車としてはイベント時などで残る不定期列車を除いては原則萩山発着列車と国分寺発着列車のみとなった。このため、上記の列車以外で当駅から小平・西武新宿方面へ向かう場合は、必ず萩山駅での乗り換えを要する。

利用状況[編集]

2022年度の1日平均乗降人員は2,105人である[西武 1]。西武鉄道全92駅中84位であり、年々利用者の減少が続いている。近年の1日平均乗降人員、乗車人員の推移は下記の通り。なお多摩湖線と山口線を当駅で乗り換える客は含んでいない(下記の数値は両線の当駅乗降の客数)。

年度 1日平均
乗降人員[6]
1日平均
乗車人員[7]
多摩湖線 山口線 合計 多摩湖線 山口線 出典
1990年(平成02年) 2,912 378 [* 1]
1991年(平成03年) 2,861 347 [* 2]
1992年(平成04年) 2,732 329 [* 3]
1993年(平成05年) 2,592 321 [* 4]
1994年(平成06年) 2,490 326 [* 5]
1995年(平成07年) 2,429 292 [* 6]
1996年(平成08年) 2,241 389 [* 7]
1997年(平成09年) 2,093 299 [* 8]
1998年(平成10年) [* 9]4,132 1,923 203 [* 10]
1999年(平成11年) [* 9]3,968 1,861 205 [* 11]
2000年(平成12年) [西武 2]3,859 1,803 200 [* 12]
2001年(平成13年) [西武 2]3,770 1,770 181 [* 13]
2002年(平成14年) [西武 3]3,556 1,668 162 [* 14]
2003年(平成15年) 3,097 361 [西武 3]3,458 1,604 172 [* 15]
2004年(平成16年) 3,032 356 [西武 3]3,388 1,564 170 [* 16]
2005年(平成17年) 3,091 340 [西武 3]3,431 1,597 167 [* 17]
2006年(平成18年) 3,045 314 [西武 3]3,359 1,562 153 [* 18]
2007年(平成19年) 2,913 287 [西武 4]3,200 1,481 142 [* 19]
2008年(平成20年) 2,831 271 [西武 4]3,102 1,438 129 [* 20]
2009年(平成21年) 2,799 274 [西武 4]3,073 1,433 137 [* 21]
2010年(平成22年) 2,765 235 [西武 4]3,000 1,422 121 [* 22]
2011年(平成23年) 2,794 285 [西武 4]3,079
2012年(平成24年) 2,774 275 3,049
2013年(平成25年) 2,489 207 2,696
2014年(平成26年) 2,390 202 2,592
2015年(平成27年) 2,383 206 2,589
2016年(平成28年) 2,365 203 2,568
2017年(平成29年) 2,421 213 2,634
2018年(平成30年) 2,453 242 2,695
2019年(令和元年) 2,386 201 2,587
2020年(令和02年) [西武 5]1,812
2021年(令和03年) [西武 6]1,924
2022年(令和04年) [西武 1]2,105

駅周辺[編集]

当駅は西武園ゆうえんち中央口の最寄駅であったが、リニューアルに伴う入口集約のため、2020年10月31日をもって中央口(および東口)は閉鎖された。駅北東には西武園ゆうえんちの駐車場(臨時駐車場A・B)が存在するが、入園の際は路線バス(土休日のみ)または山口線を利用し、西側のメインエントランスまで移動する必要がある。

なお、西武園ゆうえんち中央口と当駅北口改札は階段を介しての連絡となっていたため、ベビーカーや車いす利用者は山口線遊園地西駅(現:西武園ゆうえんち駅)最寄りの西口(現:メインエントランス)からの入園が推奨されていた。

西武園競輪場へは西武園線西武園駅が最寄駅であり、双方の駅は約800メートル離れた位置に立地している。また、駅の西側の村山貯水池(多摩湖)一帯は東京都立狭山自然公園となっており、多摩湖自転車歩行者道などが整備されている。

バス路線[編集]

西武園ゆうえんち停留所(駐車場内)

  • 西武バス
    • 所18-1:西武園駅・松が丘中央経由、所沢駅西口ゆき(土曜・休日、長期休暇時のみ運行)
      なお、所18-1系統は2020年11月1日より西武園ゆうえんちの休園に伴い、西武園駅 - 西武園ゆうえんち間を区間運休していたが、2021年5月22日より運行を再開[8]
      当駐車場・バス停から遊園地のメインゲートまでは約1.5 km離れており、多摩湖駅から山口線で西武園ゆうえんち駅まで移動するか、連絡シャトルバスを利用[8]

隣の駅[編集]

西武鉄道
ST 多摩湖線
急行(多摩湖線内は各駅に停車)・各駅停車
武蔵大和駅 (ST06) - 多摩湖駅 (ST07)
SY 山口線(レオライナー)
多摩湖駅 (SY01) - 西武園ゆうえんち駅 (SY02)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 同時に村山貯水池駅(仮)については同駅西方に新設された箱根ヶ崎架動橋の西方に移転し、「武蔵大和駅」と改称された。
  2. ^ 村山線「村山貯水池前駅」は後述の通り「狭山公園駅」と改称されたのち、東村山 - 狭山公園の区間について不要不急路線の指定を受け、1944年(昭和19年)5月に路線もろとも営業休止となった。戦後「村山貯水池駅(2代)」として復旧されたものの、村山競輪場(現・西武園競輪場)開場に伴って、1950年(昭和25年)5月に経路中途に新設された野口信号所より分岐する形で新規路線が建設され、同路線の終着駅として西武園駅が開業したことを受け、翌1951年(昭和26年)3月1日付で野口信号所 - 村山貯水池(2代)間は廃止となった。
  3. ^ 当初の社名は「西武農業鉄道」。1946年(昭和21年)11月15日付で現社名へ改称。

出典[編集]

  1. ^ a b c d “西武遊園地駅、40年ぶり「多摩湖駅」に 駅そばの西武園中央口閉鎖で” (日本語). 毎日新聞. (2020年3月5日). オリジナルの2020年3月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200314182252/https://mainichi.jp/articles/20200305/k00/00m/040/209000c 2021年1月27日閲覧。 
  2. ^ a b 2021年3月13日(土)ダイヤ改正と駅名変更を実施します。夜間作業のさらなる安全性向上と効率化を目的に、終電車の繰り上げを実施「西武園ゆうえんち」のリニューアルオープンに先駆け、駅名変更を実施』(PDF)(プレスリリース)西武鉄道、2021年1月26日。 オリジナルの2021年1月26日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210126060308/https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2021/20210126_daiyakaisei.pdf2021年1月26日閲覧 
  3. ^ a b 西武園ゆうえんち周辺の駅名を変更します』(PDF)(プレスリリース)西武鉄道、2020年2月26日。 オリジナルの2020年2月26日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20200226102638/https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2019/20200226seibuenyuuench_stationname.pdf2020年2月26日閲覧 
  4. ^ 今尾恵介(監)『日本鉄道旅行地図帳 4号 関東2』新潮社、2008年8月、52-53頁頁。ISBN 978-4107900227 
  5. ^ 多摩湖駅”. 西武鉄道. 2022年4月17日閲覧。
  6. ^ レポート - 関東交通広告協議会
  7. ^ 東京都統計年鑑
  8. ^ a b 5月22日(土)~ 所18-1系統「西武園ゆうえんち」行き運行再開について”. 西武バス (2021年5月14日). 2021年5月17日閲覧。
東京都統計年鑑
西武鉄道の1日平均利用客数
  1. ^ a b c 駅別乗降人員(2022年度1日平均)” (pdf). 西武鉄道. 2023年7月30日閲覧。
  2. ^ a b [2] (PDF)
  3. ^ a b c d e [3] (PDF)
  4. ^ a b c d e [4] (PDF)
  5. ^ 駅別乗降人員(2020年度1日平均) - ウェイバックマシン(2021年9月23日アーカイブ分)、2022年8月20日閲覧
  6. ^ 駅別乗降人員(2021年度1日平均) - ウェイバックマシン(2022年7月8日アーカイブ分)、2022年8月20日閲覧

参考文献[編集]

  • 鉄道ピクトリアル鉄道図書刊行会
    • 青木栄一 「西武鉄道のあゆみ - その路線網の拡大と地域開発」 1992年5月(通巻560)号 pp.97 - 115
    • 益井茂夫 「西武鉄道 線路・駅の移り変わり」 1992年5月(通巻560)号 pp.136 - 149
    • 高嶋修一 「西武鉄道のあゆみ - 路線の役割と経営の歴史過程」 2002年4月(通巻716)号 pp.97 - 112
    • 小松丘 「西武鉄道の『廃』をさぐる」 2002年4月(通巻716)号 pp.147 - 159
    • 中川浩一 「昭和20年代半ばの多摩湖線 -半世紀前への回想-」 2002年4月(通巻716)号 pp.160 - 164

関連項目[編集]

外部リンク[編集]