塔 (タロット)

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ウェイト版タロットの塔
マルセイユ版タロットの塔

(とう、:The Tower, :La Maison Dieu)は、タロット大アルカナに属するカードの1枚。フランス語の“La Maison Dieu”やスペイン語の“La Casa de Dios”はいずれも「神の家」を意味するが、“La Maison Dieu”は本来“La Maison de Feu”、つまり「火事の家」だったものの誤写により生じた名称である可能性が高いとされる。

カード番号は「16」。前のカードは「15 悪魔」、次のカードは「17 」。

カードの意味[編集]

正位置の意味
崩壊、災害、悲劇、悲惨、惨事、惨劇、凄惨、戦意喪失、記憶喪失、被害妄想、トラウマ、踏んだり蹴ったり、自己破壊、洗脳、メンタルの破綻、風前の灯、意識過剰、過剰な反応。
逆位置の意味
緊迫、突然のアクシデント、誤解、不幸、無念、屈辱、天変地異。

正位置・逆位置のいずれにおいてもネガティブな意味合いを持つ唯一のカードである。 アーサー・エドワード・ウェイトタロット図解における解説では「悲嘆・災難・不名誉・転落」を意味するとされる。

カバラとの関係[編集]

ヘブライ文字はペー(פ)、ただし複数の異説がある。「黄金の夜明け団」の説ではネツァクとホドのセフィラを結合する経に関連付けられている。

占星術との対応関係[編集]

以下のような諸説がある。

寓画の解釈[編集]

伝統的な解釈ではバベルの塔ではなく「神の家」とされる。神の家とはキリスト教教会を指した俗称であり、病院をさす場合もある。この天から降りて「塔」に激突しているものは、雷光を一般的に表現する際にありがちなギザギザ状ではなく、どちらかといえば炎のように丸みを帯びた描かれ方をしている。これは、雷でも炎でも無く「神から放出される聖なる力」そのものを表している。即ち、二人の人物が、自らの作り出した強固な自意識の殻に閉じこもっていた状態から、何らかの外的要因によって開放された状態へと移り行く場面を描き表した様子と解釈される。つまり、「神から放出される聖なる力」を、“神の怒り”ではなく“神の慈悲”による救済であると解釈し、人間的な宗教組織、即ち「塔」に囚われる人々を神が解放し、「塔」の頂に王冠、即ち絶対とする権力(神)は存在せず、「塔」の外に広がる広大な平野の果て、更には背景に描かれる球体、即ち世界地球宇宙に至るそのもっと上に存在していることを象徴している、と解釈される。

「神の家」ではなくバベルの塔の崩壊とみる説では、もっとわかりやすい解釈がなされる。マルセイユ版の「塔」には、炎のような物体が建物の屋根部分を吹き飛ばし、二人の人物が、一人は逆さまに、もう一人は上半身が建物から出ている状態で描かれている。古代メソポタミアにおける塔という建造物は、天と地をつなぎ、神々が地上に降り立つ道筋を提供する宗教的な目的で扱われていた。また軍事的な防衛・観察・牢獄・退却に使用する要塞として扱われ、現在においても政治・経済・教育・文化などの様々なプロパガンダは塔を媒体として行われている。しかし、この「塔」に描かれる建造物は人間と対比してわかるようにとても小さく、およそ天まで達し、との交信を図るような存在とは思えない。また、人物の一人が建物から出てきているように見えることから、この建物は二人の人物の私有物であり、彼らが作ったものと解釈される。彼らは建物に王冠を模した屋根を取り付けていたと見られ、自分達の作り出したものを絶対無二の存在とし、他のいかなる存在も認めていなかったことを象徴している。「塔」では、まさに今、建物の王冠が取り払われた様子が書き出されている。王冠を吹き飛ばす奇妙な物体は稲妻とされている。稲妻は古来より「神から放出される聖なる力」の象徴として、しばしば“神の怒り”などと表現される。

脚注[編集]

  1. ^ 「黄金の夜明け団」の説。
  2. ^ 日本の辛島宜夫は天王星を主とした上で火星も加えている。

参考文献[編集]

  • サリー・ニコルズ『ユングとタロット』ISBN 4-7835-1183-7
  • フィリップ・カモワン『秘伝カモワン・タロット 解説書』ISBN 4-0540-1522-0
  • 井上 教子『タロット解釈実践事典―大宇宙の神秘と小宇宙の密儀』ISBN 4-3360-4259-4

関連項目[編集]

外部リンク[編集]