地底探検 (アルバム)
『地底探検』 | ||||
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リック・ウェイクマン の ライブ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1974年1月18日 | |||
ジャンル | プログレッシブ・ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | A&Mレコード/キングレコード | |||
プロデュース | リック・ウェイクマン | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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リック・ウェイクマン アルバム 年表 | ||||
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『地底探検』(ちていたんけん、Journey to the Centre of the Earth)は、リック・ウェイクマンの2作目のソロ・アルバムで、初のライブ・アルバム。1974年発表。
概要[編集]
1974年1月18日、イエスに在籍していたウェイクマンはロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで行われたソロ・コンサートの2回目のステージで、デヴィッド・ミーシャムが指揮するロンドン交響楽団、イギリス室内合唱団と共演した[4][注釈 1]。本作はこの共演のライブ録音を収録したアルバムである。ミキシングは同月21日から29日までの9日間、ロンドンのモーガン・スタジオで行われた。
原作はジュール・ヴェルヌの同名小説。ウェイクマンは5歳の頃からこの小説を100回以上読んでいた。
「樹海」の中ではエドヴァルド・グリーグ作曲の『ペール・ギュント』の中の「山の魔王の宮殿にて」の部分が引用されている。
当初はLP2枚組、円形の変形ジャケット、30ページのブックレット付きという豪華盤での発売が企画されていたが、オイル・ショックの直撃を受けて、大幅に規模の縮小されたものになってしまった。
評価[編集]
本作は5月初めに母国イギリスで発売され、同月半ばから全英アルバムチャートに登場し、5月25日付けで、それまで合計15週に渡ってアルバム・チャートのトップにあったカーペンターズの『The Singles: 1969-1973』を蹴落として1位を獲得[5]。10月までトップ30圏内に入っていた。アメリカでも大ヒットし、ウェイクマンのアルバムとしては初の全米トップ10入りを果たした[2]。
本作が発売された時、ウェイクマンはまだイエスに在籍していた。イギリスなどのチャートで1位を獲得するということは、人気絶頂期にあったイエスでさえも成しえていなかった偉業であり、本作の大きな成功は、彼がイエスから脱退した理由の一つとされている[注釈 2][6]。
1999年にリリースされたアルバム『地底探検〜完結編』の日本語版のオビには、本作は25年間に全世界で1500万枚売れたと記述されている。
その後の「地底探検」[編集]
本作は音楽的にも高く評価され、これを機会に世界各地でのコンサートが行なわれた。ウェイクマンとバンドが公演先を周って現地のオーケストラと合唱団と共演する、という方式が取られた。本作でナレーションを担当したデヴィッド・ヘミングスは本業の俳優としての仕事があるために参加できず、代理にテリー・タプリンがウェイクマン達に同行した。
1975年1月には来日公演も実現し[注釈 3]、東京で4回、大阪と名古屋で各1回の公演が行われた。共演したオーケストラはシャンブル・サンフォニエットで合唱団は東京放送合唱団だった。バンドのメンバーはボーカリストのゲイリー・ピッグフォード=ホプキンスとアシュレー・ホルト、ベーシストのロジャー・ニューウェル以外は新顔だった。来日したウェイクマンはインタビュアーの深町純に「オーケストラをバックに弾くというのは気持ちが良いでしょ?」と問われて、「請求書が来るまではね」と答えている。
日本の次の公演地だったオーストラリアのシドニーで1975年2月4日に開かれたコンサートはビデオ撮影され、後にVHSとレーザーディスク盤として発売された。さらに2001年には、DVDと音声のみを収録したCDの組み合わせが、Journey to the Centre of the Earth - Live in Concert DVD (2001)の題で発売された[7]。
1999年には、本作の続編にあたるアルバム『地底探検〜完結編』が発表された。
1975年のワールド・ツアーの後、オーケストラのスコア譜が紛失したために、オーケストラとの再演が困難になった。2011年、ウェイクマンの元に匿名でスコア譜が送られてきたので再演が可能となり、2012年11月29日にはアルゼンチンのブエノス・アイレスで実現した。ナレーションはスペイン語で行なわれた。
2012年には、同年7月から9月にかけて制作されたスタジオ録音盤Journey to the Centre of the Earth 2012が限定発売された[8]。
エピソード[編集]
ウェイクマンは共演した指揮者のデヴィッド・ミーシャムから、モーツァルトのコンチェルトをやってはどうかと勧められたが、「もし1日に8時間ずつ、1ヶ月の練習期間があれば引き受けられるが、その時間が到底確保できない」と辞退した。
リマスター盤[編集]
- 2003年にCDのリマスター盤が発売された。音質の向上が図られている (AAD)。
収録曲[編集]
- サイド1
- 旅路〜追憶 - "The Journey"/"Recollection" (21:15)
- サイド2
- 戦い〜樹海 - "The Battle"/"The Forest" (19:00)
演奏者[編集]
- リック・ウェイクマン - グランドピアノ、ハモンドオルガンC3、ローズ・ピアノ、RMIエレクトラピアノ、ホーナー・クラビネット、メロトロン M400 および M300、ミニモーグ×3、ホンキートンクピアノ
- ゲイリー・ピッグフォード=ホプキンス (Garry Pickford-Hopkins) - ボーカル
- アシュレー・ホルト (Ashley Holt) - ボーカル
- マイク・イーガン (Mike Egan) - ギター
- ロジャー・ニューウェル (Roger Newell) - ベース
- バーニー・ジェイムズ (Barney James) - ドラム
- ロンドン交響楽団
- イギリス室内合唱団 (The English Chamber Choir)
- デヴィッド・ミーシャム (David Measham) - 指揮
- デヴィッド・ヘミングス (David Hemmings) - ナレーション
Journey to the Centre of the Earth 2012[編集]
オリジナルには含まれていなかった部分が追加され、全体が27のパートに分割されて個別のタイトルが付けられた[8]。
- "The Preface" (1:09)
- "The Journey Overture" (2:25)
- "The Journey’s Dawn" (3:38)
- "Crystals" (0:33)
- "The Gothic Cathedral" (1:06)
- "The Quest for Water" (1:18)
- "The Hansbach" (2:54)
- "Fervent Prayer" (0:41)
- "The Recollection" (2:32)
- "Lost & Found" (0:44)
- "Echoes" (3:49)
- "4 Miles" (0:17)
- "The Reunion" (2:42)
- "A New Vista" (0:49)
- "A World Within a World" (2:13)
- "The Raft" (1:06)
- "The Battle" (5:55)
- "Cumulus Clouds" (0:37)
- "The Storm" (2:01)
- "The Cemetary" (1:28)
- "Quaternary Man" (4:49)
- "Mastodons" (0:53)
- "The Forest" (2:30)
- "Ages of Man" (1:55)
- "The Tunnel" (1:53)
- "Hall of the Mountain King" (0:52)
- "Mount Etna" (3:17)
脚注[編集]
出典[編集]
- ^ ChartArchive - Rick Wakeman
- ^ a b Rick Wakeman - Awards : AllMusic
- ^ 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.315
- ^ Wakeman (1995), p. 120.
- ^ ChartArchive - Albums Chart - 25/05/1974
- ^ Morse (1996), p. 49.
- ^ “rwcc.com”. 2023年10月3日閲覧。
- ^ a b “rwcc.com”. 2023年10月3日閲覧。
注釈[編集]
- ^ ウェイクマンは、1972年にミーシャムが指揮するロンドン交響楽団とイギリス室内合唱団が発表したアルバム『トミー』のプロデュ―サーだったルー・ライズナーに、オーケストラ、合唱団、ナレーター、ロック・バンドを起用したアルバムを作りたいと話した。ライズナーは大いに興味を示して、『トミー』でオーケストラの為の編曲を担当したウィル・マローン、ミーシャム、ロンドン交響楽団、イギリス室内合唱団を再び招聘して、ウェイクマンに協力した。
- ^ ウェイクマンは自分の誕生日にA&Mレコードからの電話で、本作がイギリスのチャートで1位を獲得したことを知ったという。
- ^ ウェイクマンにとっては、イエスの1973年の日本公演に続く2回目の来日だった。
参考文献[編集]
- Wakeman, Rick (1995). Say Yes!. Hodder & Stoughton. ISBN 0340621516
- Morse, Tim (1996), Yesstories: Yes in Their Own Words, St. Martin's Press, ISBN 0-312-14453-9