国鉄ホキ10000形貨車

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国鉄ホキ10000形貨車
ホキ10000形(オホキ10032)
ホキ10000形(ホキ10032)
基本情報
製造所 日本車輌製造川崎重工業富士重工業
製造年 1980年(昭和55年)
製造数 272両
常備駅 武州原谷駅青海駅、他
主要諸元
車体色
専用種別 石炭石灰石
軌間 1,067 mm
全長 13,900 mm
全幅 2,700 mm
全高 3,290 mm
ホッパ材質 耐候性高張力鋼
荷重 35 t
実容積 46.6 m3
自重 18.9 t
換算両数 積車 5.5
換算両数 空車 1.8
台車 TR213C
軸距 9,800 mm
最高速度 75 km/h
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国鉄ホキ10000形貨車(こくてつホキ10000がたかしゃ)は、1980年(昭和55年)から1981年(昭和56年)に272両が製作された、35t積の石炭専用の私有貨車ホッパ車)である。

本項では派生形式でセメント及び石炭専用車のホキ7600形についても記述する。

登場の経緯[編集]

1979年(昭和54年)、第2次オイルショックによる原油高騰により、セメント業界では製造用燃料を重油から石炭に切り替える動きがあった。これを受けて石炭輸送用の貨車が必要となり、計画時点では私有無蓋車との併用も検討され、本形式を製作するに当たっては車種を石炭車かホッパ車かに分類するかで議論されたこともあった。

概要[編集]

ホキ10000形は、1980年(昭和55年)から1981年(昭和56年)にかけて日本車輌製造川崎重工業富士重工業の3社にて3ロット272両(ホキ10000 - ホキ10271)が製作された。

記号番号表記は特殊標記符号「オ」(全長が12 m をこえるホッパ車)を前置し「ホキ」と標記する。

富士重工業製作車は他2社と側面の補強リブの本数に違いがあった。これは側板厚が他2社の3.2mmから4.5mmと厚くしたためである。

落成時の所有者は、秩父セメント、電気化学工業の2社でありその常備駅は、秩父鉄道秩父本線武州原谷駅北陸本線青海駅であった。秩父セメントはその後、秩父小野田を経て太平洋セメントと社名が変わった。秩父小野田時代でも車体の所有者名は「チチブセメント」のままであり太平洋セメントに変更して10年後の2008年(平成20年)に「太平洋セメント」と標記された。

ホッパ本体は底開き式で材質は耐候性高張力鋼である。塗色は、黒色、全長は13,900mm、全幅は2,700mm、全高は3,290mm、軸距は9,800mm、自重は18.9t、換算両数は積車5.5、空車1.8、台車はスリーピース形状台車の左右側枠をつなぎ梁で連結し走行性能を改善したTR213Cである。

年度別製造数[編集]

各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)

  • 昭和55年度 - 272両
    • 日本車輌製造 155両 秩父セメント(ホキ10000 - ホキ10154)
    • 川崎重工業 95両 秩父セメント(ホキ10155 - ホキ10249)
    • 富士重工業 22両 電気化学工業(ホキ10250 - ホキ10271)

運用の変遷・現況[編集]

秩父セメント所有車は太平洋セメントになった現在でも使用されており、現在は鶴見線扇町駅 - 秩父鉄道三ヶ尻駅間で運用されている。2000年(平成12年)から2002年(平成14年)にかけて97両の車両が三岐鉄道三岐線に移り、中部国際空港の土砂輸送に使用されたこともあった。この際専用種別は石灰石に、常備駅は東藤原駅へと夫々変更された。97両中30両が輸送完了とともに武州原谷駅へ復帰した。残存した67両は骨材輸送として東藤原駅 - 四日市駅で引き続き運用されていたが、2006年頃から減便による余剰廃車が一部発生し、2012年2月29日をもって骨材輸送が終了したものの秩父鉄道に復帰することなく、東藤原駅常備の全車が伊勢治田駅東港駅にて廃車解体された。

電気化学工業所有車は北陸本線青海駅 - 信越本線黒井駅間で運用されていたが、1996年(平成8年)6月に全車廃車となった。

2009年(平成21年)4月1日現在では241両が在籍するが[1]、その後の消息についてはJR貨物からは特に公表されていない[2]

ホキ7600形[編集]

国鉄ホキ7600形貨車
国鉄ホキ7600形、オホキ76001991年11月23日、郡山駅
国鉄ホキ7600形、ホキ7600
1991年11月23日、郡山駅
基本情報
製造所 富士重工業
製造年 1982年(昭和57年)
製造数 1両
消滅 1999年(平成11年)
常備駅 郡山駅
主要諸元
車体色
専用種別 セメント、石炭
軌間 1,067 mm
全長 13,400 mm
全幅 2,700 mm
全高 3,734 mm
ホッパ材質 耐候性高張力鋼
荷重 33t/32 t
実容積 28.2m3/40.0 m3
自重 20.5 t
換算両数 積車 5.0
換算両数 空車 2.0
台車 TR213C
軸距 9,300 mm
最高速度 75 km/h
備考 荷重、実容積はセメント、石炭の順
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33t積セメント及び32t積石炭専用車。1982年(昭和57年)2月22日に富士重工業で1両が製作された。

記号番号表記は特殊標記符号「オ」(全長が12 m をこえるホッパ車)を前置し「ホキ」と標記する。

日本石油輸送所有し、郡山駅を常備駅とした。往路での空車を解消するため、往路ではセメント、復路では石炭を輸送するために製作された。

外見こそホキ10000形と酷似するが、構造は大きく異なりゴム隔膜を用いた有蓋・無蓋切り替え式であり、セメント輸送時は有蓋、石炭輸送時は無蓋となる構造であった。

九州地方で試用され、1984年(昭和59年)1月19日に荷役装置を富士重工業で改造したが、その複雑な構造が災いし、長期休車となった。日本貨物鉄道(JR貨物)にも継承されたが、1999年(平成11年)11月に、廃車となり形式消滅した。

参考文献[編集]

  • ネコ・パブリッシング「プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑」Rail Magazine 1997年6月号増
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)
  • 吉岡心平『RM LIBRARY 141 有蓋ホッパ車のすべて(下)』(ネコ・パブリッシング、2011年)ISBN 978-4-7770-5307-0

脚注[編集]

  1. ^ 交通新聞社『JR気動車客車編成表2009』p.99
  2. ^ JR貨物に所属する貨車は2009年度以降、鉄道雑誌等に所属車両の消息を情報提供していないため、独自の調査以外に方法はなく、検証可能な範囲で消息を特定することが困難な状況となっている。