女子差別撤廃委員会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

女子差別撤廃委員会: Committee on the Elimination of Discrimination against Women)は、女子差別撤廃条約の履行を監視するために国際連合人権理事会が設置している外部専門家からなる組織である。

概説[編集]

国連総会によって1979年に採択され1981年に発効した女子差別撤廃条約の実施に関する、締約国からの報告の検討、委員会活動の国連総会への報告、提案及び勧告などを行うために、同条約第17条に基づき設置されている。

1 この条約の実施に関する進捗状況を検討するために、女子に対する差別の撤廃に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、この条約の効力発生の時は十八人の、三十五番目の締約国による批准又は加入の後は二十三人の徳望が高く、かつ、この条約が対象とする分野において十分な能力を有する専門家で構成する。委員は、締約国の国民の中から締約国により選出されるものとし、個人の資格で職務を遂行する。その選出に当たっては、委員の配分が地理的に衡平に行われること並びに異なる文明形態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる。
(以下省略) — 女子差別撤廃条約第17条

国による条約違反[1]によって女子差別の被害を受けた被害者が女子差別撤廃委員会に対して通報できる個人通報制度が、女子差別撤廃条約の選択議定書には定められている。しかし日本はこの議定書を批准しておらず、批准を求める請願が国会に提出された[2]が、日本政府は「司法権の独立を侵す可能性がある」ことを理由として個人通報制度を認めていない。

1年間で3回、政府報告審査と作業部会(個人通報作業部会と会期前作業部会が併行して開催される)が開かれている。期間は各会期ごとに政府報告審査が3週間、作業部会が1週間であり、年間で約3か月間活動している。

機能[編集]

内閣府男女共同参画局によれば、女子差別撤廃委員会の機能は以下の通りである[3]

  1. 毎年会合を開き、締約国が提出する報告(同条約の履行のために取った立法上、司法上、行政上の措置等に関するもの)を検討すること(会合は年3回開催(2,7,10月頃)、於:ジュネーブの国連欧州本部)
  2. 委員会の活動を経済社会理事会を通じて国連総会に報告すること
  3. 締約国から得た情報及び情報の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うこと

構成[編集]

女子差別撤廃委員会の委員は、女子差別撤廃条約の締約国国民の中から締約国により選出され、個人の資格で職務を遂行する。定員は23名。任期4年で、2年毎に委員の半数が改選される。 2009年3月時点での委員の構成は、弁護士5名、政府関係者(外交官、国会議員)8名、学者6名、女性団体・NGO代表が3名。

沿革[編集]

  • 1982年4月 委員の第1回選出が行われた[3]
  • 1987年1994年 赤松良子元文部大臣が委員を務める[4]
  • 1995年2001年10月 佐藤ギン子元証券取引等監視委員長が委員を務める[4]
  • 1999年2001年10月 多谷千香子旧ユーゴ国際刑事裁判所訴訟判事が委員を務める[4]
  • 2001年11月 ~ 2007年12月 齋賀富美子人権担当大使が委員を務める[4]
  • 2008年1月 ~林陽子弁護士(ジェンダー法学会・理事[5])が委員を務める[4]。任期は2018年12月まで。
  • 2009年8月18日 日本における女子差別撤廃条約の実施状況の審査の結果をまとめた「総括所見[6]」を公表した。その中で、「35. 委員会は、これらのビデオゲーム漫画が、児童売春児童ポルノを禁止するべき児童ポルノの法による定義から外れている点に懸念を表明する。」との見解を表明した。なお、同所見で遵守を求められている「北京行動綱領[7]」には、表現の自由を侵害する規制は行ってはならないという旨の条項がある[8]
  • 2011年11月30日 日本政府に対し、選択的夫婦別姓制度の導入などの「民法改正法案の採択」のとりくみを今後1年以内に国連に報告するよう勧告した[9]。具体的には、民法改正法案(婚姻年齢を男女とも18歳に統一選択的夫婦別姓制度の導入婚外子と婚内子の相続分の同等化)の採択(国会提出のための閣議決定など)について講じた措置を1年以内に報告することを求めた。また、政府の民法改正法案に含まれていなかった、女性のみに課せられている6カ月の再婚禁止期間の廃止についても法規定と1年以内の報告を求めた[10][11]
  • 2015年2月 林陽子弁護士が女子差別撤廃委員会委員長に選出される[12]。任期は2015年2月より2年間。
  • 委員会が2016年にまとめた「最終見解」の原案には、「皇室典範」の「男系の皇位継承」が女子差別にあたり、改正を求める趣旨の記述があった。[要出典]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 最高裁判所の判決など。
  2. ^ 参議院. “(2005年)女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准に関する請願”. 2009年11月14日閲覧。
  3. ^ a b 内閣府男女共同参画局. “女子差別撤廃委員会”. 2016年3月9日閲覧。
  4. ^ a b c d e 外務省 (2015年2月25日). “「女性が輝く社会」の実現に向けて”. 2016年3月9日閲覧。
  5. ^ ジェンダー法学会. “ジェンダー法学会 第三期理事会・監事・事務局”. 2009年9月4日閲覧。
  6. ^ 女子差別撤廃委員会 (2009年8月7日). “Concluding observations of the Committee on the Elimination of Discrimination against Women. Japan”. 2009年9月6日閲覧。
  7. ^ 第4回世界女性会議 行動綱領「第IV章 戦略目標及び行動 J 女性とメディア」(総理府 男女共同参画局)
  8. ^ Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women (2009 CEDAW)
  9. ^ 現在でもなお夫婦同氏を強制し、他の選択肢を許していない国家は日本のみである。これまで夫婦同氏が原則であったドイツ、フィリピン、トルコも、現在では夫婦別姓等の選択肢が認められるよう法改正等が行われている。
  10. ^ 民法改正「1年以内に」 国連女性差別撤廃委が勧告しんぶん赤旗 2011年12月1日(木)
  11. ^ 民法改正を考える会『よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて』朝陽会、2010年
  12. ^ 外務省 (2015年2月17日). “林陽子弁護士の女子差別撤廃委員会委員長選出”. 2016年3月9日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]