この記事は半保護されています。(半保護の方針による半保護)

周庭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

周 庭
Agnes Chow Ting
Agnes Chow on Tim Mei Avenue (cropped).jpg
2019年10月29日、添美道英語版にて
生年月日 (1996-12-03) 1996年12月3日(23歳)
出生地 香港の旗 イギリス領香港
出身校 嘉諾撒聖家学校中国語版
香港浸会大学
所属政党 香港衆志(デモシスト)(2016-2020)

香港衆志副事務局長
在任期間 2016年4月10日 - 2017年4月4日

香港衆志香港衆志常務委員
在任期間 2017年4月4日 - 2020年6月30日
テンプレートを表示
周庭
出身地: 香港
出生地: 香港
各種表記
拼音 Zhōu Tíng
和名表記: しゅう てい
発音転記: チョウ・ティン
ラテン字 Chow Ting
テンプレートを表示

周 庭しゅう てい: Agnes Chow Ting、アグネス・チョウ、1996年12月3日 - )は、香港の元政治運動家。民主派政党・香港衆志の創始者の一人として常務委員などを務めた。自決派中国語版、大学生。香港では「学民の女神」と呼ばれた[1]

2017年までイギリス国籍を保有した。両親が彼女の幼少期に申請したためであるが、イギリス本土に居住したことはなかった[2]。同年香港特別行政区立法会地方選挙に立候補するため放棄した[3]

経歴

2012年7月1日、国民教育反対を訴える学民思潮のスタッフ。右から2番目の人物が周庭。

2008年、嘉諾撒聖家学校中国語版を卒業。

2010年10月、香港教育局は道徳・国民教育の新たなカリキュラム(「徳育及び国民教育中国語版」)を2012年から翌2013年にかけて小中学校に導入する案を発表、そのための政治協議を2011年に行った。これに対し、民主派学生団体の学民思潮(2011年発足)は、同カリキュラムの教材が中国共産党と中国政府のナショナリズムを称賛する一方で、共和主義と民主主義を批判する内容となっており、これを「洗脳」であるとして反対(「国民教育反対運動」)。この運動は香港政府総部の庁舎前に数千人規模の人々を集めることに成功し、2012年9月8日にカリキュラムの導入を却下させた。当時中学四年生(日本における高校一年生に相当)だった周庭は、社会全体の機運の高まりと、中学生も含む大規模な学生運動に関心を持ち、学民思潮に参加。運動が終わってから広報担当に就いた[4][5]

学生ストライキの誓約書を記者に示している周庭。2014年9月26日撮影。
2014年9月26日、学生ストライキを起こす周庭(左)。隣は黄之鋒

2014年8月31日、中国全人代常務委員会2017年の行政長官選挙で民主派の立候補を制限する方針を決定した。これに反対する戴耀廷は10月1日を目途に中環を占拠し抗議デモを行うと宣言し、同調した周ら学民思潮は9月1日に、全人代常務委員会副秘書長の李飛が宿泊する湾仔のホテルまでデモ行進した[6]。9月26日、周は周永康ら香港学生連盟と共に香港政府庁舎前で抗議デモを実施し、学生ストライキを起こした。これに対し警官隊が催涙弾を発射するなど衝突が激化したため、戴は計画を前倒しして9月28日に中環占拠デモを実施した[7]。これにより2014年香港反政府デモ(「雨傘運動」)が勃発、以降周は学民思潮のスポークスパーソンとしてデモに参加した。同年、嘉諾撒聖家書院中国語版を卒業。

2016年、ViuTV制作の娯楽番組「跟住矛盾去旅行中国語版」(ライバルと一緒に旅行する)に出演した。建制派中国語版議員の何君堯中国語版と共に日本へ渡航した[8]

2016年、周庭は羅冠聡黄之鋒と共に、香港の自決権を掲げる香港衆志(デモシスト)という政党を創設して初代副事務局長を務めた。主席の羅冠聰を擁立して、立法会選挙への立候補を目指した[9]

2017年6月15日、日本記者クラブ黄之鋒と共に会見を開いた[10]

2017年6月28日夜、中国共産党習近平総書記の香港訪問を控えていた。周庭はゴールデン・バウヒニア広場中国語版にあるバウヒニア・ブラケアナ像を黒い布で覆うなどの抗議行動「ブラック・バウヒニア」に参加し、公衆妨害罪で逮捕され、警察署に31時間にわたって拘留された[11]

2018年1月、立法会議員補欠選挙(参照 zh:2018年3月香港立法會補選#被選舉主任裁定提名無效)で香港島選挙区からの出馬の届け出を行うも[12]自決権に関する党綱領香港基本法に違反するとの理由で不受理となった[13]

2019年6月10日、日本記者クラブで単独会見し[14]、6月12日に明治大学で講演した[15]。翌13日には永田町れいわ新選組代表の山本太郎と対談した[16]

2019年6月21日、逃亡犯条例改正に反対する抗議活動に参加[17]

2019年8月30日、6月の逃亡犯条例改正に反対する抗議活動で、デモ隊が警察本部を包囲したことに関与した疑いで逮捕された[18]

2019年9月5日、周庭本人の公式ツイッター上に声明として「最近、ある日本の政党の出版物に、私の名を騙って、私が「自衛隊に香港を助けてほしい」と主張していると書かれていました。」とツイート。日本の政治団体である幸福実現党の機関紙「幸福実現NEWS」に「周庭の霊言が自衛隊を香港に送ってほしい」と掲載した事に対し誤解を招く、そのようなことは言っていないと内容の削除を求めた[19]幸福実現党はHP上で「誤解に基づくとはいえ、ご心配をおかけしたことをおわび申し上げる」と謝罪。その一方、あくまでも周庭の守護霊発言を掲載したものであると削除には応じなかった[20]

2020年6月30日、全人民代表大会常務委員会で香港国家安全維持法が可決され成立したことを受け、香港衆志から脱退することを表明[21]。香港衆志自体も同日中に解散を宣言した[22]

2020年8月6日、前年6月の逃亡犯条例改正に反対する抗議活動で警察本部を包囲する「違法集会」を扇動した罪などに問われた裁判で、香港の裁判所は有罪判決を言い渡した[17]

2020年8月10日,前眾志成員周庭被指違國安法,在大埔住所被捕
周庭被扣查超過24小時後,到8月11日晚上獲准以2萬元現金、18萬元人事擔保保釋離開大埔警署,並沒收護照

2020年8月10日、香港国家安全維持法違反容疑で逮捕された[23][24]。香港北東部の警察署で拘束されていたが、11日深夜に保釈。黄之鋒らが出迎えた。保釈後、周庭は「政治的な目的による摘発でばかげている」と当局の対応を批判した[25]。この逮捕に対し、Twitterで「#FreeAgnes」「#周庭氏の逮捕に抗議する」といったハッシュタグが拡散し、周を支持する声が高まった[26]。日本の政界では超党派の「対中政策に関する国会議員連盟」が抗議声明を出し、連盟の共同代表中谷元自由民主党所属)は「一国二制度を崩壊させたと思わざるを得ない」と、山尾志桜里は「断固として国際社会は非難していかないといけない」と述べた[27]

日本文化との関わり

日本語でもSNS発信をしている。これは小学6年生より日本のポップカルチャーとアニメーションを愛好し、独学した結果である。またクラシック音楽も好み、小・中学生の時期は吹奏楽部でフルートを担当した[28]

先述の通り日本のポップカルチャーやアニメを愛好し、本人は「オタク」を自認している[29]。アニメを見て覚えた日本語での会話もこなす他、Twitterにて日本語での情報発信も行っている。特に、一番のお気に入り作品は「Fate/Zero」であり、「THE IDOLM@STER」シリーズでは星井美希推しである事も公言している。

また日本の芸能人にも関心が高く、アイドルグループのモーニング娘。の香港公演に行ったことや、タレントの有吉弘行やYoutuberのはじめしゃちょーが好きであることを明らかにしている[30]。また、2020年8月10日に逮捕されたのち、11日深夜に保釈されたときは欅坂46の「『不協和音』の歌詞が頭に浮かんだ」と発言している[31]

その他、小学校時代から水泳が得意であり、プロモーションビデオでは競泳水着で泳ぐ姿が見られる。

同じ香港出身のアグネス・チャンについては「親中派で雨傘運動にも批判的なため好意を抱いていない。英語名が似ていることが嫌なのでなんとかしたい」と発言した[32]

脚注

  1. ^ 香港「中国の独裁が近づく」容疑者移送案に危機感 雨傘運動主導の活動家が会見 日本経済新聞 2019年6月10日
  2. ^ "「學民女神」試做卷 被評中等". 星島日報 (中国語). 2013-04-11. 2015年12月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月23日閲覧
  3. ^ "周庭:棄英籍參選非大犧牲". 明報 (中国語). 2017-12-03. 2017年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年12月6日閲覧
  4. ^ Daily PLANETS "雨傘の女神"の90日戦争――10代オタク女子が戦った香港大規模デモ/「学民思潮」元スポークスマン・周庭さんインタビュー ☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 2015年6月19日
  5. ^ 【周庭.專訪】表面柔弱害羞 實際剛強健談 周庭談六年來從政路” (中国語). 香港01 (2019年3月18日). 2020年8月12日閲覧。
  6. ^ “民主派、全人代決定受けセントラル占拠準備”. 香港ポスト. (2012年9月2日). http://www.hkpost.com.hk/index2.php?id=9834 2015年1月22日閲覧。 
  7. ^ “セントラル占拠が正式発動、催涙弾で排除”. 香港ポスト. (2014年9月29日). http://www.hkpost.com.hk/index2.php?id=10053 2015年1月22日閲覧。 
  8. ^ “同遊日本 何君堯自言不易發火 周庭:期待叔叔爆炸一飛衝天”. 明報. (2016年4月5日). http://news.mingpao.com/ins/instantnews/web_tc/article/20160405/s00001/1459847807698 2019年8月31日閲覧。 
  9. ^ 香港:新政党「デモシスト」 雨傘運動の元メンバー設立毎日新聞 2016年4月11日
  10. ^ アグネス・チョウ(周庭)香港デモシストメンバー 会見”. 日本記者クラブ (2019年6月10日). 2017年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月13日閲覧。
  11. ^ Agnes Chow 周庭 [@chowtingagnes] (2017年6月30日). "28日の夜、私は「黒バウヒニア留守」行動に参加し、私を含む26人の参加者が逮捕されました。逮捕理由は「公衆妨害罪」。警察側は私を31時間拘留し、今朝釈放されました。" (ツイート). Twitterより2020年8月12日閲覧
  12. ^ 立法会補選の立候補届け出開始、4議席争う【香港―政治】日刊香港ポスト、2018年1月17日
  13. ^ 雨傘運動の女神、出馬認められず 香港選管「法に抵触」朝日新聞 2018年1月27日
  14. ^ アグネス・チョウ(周庭)香港デモシストメンバー 会見”. 日本記者クラブ (2019年6月10日). 2019年7月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月13日閲覧。
  15. ^ 中国法特別講義「香港における犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする条例改正案をめぐる攻防」を開催いたします。”. 明治大学 現代中国研究所 (2019年6月12日). 2019年10月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月13日閲覧。
  16. ^ 山本太郎 [@yamamototaro0] (2019年6月13日). "周庭(アグネス・チョウ)さんが永田町に来てくださいました。 日本人にも影響を及ぼしかねない、逃亡犯条例改正案についてお話しを聞きました。 日本からも民衆運動への暴力的対応ではなく、高度な自治を誇る香港ならではの合意形成がなされるよう、声明が出せないか。 諸先輩方と動きます。 #香港加油" (ツイート). Twitterより2019年10月13日閲覧
  17. ^ a b 香港、民主活動家の周庭氏に有罪判決 昨年の反政府デモ”. 時事ドットコム (2020年8月5日). 2020年8月5日閲覧。
  18. ^ “「雨傘運動」指導者2人を逮捕=香港警察、デモ関連で”. 時事ドットコム (時事通信社). (2019年8月30日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2019083000445&g=int 2020年8月12日閲覧。 
  19. ^ Agnes Chow 周庭 [@chowtingagnes] (2019年9月5日). "[声明] 最近、ある日本の政党の出版物に、私の名を騙って、私が「自衛隊に香港を助けてほしい」と主張していると書かれていました。 私はこのようなことは言っていませんし、このような主張はしていません。私について誤解を招くような文章を削除し、訂正することを求めます。" (ツイート). Twitterより2020年8月12日閲覧
  20. ^ “香港・周庭氏の守護霊?「自衛隊、香港に送って」 幸福実現党の投稿を本人が否定、削除要請”. 産経新聞. (2019年9月7日). https://www.sankei.com/life/news/190907/lif1909070021-n1.html 2019年12月5日閲覧。 
  21. ^ “周庭氏ら香港活動家4人、民主派団体を脱退”. AFPBB News. フランス通信社. (2020年6月30日). https://www.afpbb.com/articles/-/3291104 2020年7月1日閲覧。 
  22. ^ “香港民主派政党、解散を発表 国家安全法の可決受け”. AFPBB News. フランス通信社. (2020年6月30日). https://www.afpbb.com/articles/-/3291166 2020年7月1日閲覧。 
  23. ^ 周庭氏を逮捕 民主活動家、「雨傘運動」リーダー 国安法違反容疑で香港警察”. 毎日新聞 (2020年8月10日). 2020年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月12日閲覧。
  24. ^ 香港警察 民主活動家の周庭氏を逮捕 香港複数のメディア”. NHKニュース (2020年8月11日). 2020年8月11日閲覧。
  25. ^ 民主活動家・周庭氏保釈される 黄之鋒氏らが出迎え 香港警察が10日に逮捕”. 毎日新聞 (2020年8月12日). 2020年8月12日閲覧。
  26. ^ "周庭さん、香港警察から保釈される。「逮捕、いったいどういう理由で」". Yahoo! Japanニュース. 12 August 2020. 2020年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月12日閲覧
  27. ^ 延広絵美 (2020年8月12日). “香港の周庭氏ら逮捕は「人権の蹂躙」-超党派議連が中国に抗議声明”. https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-12/QEW8GLDWX2QO01 2020年8月12日閲覧。 
  28. ^ "【八方相當年】周庭水著照曝光!入水能游 出水能吹". 蘋果日報 (中国語). 2018-01-01. 2019年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月1日閲覧
  29. ^ 香港・雨傘運動の「女神」が出馬する理由 日本経済新聞 2017年12月9日
  30. ^ 高口康太「アグネス・チョウ独占インタビュー「日本の選挙に興味ある」」『Newsweek Japan』株式会社CCCメディアハウス、2017年11月13日。2019年9月5日閲覧。
  31. ^ 【動画】保釈された周庭氏、拘束中「欅坂46『不協和音』の歌詞が頭に」 日本からの支持にも感謝」『』、2020年8月12日。2020年8月12日閲覧。オリジナルの2020-08-12時点におけるアーカイブ。
  32. ^ 野嶋剛 (2019年1月9日). “「香港はめっちゃバカバカしいことばかり。でも絶対に沈黙しない、最後の最後まで」 香港雨傘運動の「女神」が語った中国への抵抗の決意”. WEDGE Infinity. 株式会社ウェッジ. 2020年8月12日閲覧。

関連項目

外部リンク