呉念庭

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呉 念庭
Wu Nian-Ting
全越運動棒球隊
基本情報
国籍 中華民国の旗 中華民国台湾
出身地 台北市
生年月日 (1993-06-07) 1993年6月7日(30歳)
身長
体重
175 cm
80 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 内野手外野手
プロ入り NPB / 2015年 ドラフト7位
初出場 NPB / 2016年7月10日
最終出場 NPB / 2023年8月13日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム チャイニーズタイペイの旗 チャイニーズタイペイ
WBC 2023年
呉 念庭
各種表記
繁体字 吳 念庭
簡体字 吴 念庭
拼音 Wú Niàntíng
注音符号 ㄨˊㄋㄧㄢˋㄊㄧㄥˊ
和名表記: ご ねんてい
発音転記: ウー・ニェンティン
英語名 Wu Nien-Ting
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獲得メダル
男子 野球
チャイニーズタイペイの旗 チャイニーズタイペイ
アジア プロ野球チャンピオンシップ
2017

呉 念庭(ウー・ネンティン[注 1]1993年6月7日 - )は、台湾中華民国)・台北市出身[2]プロ野球選手内野手外野手)。右投左打。台湾社会人野球チームの全越運動棒球隊中国語版所属。

台湾出身であるが、日本の高校・大学に在籍したため外国人枠から外れている。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

新北市立汐止国民中学校から岡山県共生高等学校に留学した[2]廖任磊は高校の同級生。甲子園出場経験は無い[3]

2011年12月12日に行われた四国アイランドリーグplusのドラフト会議で愛媛マンダリンパイレーツに指名され[4]、入団交渉の結果入団合意に達したが[5]、2012年1月25日に自身の都合による退団が発表された[6]

その後第一工業大学に進学。1年生の時に1番・遊撃手でレギュラーになり、2年生からは3番・二塁手を務めた[3]。4年生の時に出場した第94回九州地区大学野球選手権大会の1回戦で2打席連続本塁打を記録した[7][8]

2015年10月12日に行われたプロ野球ドラフト会議埼玉西武ライオンズから7巡目で指名を受け[9]、契約金2000万円、年俸600万円(金額は推定)で仮契約を結んだ[10]。背番号は「39」に決まった[11]

西武時代[編集]

2016年は6月度は二軍公式戦16試合に出場し、55打数22安打1本塁打9打点8盗塁、打率.400、長打率.527、出塁率.507の成績で、イースタン・リーグの6月度月間MVPを受賞した[12]。7月10日の対オリックス・バファローズ戦において7番・遊撃手でプロ初出場し、初打席は空振り三振だったが、6回裏の第3打席で初安打(中前安打)を打った[13][14]。7月14日に行われたフレッシュオールスターゲームではイースタン・リーグ選抜メンバーに選ばれ、2番・二塁手で先発出場し3打数2安打1打点の成績だった[15]。8月12日の対オリックス戦では7番・三塁手で先発出場し、2回裏に初盗塁(二盗)を記録した[16]。14日の対オリックス戦では8番・遊撃手で先発出場し、二死二・三塁の場面だった4回裏の第2打席で2点適時打を打ち、初打点を記録した[17][18]

2017年オフの10月11日に第1回アジア プロ野球チャンピオンシップチャイニーズタイペイ代表に選出された[19]

2019年は初めて一軍出場無しに終わった。二軍では74試合に出場し打率.254、2本塁打を記録した。

2020年は開幕を一軍で迎えたが、7月25日に登録を抹消される。8月に入り山川穂高が右足首を痛めると、8月11日に再び一軍に昇格する。その後は一塁の守備固めでの出場が中心だったが、抹消中や親子試合での二軍戦では出場試合こそ少ないものの打率.383、5本塁打と結果を残していた。山川が抹消され、エルネスト・メヒアも成績が下降していくと、クライマックスシリーズ争いが懸かったシーズン最終盤では先発に抜擢された。一軍では自己最多となる51試合に出場し、打率.227、5打点を記録した。

2021年は春季キャンプから二軍で過ごしていたが、実戦では結果を残し続けていた。開幕して間もない3月31日に走塁時に負傷した山川と入れ替わる形で昇格すると、当日の北海道日本ハムファイターズ戦では8番一塁で先発出場し、第2打席でプロ初本塁打を放った[20]。その後も一時4割を超える得点圏打率を残すなど勝負強いバッティングで先発に定着すると、6月12日の中日ドラゴンズ戦では初の4番を任された[21]。7月5日には監督推薦でオールスターゲームへの初出場が決まった[22]。8月14日の楽天戦では自身初の外野での先発出場も経験した[23]。後半戦は調子を落としベンチスタートとなる試合も少なくなかったが、この年は一塁を68試合、二塁を45試合、三塁を35試合、左翼を18試合守り[24]、チーム最多の130試合に出場し、自身初めて規定打席へ到達。打率.238、10本塁打[25]、チーム3位の48打点を記録した[26]。オフに1620万円増となる推定年俸2500万円で契約を更改した[27]

2022年は94試合の出場で打率.227、5本塁打、28打点だった。

2023年の開幕前にはワールド・ベースボール・クラシックチャイニーズタイペイ代表に選出された。9月にはアジア競技大会の野球競技のチャイニーズタイペイ代表にも追加招集され、同競技の開催はシーズン終了直前であったが、西武は呉の代表入りに合意し[28]、準優勝に貢献した。シーズンでは41試合と出場機会を減らした。大会終了後には西武の秋季練習に合流していたが[29]、2度の国際試合経験から台湾プロ野球でのプレーの意欲が増幅した。元々「いつか台湾でプレーして恩返しをしたい」という気持ちを持ってはいたが、「いいパフォーマンスを出せるときが一番良い」と判断し、球団と対話[30]。結果、球団の保留者名簿から外れて12月1日に自由契約公示され、同日、西武を退団して台湾に帰国することが発表された[31][32]

西武退団後[編集]

2024年1月に台湾に帰国し[30]、7月に行われる台湾プロ野球のドラフトまでの間は台湾の社会人野球チームである全越運動棒球隊中国語版でプレーすることになった[33]

選手としての特徴[編集]

大学生時で遠投は110メートル、50メートル走のタイムは5秒8[7]。打撃では選球眼の良さと勝負強さが評価される[34][35]。内野すべてにレフトも守れるユーティリティー性も魅力[35]

打席に立つ際、西武ファンが「ウ~」という「ウーイング」を浴びせる応援スタイルが定着している[36]

人物[編集]

父は元プロ野球選手の吳復連中国語版で、渡辺久信とは嘉南勇士でチームメイト。渡辺は幼少期の念庭のことをよく覚えているという[3]

詳細情報[編集]

年度別打撃成績[編集]

















































O
P
S
2016 西武 43 142 124 12 24 3 1 0 29 11 1 0 0 2 14 0 2 25 4 .194 .282 .234 .516
2017 15 44 39 5 9 2 1 0 13 4 1 0 0 1 4 0 0 8 2 .231 .295 .333 .629
2018 8 11 11 1 1 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 5 0 .091 .091 .091 .182
2020 51 52 44 5 10 3 0 0 13 5 2 2 2 0 4 0 2 8 1 .227 .320 .295 .615
2021 130 478 425 43 101 17 0 10 148 48 3 2 4 3 43 1 3 70 3 .238 .310 .348 .658
2022 94 301 260 25 59 9 1 5 85 28 2 0 0 3 37 0 1 54 3 .227 .322 .327 .649
2023 41 92 78 8 16 2 1 1 23 11 1 0 1 0 13 0 0 25 2 .205 .319 .295 .614
通算:7年 382 1120 981 99 220 36 4 16 312 108 10 4 7 9 115 1 8 195 15 .224 .308 .318 .626
  • 2023年度シーズン終了時

年度別守備成績[編集]

内野守備


一塁 二塁 三塁 遊撃
















































2016 西武 - - 4 0 2 0 0 1.000 42 57 103 3 33 .982
2017 - - 14 7 18 4 1 .862 -
2018 - 5 5 8 0 2 1.000 1 0 0 0 0 ---- -
2020 28 64 4 0 9 1.000 1 2 4 0 1 1.000 13 3 15 2 1 .900 4 1 2 0 0 1.000
2021 68 353 30 1 41 .997 45 76 135 2 33 .991 35 15 43 0 3 1.000 -
2022 54 268 21 1 22 .997 12 25 25 1 5 .980 41 20 54 4 7 .949 -
2023 14 48 7 1 6 .982 1 0 0 0 0 .--- 21 14 19 0 0 1.000 1 1 0 0 0 1.000
通算 164 733 62 3 78 .996 64 108 172 3 41 .989 129 59 151 10 12 .955 47 59 105 3 33 .982
外野守備


外野












2021 西武 18 21 1 0 1 1.000
通算 18 21 1 0 1 1.000
  • 2023年度シーズン終了時

記録[編集]

初記録
その他の記録

背番号[編集]

登場曲[編集]

代表歴[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 埼玉西武ライオンズが選手登録した読み方[1]

出典[編集]

  1. ^ 呉 念庭(埼玉西武ライオンズ) | 個人年度別成績”. 日本野球機構. 2021年6月7日閲覧。
  2. ^ a b 西武新人オモシロ入寮、ドラ7呉は五郎丸そっくり”. 日刊スポーツ (2016年1月6日). 2021年7月23日閲覧。
  3. ^ a b c “レオの五郎丸”西武ドラ7呉念庭 台湾流“烏龍茶”ルーティン”. スポニチ Sponichi Annex (2016年1月6日). 2021年7月23日閲覧。
  4. ^ 入団交渉権獲得選手についてのお知らせ【チームからのお知らせ】”. 愛媛マンダリンパイレーツ公式サイト (2011年12月12日). 2021年7月23日閲覧。
  5. ^ ドラフト指名選手入団内定のお知らせ【チームからのお知らせ】”. 愛媛マンダリンパイレーツ公式サイト (2011年12月22日). 2021年7月23日閲覧。
  6. ^ 選手退団のお知らせ【チームからのお知らせ】”. 愛媛マンダリンパイレーツ公式サイト (2012年1月25日). 2021年7月23日閲覧。
  7. ^ a b 渡辺久信・埼玉西武ライオンズSDら、ドラフト指名挨拶のため来学 第一工業大学 都築教育学園 2015年11月5日掲載
  8. ^ 第一工業大学 vs 沖縄国際大学 - 試合情報”. 九州地区大学野球連盟. 2021年7月23日閲覧。
  9. ^ 2015年ドラフト会議 全指名選手”. 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト (2015年10月22日). 2021年7月23日閲覧。
  10. ^ 西武、指名3選手と合意 7位呉、8位国場、10位松本”. スポニチ Sponichi Annex (2015年11月13日). 2021年7月23日閲覧。
  11. ^ 本日12/11「2015ドラフト新入団選手発表会」を実施!”. 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト (2015年12月11日). 2021年7月23日閲覧。
  12. ^ 2016年6月度「ミズノ月間MVP賞」受賞選手”. 日本野球機構. 2021年7月23日閲覧。
  13. ^ 西武呉「記念球は実家に」プロ初出場&先発で初安打”. 日刊スポーツ (2016年7月10日). 2021年7月23日閲覧。
  14. ^ 2016年7月10日 埼玉西武 対 オリックス 成績詳細”. 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト (2016年7月10日). 2021年7月23日閲覧。
  15. ^ プロ野球フレッシュオールスターゲーム2016 出場者”. 日本野球機構. 2021年7月23日閲覧。試合結果”. 日本野球機構. 2021年7月23日閲覧。
  16. ^ 2016年8月12日 埼玉西武 対 オリックス 一球速報”. 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト (2016年8月12日). 2021年7月23日閲覧。
  17. ^ 西武 ルーキー呉のプロ初打点で勝ち越し「絶対打ってやろうと思った」”. スポニチ Sponichi Annex (2016年8月14日). 2021年7月23日閲覧。
  18. ^ 2016年8月14日 埼玉西武 対 オリックス 成績詳細”. 埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト (2016年8月14日). 2021年7月23日閲覧。
  19. ^ 洪一中總教練領軍 亞冠賽25人名單出爐” (中国語). 中華職棒大聯盟全球資訊網 The Official Site of CPBL (2017年10月11日). 2017年10月22日閲覧。
  20. ^ 西武・呉念庭6年目の初本塁打 代役果たした「本当にうれしい」”. デイリースポーツ (2021年4月1日). 2021年4月1日閲覧。
  21. ^ 西武・呉念庭「4番目の打者として打席に立ちました」プロ初の4番で先制打”. サンスポ (2021年6月12日). 2021年6月12日閲覧。
  22. ^ 【西武】監督推薦で今井、松本、呉念庭の3人が球宴初出場 台湾出身の呉念庭「台湾のファンの方にも元気を」”. スポーツ報知 (2021年7月5日). 2021年7月5日閲覧。
  23. ^ 西武・今井達也―楽天・瀧中瞭太…スタメン発表”. スポーツ報知 (2021年8月14日). 2021年8月14日閲覧。
  24. ^ 2021年度 埼玉西武ライオンズ 個人守備成績(パシフィック・リーグ)”. 日本野球機構. 2021年10月27日閲覧。
  25. ^ 台湾出身6年目の西武呉念庭プロ初10号で「監督に感謝」 辻監督称賛「俺も10本打ったことない」”. 西日本スポーツ (2021年10月7日). 2021年10月27日閲覧。
  26. ^ 2021年度 埼玉西武ライオンズ 個人打撃成績(パシフィック・リーグ)”. 日本野球機構. 2021年10月27日閲覧。
  27. ^ 西武呉念庭 3倍近い大幅増額に笑顔「評価してもらってありがたい」”. 日刊スポーツ (2021年11月26日). 2021年12月2日閲覧。
  28. ^ 西武・呉念庭がアジア大会の台湾代表に 現地メディア報道」『サンスポ』、2023年9月10日。2023年12月1日閲覧。
  29. ^ 【動画】「お帰りなさい!」「おめでとうございます」アジア大会激闘で銀メダル獲得、台湾代表の呉念庭が再来日で西武秋季練習合流」『西スポWEB OTTO!』、2023年10月13日。2023年12月1日閲覧。
  30. ^ a b 西武・呉念庭が涙の電撃退団「いつか台湾でプレーしたい思いあった」故郷で現役続行」『西スポWEB OTTO!』、2023年12月1日。2023年12月1日閲覧。
  31. ^ 呉念庭選手の退団について』(プレスリリース)埼玉西武ライオンズ、2023年12月1日https://www.seibulions.jp/news/detail/202300361514.html2023年12月1日閲覧 
  32. ^ 【西武】呉念庭が今季限りでの退団表明「新しい目標と挑戦のため日本離れる」台湾でのプレー希望」『日刊スポーツ』、2023年12月1日。2023年12月1日閲覧。
  33. ^ 昨年限りで西武を退団した呉念庭 台湾の社会人チーム「全越運動」に所属へ 今年7月のドラフトを待つ”. スポニチ Sponichi Annex (2024年1月13日). 2024年1月13日閲覧。
  34. ^ “西武・呉念庭 首脳陣の評価も高い野球勘を持つ遊撃手”. 週刊ベースボールONLINE. (2016年5月14日). https://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=082-20160523-01 2016年8月24日閲覧。 
  35. ^ a b 西武・呉念庭 内外野を守る勝負強きスラッガー/ユーティリティーの極意 | 野球コラム”. 週刊ベースボールONLINE (2021年10月27日). 2021年10月27日閲覧。
  36. ^ “【球界ここだけの話(650)】日本初!?西武の「ウーイング」は定着するか?”. SANSPO.COM. (2016年8月31日). https://www.sanspo.com/article/20160831-6EM6FWGSPFM3LG3XNEVZFNVTBI/ 2018年11月13日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]