名目鈔

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名目鈔』(みょうもくしょう)は、室町時代中期に左大臣洞院実熈によって書かれた有職故実書

自序によれば、禁中における事物の名目(名称)の故実読みを後世に伝えるために撰述したという。恒例諸公事・同臨時・私儀・諸公事言説・禁中所々名・人体・院中・雑物・衣服・喪服・車具・文書の12の篇目に分類して約600語を採録し、その読み方を片仮名で傍書するとともに簡単な解説を付している。ただし、篇目の中には中身を欠くものがあり、未完に終わったとされている。

全1冊の自筆本が東山御文庫蔵書として現存する他、同文庫・宮内庁書陵部陽明文庫尊経閣文庫大東急記念文庫などに室町時代の写本が残されている。また、江戸時代速水房常によって書かれた注釈書『禁中方名目鈔校註』がある。