同化 (音声学)
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同化(どうか、assimilation)とは、ある音素Xが、近接する音素Yの影響により、Yの特徴を共有した異音Y'として実現するという音韻過程を指す。
- 順行同化
- Yが先行するような場合、つまり図式的にはの次のように示される同化を順行同化(progressive assimilation)と言う。
- /...YX.../ → [...YY'...]
- liked/laik+d/ → [laikt]
- 구일날/ku+ir+nar/ → [ku:illal]「九日のひ」
- 読んだ/jom+ta/ → [jonda]
- 逆行同化
- 同化の環境を構成するYがXに後続する場合、図式的には次のように示される同化を逆行同化(regressive assimilation)という。
- /...XY.../ → [...Y'Y...]
- assimilateという語自体が逆行同化を含んでいる。
- assimilate <ad + similate> → [əsɪmɪleɪt]
- 日本語の動詞語幹末子音/w/に相・時制の接辞/+ta/が後続した場合、逆行同化により[t]として具現化される。
- 買った/kaw+ta/ → [katta]
- 同種の音素に挟まれることによる同化
- /...YXY.../ → [...YY'Y...]
- 蕎麦/soba/ → [soβa]
- 입맛/ip+mat/ → [immat][食指]
- 옛날/jet+nar/ → [jennal][昔]
- 악몽/ak+moŋ/ → [aŋmoŋ][惡夢]
- 母音交替では隣接していない音素に同化が生じる
- 英語の'foot'の複数形'feet'は歴史的には、複数を表す接尾辞/+i/が語基/fot-/に添加され/foti/となり、[fe:ti]として母音が逆行同化(ウムラウト)を受けた後に[i]が脱落し、その後大母音推移によって[fi:t]となった。
- 中期朝鮮語までは体系的な母音調和が存在したが、現代の朝鮮語にも述語活用の一部に残る。
- /s[-子音,+低舌,+ATR]l+[-子音,αATR]ss+ta/ → [saratt*a]「住んだ、生きた」