合格電報
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合格電報(ごうかくでんぽう)は、昭和30年代から平成初期にかけて用いられた、日本の大学入試の合否を伝達する電報の通称である。
概要
[編集]大学入試の合否は、大学構内に掲示された受験番号を確認するか、時代が下ると合否通知が郵送されることで判明したが、いずれにしても遠隔地に住む受験生にとっては合否が判明するまでの時間的、心理的な負担が大きかった。そこでいち早く合否を知る手段として、受験生が大学近くにいる人物に受験番号を確認してもらい、電報で伝えてもらうようにと1956年に早稲田大学で始まったことが由来とされている[1][注釈 1]。当初、この際に合格を示す文面として「サクラサク」(桜咲く)が用いられたことで、他大学の合格通知としてサクラサクがよく用いられて全国的に広まった[1]。2020年現在もサクラサクは受験合格を示す慣用句として用いられている。
合格電報は大学当局が公式で関与しているものではなく、多くはサークルの運営費や遊び資金稼ぎを目的に組織された「電報屋」という学生アルバイトが担当していた[3][4]。そのためサクラサク以外にも各大学によって合否を伝える文面が異なり、多くの大学では地域色が反映されていた[3]。
しかし、1984年ごろより郵政省が電子郵便の需要拡大を目指して、合格者の受験番号一覧を送り、受験生の番号の有無で合否がわかる大学入試レタックスを導入し、大学当局にとっても受験生の問い合わせ防止や情報化時代の反映を理由に、希望者に対する電子郵便での合格発表をすることが増えたため、次第に学生アルバイトが合格電報の取扱から撤退していったことで消滅していった[5][6]。
各大学の合格電報
[編集]- 合格:「アオバモユル」(青葉萌ゆる)[10]
- 合格:「イナホミノル」(稲穂実る)
- 不合格:「イナホチル」(稲穂散る)
- 合格:「ハルノソラトキハバタク」(春の空朱鷺はばたく)
- 不合格:「エチゴノユキフカシ」(越後の雪深し)
- 合格
- 「ケンロクエンサクラサク」(兼六園桜咲く)[13]
- 「ケンロクコウエンノサクラサクオメデトウ」(兼六公園の桜咲くおめでとう)
- 不合格:「フユノノトナミタカシ サイキキス」(冬の能登波高し 再起期す)[7]
- 大阪大学歯学部
- 合格:「ニュウシ ハエル」(入試映える、乳歯生える)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b なんで、合格を「桜咲く」というの?「富士山頂 征服す」の表現なども - ナレッジステーション 2018年3月10日 閲覧
- ^ 2016年3月10日(木)≪【サクラサク】≫ - ビー・トライ 2018年7月1日 閲覧
- ^ a b 朝日ジャーナル編「現代無用物事典」pp115『合否電報』
- ^ 「(天声人語)大学受験生、吉報を待つ季節」 朝日新聞1頁(2006年2月20日・朝刊)
- ^ 「こよみ・1月」 朝日新聞19頁(1989年2月1日・朝刊)
- ^ 「メイブツデンポウ“チル” 合否もレタックス時代に 【西部】」 朝日新聞11頁(1991年2月21日・夕刊)
- ^ a b c d e f g “サクラサク”、“サクラチル”に込められた「想い」-通信技術の進歩とコミュニケーション - ニッセイ基礎研究所 2021年2月23日 閲覧
- ^ a b c d “2021/01/15【三山春秋】30年ほど前まで大学入試の合否を…(アーカイブ)”. 上毛新聞. (2021年1月15日)
- ^ a b c d e f g h 東大は「アカモンヒラク」 お茶の水女子は「オチャカオル」 各大学の個性的だった合格電報 - NEWS ONLINE 編集部 2021年2月23日 閲覧
- ^ a b c “新生面 1月17日付(アーカイブ)”. 熊本日日新聞. (2021年1月17日)
- ^ a b 安田賢治のここだけの話 様変わりする受験4・合格発表 - 毎日新聞2018年3月21日 閲覧
- ^ a b 信州大学 大学史資料センター (2023年2月15日). “No.37 合格電報「コマクサハホホエム」”. 信州大学. 2023年6月3日閲覧。
- ^ 【金大で合格発表 1961(昭和36)年3月17日】赤電話に咲く笑顔の春 木造校舎に人だかり
- ^ a b c 「明日は花が咲く(窓・論説委員室から)」朝日新聞1頁(1989年3月16日・夕刊)